前原誠司の発言 (本会議)

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○前原誠司君 民主党の前原誠司です。民主党・無所属クラブを代表し、小泉総理の所信表明に対して質問いたします。(拍手)
 質問に先立ち、二つの点で国民の皆さん方におわびを申し上げなければなりません。
 一点は、我が党に所属をしていた小林憲司前衆議院議員が覚せい剤の所持、使用で逮捕されたことであります。国会議員以前に国民の一人として絶対にあってはならない反社会的行為であり、言語道断。党として即刻除籍し、比例名簿から削除いたしました。政治への信頼を著しく傷つけたことに対し、国民の皆さん方に深くおわび申し上げます。
 もう一点は、民主党が今回の総選挙で大きく議席を減らしたことであります。政権交代を期待し、二千四百八十万人もの方々が民主党の小選挙区候補者に投票してくださったにもかかわらず、期待におこたえすることができませんでした。今回の結果を真摯に受けとめ、強烈な反省に立って、必ずや次の総選挙で政権交代を実現するために、新体制での反転攻勢をお誓いいたします。(拍手)
 民主党は、国民全体の利益になることであれば、政府・与党に協力します。反対のための反対はしません。しかし、政府・与党の間違った政策、問題先送り、看板倒れの改革に対しては、厳しく対峙してまいります。主要な政策課題については常に対案を示し、常に、みずからが政権与党であればどういう対応をするか、そういう視点に立って、真の改革を競い合いたいと思います。
 今回の総選挙に関して二点、小泉総理にぜひとも伺いたいことがあります。
 第一点は、総理は、今回の解散・総選挙は郵政解散であり、郵政民営化法案への賛否を問う選挙だと繰り返し言われてきました。本来、政権のあり方や政権政策の全体像を問うべき総選挙を、あたかも一法案の国民投票のように利用しました。しかも、郵政民営化法案が参議院で否決されたにもかかわらず、同法案を可決した衆議院を解散しました。これは解散権の濫用ではないでしょうか。今後、重要法案が否決されれば、また国民投票のような解散を行うつもりですか。総理の議会制民主主義に対する根本的な考え方をお伺いしたい。(拍手)
 郵政法案以外、定率減税廃止を含めた税制改革、年金改革、地方分権、外交などの重要な国政課題について、自民党のマニフェストには、数値目標や達成期限などほとんど具体的な記述はありません。そうであれば、仮に郵政法案が成立すれば、これらの重要政策課題について具体的なマニフェストを提示して、もう一度衆議院を解散して国民の信を問うことが憲政のあるべき姿ではないでしょうか。それとも、総理は、郵政法案への賛否ですべての課題について負託を受けたと強弁されるんでしょうか。総理の総選挙に対する基本認識をお答えください。(拍手)
 第二点は、今回の選挙でより露骨になった自公選挙協力について伺います。
 多くの自民党候補者が、自民党の比例名簿に登載されていながら、比例区は公明党へと連呼し、ポスターやはがきにも比例は公明党へと明記をしました。そして投票の依頼をしました。総理、副総理、大臣経験者までもが、憶面もなく、比例は公明にと公言してはばかりませんでした。
 連立与党といっても、しょせん別の政党です。異なったマニフェストを掲げている以上、自民党公認候補が比例は公明と連呼するのは、国民に対する信義則違反ではありませんか。また、小選挙区の票をバーターに比例の票を強要する公明党も公明党です。どうしてもお互いの票が欲しいのであれば、いっそ一つの政党になればいいのではないでしょうか。自民党総裁としての見解を伺います。
 我が党は、この点が改善されなければ政党政治の形骸化につながるとの強い危機感を持ち、あらゆる手段を使って正常化への努力を行うことを申し述べておきます。(拍手)
 「改革を止めるな。」これが自民党の選挙のキャッチフレーズでした。しかし、この四年五カ月で一体どんな改革が実現されたんでしょうか。
 道路公団の民営化議論は、本来、採算の合わない高速道路はこれ以上つくらないという問題意識からスタートしました。しかし、民営化されたのは、パーキングエリアやサービスエリア、あるいは道路の維持管理のみ。国の命令で採算の合わない高速道路もつくり続けられる仕組みが確立して、完成後は借金ともども国の保有機構が買い取ることになりました。改革の骨抜きどころか、民営化の名をかりた、国民を欺く改悪でしかありません。
