平田健二の発言 (本会議)

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○平田健二君 民主党の平田健二でございます。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま議題となりました障害者自立支援法案に対し、質問をいたします。
 まず、質問に先立ちまして、石綿関連企業において多くの中皮腫、肺がん等の患者及び犠牲者が出ております。また、石綿関連企業に勤務している労働者のみならず、家族や周辺住民にも被害が及び、アスベスト健康被害は拡大、悪化の一途をたどっております。
 お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、御遺族に哀悼の意を表しますとともに、健康被害を受けた方々に対しましてお見舞いを申し上げます。
 アスベスト対策への政府の不作為行為は明らかであり、被害を拡大させた責任は重大です。政府の責任で早急に徹底した対策を取られるよう、要請をいたします。
 我が民主党は、今回の健康被害に関してプロジェクトチームを設置し、徹底的な原因究明とこうした方々の救済制度の整備や将来的な対策を含め、抜本的、総合的な対策の確立に向けて全力を挙げてまいる所存でございます。
 次に、法案の質問の前に、小泉総理にお尋ねをいたします。
 報道では連日、衆議院解散・総選挙の文字が躍っております。郵政民営化法案が本院で否決された場合、衆議院を解散するおつもりがあるのかどうか、明確な答弁を総理にお願いをいたします。
 さて、二十年余り前、国連は、国際障害者年行動計画に、一部の構成員を排除する社会は貧しく、もろいと明記いたしました。障害者の施策の充実度は、社会の本当の豊かさを示すバロメーターであります。弱者に必要な支援を行わなければ、幾ら物質的に豊かな経済大国になっても、それは心の貧しい、きずなのもろい社会となってしまいます。
 総理は、郵政民営化法案を最優先課題と位置付け、その成立に向けて邁進されておられますが、郵政民営化はそんなに急がなければならない緊急課題なのでしょうか。昨日はロンドンで二度目のテロが起きました。被害の拡大も心配ですし、警戒も一層強化しなければなりません。また、中国では意表をつく元の切上げが発表され、日本経済への影響も懸念されます。内外ともに課題山積です。そして、国民が今、優先課題と感じているのは、安心してこの国に住み、安心して人生を送るために欠かせない社会保障を充実させることであります。その社会保障の中でも、とりわけ後回しにされてきた障害保健福祉をどのような理念でどのように導いていくのか、障害者の皆さんが我が国の真の豊かさをいかに享受できるようになるのか、そのことこそが社会保障全体の改革を成功させるか否かの試金石となるのです。
 以上の観点から、総理を始めとする関係大臣に質問をいたします。
 平成七年に策定された障害者プランは、保健、福祉領域の施策にとどまらず、例えば住宅や建築物、交通、情報分野等におけるバリアフリー社会の推進を包括するとともに、初めて数値による達成目標が掲げられるなど、画期的なものと評価をしております。今後は、諸施策の拡充に向け、この障害者プランを実効あるものとするため、これまで以上に内閣として取組の強化が必要だと考えます。総理の基本的な方針をお示しいただきたいと思います。
 また、平成十二年に施行された社会福祉基礎構造改革では、従来の措置主義から利用契約主義への大転換、そのための支援費制度の導入によって福祉制度は大きく変わりました。ところが、今回の法案は、こうした改革の流れを逆行させるものではないかと指摘がなされ、多くの障害者の皆さんも危惧されています。
 そこでお尋ねします。本法案は、この構造改革の流れの中でどのように位置付けられるのか、今後の方向性について総理の見解を伺います。
 我が国では、平成五年の障害者基本法の成立、また平成十五年の支援費制度の創設により、障害者はようやく社会を構成する一員として地域の中で生きていく権利を与えられました。しかし、日本の障害者は、長年、施設や家庭で隔離された状況にあり、抜本的な対応も所得を得る手だても講じられないまま、資産を形成するという機会を持つことができませんでした。
 就労の現状は、三十歳から三十四歳の身体障害者で四六%、知的障害者で五四%であり、四十代後半からは急速に就業率が低下をしています。精神障害者に至っては統計すらありません。また、知的障害者の半数強が授産施設や作業所で就労していますが、その工賃の平均月額は一万二千円と極めて低い水準であります。その一方で、大半の障害者は一月六万円から八万円の障害基礎年金に頼り、経済的に大変厳しい状況にあります。また、大阪障害者センターの調査によると、障害者の九割強の方々の年金や手当等の公的収入が月額十万円未満であることが明らかとなっております。
 このように、生活環境が大変厳しい障害者の実態について、総理はどのように認識しておられるのか、お伺いをいたします。
