園田康博の発言 (本会議)

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○園田康博君 民主党の園田康博でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表して、政府提出の障害者自立支援法案及び与党修正案に対し、反対の立場から討論を行います。(拍手)
 我が国における障害福祉施策の歴史は、言葉では障害者福祉と言いながら、目についたところだけ国の措置という形で対応し、抜本的な対応もせずに、その多くは施設と家族への責任転嫁という形で基本的な枠組みが構築されてまいりました。障害者の人権擁護と適正な医療の確保、社会復帰と社会参加の促進という大きな流れの中で、障害者基本法が制定され、二年前には支援費制度がスタートし、障害者は、この社会の中でようやく一筋の生きる権利を手にすることができたのであります。
 これから国の責任で、この流れを積極的に推進し、措置時代の負の遺産を解消していかなければなりませんでした。しかしながら、一部の大都市において、支援費制度の利用が増加したのでありますが、全体で見るならば、身体障害者一級、二級の方のうち、対象となっていない視力障害、聴力障害、内部障害者を除いて、わずか一五%しかこのサービスを利用できていないのが実態でありました。サービスを受けなければならない、あるいは受ける権利のある障害者がサービスを受けることができていない、これが大きな問題であったのです。
 厚生労働省は、サービス利用者の増大を見込んで、裁量的経費から義務的経費という位置づけで解決しようとしたのでありますが、それとは引きかえに障害者の利用者負担とサービス利用の制限という形で、障害者とその家族への負担が押しつけられてしまいました。
 そもそも、支援費制度に生じた財政問題は、障害者サービスが過剰なために生じたものではありません。それまでの措置制度のもとで、過剰なまでに抑制されていた障害者のニーズが支援費制度の開始、定着に伴って顕在化してきたこと、行政が障害者ニーズを正確に把握してこなかったことに起因するものであります。現に、支援費制度が導入されてからも、障害福祉サービスを受けられる地域はごくごく限られているのです。
 本来、これから全国に障害福祉サービスを供給する基盤を整備し、どこに住んでいてもサービスが受けられるように、きちんと支援費制度の総括をすべきであるにもかかわらず、自己負担の導入による需要抑制効果を期待して障害者自立支援法案を成立させようとするのは、時代を逆流させようとする暴挙でございます。支援費制度の導入でようやく地域生活がかなえられ、施設から出てこられたことを喜ぶ障害者を、再び施設に戻そうとしているのでございます。
 今こそ国家の責任において、障害者福祉の理念を高らかに打ち上げ、障害者がこの社会の中でごく当たり前に生きていくための保障を構築し、制度を普遍化させていくことこそが喫緊の課題ではないでしょうか。
 事もあろうに政府は、障害者と障害児が自立した日常生活または社会生活を営むことができるよう必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行うことの見返りに、その中身が明確になっていないにもかかわらず対価を要求しようとしているのであります。これは極めて問題であると考えております。
 本来なら、この法律案において、障害者基本法にある「障害者の自立及び社会参加」を基本に置いたものであることが明記され、障害者福祉施策を谷間のないものとするために、対象者の拡大及び抜本的な障害定義の見直しを行うことが必要でありました。その上で、新たな障害福祉サービス、自立支援医療に係る利用者負担について考えるとき、その大前提として、障害者の所得保障の確立が図られるべきでありました。民主党は、この理念のために障害者がより安定した生活を送ることができるように、ほんのわずかでも安心が確保できるように誠心誠意努力してまいりました。
 厚生労働委員会の審議においては、地方公聴会実施の代替措置として、障害者八団体など多くの団体を招き、参考人質疑を行いました。各団体の意見は、私たち民主党が指摘する問題とそのままに重なり合うものであり、これらの問題点を解消することなしに法案を成立させてほしくないというものでありました。