 年金改革も同じであります。国民の負担をふやし給付は減らす、こんなつじつま合わせなら、子供でも考えつきます。むだ遣いを徹底的になくして予算配分を大胆に変えて、国民が将来に不安を感じない、持続可能な仕組みをつくることこそが真の改革ではありませんか。(拍手)
 小泉総理がこだわる郵政民営化もしかりです。形だけ株式会社にすれば中身はどうでもいいというわけにはいきません。私は、この法案の実態は、むしろ、官業焼け太り・民業圧迫法案だと考えます。
 郵便貯金の資金量は大手都市銀行七行の預金総額にほぼ匹敵し、簡易保険の規模は生命保険会社大手四社の合計とほぼ同じです。このようなマンモス金融・保険会社と、既存の銀行や生命保険会社は、果たして対等な競争ができるんでしょうか。
 我が党が主張しているように、まずは郵貯の規模を段階的に縮小して、着実、確実に官から民へと資金を分散させて適正規模にし、簡保は分割して一つ一つの規模を小さくすることが必要ではないでしょうか。
 また、郵貯、保険の金融二社は、二〇一七年までに表面的には民営化されることになっていますが、逆に言えば、それまでは実質政府の保証がついた形で、公社では制限されていたさまざまな業種に進出できることになります。迎え撃つ民間企業は、不公平な競争を最長十年間も強いられることになるのです。しかも、現在一千万円の郵便貯金の預入限度額は最終的には取り払うと政府は明言をしています。官から民へどころか、民から官へ資金がより集まることになるんではないでしょうか。
 現に、日本郵政公社は、民営化を前提として、ドライブスルーの採用、配送業務でのコンビニエンスストア、大手百貨店との提携、窓口での投資信託の販売など、駆け込み的に業務拡大に乗り出しています。まさに、官業焼け太り、民業圧迫が現実のものとなっています。
 このような疑念をどう払拭して、どのように解決するつもりなのか。完全民営化までの移行期間の短縮や、民営化の移行プロセスを監視する民営化委員会に勧告権を付与することの是非を含め、総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 当初出された政府の基本方針では、郵貯、簡保は完全民営化するとの考えが示されていましたが、法案の策定過程で自民党の郵政族と妥協し、持ち株会社が民営化された郵貯、簡保二社の株を買い戻すことが可能になりました。これでは、政府の関与が半永久的に可能となります。妥協を迫ったいわゆる抵抗勢力も刺客によって自民党から排除されて、国民の信任も得られたわけですから、堂々ともとの基本方針どおり、政府持ち株会社による買い戻しをなくすことが筋ではないでしょうか。お答えください。
 所信表明で、総理は、これまでに十兆円にも上る歳出改革を断行したと豪語されました。しかし、在任中に、国と地方、短期も合わせた借金全体では、七百五十兆円から一千兆円に、何と二百五十兆円もふえました。借金全体の四分の一は、小泉総理、あなたがつくられたものであります。この責任を総理はどのように受けとめて、そしてどう解決するつもりなのか。明確にお答えをいただきたいと思います。(拍手)
 公務員の給与についても伺います。
 人事院勧告のもととなる民間給与は、相変わらず企業規模百人以上かつ事業所規模五十人以上が基準になっています。人事院勧告決定については、零細企業も含めた民間給与の実態を踏まえたものとすべきではないでしょうか。答弁を求めます。
 民主党は、特殊法人の役職員が民間企業へ天下ることを規制するため、道路公団等天下り規制法案をさきの通常国会に提出いたしましたが、政府・与党はこれを放置しています。ぜひ、徹底した議論を行い、実現させようではありませんか。答弁を求めます。
 日本道路公団における橋梁工事に関して、長年にわたる大規模な官製談合が発覚しました。何と、道路公団のナンバーツーである内田副総裁らみずからが談合にかかわっていたことが明らかになりました。談合を行えば、競争原理が働かないために落札価格は高くなります。しかも、細切れ発注ときている。多くの企業はもうかり、得をする。それらの企業に公団OBは天下り、自民党は献金を受けている。しかし、そのツケを払わされているのは納税者であり、通行料金を払う利用者ではありませんか。このような理不尽な構造にメスを入れることこそ、真の改革ではないでしょうか。(拍手)
 まず、このような談合がなぜ繰り返され、長期にわたって見逃されてきたのか。恐らく、今回の橋梁談合は氷山の一角に違いありません。他の発注分野についても政府は徹底的に調査して、その結果を公表すべきであります。その意思はおありでしょうか。また、官製談合防止や刑法などの強化にも取り組むべきです。お答えください。
