小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 伊藤議員に答弁いたします。
 郵政公社発足後の生田総裁の努力、公社の成果に対する評価についてのお尋ねでございます。
 日本郵政公社は、発足後、生田総裁の下、サービスの向上、事業の効率化を推進しており、その努力は高く評価されるべきものであると考えております。私は、郵政公社は民営化の一里塚と申し上げてまいりましたが、このような経営努力は今後の民営化にもプラスに働くものと考えております。
 他方、郵政公社の経営については、郵便物数や簡易生命保険の契約件数の減少への早急な対応など、取り組むべき課題もあるところであり、中期経営計画を見ても、今後の経営見通しは楽観が許されないところであります。
 また、現在の郵政事業を取り巻く環境は、金融の技術革新などにより民間の提供する金融サービスが広範かつ多様な展開を示していること、物流サービスが大きく変貌し、ドイツやオランダでは郵便会社による国際展開が進んでいることなど、劇的に変化しております。将来にわたって郵政事業の経営の健全性を確保し、これを更に発展していくためには、こうした郵政事業を取り巻く厳しい環境変化に適時適切に対応していくことが必要であります。
 しかしながら、公社形態のままでは、その公益性の目的による制約や国の強い関与があるため、柔軟かつ機動的な事業運営が困難であり、限界があると考えております。したがって、民間企業と対等な競争条件の下、経営の自由度を高めるため、速やかに郵政事業を民営化することが必要であります。
 また、民営化が最終的な姿に至るまでには相当年数の準備期間と移行期間が必要であること等を考慮すると、直ちに民営化に取り組む必要があります。このため、公社としての一期四年を経過した平成十九年四月から民営化を行うこととしております。
 郵政民営化についての国民の声についてでございますが、これまでの世論調査の傾向を見ると、郵政民営化に関心があると答えた方の割合は大体七割程度に達しており、国民の関心は必ずしも低いとは考えておりません。郵政民営化について賛成が反対を上回っているものが多数であると認識しております。これから始まる参議院での法案審議においても、政府として、これまでの議論の経過や衆議院での修正等を真摯に受け止め、法案を含め郵政民営化について丁寧に説明し、国民の御理解を得られるように誠実に対応してまいります。
 中央省庁改革が行われて間もなくその枠組みを変更する理由でございますが、郵政公社の経営については、中期経営計画を見ても、今後の経営見通しは楽観が許されないところであります。また、取り巻く環境は、金融や物流サービスの面で劇的に変化しております。将来にわたって事業の経営の健全性を確保していくためには、こうした環境変化に適時適切に対応していくことが必要であります。
 しかしながら、公社形態という現在の枠組みのままでは限界があると考えております。したがって、速やかに郵政事業を民営化することが必要でありますが、民営化が最終的な姿に至るまでには相当年数の準備期間と移行期間が必要であること等を考慮すると、直ちに民営化に取り組む必要があります。このため、公社としての一期四年を経過した平成十九年四月から民営化を行うこととしております。
 中央省庁改革基本法第三十三条第一項第六号を改正するべきではないかとお尋ねでございますが、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号は、郵政事業について国営の新たな公社を設立するために必要な措置を講ずる際の方針の一つとして民営化等の見直しは行わない旨を規定していますが、これは公社化までのことを規定しているものであって、公社化後の在り方を拘束するものではないというのが政府の見解であります。したがって、中央省庁等改革基本法第三十三条第一項第六号については、改正の必要はないものと考えております。
 資金の流れの改革でございますが、郵貯、簡保は政府保証付きで約三百四十兆円もの膨大な資金を家計から集めておりますが、公社のままでは、公的な資金として運用範囲は国債等の安全資産に限られることになります。また、こうした制約の下では、郵貯資金等が財投債の購入につながり、特殊法人等の活動のために活用されるという面は否定できません。こうしたことから、入口である郵貯、簡保が公社のままでは、出口の特殊法人、中間の財政投融資制度を改革しても資金の流れの構図は変わらないと思っております。
 したがって、郵政民営化を実現し、郵貯、簡保の資金を民間資金に転化することにより、民間企業としての経営判断に基づき、厳密な資産負債総合管理の下、資金調達が行われるとともに、段階的に貸出しや証券化商品への投資などへの運用が拡大し、民間へ資金が流れることになると思います。経済成長による資金需要の増加や住宅金融公庫の廃止等による公的金融の縮小等の中において、郵便貯金銀行、郵便保険会社が民間への資金供給の主体として貸出し市場で一定のシェアを確保する機会はあるものと考えております。
