平岡秀夫の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)
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○平岡委員 前回のこの委員会で、憲法九十五条に規定される一つの地方公共団体に適用される特別法に関係する住民投票について私の方からちょっと発言をさせていただきまして、その際に、少し調べてまた発言したいことがあるということで申し上げました。この関連について発言させていただきたいというふうに思います。
地方特別法の住民投票に関する立法というのは、前回も指摘がありましたように、地方自治法二百六十一条及び二百六十二条として昭和二十二年に立法されているということでございますけれども、この法令に基づいて昭和二十六年までの約五年間には十五の法律について住民投票が行われておりますけれども、その後は全く実施されていないという事実があります。前回の発言は、この事実関係と若干混同したところがありました。その点は訂正しておきたいというふうに思います。
しかし、ちょっと現実を見てみますと、なぜ地方特別法の住民投票が実施されていないのかというその理由づけみたいなところを見てみますと、いろいろな理由づけがされていますけれども、どうも住民投票を避けようとするような思惑があるのではないかといったような感じもいたしました。
例えば、普通地方公共団体の組織運営にかかわるものについては対象となるけれども、特定の地域にかかわる国の行政事務や事業については適用にならないんだとか、あるいは特定の地方公共団体に対して利益、便益を与えるようなものは対象にならないのであるとか、あるいは地方公共団体としての本質に触れるような重要な例外、特例でない場合には適用にならないのであるとか、例外、特例が合理的である場合には対象にならないんだ、こういったような理屈がいろいろとされているということであります。そうした結果、先ほど御紹介したように、憲法九十五条の規定が空洞化しているのではないかという疑念も私としては感じました。
そういう意味では、この点について、この憲法調査特別委員会としてもう一つの役割である必要な調査というものを行っていただくという責務があるのではないか。憲法の空洞化が生じているのではないかというふうにも思うので、ぜひお願いを申し上げたいというふうに思います。
他方、この住民投票について、今いろいろと皆さん方で議論しております国民投票制度との関係で指摘したいことがございます。
先ほど言いましたように、地方自治法二百六十一条及び二百六十二条で住民投票の関係の立法がされているわけであります。基本的には公職選挙法の準用という仕組みで行われているわけでありますけれども、果たしてそれでいいんだろうかという問題意識であります。
地方特別法の住民投票の性格というのは、ある意味では、直接民主主義的な意識さえも含めて考えれば、憲法改正手続としての国民投票制度といろいろな観点から類似しているのではないかというふうにも思います。そういう意味からいうと、国民投票制度と現在できている住民投票法制というものがどれだけ整合的なものであるのかというその整合性を考えながら、より現代的な住民投票法制というものとあわせて検討していくべきではないか、この国民投票制度については。そういう点から見ますと、公職選挙法の準用をしているような点で、我々が現在いろいろな国民投票制度の論点として挙げている点で、かなりいろいろな議論が整合的に行われなければならないと思われる部分があるように思います。
例えば、投票権者について言いますと、投票権者の年齢要件とか、あるいは選挙権停止中の者についての投票権をどうするのかといったような問題。あるいは投票運動のあり方については、戸別訪問の禁止の問題とか、あるいは予想投票の禁止、あるいは買収罪とか、公務員などの特定の者の運動の禁止といったような点。それから、投票の要件あるいは国民投票の成立の要件といったような意味からいけば、過半数という言葉が同じように憲法九十五条、九十六条に書いてありますけれども、この過半数というものについては憲法上同じ表現がとられているけれども、それについてはどのように取り扱うのか。あるいは最低投票率というものについて住民投票についてはどう考えるのか。あるいは無効訴訟についてどのように考えるのか。
これらの点については、先ほど申し上げましたように、国民投票制度と住民投票法制との整合性というものをしっかりと検討しなければいけないということを指摘させていただいて、ぜひその作業をこの憲法調査特別委員会でも行っていただきたいと思います。