舛添要一の発言 (憲法調査会)

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○舛添要一君 皆さん方から様々な議論をいただきましたけれども、私は、一、二論点を申し上げたいと思うんです。
 一つは、いわゆる制度論的に見た観点と現実の運用ということでございます。
 例えば日本の内閣総理大臣というのは、例えば大統領制の大統領よりも弱いのか強いのか。一見弱いようにありますけれども、極めてこれは強力な権限を持っていますし、現実に今の小泉内閣を見ても分かるように、相当強力な内閣としての権限を持っているので、運用の側面においては違ったことが出てくる。
 それで、例えば我が参議院ですけれども、建前上はというか、それは首相の指名、予算、外交、これは憲法上衆議院優越ということになっています。しかし、現実に衆議院と参議院がどっちが強いんですかという話になったときに、今の状況、各政党の議席の配分を含めてのそういうことから見ますと、私は、今の参議院は極めて強い。例えば自民党の中の力関係で見たときに、郵政の民営化ということを考えたときに、参議院がノーと言えば止まってしまうわけですから、これを例えば憲法が想定していたかどうかと。
 そういうことは現実の運用と制度の話は非常に違ってきますので、憲法でどこまで定めるかということなんですけれども、私は、余り細かく定めない、非常にシンプルであっていいし、運用の幅があって、最終的には日本国民のためにいい政治ができればいいわけですから、そういう観点から、先ほど共産党の同僚がおっしゃった、内閣の現実の機能については私は若干異論がございます。
 それから二番目、これは岡田委員からもあった話なんですけれども、実を言うと、最終的にこの国の形を憲法ということを考えるときどうするのかと。幕末、明治維新の帝国主義の時代に、明治維新国家ができたときにはどうしても中央集権でやらないとほかのアジア諸国のように植民地化されると。そういうことがありましたから、強力な中央集権国家を形成さしたわけですけれども、例えば今、地方の時代と言う。で、そのベクトルを逆方向に、地方分権ということに持っていったときに、今の中央と地方の在り方をどうするのか。
 知事さんが偉過ぎて困るということを先ほど岡田委員はおっしゃったんですけれども、実はその偉過ぎるというか、そういうことの一つのその制度上のもとはどこにあるかというと、これは首長さんが直接選挙制で選ばれるからであります。そして今、国会議員で成功しなかった野党の、成功しなかったと言ったら失礼ですけれども、野心を遂げられなかった方々が、地方の知事さんになられたり、政令指定都市の市長さんになられたりして大変権限を振るわれて、まあ個人的な野心も満足されているかもしれません。しかし、そうすると、日本の中央政府、つまりこの国会で決まったことと地方の政治との方向がずれてくる。それをどういうふうに調整するんだろうかという非常に大きな問題がございます。
 で、最終的にこの国の形をどうするのか。もし地方分権という形で明治国家と逆のベクトルにやるならば、少なくとも今のその都道府県、市町村という制度では問題があるなと。そうすると、道州制を導入するのかどうなのか。実を言うと、この統治システムを考えるときに、やっぱり中央と地方の関係というのを相当厳しく見ていかないといけないというふうに思います。
 例えば、私が長く滞在していましたフランスは、国会議員と市長さんとか、いろんな兼職ができる。じゃ、なぜ兼職するんですかと。国会議員が例えば何とか市の市長さんをやっていると。それは、中央と地方のパイプを上手につなぐための一つの知恵だと。ある意味で中央集権を進める形になるわけですけれども、しかし、そういう中で、州という制度を新しく入れることによってかなり州というレベルでの地方分権が進んでいっている。で、我が国も、今のこの憲法の範囲を超えて、この国全体の統治システム、中央、地方を含めてどうするのかということを極めて慎重に考えないといけないと思います。
 で、当たり前のことですけれども、この国会は、二院制であって、議院内閣制であります。そうすると必ず、非常にポピュリズム的な観点から、内閣総理大臣というのは我々が直接選んでいないと。直接選べないで、国会議員が、間接選挙で選ばれたような人の言うことを聞けるかというような暴論が片一方で出てきます。
 ですから、その意味で、直接選ばれた市町村長さん、知事さんが、レジティマシーという正統性の観点からは、ポピュリズム的に言うと非常に高くなってきている。こういうものの調整をどうするのか。アメリカのように、国政も地方の制度も完全なこの大統領制的な直接選挙制的な取り方をやると整合性が保たれますけれども、今言ったように、いろんな意味でこの戦後六十年間行われてきた統治のシステムというのはもう一遍根本的に見直す必要があるなと、そういう感想を抱いております。
 以上です。

発言情報

speech_id: 116214184X00220050209_026

発言者: 舛添要一

speaker_id: 6496

日付: 2005-02-09

院: 参議院

会議名: 憲法調査会