 このように、郵政民営化の実現により、政府系金融機関の見直し等出口の改革や財政健全化の改革と相まって、資金の流れが官から民へと転換し、国民の貯蓄が経済の成長、発展の源泉として有効に活用されるようになると考えております。
 民営化後の郵便局における物品販売業等の新規サービス提供についてでございますが、郵便局会社が具体的にどのような新規事業に進出するかはすぐれて経営判断にかかわる問題でありますが、郵便局ネットワークという経営資源はその活用の仕方によって様々な事業展開の可能性を秘めたものと考えております。郵便局会社は、こうした経営資源の特性を生かして、物品販売業等を含め様々な事業分野において、地域の様々な要望に応じて新規事業を展開する潜在力を持っていると私は認識しております。
 なお、郵政民営化準備室作成の採算性に関する試算では、郵便局会社については、様々な新規事業を実施することにより、二千億円以上の利益を既存の事業の利益に上積みする可能性があることが示されております。物品販売業についても、郵便局という拠点を活用した新規事業の可能性の一つとして試算したもので、集客と販売スペースの確保が見込まれる普通局千三百局で順次取扱いを拡大する前提で試算しております。
 この試算を作成するに当たっては、公社から協力を得た上で、民間市場の動向に準拠した前提を置き、必要に応じ専門家等の意見等も参考にしており、試算された利益の水準は十分に可能性のあるものと考えております。いずれにしても、この試算は、集客力のある郵便局という営業拠点を活用することによる郵便局会社全体としての潜在力を示したものと認識しております。
 郵政民営化による小さな政府の実現についてですが、民間にできることは民間にということが小泉内閣の推進する構造改革の大原則であり、郵政事業については、郵便、郵貯、簡保、いずれの分野も公務員でなければできない事業ではないと思っております。民間による経営が十分可能であると思っております。
 郵政民営化は、この考え方を踏まえ、巨大な官業を縮小し、約三十八万人もの公務員を縮減することにより、民間の活力が発揮される領域を拡大しようとするものであり、正に小さな政府の実現を目指すものであります。
 また、現在の公社制度の下では、業務範囲が限られる等経営の自由度が制限されている一方、法人税、固定資産税、預金保険料等が免除されており、言わば隠れた補助金が投入される形で運営されてきていること、郵貯、簡保については、民間金融機関の預金、保険と異なり政府保証が付されていること等の優遇措置が講じられており、民間企業と同一の競争条件となっていないと考えております。むしろ、民営化により、これらの税金や預金保険料などを負担することは、民間とイコールフッティングになるのみならず、国や地方の財政再建にも貢献するものと考えております。
 過疎地の郵便局設置についてでございますが、郵便局の設置については、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置するとの規定を踏まえ、過疎地は当然のこととして、都市部も含め、国民の利便性に支障が生じないよう十分な配慮がなされることが重要と考えております。
 このため、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務付け、さらに省令における具体的な設置基準として、特に過疎地について、法施行の際、現に存する郵便局ネットワークの水準を維持することを旨とすることを規定するとともに、移行期間中における代理店契約の義務付けや社会・地域貢献基金の設置など、きめ細やかな法制上の担保を行うこととしております。
 また、設置基準に基づく郵便局の設置状況について、法案においては、毎事業年度、郵便局会社からの事業報告書の提出等により、総務大臣が把握し、必要に応じ適切な措置を講ずるとともに、与党との合意も踏まえ、郵政民営化委員会による三年ごとの総合的な見直しの対象に必ずすることとしており、その結果、必要があれば、委員会は政府に意見を述べ、総務大臣において適切な措置を講じることが可能な仕組みとしているところであります。
 これらの措置により、必要な郵便局ネットワークはしっかりと維持されるものと考えております。
 不採算地域の郵便局から貯金・保険業務の撤退が起こるのではないかとのお尋ねでございます。
 郵便貯金銀行、郵便保険会社のビジネスモデルは、全国津々浦々をカバーする郵便局ネットワークを活用して、地域密着型の業務や生命保険募集等を展開するというものであります。このようなビジネスモデルに沿って、銀行業、生命保険業を営み、健全で安定的な業務運営を確保していくためには、郵便局ネットワークを活用した店舗網、保険募集体制を継続的に維持されていることが必要となると考えております。さらに、過疎地の金融サービスを確実かつ安定的に提供することを可能とするため、社会・地域貢献基金の仕組みも併せて講じているところであります。
