武部勤の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○武部勤君 私は、自由民主党を代表し、総理の所信表明演説に対して質問を行います。(拍手)
 郵政民営化が象徴する小泉改革の是非が問われた選挙後の特別国会であります。今後の改革の大きな課題に絞って質問をいたしたいと存じます。
 質問に先立ち、九州を中心に、さきの大型台風がもたらした風水害により被災した方々、また、米国南東部に相次いだ台風により現在も被害の影響に苦しんでおられる大勢の皆様に謹んでお見舞いを申し上げ、犠牲となられた方々に対し改めて心からなる御冥福をお祈り申し上げます。一刻も早い被害の復旧に、国会としても党派を超えて協力し合い、取り組んでまいる所存であります。
 議員諸君、選挙とは何か。それは、国民の我々に対する審判であり、期待であり、批判であり、要望であります。すなわち、国民の意思であります。今回、衆議院選挙で示された国民の意思は、迷わず、ひるまず、改革をさらに推し進めよとのものでありました。国民は、郵政の民営化もできずにどんな改革ができるのかとの総理の強い決意に圧倒的な支持を与えてくださったことを、我々は決して忘れてはなりません。
 総理は、選挙に当たって、郵政民営化こそすべてにつながる行政の改革であり、政治の構造改革でもあると語られました。が、その言葉どおり、まず政治の大きな構造改革が一気に実現しました。
 選挙中に細田官房長官がいみじくも指摘したとおり、郵政民営化に反対する人たちは何にでも反対していた人たちと言って過言ではありません。我が自由民主党は、そうした改革の抵抗勢力と決別いたしました。
 一方、民主党も改革を余儀なくされているのではないでしょうか。先ほどの代表質問を聞く限り、いささか期待を裏切った感が否めませんが、新しい党の代表に、四十三歳と若く、労働組合などに縛られない政策立案を訴えた前原誠司君を選出したことが、それを端的に物語っていると思います。
 今回の選挙では、与党の勝利により株価が強い上昇基調となるなど、内外ともに改革の加速による強い日本再生への期待が高まっております。総理御自身は、今回の選挙結果をどう受けとめ、今後どのような決意で改革に臨まれるのか、お伺いをいたします。
 次に、郵政民営化についてお尋ねいたします。
 かつて二宮尊徳は、困窮した村々を救うときに、ありとあらゆる食用のものを植え、それは田畑のみならず神社やお寺の境内にまで及びました。中途半端なことでは国を救うことはできない、やる以上は徹底的にやるのだという強い決心を示したのであります。
 ところで、今回の選挙によって、国民が郵政改革に望んでいるのはあくまで民営化であることがはっきりしました。民主党は選挙中に、民営化せず国家公務員の身分を残して、郵貯の預け入れ限度額を引き下げるという中途半端な改革案を主張いたしましたが、リストラに耐え、懸命に歯を食いしばって働き、やっと経済を上向かせるところまで来た国民の心情に全くアピールしませんでした。民主党はその事実を重く受けとめ、一日も早く民営化法が成立するよう、与党に御協力いただきたいと願うものであります。(拍手)
 郵政民営化がいよいよ現実のものとなるに当たり、利用者である国民や、現に働いている郵政職員が不安を持たないで済むのか、民営化の理念とは何か、そのメリット並びに前回の提出法案から主な変更点は何か、竹中郵政民営化担当大臣にわかりやすく御説明いただきたいと存じます。
 さて、再び二宮尊徳の話になりますが、尊徳は、政治の目的の一つは民の米びつを満たすことだと述べております。すなわち、民間の経済活動の邪魔にならないような、行政のむだを省いて、民のための政治を行うのだという意味であります。国民は米びつを満たすことを念じて、日々努力を重ねております。ならば、国民は郵政民営化の次の改革についても大いなる注目をいたしていると思われますが、そのことについて伺いたいと存じます。
 総理は、選挙を通じて古い自民党を脱ぎ捨て、新しい自民党をつくり上げました。改革に何でも反対し、公共事業を初め官が使うお金をふやし、官の規制や許認可を強めようという役人天国推進勢力と決別したのであります。
