白眞勲の発言 (本会議)
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○白眞勲君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
まず、本法律案とアメリカとの関係について質問いたします。
今年二月十九日に日米安全保障協議委員会、いわゆる2プラス2が開催されました。その共同声明の中に述べられた地域における共通の戦略目標では、日本の安全を確保し、アジア太平洋地域における平和と安全を強化すると書いてあります。なぜ、極東ではなくアジア太平洋地域という言葉を使ったのでしょうか。また、その範囲は一体どこまでを指し、安保条約における政府統一見解の極東との整合性が取れるのか。さらには、在日アメリカ海軍ホームページに範囲として掲載されていたディエゴガルシア基地は含まれるのでしょうか。外務大臣の御見解をお伺いいたします。
最近、政府から極東という言葉がなくなったような感じですが、もうこの言葉は使わないのでしょうか。併せてお答えください。
さらには、日米両国に影響を与える事態に対処する能力を維持することも共通の戦略目標となっていますが、集団的自衛権とのかかわりについても御説明ください。
この共同声明を読むと、もしかしたらアメリカのグローバル戦略の中に日本が組み込まれているのではないかという疑問が生じます。本法案もその一環ではないんでしょうか。
つまり、現在、日米でミサイル防衛に関して技術協力を行っておりますが、将来的には米国に対して発射される大陸間弾道弾クラスのミサイルに対処することも念頭に置いているのではないでしょうか。また、技術研究の結果として将来大陸間弾道弾に対処できる可能性はあるのですか。
今後、大陸間弾道弾をも対象にする段階が到来することについては、衆議院の安全保障委員会において、慶応大学専任講師の神保参考人がはっきりと指摘しております。この場合、集団的自衛権の行使に踏み込む必要があるのではないでしょうか。
以上の点につき、防衛庁長官、外務大臣、明確にお答えください。
次に、本法案は、防衛庁設置法、自衛隊法、防衛庁の職員の給与等に関する法律及び安全保障会議設置法、自衛隊員倫理法を一括して改正するものであります。このような重要な改正を丸ごと一括して提出することに対する衆議院での質問に対し、政府は、平成十七年予算に関連する統一的なものであるとし、さらに法案に盛られた政策が統一的なもので関連しているとの答弁でした。
しかしながら、その法律の数もさることながら、例えば防衛庁設置法では、統合幕僚長を新設することにより、従来の陸海空自衛隊の運用に関する指揮命令系統を根本から覆すような内容が含まれています。つまり、言葉では一部ですが、実際には全部を改正するような内容です。
さらに、自衛隊法では、弾道ミサイル等に対処するための整備を行うという全く新しい内容まで含まれております。このミサイル防衛システム構築のための予算規模だけでも数千億から兆単位の費用が掛かるわけで、その運用体制の審議だけでも相当な議論が必要なことは言うまでもありません。実際、衆議院でこの法案が通過した後、新聞には「運用穴だらけ」と書かれ、MD、ミサイル防衛で国民を守れるのかという疑問までわき起こっております。
政府は、これだけ重要な法案で、多額の予算を含む内容が統一的だという理由で片付けないでいただきたい。ほとんどの法律は、予算と内容面でそれぞれ何らかの関連性が出てくるのは当たり前であります。そのような論理なら、どんな法律も全部まとめて一くくり、本会議の質問も各省一回限りで十分という論理も可能となります。国家国民の生命、財産を守るといった基本的概念の下、広く議論を深め、国民の皆様の理解が必要であるこれらの法案に対し、一つ一つ丁寧に説明し審議をしてもらうという真摯な態度が必要であると思います。
また、これらを一括して一本の改正法案として提出するということは、例えば一部の改正については賛成であるがほかの部分には反対であるというような場合に、採決時に適切な意思表示ができなくなってしまうということになります。これは、言うなれば、行政権が立法府としての国会の審議や採決に事実上制限を加えてくること以外の何物でもありません。国会を軽視した全くけしからぬ話です。このような法案提出を今後行わないことを、官房長官、この場でお約束ください。
次に、防衛庁設置法の改正は制服組のトップクラスの運用を大きく変化させるものです。小さな会社の人事構成でも、変化があったときはいろいろ問題が生じることもあるものです。いわんや、自衛官だけでも二十五万人に及ぶ大組織のトップの人事構成の改変です。運用してみてから気付く問題も様々あろうことは、海外の軍隊の例から見ても明らかです。
ところが、この法律案では見直し規定が付いていない。逆にそのままでいて、この法律に縛られ、実際の運用において硬直化あるいは指揮命令系統の混乱が生じる可能性が出たらどうするおつもりか。潜水艦がとっくに行ってしまってから海上警備行動を出すようなことが二度とあってはならないと考えます。特に、今回の法律案は国民の生命に直接関連する事柄にもなりかねないだけに、やってみてうまくいかなければすぐ直すように見直し規定を設けるべきではないでしょうか。防衛庁長官、お答えください。
民主党では、昨年のマニフェストでミサイル防衛について、専守防衛の観点から否定はいたしておりません。そこで、まずシビリアンコントロールに関連して質問いたします。
防衛庁長官は、弾道ミサイルの破壊措置の特性として相手国の領域や人員を害することはあり得ないので事後の国会承認等の仕組みを設ける必要がないと話されましたが、実際そう断言できるのでしょうか。過去にアメリカのイージス艦がミサイルの誤射でイランの旅客機を撃墜してしまったという衝撃的な事件もあるのです。もちろん、今回のシステムは全く別かもしれませんが、だからといって一〇〇%誤射や事故の可能性を否定できるものではないと考えます。
