吉川春子の発言 (憲法調査会二院制と参議院の在り方に関する小委員会)
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○吉川春子君 日本共産党の吉川春子です。
今日は、参議院における政党と議員の関係、党議拘束、参議院選挙の在り方及び再度強調したい点について発言をいたします。
国権の最高機関、唯一の立法機関である参議院は、第四十三条で、衆議院と同様に、全国を代表する選挙された議員でこれを組織するとしています。すなわち、直接公選制を取る我が国の参議院は、世界の両院制の中で民主的な第二院という優れた特徴を有しております。参議院を間接選挙や推薦制で選ぼうとする考え方は、民主的な二院制の基礎を崩すものであり、賛成できません。
我が国の両院制と参議院の意義と役割は、異なった時期と異なった選挙制度で選挙される議員を持つ衆参両院で同じ議案を二回審議するということを通じて、国民の意思をより正確に、より積極的に国会に反映できるというところにあります。参議院は解散がなく長期的な展望を持った審議が可能であり、一院だけの審議による不十分さや欠陥が補われ、誤りがあれば正すことができます。
現実に参議院の審議で、法案などの問題点が明らかにされ、それによって世論が喚起され、参議院段階の審議で衆議院と異なった議決をしたこともありました。結果として同じ議決であっても、その間の二つの院の議論を通じて法案の問題点をより深め、国会の議事録は政府の法執行時の重要な指針となります。さらに、政令や省令の制定にも影響を与えます。それぞれの院の附帯決議は、法律に盛り込めなかった立法政策上の課題も示すことになるわけです。
次に、政党政治、党議拘束問題ですが、参議院の独自性を強調する立場から、四十三条に参議院は政党に属さない議員で構成する旨のただし書を加えてはどうかとか、両院をまたいだ党議拘束は衆議院の結論がそのまま参議院の結論になる点で参議院の存在価値を喪失させるなど、党議拘束の緩和や解除、あるいは参議院脱政党化の主張が盛んに行われています。
これらの主張は参議院の在り方を良識の府としてその姿をかつての緑風会に求める古くて新しいものですが、私は賛成できません。良識は、当然衆議院にも求められなければならないものです。
緑風会について言えば、その当初は若干の文化人、知識人を含み、多少の独自活動もあったことは事実です。しかし、その構成は高級官僚、実業界の出身者が圧倒的に多数を占め、サンフランシスコ条約、日米安保条約や、法律についても公労法、スト規制法、破防法、教育委員会任命制法、自衛隊法など、与野党が激しく対立した一連の法律については是々非々というよりも与党の立場に立ってきました。時には政府・与党の暴走をチェックしたこともありましたが、全体として保守支配を安定的に機能させる役割を果たすなどがその本質的特徴だったと言えるからです。
参議院の脱政党化についてですけれども、代議制の発達は政党の発達と不可分であり、議会制民主主義は政党政治を軸として発展してきました。政党はそれぞれの政治目的に基づく自由な結社として組織され、国民の意思や利益を集約し、それを実現していくため、公権力の構成と行使に参加しているわけです。現行憲法が議会制民主主義に立って結社の自由、直接普通選挙を保障している以上、国会を中心とした政治が政党政治として発展していくことは必然です。
政党に対する判断を示した最高裁判所、昭和四十五年六月二十四日の判例は、憲法は政党について規定するところがなく、これに特別の地位を与えてはいないのであるが、憲法の定める議会制民主主義は政党を無視しては到底その円滑な運用を期待することはできないのであるから、憲法は、政党の存在を当然に予定しているものと言うべきであり、政党は議会制民主主義を支える不可欠な要素なのである云々としています。
この部分は肯定できるんですけれども、これは同時に、有名な会社の政党に対する政治資金の寄附を認めたものですから、この部分については私は肯定できません。ついでながら申し添えておきます。
現在、参議院議員を選挙する比例代表選挙は政党を選ぶ選挙です。非拘束名簿方式については異議がありますが、基本的には比例代表制は優れた選挙です。こうした制度の下で党議拘束の解除をすることは、政党として様々な公約を掲げて選挙に参加すること自体が矛盾になるのではないでしょうか。また、政党も議員も有権者に示した政策、公約の実現に力を尽くすことが当然の責任です。議案に対しては政党として責任ある態度を表明すべきだと考えておりまして、脱政党化という方向には私は消極的な見解を持っています。
