市川一朗の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○市川一朗君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵政民営化関連六法案について、総理大臣に質問いたします。
 総理が改革の本丸と位置付けているこの郵政民営化について、我が党は、正に昼夜を分かたず徹底的な議論を積み重ねてまいりました。そして、政府側との協議におきましても、国民的な視点に立って、郵便局設置の法的義務付けや金融のユニバーサルサービスの確保等について修正を求めるなど、粘り強い交渉を行ってまいりました。
 この間、我々が一貫して、国民のためになる郵政民営化であれば賛成するが、国民にとっての利益を生まない改革ならば断じて通すわけにはいかない、そう主張してまいりました。このことは総理もよく御存じのことと思います。
 いよいよ本日より本院において郵政改革法案の審議がスタートしました。真に国民の利益となる郵政改革の姿を模索しながら、衆議院で行われた修正の内容も含め、国民的な立場から率直に総理に伺ってまいりたいと思います。
 衆議院におきましては、五票差という僅差の可決となりました。世論調査においても、郵政民営化に関する賛否は拮抗しております。これは、民営化の是非もさることながら、総理始め政府側の説明が十分ではないということの表れでもあろうかと存じます。
 これから始まる本院の審議におきましても、様々な意見や質問が予想されますが、民営化への理解を得るためには、多くの議員の指摘を謙虚に受け止め、それへの対応を明らかにするなど、より一層誠実かつ真摯な答弁をしていただかなければなりません。このことをまず総理に強く要望しておきたいと思います。
 まず、民営化の基本論についてであります。
 郵政公社は、平成十五年四月の発足以来、着々と改革を進め、郵便、貯金、簡保のいわゆる郵政三事業とも二期連続の黒字を重ねるなど、実績を上げてまいりました。このような経緯から、中期経営目標の四年間を待たずに、何ゆえに民営化を急ぐのかという疑問はいまだ根強く残っております。また、公社を維持しつつ改革に取り組めばよいのではないのかという指摘もあります。
 まず、端的に質問します。なぜ今民営化が必要なのか、また公社では改革できないのか、御答弁をお願いしたいと思います。
 郵政公社は、三事業一体の効率的な経営により郵便ネットワークを維持し、国民に対して全国一律のサービスを提供してまいりました。これは国民的利益にもかなったものと私は考えております。
 この点、四つの会社に分社化することは、郵政三事業の体力を分散することになりかねず、現行と同水準のサービスを提供することは困難になるのではないかといったことが改革の主要な論点の一つであったわけであります。
 この点については、衆議院において、実質的に一体的経営を担保し得る株式持ち合い等の修正が行われました。一定の懸念は払拭されたと私は思います。
 しかし、こうした衆議院における修正に対し、小泉総理は、全く評価をしていないと取られるような発言をしているように思います。
 改めて、この修正も含めまして、今回の修正全般に対する総理の見解をお伺いしておきます。
 中央省庁改革基本法第三十三条一項六号の解釈について伺います。
 同法では、民営化等の見直しは行わないと明記されております。衆議院においてもこの問題が大きく取り上げられました。そこで、この点についての政府の見解を確認しておきたいと思います。
 次に、郵便局の設置基準についてであります。
 郵便局は百三十年間掛けて築き上げられてきた国民共有の財産であります。地域コミュニティーの拠点として、過疎地においては唯一の金融機関として、なくてはならない存在であります。民営化によって過疎地における赤字郵便局の統廃合を招くような事態は避けなければなりません。
 民営化後も、郵便局の設置に関しては、国民の利便性に万一にも支障が生じないよう十分配慮すべきだと考えますが、いかがですか。
 地域住民にとっては、郵便局が存続したとしても、郵貯、簡保といった金融サービスを引き続き受けることができなくなるのではないかとの懸念があります。郵便のユニバーサルサービスについては法的義務付けがなされておりますが、金融のユニバーサルサービスについては義務付けがありません。
 また、郵便局株式会社法案の原案では、第四条に業務の範囲が明記されていますが、貯金、保険の業務が盛り込まれておりませんでした。この点、衆議院において、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務として、銀行業、生命保険業の代理業務を例示的に明記するという修正が行われております。
 そこで、政府は、金融の事実上のユニバーサルサービスの維持のために万全の措置を講ずるとともに、過疎地の郵便局においても今までと変わらず金融サービスを提供すると理解してよろしいのか、明確な答弁を求めます。
 郵政民営化法案第九十八条、第百二十九条では、銀行業、生命保険業の免許付与の条件に、安定的な代理店の継続的な設置や生命保険募集人への継続的な業務の委託を義務付けております。つまり、郵貯銀行、郵便保険会社に対して、みなし免許の付与の際に、郵便局会社に安定的な代理店業務、保険募集業務の委託をすることを条件としていますから、二〇〇七年から二〇一七年までの移行期間中は、事実上金融のユニバーサルサービスを義務付けることになっております。
