小泉純一郎の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(小泉純一郎君) 前原議員にお答えいたします。
 今回の解散と議会制民主主義との関係についてでございますが、衆議院の解散は衆議院議員の身分を失わせる重い行為であることを認識しつつ、選挙により新たに民意を問うことの要否については、内閣がその政治的責任において決断すべきものと考えております。
 郵政民営化は、まさに行政、財政、経済、金融などあらゆる分野の構造改革につながる改革の本丸であり、今後の我が国の方向を定める極めて重要な案件であります。その実現につき、内閣の政治的責任において主権者たる国民の信を問うことは、憲法上認められた解散権の行使であり、濫用に当たるとは考えておりません。
 このたびの選挙で明らかとなった国民の声を厳粛に受けとめ、改革を進めることは、主権者たる国民の意思が議会によって代表される議会制民主主義にも沿うものと考えております。
 今回の総選挙ですべての課題について負託を受けたと考えるかとのお尋ねでございます。
 今回の総選挙の結果については、郵政民営化を進めよ、賛成であるという審判を国民が下したと思います。同時に、私が総理大臣に就任以来進めてきた金融、税制、規制、歳出にわたる広範囲な構造改革の方針とその成果について、広く国民の支持をいただいたものと受けとめております。(拍手)
 私は、この国民の声を厳粛に受けとめ、責任を持って郵政民営化を実現するとともに、今後、構造改革路線をしっかりとした軌道に乗せていきたいと考えております。
 民主党は大幅に議席を減らしましたけれども、日本をあきらめずに、前原新代表のもとで、政権交代ができる政党として今後発展されることを期待しております。
 自民党と公明党の協力のあり方についてでございますが、私は、総理大臣に就任以来、自民党及び公明党による連立政権の安定した基盤に立って構造改革を進めてまいりました。今回の総選挙においても自民党と公明党は協力してまいりましたが、各選挙区において個別の候補者が具体的にどのような協力方法をとるかについては、それぞれの事情を勘案しながら、各候補者が適切に判断して対応してきたものと考えております。
 今後とも、自民党、公明党が互いにその政策について尊重しながら連立関係を維持し、引き続き構造改革を断行していく考えであります。
 郵政民営化についての質問でございますが、現在、民主党は対案を取りまとめられていると聞いております。対案を出されることを歓迎します。国会審議の中で検討していきたいと思っております。
 まず、郵貯、簡保の規模縮小を図るべきではないかとの御質問でありますが、郵政事業は郵貯、簡保の収益で雇用やネットワークが支えられております。強制的、急激に規模縮小すれば、経営は成り立たず、雇用やネットワークも維持できません。また、限度額引き下げは利用者に不便を強いることにもなるし、ネットワークが維持できなければ地域の利便性は著しく低下します。
 そもそも、官があらかじめ適正規模を決めて、強制的に規模を縮小させる官主導のやり方は、官から民への構造改革に果たしてふさわしいのかどうか、その点も考えなきゃいけないと思います。
 これに対して政府・与党案は、市場経済の中で適正規模を実現する民間本位の改革案であり、また、雇用とネットワークを維持しながら、国民の大切な資産を民間向け資金として活用し、経済活性化につなげる最善の改革案であると考えております。
 実質的な政府保証による民業圧迫の疑念などについての御質問がございました。
 金融業務については、信用が競争上決定的に重要であるので、法案におきましては、金融二社は一般商法会社として設立し、全株処分によって国の信用、関与を断ち切ることとし、また、株式処分等、国の関与の度合いの低減に応じ、民営化委員会の意見を聴取の上、段階的に規制緩和していくこととするなど、民業圧迫とならないよう配慮しております。
 また、移行期間を十年としているのは、早急に民営化を進める必要があるとの基本認識に立ちつつも、郵政民営化がさまざまな分野にかかわる大規模な改革であることなどから、円滑な民営化を実現するため、相当程度の時間をかける必要があることを勘案したものであります。
 さらに、民営化委員会については、内閣総理大臣を本部長とし全閣僚で構成される郵政民営化推進本部に設置される機関であることから、本部長のリーダーシップのもとに、民営化委員会の意見を施策に適切に反映させていくこととなると考えております。
 また、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の買い戻しについての御質問ですが、郵便貯金銀行、郵便保険会社の株式の買い戻しに関しては、移行期終了後については、これらの会社は普通の銀行、普通の保険会社となるので、持ち株会社が他の金融機関の株式を取得するのと同様に、独占禁止法や銀行法等の一般的な法規制のもとに、特殊会社の規制の範囲内で両社の株式を市場から買い戻すことを妨げないこととしたものであります。買い戻しが行われるとしても、他の銀行や保険会社の株式を取得する場合と同様の一般的なルールのもとで行われるものであり、郵便貯金銀行、郵便保険会社が民間金融機関と同一の条件で自由な経営を行うとの民営化の基本方針に反するものではありません。
 債務残高累増の責任についてお尋ねでございますが、近年の債務残高累増の主たる要因は、高齢化の本格的な進展による社会保障関係費の増加や、経済情勢の深刻な悪化等による税収の低迷等であると考えております。