 道路公団の談合体質は、民営化によってなくなるとは到底思えません。新たに設立される会社は、料金収入で利益を上げることができず、建設費用はすべて政府保証がついて保有・債務返済機構に移しかえるだけであります。したがって、コスト削減のインセンティブは全く働きません。道路公団の発注工事に関して徹底的な調査を行い、対策が講じられるまで道路公団の民営化を凍結すべきだと考えますが、総理、いかがでしょう。
 何よりも、今回の官製談合事件で責任をとるべき立場にある公団トップの近藤総裁が、責任をとるどころか、そのまま民営会社の会長に横滑りをするとは言語道断、国民をばかにしているとしか言いようがありません。絶対に天下らせるべきではありません。国民の目線に立った、毅然とした答弁を総理に求めます。
 談合参加企業から自民党への多額の政治献金が行われていることも問題です。これらの企業から国民政治協会に九三年から十年間で、献金額を合計すると、実に十六億円近くのお金になります。要は、税金、通行料の不当利得の一部が献金されているということであり、談合参加企業からの企業献金は全額返還すべきであると思います。総理の答弁を求めます。(拍手)
 自民党マニフェストでは、非効率な特別会計や特定財源制度について聖域なく抜本的に見直すと公約しています。非効率な特別会計や特定財源とは何を指すのでしょうか。自公政権がこれほど国の借金を莫大なものにし、しかも少子高齢化が急速に進む現状において、主に道路の建設、補修のみに使われている道路特定財源を一般財源化し、社会保障や少子化対策、教育の充実など、箱物から人への投資に重点を移すべきだと我々は考えます。特別会計、特定財源の見直し、特に道路特定財源の一般財源化について、総理の見解を伺います。
 総理は、歳出削減だけで財政再建は無理と会見で発言されました。これは財政再建に向けて増税は必要との認識を示されたものでしょうか。また、増税が必要であると認識されているのであれば、いつ、どのような規模の増税が必要と考えているのでしょうか。消費税、所得税、法人税、資産税、すべてが増税の対象になるのか、お答えください。
 政府税制調査会の答申には、平成十八年度において定率減税を廃止と書かれています。自民党はマニフェストにおいて「政府税調の考え方はとらない。」と明記をしました。国民のだれもが、これで定率減税の廃止はないと確信しているはずであります。ところが、谷垣財務大臣は、選挙後の十三日の記者会見において、定率減税廃止の方向を打ち出しました。これは国民に対する公約違反、背信行為ではないでしょうか。郵政法案の賛否を問う選挙だったから関係ないとでも言われるのでしょうか。明確な答弁を求めます。
 また、政府税調の答申には、給与所得控除の縮減があります。自民党も公明党もサラリーマン増税には反対をして総選挙を戦いました。控除縮減に対する賛否もここではっきりさせていただきたい。
 一昨日の所信表明でも二〇一〇年代初頭のプライマリーバランス均衡化がうたわれていますが、時期もあいまい、ましてや具体的手法については全く説明がありません。我々は、まず税金のむだ遣いをなくすこと、行革なくして増税なしの姿勢を貫くべきだと考えます。総理の見解を伺います。(拍手)
 我が党は他党に先駆け、議員年金の廃止を以前より訴えてまいりました。自公両党も議員年金の廃止に向け、ようやく重い腰を上げたことには敬意を表します。むだ遣いを削るのであれば、まず隗より始めよであります。みずからを変えられずに、国民にばかり改革を迫ることは許されません。
 自民党マニフェストには「議員年金についても改革する。」とありますが、これは具体的にどのような改革を念頭に置いているのでしょうか。私たちは今国会に議員年金廃止法案を提出いたします。総理も自民党に議員年金廃止を指示されました。お互いの案を持ち寄って、国民が納得するいい法案にしようじゃありませんか。改めて総理の決意をお聞かせください。
 年金改革について伺います。
 総選挙のマニフェストでは、自民党は「持続可能で安心な年金制度を構築した。」とし、公明党は「百年先までの財政見通しを確立、」とあります。端的に伺います。国民が現在の年金制度を信頼していると心底お考えですか。この制度が本当に百年持続可能だと自信を持って言えますか。
 民主党は、みずからの案の見直すべき点は見直し、よりよい案に練り上げた上で、改めて国民に選択肢を提供したいと考えています。与党も、実質破綻をしている国民年金の対策、生活保護制度との矛盾も含め、より詰めた一元化案を早急に取りまとめ、協議に応じるべきであります。総理の答弁を求めます。(拍手)
