浅野勝人の発言 (憲法調査会)
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○浅野勝人君 私は、地方自治について見解を述べさせていただきます。
地方自治は、国民主権、平和主義、基本的人権と並ぶ重要な権利ですが、それにしては、現行憲法はたった四条。しかも、簡単な規定で、いささか扱いが軽いと存じます。この機会に地方分権を一層推進し、地域住民が自主的に自らの課題を解決していく社会を築く地方自治を確立する必要があると考えます。
九十二条の地方自治の本旨とは何かと。住民自治と団体自治を意味していることを憲法に書き込んだ方がいいと思います。つまり、地域の行政は地域住民の意思に基づいて行い、地方自治体は、国の下部機関や出先機関ではない独立した団体として自らの行政事務を処理することをはっきりさせるべきだと考えます。
第二に、地方自治体は基礎自治体と広域自治体で構成される二層制の保障を明記しておく必要があります。市町村の基礎自治体と都道府県の広域自治体の存在がはっきりしておれば、仮に道州制に移行したとしても、広域自治体に当てはまります。
それから三つ目に、行政事務の分担に関する補完性の原理が採用されていないのは、この憲法の欠陥です。
地方自治の事務の第一次的な責任は基礎自治体が負い、広域自治体は基礎自治体だけでは処理できない広域的な事務を担当する、そのどちらにも処理できない事務は国が行うという行政事務の分担を明示する補完性の原理は、ヨーロッパの地方憲章を始め、各国で今憲法に導入されている原則であることは御承知のとおりであります。
それから、九十三条の地方自治体の議会の議員と長は直接選挙で選ぶ今の規定はこれでいいと思いますけれども、首長に関しては、直接選挙だけではなくて議会による間接選挙、つまり議院内閣制型の行政主体とするか、シティーマネジャー制度を採用することができるといったような選択の余地を残した方がいいか、これは検討の要があると存じます。
それから、この憲法、現行憲法にない重要な点ですけれども、いや九十四条の条例の制定権など自治体の権能は今のまま、現行のままでいいんですが、ここで欠けている重要な点は、これに加えて新たに、地方自治体が課税する権限と地方自治体同士の間の財政格差を是正、補てんする財政調整措置を国に義務付けておく必要があると思います。つまり、財源を保障する課税自主権と国の責任を明確にしておくことが欠かせないと存じます。課税自主権を設けても課税する相手がいないような財政力の乏しい地方というのはあるわけでありますから、そこでの自治体間の是正、補てん、財政調整措置を国の責任でやるということも併せて地方自治体の課税自主権と併記する、しておくことは重要だと思います。
それからもう一つ、地方自治体の権限が国又は別の地方自治体から侵害を受けた場合の救済ですけれども、やはりこれは地方自治体の権限を保障する意味で、係争処理機関への訴え、訴訟権をきちんと新設しておく必要があるように思います。先ほど司法の分野で指摘のあった憲法裁判所の設置について、仮に憲法裁判所が憲法改正の中で設置されるとすれば、当然この係争処理機関は憲法裁判所にゆだねるのが適当と存じます。
それから、特別法の住民投票を決めた九十五条は丸ごと削除していいと存じます。これは要りません。この規定の実例を調べてみましたら、昭和二十四年から昭和二十六年にかけて都市建設法として制定された十八都市、十五件あっただけです。それから半世紀余り全く機能しておりません。したがって、この規定は意味がないと、削除してよろしいのではないかと存じます。
最後に、私は、個人的にはお勧め品でないので判断しかねますけれども、住民投票の是非、仮に必要だとしたらどんな規定にすべきか、この扱いについて更に多くの方々の英知を賜りたいと存じます。
以上です。