小泉純一郎の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 岡田議員にお答えいたします。
被災地復興支援についてでございますが、まず、被害に遭われた方々、そして今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
昨年発生した台風、地震等の災害については、これまで最大限の支援を行ってまいりました。今回の補正予算案においても、新潟県中越地震に係る財政上の支援を含め、一兆三千六百億円の災害対策に要する経費を計上し、しっかりとした対応を行っております。
被災者生活再建支援法については、昨年の通常国会で、被災者が住宅を再建、補修する際に負担する経費の一部を支援する制度が設けられ、その積極的活用を図っているところであります。
被災住宅の再建に対する公的支援の充実について、関係者から要望があることは承知しております。他方、行政は公共サービスの回復に重点を置くべきであるとの立場から、個人の住宅本体の再建に対する公費支援については慎重な考え方もあり、また、住宅の耐震改修、地震保険の加入等の自助努力を促進する方策をまず充実させるべきとの考え方もあります。このため、さまざまな角度からなお議論を深める必要があると考えております。
小泉内閣の改革が目指す社会についてでございます。
基本的に一番重要なことは、みずから助ける精神、みずからを律する精神、この精神のもとに、国民一人一人が、企業、地域が主役となって、努力が報われ安心して再挑戦できる、自信と誇りに満ちた明るい社会の実現を目指したものであります。
これまで、雇用・中小企業のセーフティーネットの確保に万全を期すとともに、新規起業の促進策、構造改革特区や都市再生など地方の意欲や挑戦を尊重した地域経済の活性化策、持続的な制度の構築に向けた社会保障制度改革などに取り組んでまいりました。
引き続き改革を進め、地域や多くの国民が持っている潜在力が自由に発揮される活力ある経済社会の構築に向けて全力で取り組んでまいります。
教育における国と地方の役割分担でございますが、学校や家庭、地域など社会全体で新しい時代を切り開く人材を守り育てなければならないと思っております。こうした中、教育の地方分権を進めることは重要な課題であります。このため、特区制度を活用した地域の提案を生かした学校運営や、保護者や地域住民が一定の権限を持って学校運営に参画するコミュニティースクールの設置といった取り組みを進めてきております。
今後とも、国は、全国的な教育水準の確保と教育の機会均等についての責務をしっかりと担いつつ、その上で、各学校が保護者や地域住民の声にこたえ、創意工夫を行えるよう、市町村や学校の裁量を拡大していきたいと考えております。
年金制度についてでございます。
国民の安心を確保することは国家の重要な課題であると、先日の施政方針演説の中でも申し上げたところであります。年金制度については、さきの年金改正により年金制度自体は持続可能な制度に見直すことができたものと考えておりますが、なお、今後の産業構造、雇用構造の動向に十分対応できるのか、また、年金の一元化を目指すべきではないかとの議論があるところであります。
さらに、二〇〇七年から人口減少社会を迎え、少子高齢化が進展する中で、年金を初めとする社会保障制度を持続可能なものとしていくことは、これからの我が国社会のあり方にかかわる極めて重要な政治課題でもあります。
このためには、年金制度のみならず医療、介護などを含めた社会保障制度全体について、税や保険料の負担と給付のあり方を含め一体的見直しを図る必要があると思います。年金制度のあり方についても、これとの整合性を図りつつ、年金一元化を含めた見直しは必要と考えております。
私としては、政府のみならず与野党が立場を超えて、年金制度を初めとした社会保障制度の論議に国民的立場から取り組むことは政治の責任であります。このため、国会において集中的な議論を早急に開始していただきたいと考えております。国会において集中的な議論をする場合には、社会保障制度全般について一体的に議論していただく方が、より実り多い議論に結びつくのではないかと考えております。
年金保険料の上限については、さきの年金改正議論の中でも一五%程度にすべきとする議論があったことは承知しております。年金保険料率が一五%になる前によい結論を見出したいという考えも理解できます。