 障害者から寄せられる声、民主党が本会議質問や委員会質疑で指摘した問題点をもとにして、与党に対し、障害者施策の体系と法律案の修正を求めました。
 第一に、法案の目的に、障害者基本法の目的に明記されている「自立及び社会参加」を加えること。
 新たな障害福祉サービス等にかかわる利用者負担について考えるとき、その大前提として、障害者の所得保障の確立等が必須条件となるので、利用者に負担を求めるに当たって、障害当事者のみの収入に着目することとした上で、障害者の所得保障制度の確立及び低所得者の負担軽減策の具体的な拡充が実現するまでの間、定率負担の導入を凍結すること。
 地域生活支援事業における移動支援事業は据え置きつつ、個別給付の重度訪問介護、行動援護の対象を拡大し、サービス受給者の範囲を実質的に現状水準に維持することにより障害者の社会参加を保障すること。
 公費負担医療を自立支援医療とする本年十月からの実施は凍結し、改めて医療を必要とする者の範囲、自己負担のあり方を検討すること。
 国及び都道府県の障害福祉サービス費にかかわる費用負担については、障害程度区分の基準サービスに該当しない非定型・長時間サービス利用者の場合でも義務的経費の負担対象とすること。
 障害程度別にグループホーム、ケアホームへの入居の振り分けは行わないこと。また、グループホームにおけるホームヘルパーの利用を可能とするなど、重度障害者の入居可能なサービス水準を確保すること。
 障害程度区分の認定、支給要否決定等を行うに当たり、障害者等または保護者の求めがある場合には、その意見を聴取することを義務づけること。
 発達障害、難病等の者に対する本法の適用について、障害者等の福祉に関する他の法律に定める障害者の範囲の見直しとあわせて速やかに検討し、必要な措置を講ずること。
 障害者の虐待防止にかかわる制度、障害を理由とする差別禁止にかかわる制度、成年後見制度その他障害者の権利擁護のための制度について、速やかに検討し、必要な措置を講ずること。
 いずれも障害者施策の体系と法律案の骨格に踏み込むものではありますが、障害当事者の声を受けとめようとするなら、避けて通れない重要な項目ばかりでございます。
 しかし、与党からの回答は極めて冷たいものでございました。与党には、障害者の生活実態を考慮し、定率負担や自立支援医療などについて、当面の実施を凍結する等の決意が一切見られませんでした。何のために障害者八団体の意見を聞いたのでしょうか。参考人質疑を行ったという実績、体裁を整えたかったからではないかと疑わざるを得ません。
 さらに先般、与党から四項目の修正案が提出されました。これらの修正案は、民主党の修正要求に対する回答そのままのいずれも形式的で不十分なものであり、本法案の本質を改正するには至っておりませんでした。
 加えて、委員会質疑の最終盤では、厚生労働省から提出されていた資料の中で、自立支援医療における更生医療、育成医療の利用件数と社会保障審議会に出されていた数値とは大きく違うこと、精神通院医療の課税世帯割合の数値においても裏づけデータのない数値であることが判明いたしました。このようなでたらめな数字を提供した厚生労働省、この数字をもとに答申した社会保障審議会は、いずれも大きな責任を負っていることを指摘しなければなりません。(拍手)
 本法律案の主人公は一体だれでしょうか。厚生労働省でもなければ財務省でもありません。ましてや、自民党でもなければ公明党でもありません。障害を持ちながらでも地域で一生懸命生きている障害者そのものではありませんか。障害者に光をではなく、障害者を社会の光に、この心を忘れてはなりません。(拍手)
 議員各位に申し上げます。立法府としての責任と権限において、大局的な見地から、障害者の命と尊厳、家族の生活を真剣に見詰め直し、今こそ障害福祉制度の普遍化と安定を築くときではありませんか。(拍手)
 民主党は、障害当事者の立場に立ったとき、本法律案を認めることはできません。仮に成立したとしても、当面この法律案に基づいて、政省令事項が定められていく過程においても、当事者の視点に立った監視をしつつ議論してまいりますことをお誓いし、修正案並びに本法案への反対の私の討論を終わります。(拍手)

発言情報

speech_id: 116205254X03520050715_018

発言者: 園田康博

speaker_id: 31593

日付: 2005-07-15

院: 衆議院

会議名: 本会議