 総理は、本法案の名称にも含まれている自立をどのようにとらえておられるのでしょうか。障害者が求めている自立とは、施設を出て、地域で、その人らしく、人間らしく生きるということです。政府の解釈は、介助を必要とせず、一人でできるようになるとも受け取られますが、総理御自身は障害者の自立をどのようにお考えなのか、認識をお聞かせください。
 国会周辺では、炎天下にもかかわらず、障害者やその家族、支援の方々など、連日数百名の方が法案成立反対の声を上げておられます。そして、五月十二日には六千六百人、七月五日には一万一千人の方が集まり、この法案に対する不安をアピールされております。総理、郵政民営化では一億五千万も掛けPR用のチラシを作り宣伝したわけですが、本法案では障害者団体との意見交換を行っただけで、障害当事者の声を必ずしも反映したものとなっていません。
 総理は、私たちのことを私たち抜きで決めないでくださいという障害者の声をどのように受け止められておるのでしょうか。障害者の生きる権利を脅かしかねない法案について、当然当事者に対する十分な説明を行う責任があると思いますが、総理の御認識を伺います。
 本法案は、その提出を急ぎ、基礎的な調査が不十分なまま統計を取りまとめた結果、障害者部会に提出したデータに六種類十一件の誤りがありました。特に、障害に係る公費負担医療制度の概要の資料では、一か月の平均利用件数の数値が年間利用件数の数値となっており、また所得状況の推計調査では、精神通院医療の利用者以外も含み、かつ個人の収入調査から世帯の所得を推計するなど、データ自体の信憑性が問われています。さらに、障害者の人数は、身体障害者、知的障害者については施設入所者と在宅者を一貫性もなく調査したものを集計し、精神障害に至っては、障害者手帳の所持とは関係なしに、精神疾患の患者数を精神障害者の数として扱っております。
 これでは障害者の実態を正確に把握することなどできません。基礎的なデータがことごとく欠如しており、これでは何を根拠に法案の制度設計を行ったのか疑問を抱かざるを得ません。障害者施策の大転換を図る法案を提出する前に、障害者の実態を正確に把握する調査をまず実施すべきであったと思いますが、総理の御見解を伺います。
 平成十五年からスタートした支援費制度は、障害者自身がサービスを選択、決定できるシステムで高い評価を得ているわけですが、予想以上に利用量が伸び、毎年予算不足を招きました。予算不足に陥った原因の第一は、基礎的データの不足に加え、実態を反映していないデータを基に制度を運用したことにあります。第二は、障害者に向き合ってこなかった結果、潜在的なニーズをとらえることができず、利用量の増加の正しい推測ができなかったことにあります。
 そこでお尋ねしますが、そもそも障害者サービスに係る予算は十分なのでしょうか。私は絶対的に不足していると考えていますが、総理はどのようにお考えなのか、お伺いします。
 また、予算不足を招いた支援費制度は失敗だったとお考えなのかどうか、支援費制度をどのように総括されるのか、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者は働きたくてもその機会を得ることができず、大半は年金に頼らざるを得ないのが実態であります。このような状況を放置したまま、厚生労働省は障害者自らも制度を支えるべきだと説明していますが、これは政府の怠慢を障害者に責任転嫁する以外の何物でもありません。障害の重い人ほどサービスを多く必要としていますが、逆に、働く機会も収入も少なくなります。障害の重い人ほど負担が一層重くなる、これがこの法案の定率負担であります。
 厚生労働省は、障害者のなけなしの年金を半分払いなさいとでも言いたいのでしょうか。総理、障害者にとってサービスとは、受けなければ生活していけない、生きるために必要なものです。そのようなサービスに定率負担という考えを取り入れれば、結果はおのずと見えてきます。その一つがサービス利用の自制であり、二つ目には家族の負担増です。このままでは、障害者の皆さんの不安は増えるばかりです。
 障害者が利用者負担も賄え、自立した生活が可能な所得保障制度や低所得者の負担軽減策が確立するまでは定率負担は導入すべきではないと考えますが、総理の御所見を伺います。
 本法案における利用者の負担について、政府は定率負担という言葉を用いていますが、定率負担とは、利用者が受けたサービスという益の大きさに応じて利用料を払う応益負担にすぎません。
 しかし、障害福祉サービスに係る益とは一体何なんでしょうか。介護を受けることが益なのでしょうか。グループホームで懸命に地域生活を維持しようとすることが益なのでしょうか。精神障害者の医療受診が益に相当するのでしょうか。
 私は、障害者に係る福祉サービスは、障害者が社会的な存在として生きていくための最低条件であり、益という概念からはほど遠いものと考えます。また、障害者の自立と社会への参加を促進すること、そして国や自治体、国民が一体となって障害者施策を作り上げていくことが障害者にとっても健常者にとっても益であると考えます。障害者にとっての益とは一体何なのか、総理の御認識を伺います。
