中曽根弘文の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○中曽根弘文君 ただいま議題となりました平成十七年度予算三案につきまして、予算委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
平成十七年度予算の内容につきましては、既に谷垣財務大臣の財政演説において説明されておりますので、これを省略させていただきます。
平成十七年度予算三案は、去る一月二十一日、国会に提出され、二月一日、谷垣財務大臣より趣旨説明を聴取した後、衆議院からの送付を待って、三月三日より審査に入りました。
以来、本日まで審査を行ってまいりましたが、この間、三月十日には税制・景気及び年金・社会保障に関する集中審議を、十七日には外交防衛等に関する集中審議を、二十二日には証券・金融・規制緩和に関する集中審議を、さらに本日午前には政治・政治資金に関する集中審議を、二十二日には参考人を招致し、証券・金融・規制緩和に関する質疑を行い、また三月十五日には公聴会を、さらに十八日及び二十二日午前には各委員会に審査を委嘱するとともに、予備審査中の二月十六日から十八日にかけて静岡県、愛知県に委員を派遣して現地調査を行うなど本日に至るまで終始濃密かつ熱心な審査を行ってまいりました。
以下、質疑のうち若干につき、その要旨を御報告申し上げます。
まず、経済・景気動向について、「最近景気は踊り場にあると言われているが、踊り場はいつまで続くのか。現在三期連続のマイナス成長が続いているが、来年度の政府経済見通し一・六%は達成できるのか。また、景気は地域間でかなりのばらつきが見られるが今後どのように対応していくのか」との質疑があり、これに対し、竹中経済財政政策担当大臣より、「昨今景気は一時的に弱い動きが出ており、まだら模様の状況にあるが、今年の半ばから踊り場を脱する動きが出てくることを期待している。現在日本の潜在的な成長力は一・五%から二%の間にあると思われ、海外要因等の条件が整えば来年度一・六%程度の成長は可能と考えている。地域間のばらつきについては、IT関連部門、輸送機械等好調な民間部門を抱える東海地域の景気は良いものの、北海道、四国等は厳しい状況にある。現在政府の中に総理を本部長とする地域再生本部を設置し、地域再生に向けて全省を挙げて取り組んでいるところである」旨の答弁がありました。
次に、財政、税制について、「政府は今年の「改革と展望」でプライマリーバランスの黒字化を一年前倒しして二〇一二年度としているが、本当に達成できるのか。消費税を引き上げるのではなく、今回定率減税を縮減しようとする理由は何か。定率減税をやめれば景気に悪影響が出るのではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「「改革と展望」のプライマリーバランスの試算については、改革も順調に進み、景気も良くなるなど様々な前提を置いているものである。財政バランスの回復は歳出の抑制か、増税か、景気回復による自然増収かの三つしかないが、試算では歳出を抑制するとともに、景気の回復で税収が伸びることを前提にしており、一つの目標として頑張らなければならないと考えている。定率減税の縮減については、財政の現状を考えると今は消費税を引き上げる環境にないと考えており、どこに増収策を求めるか、厳しい財政状況の中で財政全体のことを考えて一つの選択として今回定率減税の縮減を行うこととした。これからの高齢社会のことを総合的に勘案し、定率減税の縮減の増収分は基礎年金の国庫負担二分の一への引上げ財源に充てることになっており、負担と給付の全体のバランスを考えてとった措置である。景気に与える影響は、消費税を引き上げるより少ないと考えている。定率減税は一気に廃止するのではなく、景気の現状を見ながら、まず半分に縮減しようとするものであるが、定率減税導入当時著しく停滞していた景気も、今日、不良債権処理や産業再生が進み、また企業の有利子負債も相当低くなるなど、経済環境は大きく変わってきていると認識している」旨の答弁がありました。
次に、年金及び社会保障制度改革について、「総理が社会保障制度改革について、三党合意に賛成し、年金の一元化を望ましいと考える理由は何か。また、公的年金一元化のためには納税者番号制度の導入は不可避と思うがどうか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「社会保障制度は、これからの高齢社会の中で極めて大事なものであり、これを政争の具にせず、政権交代があっても維持発展できる持続可能な制度にしていくことが最も重要だと考え三党合意に賛成したものである。年金の一元化については、現在の年金制度は厚生労働省のみならず、各省に及ぶ複雑な制度で極めて分かりにくいものとなっている。現在は、人々がかつてに比べ職業を替えていく時代になり、年金制度は簡素で分かりやすいものが望ましいと考えている。納税者番号制度の導入については、現在様々な議論が行われており、まだ全体の姿が見えていない現状にあるが、できることなら納税者番号制は導入することが望ましいと考えている」旨の答弁がありました。
