山口那津男の発言 (憲法調査会)
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○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
まず、この二院制について報告をいただきました小委員長そして委員会の皆様に、御努力に感謝を申し上げたいと思います。おおむねここで述べられたことについては私も賛同をいたすものであります。その上で、この二院制が必要であるという立場に立って、その根拠、理由を若干補足をさせていただきたいと思います。
言うまでもなく、この議会制民主主義に求められる国会の機能というものは大きく二つあります。民意の集約、合意の形成というものと民意の反映というものであります。とりわけ今日、この民意の集約にスピード感が求められる、また民意の反映については多様なものをくみ上げる、こういう要請からいたしましたときに、一院制ではこの二つの機能というものを充足することは不可能であります。むしろ相反すると言っても過言ではありません。二院制でその二つの機能というものを分担をする、補完をし合うということが必ず必要でありまして、私はこの二院制を維持すべきであると思うわけであります。
また、一院制と比較した場合に、二院制には制度のコストというものも掛かります。先進国、そして民主主義の成熟した国を自負する我が国としては、是非ともこの二院制を取るべきであるということも言えるわけであります。
そこで、現行の選挙制度を見た場合に、衆議院は小選挙区制度を中心といたしております。ここでは多様な民意の反映というものはむしろ犠牲にされているわけでありまして、現実にほとんどの小選挙区で投票率が六〇%前後、得票率は過半に至りません。そして絶対得票率となると三〇%を下回ることが確実でありまして、実態としてはもう二割も達していないというのが現実であります。そうすると、八割以上の民意が犠牲にされていると。
こういう現実の下で以前の中選挙区制度と比較いたしますと、この中選挙区制度は定数、全当選者の総得票数で見た場合に、その得票率はほとんど過半数に達しております。また、絶対得票率という目で見ても過半数に達している場合もかなり多かったわけであります。そうした意味で、今の衆議院の小選挙区制度というものは、民意の反映という意味ではかなりゆがめられた制度であると言わざるを得ません。
そこで、その補完機能あるいは役割分担ということを考えたときに、参議院は多様な民意を吸収する、吸い上げると、この役割を重視すべきでありまして、そうした選挙制度の設計が必然となります。まあどの制度がいいかというものはいろんな御議論があるところでありますが、選挙制度を維持する、選挙によって選ぶということが一致した意見でありまして、私はそれに、更にその候補者個人を選ぶという要素をやはり重視すべきであると思っております。そうした上で、この多様な民意の制度の設計というものを、広範な議論を重ねるべきであると思います。
さらに、私は今行政監視委員会に所属をいたしておりまして、そこで実感することを申し上げたいと思います。
参議院は独自の役割・機能というものを重視すべきであるという点に立った場合に、行政を監視するという役割というのが極めて重要であると思います。一方で、決算の立場からこれを監視、チェックするという役割もあるわけであります。衆議院ではこの決算と行政監視というものが一つの委員会で構成されているわけでありますが、参議院ではこれを別の委員会としてやっているところに独自性と妙味があると思っております。とりわけ決算と比較した場合には、お金、税金の使い方という視点を離れて政策がつくられている、実行されていると、こういう部分もあるわけでありまして、正にそこに、行政監視委員会といいますか、行政監視の役割が独自性を持つ部分でありまして、決算とは異なった意味で政策を評価する、そして行政をチェック、監視するという役割が一つ挙げられます。
それともう一つは、実際の委員会の運営の中で感じることでありますが、どの省庁の大臣もお呼びして議論ができるということであります。これが一種の常任委員会になりますと、省庁と連動しておりますので特定省庁中心の議論というふうになりまして、縦割りの弊というものを打ち破ることができません。行政監視委員会は正に横断的な、省庁横断的な議論をすることによって政策全体の統合性あるいはその評価というものが十全にできるという役割が期待されているわけであります。もっともっとこの点の役割を発揮すべきであるということが期待されると思います。
それともう一つは、苦情請願という制度があります。しかし、この制度、認められながら、いまだに一度も採択されたことはありません。これは、行政の事前チェックの役割というものが予算の審議あるいは立法の過程でなされるとすれば、事後的なチェックというものがこの決算及び行政監視には期待されるわけであります。そして、その事後的なもの、行政のチェックの中で違法な部分というものは司法に任されているわけでありますが、しかしまた、その行政の運用が適切でない、妥当性を欠くという場合もあるわけであります。
そして、基本的人権の一つとして請願権というものが認められておりまして、これは参政権的な機能も営む個人の権利であります。この権利を参議院の場で生かそうとするのが正にこの苦情請願の制度でありまして、国民個人あるいは法人が、それぞれの立場で行政の当不当あるいは適正不適正、これに対する請願ができるという仕組みでありまして、この機能をもっと活用していいのではないかと思っております。
その最後のよりどころとして、違法には至らずとも行政の運用面でまずい点がある、それを国民が国会に、立法府に直接訴えることができる、これがその苦情請願という制度でありまして、これは是非ともその活用を期待したいと思っております。
これら行政監視委員会に課せられた役割で参議院の独自性を発揮すべきところは十分にあるわけでありまして、決算とも違ったこの役割というものをこれから更に大きく活用する。その意味で、私も新たな使命感を感じているところであります。
ほかにも議論すれば尽きないところでありますが、今感じるところを述べさしていただきました。
以上で終わります。