 本法案では、定率負担導入と引換えに、サービスに係る費用の国庫補助が義務的経費化されています。しかし、なぜ定率負担導入と国庫補助の義務的経費化がセットなんでしょうか。財務省は、義務的経費とするために厚生労働省に定率負担導入を求めたのでしょうか。定率負担導入は義務的経費化の絶対必要条件なのでしょうか。ケアマネジメントシステムの制度化とサービスを計画的に提供する体制を整備し、応能負担の枠組みの中で利用者負担を増やし、障害者サービスに係る費用を義務的経費化する手法は取れないのでしょうか。谷垣大臣の明確な答弁を求めます。
 精神障害者は、支援費制度では枠外に置かれてきましたが、三障害の福祉サービスが一本化されることで、ようやく身体障害者や知的障害者との同一サービスを受けられる体制が整います。しかし、サービスを統一することで精神障害者の通院医療に関する公費負担制度が見直され、原則一割負担、所得によっては三割負担となります。自己負担増による受診抑制を招くおそれがあるのではないかと思われますが、尾辻大臣の見解を伺います。
 平成十四年現在、精神病床の入院患者は約三十三万人、うち受入れ条件が整えば退院可能とされる患者が約七万人とされています。昨年、精神保健医療福祉の改革ビジョンで十年間の数値目標を明示し、この社会的入院の解消を明記されておられますが、どのように進めるおつもりか、尾辻大臣、具体的にお答えいただきたいと思います。
 さらに、自立支援医療では、給付対象者の重点化が図られ、負担上限額が減額される「重度かつ継続」という考えが示されています。政府は、重度かつ継続の概念を疾患名の特定をすることで説明していますが、多くの専門家から、疾病ではなく病態で判断すべきではないかと疑問が表明されています。こうした重度かつ継続の概念はどのように考えたらよいのか、尾辻大臣にお尋ねをいたします。
 障害者の社会参加を進め、自立に欠かせない移動介護が、裁量的経費として地域生活支援事業に位置付けられております。支援費制度でも各自治体サービスにばらつきがあることを考えれば、障害者主体の運営がなされるか甚だ疑問です。なぜ移動介護を個別給付にしなかったのでしょうか。もし、できないのであれば、重度訪問介護や行動援護の対象を拡大した上で、サービス受給者の範囲を実質的に現状水準とし、障害者の社会参加を保障すべきであると考えますが、尾辻大臣の御所見を伺います。
 障害を持った子供が成人しても地域社会で自立して生活していくためには、学校教育における配慮が重要です。障害児と健常児が小さいときから一緒に学校生活を送ることは、両者にとって大変有意義なことであり、ノーマライゼーションを進めていく上でも必要であると考えますが、中山大臣はどのようにお考えなのか、御所見を伺います。
 障害のある子を持つ親から、今回の法案に対し切実な訴えが数多く寄せられております。例えば、親亡き後、施設に入らざるを得なくなり、わずかな障害年金の中から、実費と一割負担では、日用雑貨や洋服、余暇に割く費用はほとんど捻出できず、急な出費があると医療費の自己負担分まで賄えなくなり、十分な医療も受けられないのではないかというものです。
 不安の声はほかにもまだたくさん上がっております。親の老齢化に伴う不安や障害者が自分の収入で暮らしていけるのかという不安に対しどのようにこたえていくのか、総理の明確な御答弁をお願いいたします。
 障害のある人や御家族は、障害者に対する社会の無理解と不十分な福祉施策という大変重い荷を背負ってこれまで歩んでこられました。そして、ノーマライゼーションの推進と支援費制度の導入という後押しを受けながら、前向きに精一杯生きていこうと地域で自立生活に努力されてきました。みんなで力を合わせ、作業所や授産施設を立ち上げ、さらに将来のことも考えながら、生活支援事業やグループホームづくりに取り組んできたのです。正に地域が一体となった手作りの対策を進めてきたのです。
 多くの方々は、障害者施策の前進に期待をし、今般の議論を見守ってきました。特に、支援費制度の枠組みから外れた精神障害者は本法案に熱い期待を寄せていました。確かに評価できる側面もあります。福祉サービスを国の財政負担が明確となる義務的経費に位置付けたこと、障害者種別を超えて一元化されたこと、複雑な施設体系、施設制度の見直しに着手したこと、そして、精神障害者の分野が身体障害者、知的障害者と同じ土俵で検討されたことであります。
 しかしながら、総合性を標榜しながら三障害のみを対象としたこと、所得保障が先送りになったこと、多くの知りたいことが政省令にゆだねられていることなど、まだ多くの問題があります。そして、最大の問題点は応益負担という考えを取り入れたことです。
 本法案は、負担増による財政的抑制論ばかりが目立ちます。福祉という言葉は法案の中にほとんど出てきません。その代わり、自立支援、給付、負担、事業者などの文言が頻繁に出てきます。まるで福祉サービスを市場で購入するかのごとく錯覚を覚えます。真のねらいは、逆進性の高い定率負担を設けることで利用抑制を促すことを期待しているのではないかとさえ勘ぐってしまいます。これでは……

発言情報

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発言者: 平田健二

speaker_id: 3710

日付: 2005-07-22

院: 参議院

会議名: 本会議