 社会・地域貢献基金についてでございますが、社会・地域貢献基金は、過疎地の金融サービスなど、地域にとって必要の高いサービスを簡易郵便局を含む郵便局で確実かつ安定的に提供することを可能とするために設けるものであります。この基金については、将来過疎化が大幅に進行したとしても、過疎地の金融サービスなどの提供に必要な額を運用益によって賄えるようにするため、一兆円に達するまでの積立てを義務付けたところであります。さらに、衆議院における修正により、一兆円を超えて積立てを継続できることが法律の条文上明確化されたところであります。これにより、地域にとって必要性の高い金融サービスの提供を確保することができると考えております。
 また、政府としては、参議院における法案の審議において、基金の問題を含め、丁寧な答弁に努めるとともに、議院からの資料の請求があれば、真摯に対応してまいります。
 将来の郵便局数についてでございますが、郵便局の設置については、私は全部今のままだとは思っておりません。時代の変化に合わせて、減るところもあれば増えるところもあると思っております。ただ、先ほど申し上げたとおり、過疎地における郵便局がなくなるというようなことがないような規定も盛り込み、現在設置されているネットワークは資産として十分活用するという配慮を十分したところでございます。
 郵便局ネットワーク、貯金、保険のユニバーサルサービスの保証でございますが、貯金・保険サービスの提供については、まずサービスの提供拠点を確保することが重要であり、この点については、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置することを法律上義務付けるとともに、そのような形で設置される全国の郵便局で貯金・保険サービスを提供できるものとしております。
 次に、郵便貯金銀行、郵便保険会社に対する免許を付与するに当たり、最低限、移行期間をカバーする長期・安定的な代理店契約、保険募集委託契約があることを条件として付すことにより、郵便局会社への業務委託が長期にわたり担保され、郵便局における貯金・保険サービスの提供が確保されます。
 その後においても、郵便局ネットワークの重要性にかんがみ、全国一括の代理店契約、保険募集委託契約が継続され、基本的にはこれに基づき各郵便局において引き続き貯金・保険サービスが提供されます。
 さらに、仮に過疎地などの一部の郵便局で貯金、保険のサービスの提供が困難となる場合には、社会・地域貢献基金を活用してサービスの提供を確保することとしております。これらにより、郵便局における貯金、保険のサービスの提供が確保されるものと考えております。
 こうしたサービスの提供については、衆議院における修正において、郵便局会社が営むことができる業務のうち、銀行業及び生命保険業の代理業務について具体的に法律上明示することとされ、これにより郵便局会社の業務としての位置付けの明確化が図られたものと考えております。
 郵政民営化関連法案での衆議院の採決に当たり強権的な政治手法が反発を招いたのではないか、また、参議院の審議にどう臨むのかというお尋ねでございますが、郵政民営化は、今まで多くの政党が反対を唱え、私が総理になって初めて具体的な政治課題となった賛否両論ある難しい問題であります。こういうことから、反対者、欠席者が出たものと考えております。
 しかしながら、郵政民営化については、平成十三年、平成十五年の二度にわたる自由民主党総裁選において、私は、民営化の実現を主張し、総裁に選出されてまいりました。また、衆議院議員選挙、参議院議員選挙においても、郵政民営化を公約として主張し、政権を引き続き担当することについて国民の信任を受けてまいりました。したがって、郵政民営化関連法案の成立を図り、郵政民営化を実現することは私の責任であると考えております。
 これから始まる参議院での法案審議においても、政府として、これまでの議論の経過や衆議院の修正等を真摯に受け止め、法案を含め郵政民営化について丁寧に説明し、御理解を得られるよう誠実に対応してまいります。
 衆議院での法案修正についてでございますが、衆議院における修正案の内容については、郵政民営化の基本方針を変更することなく、法案審議等における種々の議論を踏まえ、国民の不安感や懸念を払拭するため、政府・与党合意や政府が法案審議において答弁させていただいた事項について、できるだけ法律に明記することにより、より強い担保を確保しようとしたものであると承知しております。
 この修正は、例えば、郵便局会社のできる業務に銀行業、生命保険業を法律に明示することによって、郵便局において引き続き金融サービスが提供されることを明確にするなど、国民の不安感や懸念の払拭に役立つものであると考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 116215254X03120050713_008

発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2005-07-13

院: 参議院

会議名: 本会議