北岡秀二の発言 (文教科学委員会)
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○北岡秀二君 去る一月十一日から十三日までの三日間、広島県及び山口県に委員派遣が行われましたので、その調査の概要を御報告申し上げます。
派遣委員は、亀井委員長、有村理事、鈴木理事、河合委員、後藤委員、下田委員、那谷屋委員、山下委員、小林委員、そして私、北岡でございます。
一日目は、まず、広島県教育委員会から県の教育に対する取組や今後の課題について説明を受けました。
広島県は、平成十年に当時の文部省より、教育内容や学校管理運営に関し是正指導を受けました。教育委員会としては、法令遵守、教育の中立性と公開性の確保を柱として、是正の徹底を図るとともに、学校評価の実施、校長公募制の導入、中高一貫校の開設など、教育改革にも積極的に取り組んでおります。今後とも、家庭や地域と連携しながら、県、市町村、学校現場が一体となって県民に信頼される公教育の確立に取り組んでいきたいとの方針が示されました。
さらに今回は、広島県及び広島市のPTA関係者と懇談いたしました。教員の資質向上、校長権限の拡充、基礎基本を重視した学力の向上、教科書や副読本をめぐる課題、是正指導の影響など、PTAの皆さんが学校教育や教育行政について日ごろ感じておられる問題についてお話を伺い、率直な意見交換を行うことができました。
次に、広島県立湯来南高等学校を訪問いたしました。
同校は、広島市近郊の山間部にある佐伯郡湯来町にあり、各学年二学級、全校生徒百五十名の小規模校であります。これまで学習面でつまずいた生徒や不登校などの問題を抱えた生徒も多くおられたということですが、学校、家庭、地域の御努力により多くの改善が見られるようになったとの説明を受けました。
全日制普通科校ですが、二年次からは三コース制とし、生徒の個性や興味、関心に応じた教育課程を設定するとともに、習熟度別授業やインターンシップの実施など、指導上の様々な工夫がなされております。
また、地域の行事への参加、地元の保育所や介護施設での実習、小中学校や高齢者グループとの交流活動など、地域と連携した教育活動が積極的に行われ、我々が訪問した際にも、家庭クラブの活動に地元の高齢者グループ花草会の皆さんが加わり湯来町特産のコンニャク料理を一緒に作るなど、高校生との交流の様子をじかに拝見することができました。広島県においても小規模校の統廃合が検討されておりますが、地域社会とも積極的にかかわり、地元から必要とされる学校でありたいとの学校の意欲が感じられました。
クラブ活動の見学では、家庭クラブのほかに、生徒の希望で結成されたダンス部の皆さんからストリートダンスの実演を披露していただきました。日ごろ地元の祭りや行事にも参加し、地域の方々からも喜ばれているとのことですが、生き生きと楽しそうな表情で演じてくださったのが大変印象的でありました。
その他、英国のタスカー・ミルワード校と姉妹校提携し、生徒が相互訪問するなどの国際交流を実施しており、地元湯来町からも財政面での支援がなされているとのことであります。
二日目は、まず、世界遺産に登録されている国宝厳島神社を視察いたしました。
厳島神社は、昨年九月の台風十八号の猛威により大きな被害を受け、その修復作業が行われているところであります。関係者の御努力により現在は拝観ができるようにはなっておりますが、至る所に積まれた修復のための資材、高波が押し寄せた跡が残る回廊の柱、はがれてしまった屋根のひわだ、倒壊した国宝左楽房などを見て、被害の大きさを実感いたしました。神社、宮島町関係者からも説明を受けましたが、人類の宝とも言える厳島神社の早急な修復とそのための財政支援が喫緊の課題であることを改めて認識いたしました。
次に、山口県岩国市において市内の文化財を視察いたしました。
国指定の名勝錦帯橋は、約五十年ぶりとなる本格的な架け替え工事が行われ、総事業費約二十六億円を掛け、昨年三月に完成しております。架け替えに必要な用材調達についての御苦労、精巧な建築技法を駆使した地元建築業者の御努力、その技術を継承していくための記録作成などについて説明を受けました。岩国市関係者からは、世界的にも類を見ない美しい姿の木造橋であり、是非世界遺産に登録してもらいたい旨が述べられました。その他、国の重要文化財である旧目加田家住宅や昨年新たに重要文化財に指定された吉香神社、国の天然記念物であるシロヘビの観覧施設を視察し、保存のための御労苦を伺いました。
続いて、山口県庁を訪問し、山口県及び県教育委員会から県の教育に対する取組について説明を受けました。
