小泉純一郎の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 武部議員にお答えいたします。
今後の我が国の災害対策でございますが、まず、被害に遭われた方々、そして、今なお困難な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞い申し上げます。
昨年の豪雨、台風、新潟県中越地震の対応については、速やかに激甚災害の指定を行ったほか、災害復旧費等の補正予算への計上など、総力を挙げて対応してまいりました。
今後とも、被災地の復旧と復興に全力を尽くします。これまでの災害から学んだ教訓を生かして、情報伝達、高齢者の救援が迅速になされるよう、応急対策のさらなる強化を図ります。また、中小河川の整備や水防体制の見直しなど、水害、土砂対策を充実させて、災害に強い国づくりを進めてまいります。
インドネシア・スマトラ島沖大地震及び津波災害で被災した各国に対しては、同じアジアの一員として、資金、技術・知識、人的貢献のそれぞれの観点から最大限の支援を行ってまいります。そして、関係国や国際機関と協力しながら、津波早期警戒メカニズムの構築などの国際防災協力を積極的に推進してまいります。
アジアにおける感染症予防センター構想ですが、鳥インフルエンザ、SARS等の感染症はアジア地域で深刻な課題であり、これらの感染症の予防に取り組むことは、アジアの一員としても、また、人間の安全保障の観点からも極めて重要であります。政府としては、現地の状況及びただいまの御提案も踏まえて、感染症の予防の問題に取り組んでまいります。
国連安保理常任理事国入りについてでございます。
国際社会が直面する脅威に有効に対処するためには、二十一世紀の国際社会の現実を反映し、実効性及び信頼性を強化する形で安保理を改革することが必要だと思います。我が国は、アナン国連事務総長や関係国と協力しつつ、安保理改革の早期実現を目指します。我が国が安保理常任理事国入りした場合、これまでに培われた能力と経験を生かして、安保理の意思決定に積極的に参画し、国際の平和と安全の維持に一層の役割を果たしていくことが重要であると考えます。
公務員制度改革でございますが、公務員制度改革に関しては、これまでも、省庁間人事交流の促進や独立行政法人の職員の非公務員化など、可能な措置を着実に実施しております。また、新しい人事制度の構築に向けて取り組んできているところでありますが、職員の理解を高め、制度を円滑に運用できるようにすることにも留意しつつ、関係者間の調整をさらに進めるとともに、能力・実績主義の人事評価を試験的に実施してまいります。
社会保険庁改革でございますが、社会保険庁については、サービスの質、予算執行のあり方、保険料の徴収実績など、事業運営に関するさまざまな指摘がなされるとともに、不祥事案も生じており、信頼を回復しなければなりません。このため、既に業務改革を進めているところであります。
また、組織のあり方については、現在、内閣官房長官のもとに置かれた社会保険庁の在り方に関する有識者会議において、外部委託の推進による事業の民営化や組織の形態の見直しを初め、あらゆる議論を例外としない幅広い議論をいただいているところであり、その結果を踏まえ、組織の抜本的な改革を行ってまいります。
郵政改革でございますが、郵政民営化は、郵便局を通じて国民から集めた三百五十兆円もの膨大な資金を民間部門に流し、効率的に使われるようにする、郵政公社の職員が民間人になるとともに、従来免除されていた税金が支払われること等により財政再建にも貢献するなど小さな政府の実現に資する、国の関与をできるだけ控え、民間企業と同一の条件で自由な経営を可能とすることにより質の高い多様なサービスが提供されるなど、私が官から民への方針のもとに進めてきた改革の本丸というべき大改革であり、これを断固として推進していきたいと思っております。私は、こうした郵政民営化が新しい日本の扉を開くものと確信しております。
今後、昨年九月に決定した基本方針に基づいて、与党との協議も行いつつ、平成十九年四月に郵政公社を民営化する法案を取りまとめ、今国会に提出し、成立を期していきたいと思います。
市場化テストでございますが、市場化テストは、政府と民間とが対等な立場で競争することを通じて、行政の効率化や公共サービスの質の向上、受け皿となる民間企業の活性化を図るものであり、重要な制度と考えております。
十七年度は、ハローワークの中高年向け再就職支援、社会保険庁の保険料未納者に対する督促や年金の電話相談などを対象としてモデル事業を開始するとともに、本格的導入に向けて法的枠組みも含めた制度の整備について鋭意検討を進めてまいります。
地方分権でございますが、地方にできることは地方にという理念のもと、国の補助金を縮減し、国から地方への税源移譲を進め、同時に地方交付税の改革を行う、いわゆる三位一体の改革を進めております。これにより、国の関与を縮小して地方の権限、責任を拡大するとともに、国、地方を通じた行政の簡素化を推進することを目指しております。各地方が自由に使える財源をふやし、みずからの創意工夫と責任で政策を決められる幅を拡大することによって、地方の自立を可能にし、一層の地方分権を進めてまいります。
道州制の導入については、分権型社会にふさわしい広域自治体を構築する観点から、広く国民の理解を得る必要があります。このため、制度のあり方や実現方法について、地方制度調査会などにおいて議論を深めてもらっております。また、いわゆる道州制特区については、北海道の提案を受けとめつつ、道州制に向けた先行的取り組みとなるよう、政府としても支援してまいります。
