田英夫の発言 (憲法調査会)

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○田英夫君 この憲法調査会は、およそ五年間、各党が意見をぶつけ合ってきたわけですけれども、実は実態は、各党とはいっても党の中でまだ最終的な意見がまとまっていないという実態でありますから、今ここでもし憲法を改めようではないかという、そういう方向に進んでいくと、先ほど田名部さんが言われたように、とても国民の皆さんは国民投票というようなことにこたえられる状況にあるだろうかと私は思います。もっともっと、まず衆参両院の国会としての議論、国民の代表である国会議員が議論をするということ、同時に、国民の皆さんとともに憲法を考えるという、そういう過程が必要ではないかと思います。
 憲法改正、憲法改正という声がありますけれども、私は急ぐべきではないとつくづく思っていますが、たまたま今朝の新聞の投書欄見ておりましたら、新聞も投書の憲法特集をやっておりまして、東京新聞ですけれども、先日、新聞に出てびっくりした先ほど岡田さんが言われた自民党の前文に対しての試案といいますか、そのことについて触れておりまして、若い学生、女性の学生ですけれども、自民党新憲法起草委員会の前文についてのまとまりが出て新聞に報じられているけれども、日本の歴史、伝統、文化に関する記述を盛り込むということだと。
 しかし、一九九〇年の大相撲初場所で、当時の森山官房長官が優勝力士へ内閣総理大臣杯を渡そうとしたところが、日本相撲協会は、伝統、文化を守っていかなければならないとして、女性である森山文部大臣の登壇を、土俵に上がることを許さなかったと。女性の差別だという投書がありました。たちまち反応があることはまた一つの成果なのかもしれませんけれども。
 なるほどなと思って読んだんですが、その正に伝統、文化、歴史、そういうものを尊重することをいけないとは言いませんけれども、それが行き過ぎて、最近の意見の中には国家主義といいますか復古主義というか、そうした傾向が顕著に見られる。それをやはり若い女性ですけれども、きちんととらえているということの方が私にとっては同意するものが多かったのでありますが。
 そうした風潮が日本の中で強まっている一方で、隣国で、しかも最近は韓流という、ヨン様などという言葉で非常に友好が進んでいると思われていた韓国で、盧武鉉大統領、この人も日本に対して決して敵対的な人ではありませんけれども、三月一日、三・一抗日事件の記念日の集会で演説をし、また国会でも同じような演説をしているんですけれども、日本に対して、向こうからするとそれが日本らしさなのかもしれませんが、過去の過った歴史を全く反省をしないと。日韓基本条約が結ばれているわけですけれども、それをさえも批判をするという発言を大統領自身がしております。つまり、過去の過ちを日本は反省をしていない、ドイツと比べると非常に違うということを具体的に言っていますね。ドイツとフランスの関係、それと日本と我々の関係というような発言をしています。
 私どもは、こうしたことも心して、本当に憲法を考えるときには重要な問題として改めて考えなければいけないと、そう思いました。
 何か昔の国家主義的なものを、私のような年齢の者は戦前、戦中の空気がよみがえるのではないかというおそれを持ちます。
 あるいは天皇の問題について、元首にすべきだという御意見が憲法改正の中で言われているようであります。全く反対ですね。今の憲法の天皇象徴ということは、非常に当時の空気を反映し、苦悩の中で考えたことだと思います。最近、皇太子殿下の御発言でいろいろ問題がありますけれども、これも無関係ではないと思います。本当に天皇の問題も、憲法の問題の中で過ちをしないように。
 私は、昭和天皇があの戦争のために非常な苦悩をされたことを知っています。そして、昭和天皇の一生を通じて一番幸せだったのは、あの戦争直後、人間天皇と言われて全国を、国民の間を、本当に国民と接しながら会話をし、回られたとき、あのときが一番昭和天皇の幸せなときだったんじゃないかなと思っています。
 そうしたことも何か復古調の中で同時に取り上げられてくると問題だと思います。
 もう一つ、憲法改正という声の中で、国際貢献ということを重視する声があります。決して、それはもちろん当然でありまして、大切なことでありますが、それが過つと、過った方向に行くととんでもないことになる。自衛隊が武装して外国に行くことが国際貢献であるかのごときことになってはならない。
 最近の自衛隊の派遣で対照的なのは、一つはイラクへの派遣。武装をした自衛隊が戦争状態にあるイラクに行っているというこの現状を私どもが許すわけにいかない。
 一方で、その武装を解いた自衛隊が、服が同じなのは残念でありますが、あのインドネシアを中心とする津波の被害のところに行って協力をしているという姿は、もっと服装も変えて、自衛隊ではなくて国際協力隊という集団を新たにつくって、自衛隊の中からかなりの部分をその方へ移して国際協力隊という新しい組織をつくってはどうかと思います。
 そして、陸上自衛隊が当然中心になりますし、現に今、陸上自衛隊は災害救助についての訓練をしておりますし、機材も持っています。十分に活動できる。それから、国際的に協力するわけですから、輸送手段として海上自衛隊の輸送艦、これも武装を解いて非武装にして、また航空自衛隊の輸送機もその組織に移すと。輸送機らしい、軍隊調でない色にしてそれも移すと。そうしたことを考えるのがむしろ国際協力じゃないでしょうか。
 同時に、今、JICAに属している青年海外協力隊。私はこれに、出発するときにはしばしば送りに行きましたけれども、二十歳前後の若い男女が一人で言葉の通じない国へ行くのは本当に私はすばらしいことだと思いましたし、農業技術とか看護婦さんとか、そうした技術をひっ提げていく。これをもっと大規模にして、この自衛隊から転身した国際協力隊と一緒になって、一つの組織にして、新しい政府の組織として国際協力庁というような名前にして活動すると。
 国際協力を考えるならば、そうした日本らしい、平和憲法を持つ日本らしい国際協力を考えるべきではないかと考えています。
 終わります。

発言情報

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発言者: 田英夫

speaker_id: 16046

日付: 2005-03-02

院: 参議院

会議名: 憲法調査会