佐藤道夫の発言 (憲法調査会)

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○佐藤道夫君 それでは、私から意見を述べさせていただきます。
 実は、私、憲法改正の問題を取り上げたいと思っております。この話は三、四回前の当調査会でも申し述べたので、皆さん方お聞き及びのことと思います。しかし、事柄の重要性にかんがみまして、再度この調査会において憲法改正の問題を取り上げたいと思います。
 実は、皆さん方御案内のとおり、明治憲法は一度も改正されていない。昭和憲法、これもまた改正はなされていない。日本人というのは憲法を大切にする気持ちは本当に深いものがありますけれども、それは大切な、本当に神様以上の大切なものだということで神棚に上げて飾っておいて、その改正を議論することすら甚だ不敬なことではないのかと、こんな考えもあるようでありましてね。明治憲法は天皇から下賜されたということで、これを論議するようなことは許され難いというふうな思いがあったことも事実ですが、その後ろ姿が昭和憲法にも引き継がれまして、昭和憲法という言葉があるかどうか分かりませんけれども、今の憲法にも引き継がれまして、なぜか憲法改正ということを議論する気は日本人にはなさそうであります。でき上がったものを、ああ有り難い有り難いといって神棚に飾ってそっとしておくと。そして、憲法の枠を乗り越えて現実の政治が動き出すと、まあそれはしようがないと、何しろ政府がやっていることだと、それに任しておけと、こんな感じで日本人というのは憲法と接してきたのではないかと、こういう皮肉も言いたくなるわけであります。
 具体的な話をいたしますと、これもこの前したことでありますけれども、憲法九条、これははっきり九条が、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」とはっきり書いておるわけであります。だれが見ても自衛隊は、何だあれは、もう軍隊そのものではないのかと、こう言いますと、政府は、いや、そうではないと、あれは、何かよく分からないけれども軍隊以外のものだと、こういうことを言う。かつて、あれをつくるときは保安隊とか警察予備隊とかそういう言葉があって、これは軍隊じゃないんですよという言い方もしておりました。それからだんだんだんだん深みにはまっていって、ついには今の自衛隊ができ上がって、あれはどこから見ても立派な軍隊です。憲法九条が書いている軍隊そのものと、こう言ってもいい。
 ここはもはや二十一世紀ですから、この期に及んで、あれは軍隊じゃないとか何だかんだという子供だましみたいな議論をするのはやめまして、本当にこの国に自衛隊が必要だと、こう言うならば、それは軍隊として頑張ってもらいたいと。
 今の自衛隊も、まだこそこそと陰で動き回っていると。政府は、イラクに派遣したと、そして戦争地域にはやらないとかなんとか言っている。本当に日本の武士なのかと、この連中はと、そういうことも言いたくなるわけでありまして、命を懸けて頑張っている、これは他国の軍隊ですけれども、日本の自衛隊はどういうわけかこそこそと陰に隠れて、動き回るわけでもない、怖いことには遭遇したくないと。情けないとしか言いようがない。
 本当にこの日本という国に軍隊が、自衛隊が必要だというのであれば、はっきりと憲法を改正して、あなた方の本当に双肩にこの国の運命が懸かっている、頑張ってくださいよと言って励ますのが当たり前のことではないのかと、こう思うんですけれども、どうもそういうことはなさそうであります。いつまで行っても、何しろ憲法があるからこれ以上のことはできないと、こう逃げ道をつくっておくつもりなのかどうか分かりません。
 はっきりと九条を改正して、そして必要ならば軍隊として活躍をしてもらうと。いろんな制限を設けること、それは構いません、何を設けてもね。ただ、自衛隊の基本は軍隊であると、なぜこういうことをお互い素直に議論をしないのかと、こういう気がして仕方がないわけであります。
 余り、憲法があるから憲法があるからと、こういうことを言い出したら切りがないんですよね。じゃ、やめておけと、しかし自衛隊は残すぞと。残された自衛隊は一体何だと。さあ、よく分からないけれども、軍隊じゃないことは間違いありませんと。そんなもの一体この世に存在するのかと。
 本当に必要ならば、自衛隊員の誇りということも考えて、軍隊として頑張ってほしいと、それが世界平和のために、日本国の安泰のために、そういうことなんだから君たちに本当に期待しているということにしてもよろしいのではないかと、こういう感じがしておるわけであります。