 他方で、小泉内閣においては、発足以来、財政規律を堅持するという方針のもと、重立った歳出項目について歳出の抑制を行い、公共事業費を約四割削減するなど、既に十兆円に上る歳出改革を断行したところであります。
 こうした結果、国及び地方の基礎的財政収支赤字が平成十四年度の五・五%から平成十七年度には四%に改善する見込みであり、また、平成十七年度予算において新規国債発行額を四年ぶりに減額するなどの成果を上げてきております。
 今後とも、引き続き、公務員の人件費を含め、まずは徹底した歳出削減、むだな税金の使い道の排除に取り組んでまいります。(拍手)
 人事院勧告のもととなる民間企業の企業規模についてでございますが、公務員給与と民間給与との比較方法については、政府として、比較する民間企業の規模も含めて早急に総合的検討を行うよう人事院に対し要請しているところであり、今後、人事院において検討が進められる予定であると承知しております。
 特殊法人の役職員の天下り規制についてでございますが、幹部が談合行為で逮捕されるという事件を起こした日本道路公団においては、幹部職員について一定の場合に再就職を禁止する措置を自主的に講じたと聞いております。
 また、国家公務員型の独立行政法人の役職員については、離職後二年間の営利企業への就職が制限されているところであります。一方、すべての特殊法人、非公務員型の独立行政法人の役職員に対して営利企業への就職の制限を課することは、職業選択の自由との関係も考慮しつつ、なお検討すべきものと考えます。
 いずれにしても、特殊法人、独立行政法人の業務運営の適正性や効率性を確保し、国民の信頼を得ることは必要であります。
 道路公団の橋梁談合に関するお尋ねですが、公共工事の入札、契約について、いわゆる官製談合等の不正行為はあってはならないことであり、今般、日本道路公団の現職幹部が逮捕、起訴されたことは極めて遺憾であります。
 事件の全容の解明については、今後、司法の場に移ることとなりますが、公団から再就職したOBが公団発注工事の営業に直接関与していることや、談合行為に関するペナルティーが軽かったことなどが要因の一つにあったものと考え、再発防止策においてはこれらについての対策を強化しております。
 談合に関する調査は、民営化後においても、日本道路公団の業務を承継した高速道路会社において引き続き実施され、その際には、他の発注分野についても徹底的に調査し、公表するものと聞いております。
 官製談合防止法等の強化については、各党において検討が行われていると承知しておりますが、政府としても、国民意識の動向、刑罰体系全体の中での整合性など、種々の観点を総合考慮しながら、今後検討していくべきものと考えております。
 道路公団の民営化の凍結及び会長人事の見直しに関するお尋ねでございますが、談合の再発防止については、既に日本道路公団において不正行為防止策を取りまとめ、実行に移しており、民営化後も徹底して取り組むこととしております。
 今般の民営化は、従来の公団方式の弊害を解消し、約四十兆円に上る債務を確実に返済しつつ、真に必要な道路について、早期に、できるだけ少ない国民負担のもとで建設するとともに、料金の引き下げ等のサービスの向上を図ることを目的とするものであり、その実現に向け、予定どおり十月一日から道路公団を民営化いたします。
 近藤総裁には、二度とこのようなことが起こらないよう、民営化後においても、不正行為防止策をしっかりと実行することにより、一刻も早く高速道路事業に対する国民の信頼を回復していただきたいと考えており、会長人事の見直しは考えておりません。
 談合参加企業からの企業献金についてでございますが、個別企業がどういう行為をしているかについて常に把握することは難しく、また、一般論として、企業は経済活動とあわせて政治活動の自由が認められているところであると考えます。しかしながら、問題を指摘されている企業からの献金につきましては、今後、個別の状況を慎重にチェックした上で、対応を検討してまいりたいと考えます。
 自民党政権公約における特別会計改革、道路特定財源を初めとする特定財源制度の見直しについてのお尋ねですが、非効率な特別会計や特定財源制度について聖域なく抜本的に見直すとは、すべての特別会計、特定財源制度の事業内容等を精査すること等により、非効率なものを洗い出し、温存を許すことなく根本的に見直すとの趣旨であります。私は、既に、道路等の特定財源について、暫定増税をしている税制との関係、その使い道のあり方など、基本方針を検討するよう指示したところであります。
 税制改正に関し、財政再建に向けた増税の必要性、増税の時期や規模、増税の対象となる税目についてのお尋ねでございます。
 私は、まずは徹底した行財政改革に取り組むべきものと考えております。他方で、現在、国債依存度が四〇%に達しており、歳出削減だけで財政再建が困難なことは明らかであり、御指摘の発言もそうしたみずからの考えを述べたものであります。
 今後の少子高齢化、グローバル化等の大きな構造変化を踏まえますと、社会共通の費用を広く公平に分かち合い、持続的な経済社会の活性化を実現する必要があります。そうした観点から、消費税、所得税、法人税、資産税などの税制全体のあり方を総合的に考えて、国民的な議論を深め、平成十八年度内を目途に税制改革についての結論を得たいと考えております。
