辻元清美の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○辻元委員 社会民主党・市民連合の辻元清美です。皆さん、おはようございます。
 本日は、憲法や国民投票制度と法治国家の関係について意見を述べさせていただきたいと思います。
 前回の三月三十日の本委員会で、自民党の委員の方の中から、日本の憲法と法治国家の関係についての問題提起がありました。これは、アメリカのハーバード大学の研究所で憲法改正の問題について議論されたときのこととしてこのようなことが報告されたことをもとに、ちょっと考えていきたいと思います。
 日本は一体法治国家なのかということを言われてしまった、憲法を変えずに限りなく解釈を広げていって対応している、これで一体法治国家なのか、時には超法規的措置みたいなことを平気でやったりする、このようなことを指摘されまして、何と答えていいのかわからなかったという。私は、この御報告は日本の憲法や国民投票制度をめぐる現在の議論の状況を考える上で大変興味深いと感じました。
 ここで言う、憲法を変えずに限りなく解釈を広げていって対応しているとか、時には超法規的な措置みたいなことを平気でやるという指摘は、一体何のことを指しているかというところから考えていきたいと思います。
 憲法をめぐる議論の中でこの指摘が最もよく当てはまるのは、やはり憲法九条についてではないかと考えられます。アメリカなど海外の研究者から見ると、憲法九条をめぐる状況は、憲法の解釈の枠を超えているのではないか、超法規的措置を時々とっているのではないかというように映るから、こういう発言が出たのではないでしょうか。
 さて、それではだれが主導してこのような状況をつくり出してきたのかを次に考えてみたいと思います。それは、紛れもなく、長年内閣を担当してきた政権ではないか、自民党を中心とした政権ではないかと思うのです。
 私たちの立場から見れば、自分たちで憲法の解釈を限りなく広げ、超法規的な措置を積み重ね、法治国家としての根幹を崩しているというような指摘をされる、そして、海外から日本は法治国家とは言えないのではないかと指摘されたと憂うというか、それを根拠にしてしっかりとした法治国家になるために憲法改正が必要だという主張につなげられているようにお見受けするんです。私は、この論理に大きな矛盾を感じました。
 憲法は国会議員や内閣を縛るためのものであることは何回も議論されております。それなのに、憲法解釈の枠を自由に拡大し、時として超法規的措置と思われるような措置をとるというのは、憲法による縛りを国会議員や内閣が無視してきたことです。法治国家では、何よりも国家機関が法に従わなければならない。それなのに、憲法による制約を認めないというのでは、法治国家ではないと思います。
 しかも、これまで法治国家であるかと海外から疑問を出されるような状況をつくり出してきた内閣や国会議員が、自分たちが積み重ねてきた超法規的と言われるような措置などに合わせた憲法につくりかえないと法治国家として認められないというような論理の方が、私は法治国家を軽視した乱暴な主張ではないかというふうに思うんです。このような論理はよくお見受けしますけれども、このような論理の立て方で法治国家の重要性や憲法改正の必要性を説くところに、現在までの憲法論議を健全なものにしてこなかった原因があるように思うんです。
 そして、憲法改正が必要だ、そのための手続法が必要だという議論の中にも、このような論理をベースにして主張を展開する方々を多数お見受けするように思います。そういうような状況で、どうしても懐疑的にならざるを得ない人たちが出てくるのは当然じゃないでしょうか。中立的な制度としての必要性を論じられている方々も多数いらっしゃることは、私も承知しております。しかし、最高法規をないがしろにして法治国家の意味を軽視してきたと思われている勢力が中心になって、憲法を変えるための手続法をとにかく早くつくらなければ法治国家として恥ずかしいと声高に訴えられても、主客転倒、まず隗より始めよという反応が出てくるのは当然だと思います。
 このような憲法議論をめぐる矛盾した背景を引きずったまま、そして、矛盾した論理を盾にとって、さあ、国民投票をつくろうと主導しようとしている人たちが混在する中で、そんな話にやすやす乗ることはちょっとできないとか、今なぜ急いでつくらなければならないのかと反対または慎重な立場をとる声が出るのは当然であるということを強調したいと思います。
 終わります。

発言情報

speech_id: 116404968X00720060406_012

発言者: 辻元清美

speaker_id: 8731

日付: 2006-04-06

院: 衆議院

会議名: 日本国憲法に関する調査特別委員会