桝屋敬悟の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)

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○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
 六月一日の衆議院の本会議における趣旨説明そして質疑に続きまして、本日こうしてこの特別委員会におきまして審議が開始されることになりましたことは、委員長を初め与野党の理事の皆さんの熱心なお取り組みがあったと思っているわけでありまして、心から敬意を表したいと思っております。
 正直に申し上げますと、民主党の皆さんとは、今日まで真摯な議論によりまして、私どもとしては九〇%、うちの理事は九五%と言っておりますけれども、合意できているというふうに考えておりまして、できれば一つの法律案にしてこの場で審議をしたかったと思っておるわけでありますが、しかしながら、別の法律案をお出しいただいたということで、より国民の皆さんに論点が明確になることも事実でありまして、この特別委員会の場で、改憲を主張される方々も護憲を主張される方々も、そして創憲、加憲の立場の方々も共通に理解できる公平なルールができ上がることを念じまして、議論を進めてまいりたいと考えております。
 本日、審議が開始されるに当たりまして、基本的なことをまず申し上げてみたいと思います。すなわち、今憲法改正のための国民投票法制が本当に必要なのかとの国民の素朴な質問に対する私どもの姿勢であります。
 現行の日本国憲法は、日本国民の間にその理念、精神が浸透し、広く国民に受け入れられている。そういう実態の中で、憲法九十六条に規定されている改正のための手続法が定められてこなかったのはその必要性がなかったからだ、国民はだれも困っていないし、人権侵害を受けたということもない、こういう意見をこの場でも聞かせていただきました。
 しかしながら、憲法制定以来六十年近くを経た今日の時代の要請とともに、昨年までの中山委員長を初め憲法調査会での議論や努力によりまして、国民世論も大きく動き出したのは紛れもない事実であろうと思っております。そうした状況の中で、現行憲法が例外的に規定しております国民投票の具体的な手続を、国民主権の形として、その直結するものとして制度化することは、私は避けて通れない今日の課題であると思っております。
 今回の憲法改正手続法案の提出は、歴史的に見ても大変大きなことでありまして、評価すべきことであると考えているところであります。とりわけ、憲法改正の中身についてこれから議論を行います我が党といたしましては、改正の中身そのものが国民投票のルールづくりに影響を与えると言われているわけでありまして、この国会において法案が提出されたことを大いに歓迎したいと思っております。
 そこで、本会議でも発言をいたしましたけれども、ここで改めて我が党の現行憲法及び改正憲法に対する基本的な考え方を述べてみたいと思います。
 本会議でも申し上げましたけれども、我が党は、現行の日本国憲法はすぐれた憲法でありまして、戦後、日本の平和と安定、発展に大きく寄与してきたと高く評価しております。中でも、国民主権主義、恒久平和主義、基本的人権の保障の憲法三原則は、普遍のものとしてこれを堅持すべきだと考えております。憲法九条に関しても、我が国の平和主義の象徴であり、戦後の日本の平和と繁栄を築く上で極めて大きな役割を果たしてきたと認識しております。
 したがいまして、我が党は、憲法三原則と平和憲法の象徴であります憲法九条を堅持した上で、時代の変化に応じて現行憲法を部分的に見直し、新しい条文を加え現行憲法を補強していくという、いわゆる加憲という立場に立っております。具体的には、国民主権の一層の明確化、環境権の重視、知る権利やプライバシー権など新たな人権の確立、平和主義のもとで国際貢献の推進、地方分権の確立などなどであります。
 こうした我が党の加憲方式は、現行憲法が広く国民の間に定着をし支持されているという基本認識に立つならば、全部の改正論や逆に全く変えてはいけないとするかたくなな護憲論がともに国民の幅広い理解を得るのはなかなか難しい、時代の発展に伴って必要なものがあるならば、それを加えて補強していく方式の方が現時点では最も現実的な手法であるとの考えに基づくものであります。衆議院憲法調査特別委員会、この委員会におきまして、参考人質疑の中でも、加憲につきましては、広く国民の合意を得る上で現実的な選択肢ではないかとの評価もいただいたところであります。
 さて、もう一点、具体的な中身に入る前に申し上げておきたいと思います。それは代表民主制と直接民主制の話であります。
 もとより、我が国は憲法前文で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」とうたわれておりますように、九十六条に規定する国民投票は例外といたしまして、大原則として代表民主制をとっているわけであります。私は、ここで代表民主制と直接民主制の優劣を議論しようとは思いませんが、とりあえず二つのことを本日は申し上げておきたいと思います。
 一点は、今、憲法改正の国民投票法制、いわゆる直接民主制というものが脚光を浴びているのは、我が国の代表民主制への漠然とした、しかしながら大きな不信感、フラストレーションといいましょうか、こうしたものが背景にあって、その分だけ直接民主制への期待となってあらわれているのではないかと思うわけであります。と同時に、先ほど同僚委員からもお話がありましたが、私は、最近の地方自治体における住民投票の実態を見ながら、十分に議論が熟さないままに住民や国民による直接的な決定が行われるとすれば、それはそれで大きな危険性も有しているわけでありまして、とりわけ私は代表民主制への強い危機感を感じている一人であります。
 二つ目は、この危機感をどう乗り越えるかということでありますが、大事なことは、代表民主制のプロセスを十分機能させて、国民の意思決定ができるだけスムーズに形成されるよう努力をしなければならないということだと思います。直接民主制、この本来の機能が十二分に発揮するためには、代表民主制のこのプロセスが私は大事だと考えているわけであります。
 憲法は、国会の多数決によっては変えることのできないルールであり、国民自身が決定することを求めているわけで、主権者である国民が投票に至るまでの意思形成の過程が極めて大事であります。どのようにして国民の意思を決定していただくのか、そのルールがまさに今回の法案でありまして、今こそしっかりと議論をして結論を得ていかなければならない、このように思っているわけであります。
 直接民主主義の手法をとる憲法改正のための国民投票が本来の機能を果たすためにも、国民の代表である私どもこの特別委員会が真摯な議論を行い、より公正なルールとして法案ができ上がることを心から念願しながら、私の発言を終わらせていただきます。ありがとうございます。

発言情報

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発言者: 桝屋敬悟

speaker_id: 20590

日付: 2006-06-15

院: 衆議院

会議名: 日本国憲法に関する調査特別委員会