次に、郵政民営化問題について、「郵政事業や郵便貯金、簡易保険事業は国民の基礎的な生活保障手段であり、本質的に民営化となじまないと思うが、どこに接点を求めようとしているのか。また、郵貯と簡保で国債の約四分の一を保有しているが、民営化した場合、国債管理政策にどのような影響が及ぶと考えているのか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「郵政事業はユニバーサルサービスという非常に大きな公的役割を担っている。そのユニバーサルサービスを支えるために郵便局のネットワークがあり、我が国ではそこで金融の機能も担ってきたという大きな特徴があった。民営化した場合でも基本的にはこうしたユニバーサルサービスの義務は果たしてもらうが、その他のことについては、できる限り自由度を持ってやってもらう仕組みを考えている。現在、その基本的な考え方を示し、政府・与党内において真剣に協議を行っているところである。また、郵貯の国債保有については、民営化する場合には適切な移行期間を設けて対応することが必要であるが、国債市場への影響を考慮し、情報を開示するなど適切な資産運用を行うことが重要であると考えている。また、民営化後は、政府としてはマーケットと対話をしながら新商品の開発、保有者層の多様化を図るなど、適切な国債管理政策に努めてまいりたい」旨の答弁がありました。
次に、教育問題について、「今日学校教育が荒廃し、子供の学力低下が心配されているが、どのように認識しているか。また、最近家計の収入が子供の学力や生き方に影響を与えていると言われているが、どんな地域、家庭に生まれた子供でも生きる力を最大限に伸ばすための教育の機会が与えられるべきではないか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係大臣より、「近年学校教育において学習指導要領が改訂され、総合的な学習の時間が導入されるとともに、基本教科の授業時間が削減されてきた。学校の現場の声を聞くスクールミーティングを通じて子供たちの実情を分析しているが、授業時間を増やさない限り子供の学力向上はないと考えている。総合的な学習の時間等についても学校の先生の力量によるところが大きく、教師の質の向上が最も重要なことと認識している。こうした観点に立って、中教審においては一切のタブーをつくることなく議論していただきたいと考えている。教育の機会均等については、家計の収入の多寡にかかわらず教育を受けたい人にはすべて教育の機会が与えられなければならないと考えている。これからの日本に最も大事な人材の育成のために、自らの能力を向上させようとする意欲のある人々に対しては、政府が全省庁挙げて対応していかなければならないと認識している」旨の答弁がありました。
次に、三位一体改革について、「国から地方へ三兆円の税源移譲が行われることは戦後六十年の地方自治の歴史の中で画期的なことであるが、政府はこれをどのように評価しているか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係各大臣より、「三位一体の議論は、補助負担金の削減と税源移譲等について、四十七都道府県の知事会、市長会等、いわゆる地方六団体の代表全員が出席し、政府との間で八回にわたってかんかんがくがくの激しい議論を行い、まとめたものである。地方の意見を聞き議論を交換することは明治以来初めてのことで、ある程度の対立はやむを得ない面もあるが、今後もこうした調整を行っていく必要性を感じたところであり、おおむね評価してもらえるものと考えている」旨の答弁がありました。
最後に、福岡県西方沖の地震について、「福岡県西方沖で大きな地震が起きたが被害の状況はどうか。また、政府として今後どのように対応していくのか」との質疑があり、これに対し、小泉内閣総理大臣及び関係大臣より、「今回の地震の被害状況は、二十二日現在で、死者一名、負傷者六百七十五名、家屋の全壊十七戸、半壊百五十九戸、一部損壊二千百十五戸に上り、約二千名が避難所に避難している状況である。地震発生の当日中に災害救助法を発動したところであり、仮設住宅の要望があれば建設していきたいと考えている。今回の地震を見ても、地震はどこでも起こる可能性があり、日ごろの備えの大切さを実感したが、被災者への支援には政府を挙げて取り組んでいきたい」旨の答弁がありました。
質疑はこのほか、日米安全保障協議委員会と我が国の基本姿勢、国連安保理常任理事国入りへの我が国の決意、在日米軍再編問題、イラクの自衛隊活動状況、六か国協議と北朝鮮拉致問題への取組、中国残留孤児への生活保護、人権擁護法案の問題点、食料自給率の向上策、米国産牛肉輸入問題と食品の安全確保、学校の安全対策、地域づくりと住宅対策、少子化対策、男女共同参画社会の在り方、政治と政治資金、地球温暖化対策、マラッカ海峡海賊襲撃事件など、広範多岐にわたりましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
かくて、本日をもって質疑を終局し、討論に入りましたところ、民主党・新緑風会を代表して松下委員が反対、自由民主党及び公明党を代表して荒木理事が賛成、日本共産党を代表して大門委員が反対、社会民主党・護憲連合を代表して福島委員が反対の旨、それぞれ意見を述べられました。
討論を終局し、採決の結果、平成十七年度予算三案は賛成多数をもっていずれも原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
─────────────