特別会計及び特定財源の見直しでございますが、特別会計については、一昨年以来、すべての特別会計を対象として事務事業等の見直しを徹底的に進めており、十七年度予算においても、産業投資特別会計におけるNTT株式売却収入を活用した無利子融資制度について、将来的な廃止に向けて見直しを実施しております。今後とも、一般会計からの繰り入れも抑制するなど、温存を許すことなく、一層徹底した見直しを行ってまいります。
また、特定財源についても、国全体の厳しい財政事情のもとで、道路特定財源の使途の拡大などの見直しを進めてきておりますが、財政資金の有効な活用を図るとの観点から、幅広く検討を進めてまいりたいと考えております。
少子化問題でございますが、少子化が急速に進行し、若い力が減少する場合には、国の基盤に影響を及ぼすことにもなりかねません。子供を安心して生み、子育ての喜びを実感できる社会を実現し、少子化の流れを食いとめることは、重要な課題であります。昨年末に策定した子ども・子育て応援プランに基づき、待機児童ゼロ作戦、育児時間を確保するための働き方の見直し、地域の子育て支援などの施策を着実に実施し、社会全体で全力を挙げて少子化対策に取り組んでまいります。
若年者の雇用問題についてです。
フリーターやいわゆるニートの増加、これは、本人にとっては技能、知識の蓄積がなされない一方、産業や社会を支える人材の育成が図られず、将来の我が国経済社会に与える影響は重大であると認識しております。
このため、昨年十二月に関係五大臣で若者の自立・挑戦のためのアクションプランを取りまとめ、若年者の働く意欲や能力を高めるための総合的な対策を講じております。また、民間では、農業分野において若年者が職業的自立を図れるような取り組みが進められていると承知しており、こうした取り組みを支援するなど、若年者が将来に希望を持てる社会の実現に取り組んでまいります。
社会保障についてです。
社会保障制度のあり方は、少子高齢化の進展や単身者の増大、雇用形態の多様化などの社会生活の変化にも密接に関連する問題と考えており、社会保障制度を将来にわたって持続可能なものとしていくためには、与野党が立場を超えて社会保障の一体的見直しに早急に取り組み、新たな国民的な合意形成を図っていくことが重要であります。
このため、現在、政府においては、経済界や労働界の参加を得た社会保障の在り方に関する懇談会において、税、保険料等の負担と給付のあり方などを含め、社会保障制度全般について幅広く議論をいただいているところであり、その議論なども踏まえて方向づけをしていきたいと考えております。また、与野党間においても、それぞれ立場はありますが、国民的見地に立って早急に議論を行っていただきたいと考えております。
こうした中で、税制のあり方については、これまでの与党税制改正大綱を踏まえ、御指摘の消費税のあり方も含め、国民的な議論を進めていく必要があると考えております。
教育改革でございますが、子供は社会の宝であり、学校や家庭、地域など社会全体で、新しい時代を切り開く心豊かでたくましい人材を守り育てていかなければなりません。こうした中、我が国の学力が低下傾向にあることは深刻に受けとめる必要があり、学習指導要領全体を見直すなどによる学力の向上、教員の質の向上、現場主義の徹底など、教育改革に精力的に取り組んでまいります。
教育基本法については、中央教育審議会の答申や与党における議論を踏まえて、引き続き国民的な議論を深めながら、改正に向けて積極的に取り組んでまいります。
投資サービス法、団体訴権制度の整備についてです。
政府としては、御指摘のように、金融サービスを含めた消費者保護制度の強化は重要な課題であると認識しており、横断的な投資家保護ルールである投資サービス法の検討を精力的に進めるとともに、消費者団体訴訟制度について、現在進められている国民生活審議会における検討を踏まえ、法制化に鋭意取り組んでまいります。
北朝鮮問題ですが、我が国は、北朝鮮側に対し、一刻も早い真相究明を行うとともに、生存者は直ちに帰国させるよう強く求めております。政府としては、対話と圧力という考えのもと、北朝鮮側より迅速かつ納得のいく対応を得るための最も効果的な政策を進めてまいります。その際、経済制裁は可能な一つの手段であるとは考えておりますが、まず制裁ありきということではございません。
日中関係についてです。
日中関係は、人的交流や経済分野を含め、ますます深化していると思います。昨年の日中首脳会談では、二国間のみならず国際社会全体にとっても日中関係は極めて重要であるとの認識を共有し、未来志向の協力を発展させていくことで一致しました。意見が異なる個別の問題についても対話を深め、大局的な観点から幅広い分野における協力を強化していく考えであります。
日ロ関係についてです。
平和条約を締結し、日ロ関係を飛躍的に発展させることは、我が国、ロシア双方の国益にかなうものだと思います。引き続き、四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結するという基本方針のもと、精力的に交渉を進めるとともに、日ロ行動計画に従って幅広い分野で協力を進め、プーチン大統領の訪日及びその後の交渉につなげていきたいと考えております。
残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
〔国務大臣大野功統君登壇〕