参議院の調査会ですけれども、参議院が衆議院から送られてきた法案に賛否を表明するだけの存在でないことは前回、当委員会で申し上げました。その一例が、参議院に二十年ほど前から設けられている、国会法五十四条の二に規定されている調査会です。
この調査会制度は、八六年五月、国会法の一部及び参議院規則の一部が改正され、参議院に国政の基本的事項に関し、長期的かつ総合的な調査を行うものとして設置されました。これまでに延べ九つの調査会が設置され、それぞれ調査報告書を出しています。
主な成果は、参議院企画調整室作成のパンフレットによると次のようなものです。三年間にわたる調査の集大成として、国民生活に関する調査会は、平成七年六月に高齢化社会対策基本法を提出、平成七年十一月に成立しました。これは調査会が初めて提出し、成立させた法律です。
さらに、共生社会に関する調査会では、平成十三年四月に配偶者からの暴力防止及び被害者の保護に関する法律、いわゆるDV法を提出し、同月成立しました。その後、DV法は、平成十六年三月に同調査会より再度提出され、改正され、同年五月に成立しました。また、平成元年六月の本会議において、外交・総合安全保障に関する調査会の調査を受け、ODAに関する決議、平成十三年六月の本会議においては、国民生活・経済に関する調査会の少子化対策推進に関する決議が行われています。さらに、平成十六年六月の本会議で、国民生活・経済に関する調査会のユニバーサル社会の形成促進に関する決議が行われました。また、行財政機構及び行政監察に関する調査会では、平成九年六月の中間報告において行政監視のための常任委員会設置を提案し、平成十年一月、百四十二国会から行政監視委員会が設置されました。私も今参加しております。
こうした実績は貴重なものであり、参議院の調査会の活動を一層発展させるためにスタッフの充実が必要です。
また、選挙制度の在り方についてですけれども、第一に参議院の定数の問題です。
行政改革や労働者のリストラなどを口実に、国会議員が率先して身を切るべきとの議論があり、本調査会でも、参議院の定数の大幅な削減、百名ぐらいでよいという発言もありました。
しかし、私は、衆参を問わず、このような議員定数の削減には同意できません。なぜなら、国会議員は主権者である国民の意見を国政に反映させるパイプ役だからです。このパイプを細くし、国民の多様な声を国会に届きにくくすることは主権在民の基本理念に反するものです。しかも、参議院の議員数は、公選制を採用している諸外国の第二院と比較して人口に対する議員比率から見て多過ぎるということはありません。
また、憲法制定当時、参議院議員選挙法要綱の審議をした臨時法制調査会は、その定数を衆議院の定数の三分の二内外とするとの答申を行いました。その過程で、当初参議院の定数を三百にしたという経緯もあります。
もし、国会に関連した問題で真剣に行革を考えるならば、憲法の規定する思想、良心の自由に反するおそれがあるばかりか、昨今も報道されているように、政治を腐敗させることにもつながりかねない政党助成制度をこそ廃止すべきものだと考えております。実際、毎年の政党助成金の金額は国会議員四百人分の経費に匹敵いたします。
最後に、参議院が果たした女性の地位向上ですが、参議院は女性の地位向上、人権問題にも積極的に取り組んできました。政策決定の場への女性の進出は国連の一貫した方針で、女性国会議員の比率はIPUで毎年公表されています。三割から四割台を占めているヨーロッパ、北欧などに比べて日本はかなり後進国です。参議院は現在二百四十二名中三十三名、一三・六%、衆議院は四百七十八名中三十三名、六・九%を占めているのみです。
しかし、こうした中でも、九八年、参議院創設五十周年として女性国会を開催し、女性の政治参加の世論を喚起しました。
また、DV法は自民、民主、公明、共産、社民、無所属の議員が提案しましたけれども、それぞれプロジェクトチームを設けて一年近くにわたって二十数回の議論を行い、NGOや政府、各省との協議を行い、その際の議論が法施行の重要な手引になっています。児童買春・ポルノ禁止法の研究は、衆参両院男女議員で行いましたが、提案は参議院でした。議員立法の従軍慰安婦法案は、内閣委員会でこれまで二度の審議を行い、韓国、インドネシア、オランダ等、私が訪問した国からも、支援団体や政府、国会からも一日も早い成立が求められています。
最後に、国民の努力によって根付いてきた参議院、そして二院制を、民主主義の発展のために更に活用、改革していくことが必要であり、そのためにも参議院制度改革協議会で過去かなりの提言を行ってきたものを実行に移していくことを各党合意の下行うべきことを申し上げまして、発言を終わります。