平野達男の発言 (本会議)
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○平野達男君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりました法案について質問いたします。
まずその前に、総理の先ほど来の説明を聞いていますと、片っ方で四分社化をする、しかし、いろんな仕組みを用意して相互依存性を強める、あるいは事実上の一体経営を可能にする、そういう説明だったと思います。
これは、右でやろうとしていることと実際に左でやろうとしていることが全く矛盾しているんです。これが、この今回の法案の最も分かりづらくしている点であるということを冒頭申し上げておきます。
法案に関しての具体的な質問は委員会で徹底して行わせていただきます。ここでは、法案に懸ける総理の政治姿勢に重点を置いてお聞きいたします。
我が国は今、外交上も内政上もたくさんの課題に直面しております。景気回復は、あらゆる世論調査で国民が最も関心のある課題であります。外交面においては行き詰まりだけが目立っております。にもかかわらず、総理が最優先でがむしゃらに進めてきたのがこの郵政民営化法案であります。そして、その最後の関門がここ参議院であります。与野党問わず、徹底した審議をやろうではありませんか。
郵政民営化法案をめぐっては、これまでも総理と自民党内の反対派との争いにマスコミなどの好奇の目が集まり、やれ党内修正だ、解散だと誠に騒がしい限りでした。その結果が、自民党内からの反対が三十七人、欠席が十四人、そして五票差の衆議院通過であります。
総理は、御自身の党がここまで割れた原因はどこにあると考えているのでしょうか。先ほど難しい法案だからそうなったという答弁がありましたが、これは全く答弁になっておりません。法案にあるのか、総理のやり方に問題があるのか、あるいはほかにあるのか、丁寧な説明を求めます。
ちなみに、自民党では反対や欠席した議員に対していずれ処分を下すと伝えられております。よその党のことについてとやかく言うつもりはありません。しかし、処分を下すとなれば、自身の党からこれだけの反対、欠席者が出たことに対する総理のけじめこそが優先されるべきと思いますが、総理の見解を伺います。
一連の解散発言に関連してお聞きします。
総理は、さきの本会議で、解散は衆議院議員の身分を失わせる重い行為であることを認識しつつ、新たに民意を問うことの要否も考慮して内閣がその政治的責任において決すべきものだと答弁されております。
しかし、総理の専決事項であるはずの解散について、法案否決の場合は解散と自民党議員に半ば恫喝的な発言を繰り返したのは、内閣の一員でもない、ほかならず武部幹事長を始めとした自民党幹部であります。しかも、総理は衆議院の委員会答弁において、不成立なら解散するは私が言った言葉ではないと否定し、自民党幹部が雰囲気で私の口ぶりでそう感じたのでしょうと人ごとに答弁されております。
確認をいたします。総理は本当に自民党幹部に対し、法案否決の場合は解散と発言しなかったのでしょうか。むしろ、ここでは素直に発言した事実を認めるべきであります。もし、本当に言っていなかったとすれば、自民党幹部は大変な越権な行為をしたことになりませんか。ましてや解散を恫喝の材料として使ったとすれば、総理としてはゆゆしき問題としてとらえなければならないはずであります。こうした点をあいまいなままにしておくことは許されません。総理はこの件についてどのように対応するつもりなのか、きちんと説明をしていただきたい。
なお、解散は、内閣不信任が可決された場合、憲法六十九条に基づいて行われるのが一般的な解釈であります。憲法七条に基づく解散は濫用、恣意的になりやすいと思われますが、総理の見解を伺います。
衆議院での法案修正に関連してお聞きします。
自民党執行部は、郵政民営化法案の衆議院審議の最終盤において、このままでは内部から反対者が続出し、否決に追い込まれかねないとの危機感から法案の修正に踏み切りました。
修正のポイントは、完全民営化後も持ち株会社が郵貯銀行、郵便保険会社の株を連続的に保有できる規定を置く、郵便局網を引き継ぐ郵便局会社の地域住民の利便に資する業務の例示として銀行、保険の代理業務を明記する、民営化の進捗状況について三年ごとの検証を三年ごとに見直すに変更するといった諸点であります。