しかし、この年金保険料負担の問題については、年金の給付水準をどうするか、また社会保障全体としての負担と給付をどう考えるのか、こういう問題もあります。その際には、消費税の活用ということも当然検討の対象になるものと考えておりますが、消費税を年金のみに充てるのか、他の社会保障の財源との関係でどうするかという議論も必要だと思います。
また、年金制度の一元化については、まずは厚生年金と共済年金の一元化を進めるべきでありますが、さらに、国民年金を含めた公的年金制度の一元化については、御指摘のとおり、自営業者の公平な保険料徴収のための正確な所得の把握や事業主負担をどうするか、納税者番号制度などの諸条件をどうするかといった問題について早急に検討する必要があります。
いずれにしても、年金制度の枠組みの中だけで議論するのではなく、医療、介護などを含めた社会保障制度全体について一体的な見直しを行う中で、年金制度の一元化などの問題についても検討していくことが適当であると考えております。
国債発行額の公約についてでございます。
平成十四年度当初予算の編成に当たっては、歳出が八十兆円を超える一方、税収が五十兆円程度と見込まれる状況のもと、財政の規律、節度を確保するため、国債発行額三十兆円を目標とし、これを達成したところであります。
平成十七年度予算編成においても、税収が四十四兆円程度と見込まれる中、一般歳出を三年ぶりに前年度以下に抑制し、四年ぶりに新規国債発行額を減額するなど、引き続き財政の規律、節度を確保するとの基本精神を受け継いでおり、財政構造改革を推進していくという考えに変わりはございません。
整備新幹線などの大型公共事業に関する基本的考えについてでございます。
この整備新幹線につきましては、昨年十二月、民主党整備新幹線を推進する議員の会の代表である羽田孜議員の名のもとに、整備新幹線の建設促進に関する要請をいただいております。(拍手)
平成十七年度の公共事業予算については、従来同様に投資の重点化、効率化を図ることとし、全体として三・六%削減したところであります。整備新幹線などの個別事業については、削減した公共事業予算の枠内で計上し、事業の効果等については厳密に検証したものであります。
今後とも、公共事業については、事業の必要性、緊急性等を厳しく審査しつつ、重点化、効率化を推進してまいります。
国家公務員の定員についてでございます。
スリムで効率的な政府の実現に向けて、これまでも累次の定員削減計画の着実な実施、国の行政組織の独立行政法人への移行等を行ってきており、国家公務員の定員総数は大きく減少してきているところであります。
行政改革を強化するため、公務員の総人件費を削減する必要があるとの強い指摘がある中、定員削減についても引き続き重要課題として取り組んでいく必要があります。このため、昨年末に決定した「今後の行政改革の方針」において、これまでより一段と厳しい、今後五年間で一〇%以上の削減を目指すことを決定しました。
平成十七年度においても過去最高の一・六六%の削減を行い、治安の回復など山積する行政需要に対応した増員を的確に措置する必要がある中、純減を確保することとしております。
なお、公務員の人件費を抑制するためには、定員のみならず公務員給与について、地域の民間企業の給与水準を適切に反映するなどの見直しが必要であると思います。いずれにしても、この問題につきましては、民主党の提案も参考にしながら取り組んでいきたいと考えております。
地方分権についてでございます。
地方にできることは地方にという理念のもと、三位一体の改革を進めることにより、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政のスリム化を推進することを目指しております。
改革の全体像については、地方六団体がまとめた地方財政の改革案を真摯に受けとめ、地方とも協議を重ねた上で政府・与党で取りまとめたものであり、その内容については、地方からも一定の評価をいただいているものと考えております。
国民健康保険については、医療保険制度改革の動向を踏まえ、都道府県に県内市町村間の財政調整権限を付与した上で、都道府県負担を導入したところであります。義務教育費国庫負担金の取り扱いなど残された課題についても、国と地方の協議の場などを通じて検討を進め、平成十七年度中に結論を出します。