 現在、我が国の外交は八方ふさがりで、国連改革は巨額の費用を投じながら大失敗。中国や韓国など、アジアとの関係はがたがた。FTAは中国などにおくれをとり、頼みのアメリカとの関係も、米軍再編、BSE、イラク問題、国連改革等ですき間風が吹いています。これまでの戦略なき外交のツケが今、まさに一挙に噴き出した感があります。北朝鮮の問題もしかりであります。
 去る九月十九日、六者協議において、北朝鮮の核放棄をうたう共同声明が採択されました。しかし、核放棄への具体的なプロセスや検証方法、北朝鮮が要求した核の平和利用の扱い、軽水炉建設問題、共同声明に盛り込まれなかった高濃縮ウランの扱いなど、依然として課題が山積しています。
 北朝鮮は、一九九四年の枠組み合意で核凍結と査察受け入れに合意しながら、その後、公然と核開発を再開したばかりか、NPTからの脱退を表明するなど、国際間の約束を次々にほごにしてきました。今後、関係各国は、共同声明の中身が着実に履行され、具体的かつ実質的な成果として実現する責任を持っています。既に北朝鮮は、国連で、軽水炉の提供まで核放棄に応じないという、六者合意の内容を覆すような主張をしています。日本のスタンスをまず総理に伺いたい。
 また、日朝両国は、平壌宣言に従って、不幸な過去を清算し懸案事項を解決することを基礎として、国交を正常化するための措置をとると約束をしています。しかし、拉致事件については一言の言及もありません。一方では、経済協力を推進する文言がありますが、一兆円にも上る巨額の破綻処理で大きな経済問題、社会問題を引き起こした朝銀系信組に対する資金の流れもいまだ不透明なままになっています。
 総理は以前、予算委員会での私との議論で、日朝国交正常化の前提は、核問題の解決だけではなくて、拉致、ミサイル、朝銀マネーの包括的な解決だと答弁されました。そのお考えは今も変わりがありませんか。エネルギーなどの経済支援も、核問題のみならず、拉致、ミサイル、朝銀問題が包括的に解決されてから行うのが筋だと考えます。総理の明確な答弁を求めます。(拍手)
 先日亡くなられた後藤田正晴元官房長官は、生前、小泉改革についてこのように語っておられました。小泉総理の官から民へについてぜひ言いたいのは、一体、官が担当しなければならない境界線はどこまでだ、利潤を美徳とする民が引き受ける限度はどこだと。そこの分界線を明示しないまま官から民へは乱暴だよ。けだし名言であります。
 同様のことは、国と地方の役割分担についても当てはまります。国として国民に責任を負わなければならないのはどこまでの仕事なのか、地域に任せるべきはどのような仕事なのか、その境界線を明確にしないまま、ともかく三兆円規模という極めて中途半端な税源移譲を進めようとするから、三位一体改革の現状はバナナのたたき売りとも酷評される状態にあります。
 生活保護のような最も基礎的な国の任務については、無原則に国の補助率を引き下げ、地方に責任を転嫁する。他方、役割を終えた箱物整備補助や各種奨励的補助金などの霞が関の既得権を温存するなど、現状の三位一体改革は全くもって本末転倒であり、国から地方へという基本方針はまやかしとなっています。これからの地方分権、三位一体改革をどう進めるおつもりなんでしょうか。
 道路公団、年金、郵政そして三位一体と検証してきましたが、小泉改革なるものがいかに看板倒れで内容を伴わないものかは明らかです。いい改革はとめてはなりませんが、悪い改革はとめなければなりません。我が党は、今後、重要政策課題では対案を出してまいります。ぜひ、いい改革の中身でお互い競い合おうではありませんか。
 霞が関という既得権益の殻を破れない自民党政治に、真の改革を行えるはずがありません。政権交代でなければ日本は変わらない。今度こそ真の改革の御旗を取り戻し、すべては国民のための政治を行うために、全身全霊を傾けて政権交代に向けて努力を続けることを国民の皆さん方にお約束をし、答弁が不十分であれば再質問をさせていただくことを申し上げ、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

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発言者: 前原誠司

speaker_id: 10284

日付: 2005-09-28

院: 衆議院

会議名: 本会議