 移行期間後を心配する声もありますが、政府・与党の合意では、安定的な代理店契約について、その期間は、移行期間を超えて長期とすることも妨げないものとすると盛り込まれております。
 そこで、完全民営化後も地域において金融サービスをしっかりと展開していくために、移行期間後の長期にわたっても安定的な代理店契約を結ぶことができるのか、お伺いいたします。
 次に、地域・社会貢献基金について伺います。
 過疎地の郵便局においても、金融のユニバーサルサービスを、移行期間終了後は地域・社会貢献基金によって支えると伺っております。平成十五年度郵政事業における郵便局別損益試算によりますと、郵便局の直接かかわる費用を抽出した方式では、一万四千百五十五局が赤字であり、利益を出しているのは東京、関東、東海、南関東、近畿支社のみであります。
 このように、赤字の郵便局が都市部を除いて多数あるという現状からも、過疎地の金融サービスを確保するために積極的に同基金を活用すべきであるということを申し上げておきます。
 そのためには安定した十分な財源が必要です。原案の日本郵政株式会社法案第十三条では、一兆円に達するまで基金に積み立てなければならないと規定されておりましたが、衆議院において、二兆円まで増額を可能とする修正が行われました。
 この修正を受けていかに取り組むのか、お伺いします。あわせて、地域・社会貢献基金においては地域の声を十分に聞くべきだと考えますが、基金はどのようなプロセスを通じて交付されるのか、お尋ねいたします。
 金融のユニバーサルサービスを担保するためには、もう一つの柱として、縦及び横の株式持ち合いによる三事業の経営の一体性の確保が必要となります。郵政民営化法案第六十二条においては、持ち株会社が、移行期間中に郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の全部を段階的に処分する義務を課しております。
 ただ、四月下旬の政府、与党間において、連続保有を妨げないとの合意が交わされております。衆議院においては、この合意を明確に担保するために、完全民営化後も郵便貯金銀行、郵便保険会社の株主に与えられる議決権の連続的保有を法案に明記する修正が行われました。そこで、政府は本修正をどのように受け止めているのか、お伺いします。
 横の株式持ち合いについてもお尋ねいたします。
 郵政民営化法第百五条及び百三十四条は、総理大臣及び総務大臣が、移行期間中の銀行法及び保険業法等の特例規定を適用しなくとも、他の金融機関等の競争関係を阻害するおそれがないと認めるときは、その旨の決定をしなければならないとの規定が定められております。
 そこで、この決定後は郵便局会社による郵便貯金銀行等の株式取得といった横の株式の持ち合いが可能であるのか、政府の御見解をお伺いします。
 現状のままでは郵政が先細り傾向にあることも事実ですから、できるだけ早期に経営の自由度を拡大して維持、発展させていかねばならないことは私も理解しております。
 しかし、民間会社との間のイコールフッティングは大切なことですが、それを強調する余り、経営が厳しくなり事業を失敗したからといって税金を投入するわけにはまいりません。そもそも、民営化しても経営が成り立たなければ意味がないのであります。
 そこで、政府としては、民営化会社の経営の自由度の確保にいかに取り組むのか。また、預入限度額・保険金額に関する政令の改正に当たっては新会社の意見を十分に聞くべきだと考えますが、見解をお伺いいたします。
 郵政民営化により、国民の利便性が下がるのであれば改革をする意味はありません。民営化により、国民の利便性が高まるとともに、社会貢献サービスが維持されることも肝要であります。特に、社会的貢献サービスである第三種、第四種郵便はしっかりと堅持していくべきと考えますが、今後どのような取扱いとなるのか、お尋ねいたします。
 また、社会貢献サービスであるひまわりサービスや災害時における政策的料金免除等の政策は引き続き維持されるのでしょうか。
 民営委員会による三年ごとの総合的な見直しについて伺います。
 この見直しの対象には、郵便局の設置状況や基金の活用等による金融・保険サービスの提供状況が当然含まれていると思いますが、経営形態の在り方についてはどうなのか、お伺いします。
 小泉改革の総決算とも言うべき郵政民営化については、衆議院においては国鉄民営化法案の七十六時間を大きく上回る百時間以上の審議が行われました。しかし、野党が質疑時間の一部を閣僚の個人攻撃に当てたこともあり、審議時間を掛けたにしてはまだまだ議論をしなければならない論点が残されていると私は考えます。
 そこで、良識の府である参議院においては、国民のために法案の中身自体に関する議論を十分尽くすべきであると、このことを強く申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116215254X03120050713_004

発言者: 市川一朗

speaker_id: 15143

日付: 2005-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議