十九年度以降何をすべきかにつきましては、十八年度までの三位一体の改革の成果を見きわめた上で判断する必要があると考えます。
農政改革でございますが、今後の農政の推進に当たっては、経済社会情勢の変化に即応し、公共事業の効率化、重点化を推進する一方で、やる気と能力のある農業経営の重点的支援や、企業の農業経営への参入、農産物の輸出の促進など、攻めの農政に転換するとの視点に立ち、一層積極的に農政改革を進めてまいります。
十七年度予算においても、公共事業における農業分野は、対前年度比で公共事業全体を上回る四・七%の削減をするとともに、農業集落排水予算については、下水道など複数の省庁にまたがる排水事業を地域再生のために実施する場合には、窓口を一本化して交付金として地方に配分する新たな仕組みを導入したところであります。
特殊法人についてでございます。
財投計画の編成に当たっては、民業補完の原則のもと、民間準拠の財務諸表も参考にしながら、住宅金融公庫や都市再生機構について事業の抜本的見直しを行うなど、特殊法人改革に着実に対応してきたところであります。
この結果、平成十七年度財投計画では、特殊法人等向けの投融資額をピーク時の三分の一程度に圧縮し、財投債の発行額については対前年度比で十兆円減額するとともに、財投機関債については前年を大幅に上回る発行額とするなど、着実な改革が進んでおります。今後とも、民業補完性の精査等により、対象事業の一層の重点化、効率化を図ってまいります。
郵政民営化に関し、三点お尋ねがありました。
第一に、運用能力についてですが、貸し付け等の業務については、民有民営化の進展に対応し段階的に拡大していくこととしており、移行期間中に順次体制整備を図ることができるよう、現在、制度設計を検討しております。
第二に、国債市場に与える影響についてですが、民営化に当たっては、郵貯、簡保の既契約に係る公社勘定については安全性を重視して運用し、また、移行期においては市場関係者の予測可能性を高めるため適切な配慮を行うこととしており、国債市場の安定性を損なうことのないよう十分配慮いたします。
第三に、金融市場の健全な競争環境との関係ですが、イコールフッティングの度合いや国の関与のあり方を勘案しつつ、監視組織を活用しながら、段階的に業務を拡大することとしております。また、小泉内閣は我が国の金融システムの強化と機能向上にも強力に取り組んでおり、民営化後の郵便貯金会社、郵便保険会社を含め、市場で適正な競争が行われることによって国民にもメリットをもたらすものと考えております。
ASEAN諸国との経済連携協定及び中国との関係でございます。
ASEAN諸国との経済連携協定交渉については、昨年、フィリピンと大筋合意に達し、現在、マレーシア及びタイとの交渉の早期妥結を目指して取り組んでおります。また、四月にはASEAN全体との交渉も開始するなど、引き続き積極的に取り組みます。
日中関係については、昨年の日中首脳会談で、その重要性につき認識を共有いたしました。個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から、幅広い分野における協力を強化していく考えであります。
世界の中の日米同盟についてでございます。
世界の中の日米同盟とは、日米両国が、政治、安全保障、経済を含む幅広い分野において、世界のさまざまな問題の解決に世界の各国と協調しながら取り組んでいく協力関係を意味しております。
在日米軍の兵力構成でございますが、この見直しにつきましては、現在、地域の情勢認識、戦略目標、日米両国の役割、米軍の軍事態勢の見直しについての基本的考え方等の基本的論点について包括的議論を行いつつ、双方の考え方についての理解を深めるための意見交換を行っております。
いずれにせよ、我が国が中東諸国や米国を含む国際社会と緊密に連携して、イラク復興支援や中東和平問題などに積極的に取り組むとの方針に変更はありません。
新たな日米安保共同宣言の発出の可能性についてでございます。
今後、新たな安全保障関係に対応した戦略目標、日米両国の役割についての議論の成果を何らかの形で取りまとめるということはあり得ると思いますが、現時点で、新たな日米安保共同宣言の策定について日米間で検討を行っていることはありません。
第二期ブッシュ政権に対する基本姿勢でございます。