山口県は近代日本を築き上げた有為な人材を多数輩出した教育県であり、そうした防長教育の伝統を大切にしながら新たな教育ニーズに対応するため、次のような重点プロジェクトを実施しております。幼稚園から大学まで各学校種間を円滑に移行できるよう、小学校教員の幼稚園や保育所への派遣、小学校六年での教科担任制実施や中高一貫教育等を推進しております。また、きめ細かな指導を行うため、今年度からは中学校全校を三十五人学級とし、その学級増に対応するため、県、市町村が協力しながら非常勤講師の採用を増やすなど山口県独自の積極的な取組も実施されており、その効果も徐々に現れてきているとのことであります。
三日目は、まず、萩市立明倫小学校を訪問いたしました。
同校は藩校明倫館の跡にあり、学校施設内には貴重な文化財や歴史的な資料が残されております。明倫館の学風や吉田松陰の教育精神を受け継いだ明倫教育を実践し、各学級の朝の会においては吉田松陰の「ことば」の朗唱が行われております。そのような歴史と伝統を引き継ぎながらも、現在の教育ニーズを満たすため、学力向上フロンティアスクールとして算数科での少人数指導に取り組んでおります。習熟度別や課題別にコースを設定し、その内容について事前に児童と保護者に説明した上で、希望するコースで指導を行っております。児童の学習意欲や理解度なども増しているとのことでございました。授業の様子も拝見しましたが、保護者がボランティアで先生方に協力して指導の補助に当たるなど、積極的に学校教育に参加しておられました。
また、当校では、言語障害児通級指導教室である「ことばの教室」も設けております。「ことばの教室」では当校のみならず他校の通常学級在籍の言語障害児に対しても、障害に応じた指導、いわゆる通級指導を行っております。さらに、就学前の幼児をも対象に教育相談に応ずるなど、萩市及び阿武郡の言語障害児教育を推進するためのセンター的役割を担っており、指導に当たる先生方の熱意や御努力の一端をかいま見ることができました。
続いて、萩市内において萩博物館、重要伝統的建造物群保存地区である堀内地区、国の史跡である松下村塾などを視察いたしました。
萩博物館は、萩開府四百年に当たる昨年、萩市のまちじゅう博物館構想の中核施設として開館されました。重要伝統的建造物群保存地区にあるため、建物の配置や外観など周囲と違和感のないよう配慮されております。館の運営は地元NPOに委託しております。館内には、萩の自然、歴史、文化等に関する資料が萩学なんでもBOXに収集、分類されており、それらを小中学校や公民館に貸し出すなど、学校教育、社会教育にも役立てるユニークで有意義な工夫がなされております。また、国の史跡である萩城跡に復元された北の総門、松陰神社や国の史跡である松下村塾なども視察し、関係者の文化財保護に対する強い熱意と責任感に心打たれるとともに、萩市民が歴史や文化を大切にする気持ちを共有しておられることも感じ取ることができました。
次に、宇部市の山口大学工学部キャンパスにおいて、宇部地域知的クラスター創成事業や知的財産本部の取組、産学公連携等について説明を受けました。
宇部地域知的クラスター創成事業は、山口大学が開発した高輝度白色発光ダイオードなどの光技術を活用し、医学部と工学部の連携の下、県内外の十九企業の参加も得て、高性能医療機器等を研究開発し、次世代医療機器産業の創出を図ろうとするものであります。実際に高輝度白色発光ダイオードを使用した医療機器等を拝見しましたが、医療水準の向上とともに、新たな産業、雇用を創出する効果も期待されております。
また、山口大学知的財産本部は、特許の相談、出願など研究成果の権利化支援事業を行うとともに、山口TLOと連携し、企業等への技術移転などを通して知的財産が社会で広く活用されるための事業を行っております。これらの組織は同じ建物の中にあり、密接な連携を図りながら、地域での共同研究、技術相談、ベンチャー企業育成等の支援を行うなど、大学と地域産業等との橋渡し役として積極的に活動しております。
また、山口大学では、来年度からは専門職大学院として技術経営研究科を設置し、地域産業を担っていく技術経営の専門家の育成にも取り組むこととしております。社会人が学びやすいように夜間と土曜日に開講することとしておりますが、大学からは社会人に対する奨学制度の充実の要望がございました。
以上で報告を終わりますが、今回の調査に当たり、関係の皆様方に大変お世話になりましたことに対し、この場をおかりして厚く御礼申し上げます。
以上でございます。