 定率減税の廃止についてでございますが、定率減税は、景気対策として導入された暫定的な税負担の軽減措置であることから、経済情勢等に応じその規模を見直していくべきものであり、これまでの与党税制改正大綱等において、その縮減、廃止に向けた道筋について示されてきたところであります。
 定率減税の残り半分については、年末の平成十八年度税制改正において、これまでの議論を踏まえ、経済情勢等を十分に見きわめつつ今後議論していくべき事柄と考えております。
 給与所得控除の縮減についてですが、平成十八年度において、給与所得控除の見直しにより、いわゆるサラリーマンに対しねらい撃ち的に負担増を求めるようなことは考えておりません。
 いずれにせよ、個人所得課税のあり方については、家族のあり方や人々の働き方といった、人の生き方や価値観に密接にかかわる税であることを踏まえ、今後の税体系全体のあり方の論議の中で十分な国民的議論を尽くしていくべき事柄であると考えております。
 財政健全化に関し、財政再建の具体的手段についてですが、政府としては、二〇一〇年代初頭に政策的な支出を新たな借金に頼らずにその年度の税収等で賄えることを目指して、社会保障制度改革や三位一体の改革、公共事業費の削減などさまざまな分野の改革に聖域なく取り組んでおり、今後とも歳出歳入一体の財政構造改革を強力に進めてまいります。
 基礎的財政収支改善に向けた中期的取り組みについては、経済財政諮問会議の議論等を通じ、おおむね来年半ばを目途に改革の方向についての選択肢及び改革工程を明らかにし、平成十八年度までに結論を得る考えであります。
 国会議員の年金制度についてのお尋ねですが、議員年金の改革につきましては、自民党、公明党で廃止を前提に検討しております。早急に与党案を取りまとめ、民主党を初めとする各党各会派において十分御議論いただき、国民から理解と信頼を得られる制度とすることを期待しております。
 年金制度が持続可能と考えるかとのお尋ねですが、年金制度にとって、どのような制度体系をとるとしても、長期的な給付と負担の均衡を確保することは制度の根幹にかかわる重要な問題であり、昨年の年金改革によって、将来に向けて持続可能な制度とすることができたと考えています。
 一方で、年金制度の一元化、国民年金の未納、未加入問題への対応、雇用構造の変化に伴う短時間労働者への厚生年金の適用拡大など、依然として大きな課題があります。
 所信表明演説の中でも申し上げたとおり、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があり、与野党が胸襟を開いて協議を行い、意見の相違を埋める努力をすることが不可欠であります。私としましても、民主党も参加される両院合同会議における議論が早急に再開されることを期待しており、そこでの議論も踏まえつつ、これらの諸課題について、迅速に改革に向け取り組んでまいります。
 年金の一元化等についてでございますが、私は、年金制度の一元化に関して、国民全体を対象とする年金の一元化を展望する上で、これまでも、まずは厚生年金と共済年金の一元化が先に来るのではないかと申し上げてきたところでありますが、既に、被用者年金の一元化に向け、制度間における給付や負担の水準の相違等、被用者年金の一元化を進めるに当たって検討すべきさまざまな課題について幅広く議論し、その処理方針をできる限り早く取りまとめるよう指示したところであります。
 また、国民年金の未納、未加入問題の解消は、年金制度への信頼にかかわる重要課題であり、強制徴収の実施や免除制度の適用など、的確な対策を強力に推進しております。
 いずれにせよ、年金制度は長期的な視野に立って改革を進める必要があり、与野党が胸襟を開いて協議を行い、意見の相違を埋める努力をすることが不可欠であります。早急に民主党も参加して両院合同会議における議論が再開されることを期待しております。(拍手)
 六者会合でございますが、今般の六者会合において、北朝鮮がすべての核兵器及び既存の核計画の検証可能な廃棄を約束したことは、六者会合を通じて朝鮮半島の非核化を実現する上での重要な基礎となるものであります。今回の合意を迅速かつ着実に実行に移すべく、次回会合では北朝鮮による核廃棄の手順等が議論されますが、我が国は引き続き関係各国と緊密に協調し、問題の解決に向け最大限努力する考えであります。
 日朝国交正常化についてでございますが、日朝平壌宣言にあるとおり、核、拉致、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決して日朝国交正常化を実現し、その上で経済協力を行っていくとの政府の考えは一貫しております。六者会合の共同声明にあるエネルギー支援等については、今後具体的に議論されますが、我が国の参加については、諸懸案の進展を含む日朝関係全般の状況も踏まえ検討してまいります。
 地方分権、三位一体改革の進め方についてでございますが、地方にできることは地方にという理念のもと、国の関与を縮小し、地方の権限、責任を拡大して地方分権を一層推進してまいります。このため、四兆円程度の補助金改革、三兆円規模を目指した税源移譲、地方交付税の見直しの三位一体の改革について、地方の意見を真摯に受けとめ、平成十八年度までに確実に実現いたします。(拍手)

発言情報

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発言者: 小泉純一郎

speaker_id: 9434

日付: 2005-09-28

院: 衆議院

会議名: 本会議