 これより先、改革の痛みとは官のリストラであります。政府の予算や補助金をもらい、規制や許認可などによって守られてきた人々の既得権を剥奪し、官のむだを徹底的になくすことであります。そうしなければ、我々は国民に対して申しわけない。官のリストラを達成してこそ、将来的な国民負担を軽減することができます。そして、これこそが、規制の撤廃と官業の民間開放による新たな事業機会や起業の促進であり、雇用機会の創出であり、全国一律ではない、個性的で魅力あふれる地域社会の実現でなければなりません。
 総理は、所信表明で、郵政民営化は簡素で効率的な政府の実現を加速すると述べられました。小さな政府の実現に取り組む決意のほどをお示しいただきたいと思います。
 また、昨日の経済財政諮問会議で、政府の規模を十年以内に半減するという提案がなされたと聞いております。具体的にどのように進めていくのかについて、竹中大臣の御見解を伺います。
 さて、郵政民営化で官の第二の財布は入り口がなくなります。次は出口の徹底した改革をしなければなりません。政府系金融機関については、住宅金融公庫を廃止し、国民の利便性を維持しつつ民業の補完に徹する改革が実現しておりますが、残る八機関の改革はこれからが本番であります。
 政府系金融機関は、経済事情を考慮して改革時期を先送りしてまいりましたが、総理の改革により不良債権問題は解決し、経済情勢も大幅に改善しました。中小企業融資にはさまざまな制度が整えられ、民間金融機関の中小企業に対する無担保無保証ローンも浸透し始めております。住宅金融公庫の改革に際しては、総理が語られたように、民間金融機関の長期固定・低金利住宅ローンは今や当たり前になっております。
 政府系金融機関についても民営化、統廃合などの思い切った改革を行うべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 そして、政府系金融機関と並ぶ官の第二の財布の出口として、特殊法人改革も引き続き重要な課題であります。
 小泉内閣の特殊法人改革は、あと三つを残すだけというところまで参りました。一つは政府系金融機関、一つは、経済産業省の裏金問題の温床にもなった公営ギャンブル法人、そして最後の一つは、不祥事による放送受信料未払い拡大に直面しているNHKであります。特殊法人改革の総仕上げに対する総理の御決意をお伺いいたしたいと存じます。
 次に、公務員改革についてお尋ねいたします。
 今、国民は公務員に対して非常に大きな不信感を持っております。それは、大阪市役所で明らかになった、あきれるほどの優遇ぶりや、やみ専従などの勤務実態、山梨県教職員組合で明らかとなった組織ぐるみの政治介入、また社会保険庁労組の覚書問題など、事件や不祥事の続発を見れば当然のことであります。
 公務員はなぜ仕事をしないのか。公務員の給与はなぜ民間に比べて高いのか。特に、官公庁の労働組合の実態はどうなっているか。一般論としてさまざまな問題が指摘されています。国民に奉仕するのではなく、みずからの身分と既得権を守ることが最優先の目的になっているのであるとすれば、国民に大きくのしかかる社会保障費の負担増や消費税の議論の前に、公務員改革は絶対避けて通れない最重要政治課題と言わなければなりません。(拍手)
 小さな政府の実現に向けて、今後、公務員の人件費削減をどこまでしっかりやっていくおつもりなのか、決意をお示しいただきたいと思います。
 特に、公務員給与については、人事院勧告は国の財政事情を考慮したものとなっておりません。今日の厳しい財政事情を考慮した公務員給与になるよう検討する必要があります。例えば、地方自治体では、地方公務員の給与について人事委員会の勧告をそのまま実施するのではなく、知事や市長が組合と交渉し、勧告よりも引き下げる動きが広まっています。この点についても、総理のお考えをお伺いいたします。
 また、公務員改革においては、天下りの抑制も重要な課題であります。例えば、二〇一〇年とか二〇一五年から全廃すると今のうちに決めておけば、スムーズに対応できるのではないでしょうか。総理の御認識をお伺いいたします。
 次に、特別会計と特定財源制度についてお聞きいたします。
 これらについては、あきれたむだ遣いぶりに国民の強い批判があると同時に、際限のない事業の拡大と継続が官の肥大化を招いており、小さな政府を実現するため、廃止を含めた見直し、削減、効率化など、徹底した改革が不可欠であります。