 この国に軍隊をつくり上げる、そしてその動きを、我々としても十分にその動きを監視すると、そういうことが大切なのではないかと、こう思います。
 しかし、中にはそんなもの要らぬと、軍隊なんか要らぬと、こういう貴重な考えがあることも私、認めるわけであります。じゃ、どうするかと。それは、最後に決めるのは我々じゃなくて国民ですからね。国民投票にかけてどういう形のものがいいのかということを議論してもらうと、それが民主主義としてのあるべき姿そのものだろうと、こう思います。
 よってもって、まずもって九条を改正して、必要があらば軍隊をきちっと設けて、その行動はいろんな意味で法律をつくって規制すると。それは当たり前のことですから、そういうことをやっていくと。それだけのことだという思いを国民も深く深く心に留めてほしいと、こう思うわけであります。
 それから、これもこの前言いましたけども、政教分離について今の憲法ははっきりと「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」と、こう書いている。ところが、現実には、何かよく分かりませんけども、これは、こういうことはいいんだといって宗教団体が国政に参加して、連立を組んで内閣に入って何かいろんなことを言っている。あれは立派に政治権力の行使ですから、こういうことがもし必要があるとするならば、憲法を改正して、これから我々ははっきりと内閣に入って政治権力を行使していく、よろしいですなと、こういうことを言うべきではないのかと。こそこそと入り込んでいて、国民の知らぬうちに大臣になったりいろんなことやっているんでしょう。大臣になって政治権力を行使していないなんていう、そんな人はいないと思います。あれもはっきり言いまして宗教上の問題。
 宗教団体が内閣に参加する、これも国のために必要だとはっきりそれをうたい上げて、そして選挙戦を戦い抜く、あるいは憲法改正を打って出て議論して最後の結論を出すと、これもやっていただきたい。それが民主主義だということを申し伝えておきたいと思います。
 最後は、今も話が出ておりましたけども、私学助成の問題なんですね。
 これも私、不思議で不思議でしようがないんですね。私学助成が許されますよという議論があるのは百も承知しております。しかし、それなら憲法の規定を改正してからじゃないだろうかと。憲法ははっきりと私学助成、公金、公の金は私学教育に関する事業を営む者に支出してはならないと、こう書いておりますね。何のことはない、それだけの話です。
 ところが、今まで四千五百億余りの私学助成金が支出されておって、これはまたどこの大学教授が考えるのか知らぬが、聞いていても恥ずかしくなるような議論を展開して、それでこれは合憲なんだよと、そういうことを平気で言っておって、四千五百億円ももらえば私も私学助成は合憲だと、それぐらいのことをどうしても言いたくなりますけどもね。しかし、明白に違憲だということを言っておいて、もらうものはちゃんともらって、これは皆さん方も研究されたと思いますけど、私学助成が合憲だという考えがあるんですよね。この日本という国に私学なんかないことになっちゃうんですよね。全部これは国が押さえて教育をさせていると、だから憲法もこれは何ら問題がないと、こういうばかげた議論を東大の教授が平気でやっておるわけですよ。一体おまえはだれだとどなり付けたくもなるわけですけどもね。
 まあしかし、もう二十一世紀、新しい時代、憲法を我々みんなのものにしようというところですから、おかしいと思えばそれで議論をして、そしてどうしてもやっぱり必要だと、憲法上認めてもらいたいと、こう言えば、それに相応したような条項に改正していけばいいだけのことなんですね。それが基本だろうと思います。そういうことをやめちゃいまして、そしてポケットに金が入れば何でもいいやと、あとは政府が適当なこと言ってまとめてくれるだろうと、うん、それでいこう、それでいこうということでもう六十年やってきたわけですが、先ほども言いましたけども、もはや二十一世紀ですから、こういう新しい時代に相応した憲法の規定、憲法改正を実現するということを国民に理解してもらうと。そのために我々もこれからも頑張っていくべきではないのかと、こういう気がいたします。
 以上、あれこれ勝手なことを申し上げましたので、あしからず御了解いただければと思います。

発言情報

speech_id: 116214184X00320050225_010

発言者: 佐藤道夫

speaker_id: 654

日付: 2005-02-25

院: 参議院

会議名: 憲法調査会