ブッシュ大統領は、就任演説において、世界で自由と民主主義を推進する旨述べておりますが、同時に、米国は望まない者に米国式の統治方式を押しつけることはしない、同盟国の助言と支援に頼っている旨述べております。
日米双方は、従来より、強固な信頼関係のもとで、言うべきことを言い、やるべきことをやってきておりますが、今後とも、あらゆるレベルで率直かつ緊密に政策協調を行いながら、世界の諸問題に世界の国々と協調しながら取り組んでいく考えであります。
米英等によるイラクに対する武力行使でございますが、イラクは、十二年間にわたり累次の国連安保理決議に違反し続け、国際社会が与えた平和的解決の機会を生かそうとせず、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしませんでした。このような認識のもとで我が国は安保理決議に基づきとられた行動を支持したのであり、これは今でも正しかったと思っております。
オランダ軍撤退を機とした自衛隊の問題でございます。
自衛隊が活動する地域におけるオランダ軍撤退後の治安維持のあり方については、イラク暫定政府のほか、多国籍軍の中でイラク南東部に責任を有する英国が検討を行っており、英国は、我が国と引き続き協力していく方針である旨表明しております。
また、基本計画においては、派遣期間内に治安に係る状況の変化、多国籍軍の活動状況及び構成の変化など情勢に大きな変化を及ぼし得る事象があった場合には、これらをよく見きわめ、必要に応じ適切な措置を講ずることとしております。
今後とも、適切な警戒や危険回避の措置をとり、隊員の安全確保に万全を期しつつ、自衛隊の活動を継続してまいります。
国連ハイレベル委員会の報告書についてでございます。
報告書においては、予防的な武力行使の合法性について懸念が表明されておりますが、当然ながら、安保理決議に基づく武力行使等国連憲章第七章で認められた集団行動を否定しているものではありません。また、同報告書は、国連安保理が武力行使を承認する際検討すべき基本原則を提言しており、報告書が国連憲章第七章のもとでの武力の行使につき一つの考え方を示したことを評価しております。
本件については、安保理を初めとして加盟国間で議論が行われることが予定されており、我が国もその議論に積極的に参加していく考えであります。
ハイレベル委員会報告書の武力の行使に関する基準と対イラク武力行使についてでございます。
同報告書は、武力の行使を含むさまざまな問題を将来に向けて検討したものであり、過去の個別の問題を検討したものではないと承知しております。いずれにせよ、米国等による対イラク武力行使は、累次の関連安保理決議により正当化されるものであり、国連憲章に合致したものであったと考えます。
北朝鮮に対する経済制裁についてでございます。
我が国は、北朝鮮側に対し、安否不明の拉致被害者に関する一刻も早い真相究明を行うとともに、生存者は直ちに帰国させるよう強く求めております。政府としては、対話と圧力という考えのもと、北朝鮮側より迅速かつ納得のいく対応を得るための最も効果的な政策を進めてまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であると考えますが、まず制裁ありきということではございません。
一億円献金問題の証人喚問についてでございます。
この件については、既に昨年十一月三十日の衆議院政治倫理審査会において、橋本氏から説明がありました。さらに国会における関係者の証言が必要かどうかについては、国会において決めるべき問題であり、各党各会派において十分に議論していただきたいと思います。
いわゆる迂回献金の禁止についてでございます。
迂回献金のように政治資金規正法に対する脱法的な行為は、あってはならないものであります。与党が提出している政治資金規正法の改正案も、迂回献金との疑惑の払拭を含め、政治資金の一層の透明性を確保しようとするものであります。迂回献金禁止の条項を設けることによって実効性が期待できるかなどの点も含め、各党各会派で十分御議論いただきたいと考えます。
清和政策研究会の政治資金収支報告書に関する新聞報道についてのお尋ねでございます。
清和政策研究会では、政治資金に関しては政治資金規正法にのっとって適正に処理していると聞いているところであり、政治資金規正法上問題があるとは承知しておりません。(拍手)