 私は、改革に当たっては、一、財政再建への貢献、二、官から民への視点、三、むだ遣いの一掃、この三つの視点が必要と考えます。役割を終えた特別会計の廃止や統合、特別会計を管理する役人のむだ遣いの徹底的な排除に加え、市場化テストによる事務事業の民間移譲などの特別会計の廃止も大胆に進めるべきであります。
 さらに、公共事業特会については、事業の縮小や他の必要な事業への使途の拡大、あるいは一般財源化も念頭に見直す必要があると考えます。そのため、まず国土交通省や農林水産省など、複数の事業特会を抱えている役所の特別会計を一本化しなくてはなりません。
 また、道路特定財源については、例えば、本四公団の債務処理のため十七年度は四千八百億円を充当しております。しかし、十八年度に終了することに伴い、十九年度から同規模以上の剰余金が生じる見通しであります。道路特定財源を将来どうするのか。いずれにしても、一方で剰余金があって、一方で国民負担をさらに求めるようなことだけは、これからは絶対にあってはならないのであります。
 特別会計、特定財源についても思い切った改革が必要と考えますが、どのようなスケジュールで改革を進めていくのか、総理の御認識をお尋ねいたします。(拍手)
 さて、国、地方合わせて七百七十兆円もの長期債務残高を抱える財政の健全化も急務な課題であります。当面、国と地方を通じた二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化を達成し、その後、国債残高を着実に減額していくためには、歳出の恒久的削減措置や、社会保障費の伸び率を適正化する改革が不可欠であります。
 しかしながら、私は、そうした措置をしただけで国民に増税という形の安易な負担増を求めるべきではないと考えます。財政再建は歳出削減と増税の組み合わせしかないと考えるのは間違いであります。大事なのは、政府の歳出規模だけではなく、国民生活や経済に対する政府の関与においても小さな政府にする改革でなければなりません。
 つまり、規制撤廃を新たな成長のエンジンとして大胆に進め、民間主導の経済活性化を実現する改革と、市場化テストを活用して、官が税金を使って行う仕事を民間に移譲していく改革をミックスすることによって税収増を実現する、こうして国民への増税を極力回避しつつ、財政健全化を進めていくべきであります。(拍手)
 私は、これこそ小泉改革の目指すべき方向であると信ずるものであります。増税により国民に安易に負担増を求めることなく、小さな政府の改革を徹底して財政健全化を実現するとの力強い御決意を、総理のメッセージとして国民に発していただきたいと存じますが、いかがでしょうか。
 また、借金まみれの民間企業なら、必ず資産を処分して借金を減らします。政府も、資産を処分して借金を減らすべきではないでしょうか。あわせて総理のお考えをお伺いいたします。
 我が国の少子高齢化の勢いはすさまじく、社会保障費は増大し続け、その財源の確保はまことに重要な課題であります。私は、徹底した改革を行った上で、国民が納得できる形で税負担増をお願いすることは避けて通れないことだと考えております。
 我が党の政権公約は、「十九年度を目途に、社会保障給付全般に要する費用の見通し等を踏まえつつ、あらゆる世代が広く公平に負担を分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現する。」としておりますが、十九年度はあくまで目途であり、小さな政府へ向けた改革と社会保障制度の改革をしっかりと行い、国民に増税の提案ができる環境を整えることが大前提であります。
 総理は、選挙中の討論で、十九年度はまだ早いと考えていると述べられましたが、消費税を含む税制の抜本的改革を行う時期や条件について、お考えをお聞きいたしたいと存じます。
 ここで、残された構造改革のテーマについて質問いたします。
 第一に、医療制度の構造改革であります。
 社会保障費は毎年一兆円のペースで増加しており、社会保障制度も既得権にとらわれずに改革していかなければなりません。その意味で、我が党が政権公約に掲げた、将来も国民負担を五〇%以内に抑制するとの数字は大変重要であります。
