田英夫の発言 (憲法調査会)
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○田英夫君 統治システムを考える前に、この日本国憲法の根本的な性格といいましょうか、を考えてみたいと思います。
日本国憲法は、単に日本という国の在り方を規定しているだけではなくて、その成立の過程の中で人類の未来を考えるという性格を持っているということです。つまり、あの敗戦の体験の中で、特に広島、長崎の悲惨な、悲惨極まる体験の中で、多くの日本人が二度と再び戦争をしてはならないと感じたその原点がこの憲法の性格を決めていると思います。つまり、二度と再び戦争をしないという決意をどうしたら実現できるのか。
それは、当時の首相であった幣原喜重郎さんの言葉で明らかでありますが、戦争をしないためにはどうしたらいいか、それは武器を持たないことだ、しかし非武装などと言ったら狂気のさたと言われるかもしれない、しかしよくよく考えれば非武装と人間が殺し合う戦争とどちらが狂気のさただろうかと、こう述懐をしておられますが、本当に今、世界の中で、自分の国を考えるだけでなくて、人類という問題を考えて、もしこのまま核兵器が存在をするこの世界で戦争をし続けていくならば人類は消滅してしまうのではないかと、そういう危機感を持った私ども日本が作ったのが現在の憲法だと思います。
それは必然的に、自ら日本に、日本という国に一つの責任を課している。それは、今なお戦争をしている世界に向かって、戦争をなくすことを提唱し、そしてそれを実行に移さしていくという、そうした責任を持っていると思います。日本という国を本当に豊かで平和なものとして運営をしていくと同時に、世界を本当に平和な戦争のない世界にしていくというその責任をも持っていると。このことを考えないと、一つの統治システムということを取ってみても、今の状態では到底世界のことなどを考えられるような体制にないと。
今、小泉総理が国会に臨んで何をやろうとしておられるのか。それは、単に日本の問題だけではなくて、世界の問題をもやる指導者でなければならないという、そういう自覚が果たしておありになるだろうかということを心配します。
世界の平和を本当に守っていくためには、あのイラク戦争で多くの人々が、世界の人々が指摘したように、核兵器、生物化学兵器という大量破壊兵器の問題、これに対して、最近、日本がその廃絶のために何の役割をやったでしょうか。そういう役割を果たせる体制に日本の統治システムはなっているだろうか、このことを考えなけりゃいけないんじゃないでしょうか。
直接的に日本がこうした憲法を作る原因になった核兵器というもの、これを一つ取ってみても、日本が最近この数十年の間に、世界に向かって核兵器をなくそうじゃないかという具体的な提案をし、行動をしたことがあったでしょうか。それがなければ、この日本国憲法を持つ日本の統治システムが円滑にうまく行われているとは言えない。それどころか、国内の統治でさえ、今、行き先不明のような状態にある。
核兵器をなくすには、今、世界の動きの中で、不平等なこの条約、そして口では核兵器をなくすと言いながら、むしろ核を拡大しているアメリカを中心とする核保有国の態度をこのまま放置したら、本当に人類が消滅するような核兵器が依然として持ち続けられると。こういう状態をどうするかを考えることが日本の統治の中の大きな部分じゃないでしょうか。このことをまず申し上げておきたいと思います。
そして具体的には、日本を中心にして、ほんのわずかな、地球全体を考えればほんのわずかな地域でしかない北東アジアに核のない世界を作るということから始めたらいいんじゃないでしょうか。それは、南北朝鮮とモンゴルと、たった四つの国ですが、その四つの国には核兵器がないと、いわゆる非核地帯だという条約をどうして結ぼうとしないんでしょうか。これは決して難しいことではない。
今、北朝鮮の核保有が問題になっています。この問題は、緊急に北朝鮮に意思を翻してもらわなければならない。しかし、彼らはわずか十数年前、一九九二年に、お互いにもっと対立、現在よりはもっと対立していた南北が核廃絶という合意をしておる、南北の間で。そういう経験を持っている国と国なんですよ。日本は非核三原則があります。モンゴルは一九九二年に自ら非核国家であると宣言をしている。それを一九九八年には国連総会で承認をしてもらっている。この四つの国は、いずれも核を持たないという意思を表示したことがある共通点があります。それを四つ結び付けて、そこを非核地帯とすることによって世界に大きな衝撃を与えるでしょう。
南半球は既に全陸地が非核地帯になっていますよ。それはだれがやったんですか。日本がやったんじゃない、彼らが自分の手でやった。メキシコが中心になって中南米非核地帯条約を作り、あるいはニュージーランドや南の島々の国で南太平洋非核地帯条約を作った。ASEANも作った。アフリカも作った。
北半球にはまだないんですよ。これが日本が持つべき役割を果たしていない証拠の一つですよ。せめて、この北東アジアに非核地帯を作ることの中心的な役割を小泉さんは果たすべきじゃないですか。
あと、統治システムの具体的な問題について後に発言をさせていただきたいと思います。
以上です。