枝野幸男の発言 (憲法調査会)
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○枝野委員 枝野幸男でございます。
民主党・無所属クラブを代表いたしまして、報告書について意見を申し述べます。
この五年間、当調査会では、多岐にわたる憲法にかかわる問題点を幅広く取り上げ、有識者や公募した国民の皆さんの意見も伺いながら、精力的な調査を進めてきました。
特に、現行憲法典の条項にとらわれることなく、二十一世紀の日本のあるべき姿について広範な議論がなされたことは、憲法問題という観点にとどまらず、我が国の議会史にも例のない画期的な成果であったと受けとめています。具体的な法律案や予算案などを対象とすることなく、また、分野ごとに分かれた委員会審議でもなく、広い視点から日本の将来像を自由に議論する機会は、国会全体を見渡しても残念ながら十分には存在していません。こうした議論が自由濶達になされたことだけでも、当調査会は大きな役割を果たしてきたと言えます。
また、当調査会の議論は、原則として自由討議方式によって進められました。各委員が、国会議員としての責任に基づきおのおのの所信を自由に発言する場も、現在の議会では限られています。しかも、議員同士で質問をぶつけ合ったり、反論や再反論などが展開したりする機会は、当調査会を除くと、ほんの限られた場面しか存在しません。言論の府としての議会という憲法的にも重要な役割を最大限に発揮してきた舞台が、当調査会です。
こうした充実した調査を進めることができたのも、中山太郎調査会長の中立公正かつ適切な議事運営と、各会派及び所属委員各位の御協力があったからにほかならず、こうした皆さんに心からの敬意を表します。また、調査会の円滑な運営のために御尽力いただいた議長や議院運営委員会を初めとする院内各委員会、参考人や公述人として意見表明いただいた皆さん、裏方として調査を支えた事務局各位など、多くの皆さんの御協力にこの場をかりて感謝の意を表する次第です。
本報告書は、こうした調査の成果を客観的にあらわしたものです。当調査会は、何らかの集約を予定してスタートしたものではありませんから、その議論も本報告書も、特定の結論を示してはいません。本報告書に示されたいわゆる多数意見も、たまたま多くの委員の方が意見を表明した論点について、たまたまある特定の意見が多数であったことを示すにすぎません。
この整理については、議論した以上何らかの集約を行うべきだとの意見もあるでしょう。しかし、当調査会に与えられた調査という役割に忠実に議論し、その結果を客観的に示したのが本報告書である以上、当然の帰結です。また、公権力行使の基本法という重要な意義を持つ憲法の議論であり、その論点も多岐にわたり、さらには幅広い多様な意見が存在する中での議論であることを踏まえるならば、また、当調査会がスタートした五年前の状況をかんがみるならば、このような報告書がまとめられたこと自体、大きな成果であり前進であると考えます。大切なことは、本報告書をもって何かが終わると位置づけるのではなく、本報告書をスタートとして、これまでの調査をどのように生かしていくかではないでしょうか。
この五年間を通じて、当調査会は憲法制定権力を持つ国民の皆さんに、その議論を全面的に公開しその意見を求めるなど、憲法問題に対する世論を喚起するべく努力してきました。このことは、一定の成果を上げつつあると思います。しかし、今なお憲法に対する国民の関心は、決して高いとは言えません。国会議員は、法律を制定する権限を国民から与えられています。しかし、憲法について、国会議員は単に発議できるにすぎず、決めるのは国民自身です。したがって、本報告書を通じて多くの国民の皆さんにこれまでの当調査会での議論を幅広く知っていただき、今後は、国民の皆さんに当事者として議論を深めていただくことが必要です。
これまでの調査を生かしつつ、国民の皆さんと対話をしながら議論を深めていく上で、当調査会は今後も継続してその役割を担っていく必要があります。また、制定されていない憲法改正手続法制の整備を通じて、国民の皆さんに当事者としての意識を高めていただくことも重要です。憲法そのものの議論を深めることと、憲法改正手続法制を整備することは、国民の皆さんに憲法に対する関心と当事者意識を高めていただく上で、車の両輪とも言える関係にあり、一体として当調査会がその役割を担うことが適切です。
本調査報告書の作成を一つのスタートラインとして、本調査会が、憲法議論の深化と憲法改正手続法制の整備の役割を担う第二ステップに進み、充実した議論がさらに展開することを強く望みます。(拍手)