 年金制度と介護保険制度については、既に大幅な改革が行われました。来年は、残る医療制度改革について、伸び率を適正化する仕組みを講じて国民負担を抑制し、社会保障全体を持続可能なものにしていかなければなりません。
 第二に、農業の構造改革であります。
 日本の農業を国際的に戦える農業へと改革するには、農協等のさらなる構造改革を強力に進めていかなければなりません。
 これらの課題に取り組む総理の御決意をお伺いいたします。
 また、小さな政府を実現する重要なツールとなる市場化テストについて、今後の導入スケジュールとあわせて総理の御見解をお聞かせください。
 さて、日本で初めて年金制度を実施したのは、名君として名高い会津の保科正之でありました。その保科正之は、天下は民あってのもの、民の暮らしを安んずることが政治の責任と申しております。これは現代でも同じでありまして、国民が安心できる年金制度をつくることは、政治の絶対的な命題であると考えます。
 年金制度につきましては、昨年の改革によって持続可能な基盤が確立されました。また、国民負担の上限と年金受給額の下限が設定されました。しかしながら、国民が真に安心するためには、年金制度のさらなる改革を行う必要があります。年金の一元化については、与野党が協力して検討していかなければなりません。が、まずは公務員の既得権の一つとなっている共済年金を早急に厚生年金に統合し、官民格差の是正を行うべきであります。いつまでに統合するおつもりなのか、その目標時期について総理の見解をお伺いしたいと存じます。
 なお、批判される議員年金制度については、我々与党が責任を持って改革することをお約束いたします。(拍手)
 以上、改革の課題について質問いたしましたが、改革が勝ち組、負け組を肯定する競争社会を目指したものでないことは言うまでもありません。その意味で憂慮すべきは、経済が上向いても地域間格差は残念ながら是正されていないということであります。また、大企業と中小企業とのいわゆる民民格差の拡大も懸念されます。
 今必要なことは、日本全体が改革の成果を享受し、豊かな未来を確信できるような政策のめり張りであり、選択と集中であると思います。経済が上向いている今こそが、地域で頑張っている企業や個人を元気にする最大のチャンスだと考えますが、改革の光を出おくれている地域や企業にどう当てていくべきか、総理の御見解をお聞かせください。
 また、原油価格が高騰しておりますが、我が国の物流や経済に及ぼす影響は甚大であり、地域経済を一層疲弊させかねません。緊急かつ時限的な何らかの助成策も必要ではないかと考えますが、この点について、中川経済産業大臣に御見解をお伺いいたします。
 今回の衆議院選挙で自民党は八十三人の新人議員が当選し、従来のしがらみにとらわれない、特定の利益集団に支配されない自民党に生まれ変わりました。我が党は分裂という政治的犠牲を払いましたが、新しい自民党への国民の期待はその影響をはるかに上回り、歴史的な大勝利をいただいたのであります。我々は、今回あらわされた国民の圧倒的な支持と、時代の変化を加速したいとの国民の願いに、あくまでも謙虚に、誠実にこたえていかなければなりません。
 我が党は、選挙を通じて国民に、従来のしがらみや既得権にとらわれず改革を進める覚悟を示しました。今回、我が党が国民に示した意思は、時代を超えて引き継がれていく約束であります。たとえ小泉総裁の任期が来年九月で終わったとしても、自民党そのものが改革政党であり、そのトップは改革の推進者であり続けるのであります。
 当面、十八年度予算に向けては三位一体改革の総仕上げをしなければなりませんが、小泉改革チームとなった自民党は、どのような難題でも、それが国民のためである限り、友党公明党とともに総理の改革実現に結束し、答えを出し、実行していく決意であります。
 総理が思い残すことなく改革に全身全霊で邁進されますよう念願し、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 116305254X00420050928_009

発言者: 武部勤

speaker_id: 7886

日付: 2005-09-28

院: 衆議院

会議名: 本会議