そのような観点から、撃ったら間違えました、報告だけしておきますでは済まないのであります。その際の責任の所在を明らかにすることによって、しっかりとした運用ができるのではないでしょうか。防衛庁長官、そのような観点から国会承認等の仕組みを設けるべきと考えますが、いかがでしょうか。
さらに、今回、事態が急変した場合というのは、ミサイルに燃料が注入された場合等も想定されていますが、その動向を漏らさず把握できるのでしょうか。北朝鮮には地下基地も相当数あるようです。また、最近、北朝鮮では固体燃料のミサイルが開発されたとの情報もあります。つまり、いつでも発射可能な状態にあるということです。そもそも事態の急変とは、限られた時間のスパンではなく、いつでも起こり得るものなのです。今後、期間を区切った命令というのが有名無実化しないかとの懸念が生じます。以上の点につき、防衛庁長官、お答えください。
さらに、最近、北朝鮮に核弾頭搭載可能な巡航ミサイルの技術が流出し、これについて複数の政府・与党筋も認めたとの報道がありますが、事実関係を防衛庁長官にお伺いいたします。
また、自衛隊に巡航ミサイルに対処する能力はあるのか。それがない場合、対処するための方策についてもお答えください。
次に、もし仮に日本の防衛範囲を通過して他国にミサイルが向かっている場合、日本にそのミサイルを撃ち落とす能力があるにもかかわらず、ほうっておけるものなのでしょうか。発射されたミサイルが陸地に落下した場合、死傷者が出る可能性は極めて高くなります。他国の被害だからといって、それを見逃すことができるのでしょうか。例えば、ナイフを持った暴漢が自分の目の前で無防備の子供を刺そうとしたら、止めようとするのが人間として当たり前の行動です。それを、あの子は外人だからほうっておきますで済むのでしょうか。
私は集団的自衛権の行使には反対ですが、ミサイル防衛の場合、この概念とは全く違う考え方、すなわち、物騒なものは駄目といったいわゆる人間の安全保障のような新しい概念も念頭に置く必要性はないのか、これについて防衛庁長官のお考えをお聞かせください。
ペトリオットPAC3システムは、その守備範囲が数十キロと言われております。すなわち、日本全土をこのシステムで守ることは不可能です。今までの答弁では、ねらわれやすい箇所に配置するとのことですが、納税者の公平性という観点から、国会や国民にどのような説明責任を果たしていくのか、財務大臣、防衛庁長官、お答えください。
そもそも、二百発とも言われているノドンミサイルを二、三隻のイージス艦と三高射群のPAC3で防御できるのでしょうか。防衛庁長官、お答えください。
さらに、もし自治体で、その費用の一部を負担するので我々市民を守ってもらいたいとの要請があった場合、総務省ではどのように判断するのでしょうか。また、防衛庁ではその要請にどのようにこたえるつもりなのでしょうか。一般市民の避難等、政府と自治体の協力についてどのような方策を考えているのかも併せてお伺いいたします。
次に、先日、防衛庁長官はミサイルのアメリカとの共同開発について言及されました。この共同開発による日本の知的財産をどのように担保し、線引きをどのようにするのか、お聞かせください。国民の血税でもって開発するのですから、日本の知的財産を確保するのは当然であります。
また、開発されたシステムが日本以外の国に輸出される場合、アメリカとの売却益はどのように振り分けられるのか、また武器輸出三原則との関係はどうなのか、財務大臣、防衛庁長官、お答えください。
今回のミサイル防衛システムの導入はいわゆる随意契約となり、その値段については、F2戦闘機のときと同様、アメリカの言い値になってしまい、無制限に価格がつり上がる可能性があります。一体、将来どのぐらいの費用が掛かる予定なのですか。防衛庁長官、お答えください。
さらに、価格については、国民の皆様の血税を一滴も無駄にしないとの観点から、広く世界で行われているオフセット取引、つまり、こちらからの輸出品等とのバーター取引も視野に入れ、積極的に価格交渉すべきです。現に米国はオフセット取引を相当数行っており、法律に基づき、毎年、報告書も作成しております。日本では武器の輸出はできないものの、世界に冠たる日本の民生技術とのバーターも一案と考えます。オフセット取引の利用も含め、防衛庁長官、価格交渉についての意気込みをお聞かせください。
このような節約で、外国の文化財の修復や外国にある日本の美術品の修理に貢献するといった方策もこれからは必要かと思います。日本文化は、世界の様々な文化が融合し、その独特の文化が形成されたとも言えます。ところが、その源流の世界各国の遺跡が今、度重なる戦乱等で破壊あるいは放置されたままとなっております。私たち日本人は、今こそそのような世界各国の文化財に感謝の心で修復作業に貢献してみたらどうでしょうか。他国に対して「おかげさま」で「ありがとう」と言える気持ちこそが、現在の不安定な時代にミサイル防衛以上の効果があるのではないでしょうか。
幸い、現在、文化外交の推進に関する懇談会が開催されております。そこで、官房長官と外務大臣にお伺いしたいのですが、とかく省庁は縦割りと言われますが、この懇談会での有益な提言を実現すべく、各省庁協力して取り組むべきだと思いますが、御決意をお聞かせください。
最後に、一言申し上げます。
小泉総理は、映画「シャル・ウイ・ダンス」の男優、リチャード・ギアに似ていると言われています。特に最近は、クールビズでラフないでたちにより、その傾向が顕著になってきたと言う人もいます。
そうであるならば、官房長官、お答えいただきたい。今こそ、この映画の脚本のように、政権という電車からそろそろ途中下車されたらどうでしょうか。後のことはこの民主党にお任せください。総理は安心して、のんびり派閥争いのダンスでもしていただきたいと思います。私たちがしっかりとこの小泉内閣が散らかしていった諸問題を解決させていただくことをお誓い申し上げ、質問を終わります。
ありがとうございます。(拍手)
〔国務大臣大野功統君登壇、拍手〕