以下、法案修正に係る小泉総理の甚だしく無責任な発言に関連して質問をいたします。
総理は、前日まで、修正しなければ成立しないというのであれば廃案にしても構わない、責任は自分が取ると、胸のすくようなたんかを切っておられました。しかし、自民党総務会で修正が決まると一転します。いい知恵を出してくれたと評価し、何の抵抗もなくそれを受け入れました。これはいわゆる食言以外の何物でもありません。
総理は、修正を考えていると言ったらまとまりっこないと弁解していましたが、それまでの発言を含め、すべて公の場での発言だけに、結果として国民をもだましたことになります。国民は、今後総理の発言はすべて政治的な引っ掛けではないかと疑って掛かる必要が出てきました。総理大臣の口から出た言葉の重さは総理自身も分かっていなければなりません。にもかかわらず、なぜこういった発言をされたのか、国民に向かって分かりやすく、それこそ丁寧に説明していただきたい。
また、総理は、字句を分かりやすく変えただけで内容は変わっていないから修正に同意したとも弁解されています。修正してもしなくても法案の内容が同じである修正が、なぜいい知恵を出してくれたとの評価になったのでしょうか。そもそも、いい知恵はだれにとってのいい知恵であったのでしょうか。この点に関しても国民に対し分かりやすく説明していただきたい。
あわせて、総理は先日の本会議において、衆議院での修正等を真摯に受け止めると答弁されております。真摯に受け止めるとは何をどのように受け止めることなのか、具体的に説明していただきたい。その説明がないままだと、字句を分かりやすく変えただけで内容が変わっていないことを真摯に受け止めたことになりますが、そういう理解でよろしいのでしょうか、お尋ねをいたします。
郵貯、簡保に関してお聞きします。
竹中大臣は、民営化の必要性を突き詰めれば金融の問題であると衆議院の特別委員会で答弁されております。総理は同じ認識をお持ちでしょうか。郵政民営化は二十年前からの総理の持論であると伝え聞いております。この間、郵政をめぐる情勢も大きく変わったはずです。特に、郵貯、簡保が大きく膨らんだのはここ数年のことです。また、郵貯、簡保がその資金の多くを運用に充てている国債の発行残高も小泉内閣になって急激に膨らみました。
確かに、財政投融資制度の廃止に見られるように、郵貯、簡保の性格や政策的必要性が変わってきたことは事実であります。依然として特殊法人などに無駄なお金が流れていることも事実であります。しかし、だからといって即民営化というのは、財政・金融問題の本質を見誤ることになりかねません。特に、郵貯、簡保がここ数年の金融危機、経済危機を取りあえず乗り切るための受皿になってきたことは、今後の郵貯、簡保の在り方を考える上で極めて重要な要素であります。資金の流れを官から民へといっても、民間に十分な資金需要があってこそ初めて成立するスローガンであります。
一方で、我が国はまだデフレからの脱却もできていません。経済の自律的回復もまだまだです。国債発行残高、これは当面増え続けます。その金利変動は財政、経済に重大な影響を与えます。こうした問題が全く未解決のまま、郵政民営化だけを進めることの今後の財政・経済運営上のリスクについて総理はどのように認識されておるのでしょうか。
今やるべきことは、三百四十兆の資金をそのまま民間に任せるのではなく、まずは適正な規模に縮小すること、そして、その上で民間への資金の流れを徐々につくっていくことであります。その間、出口改革をしっかりとやる、そして財政再建のめどを付ける、デフレからの脱却を図っていくことです。これこそが民主党が掲げる本当の郵政改革であります。
この法案は、このまま成立したのでは国民生活や財政・金融運営上極めて重大な影響を与える大問題法案であります。民主党・新緑風会は、ここ参議院でも時間をたっぷり掛け、徹底審議し、法案の問題点を丁寧に明らかにすることで、断固として廃案に追い込んでいく決意であります。
その後、総理が衆議院を解散するなら全くの八つ当たり解散としか言いようがありませんが、御自由にどうぞ。歴史に総理の八つ当たり解散あるいは恫喝解散と名を残すのも悪くないかもしれません。ちなみに、民主党はこういう理不尽さにも正々堂々と受けて立ちます。受けて立ち、政権交代をして新しい日本をつくることをお約束して、私の質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