園田康博の発言 (本会議)

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○園田康博君 民主党の園田康博でございます。
 ただいま議題となりました政府提出の健康保険法等の一部を改正する法律案、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して、総理並びに厚生労働大臣に質問をいたします。あわせて、民主党提出の小児医療提供体制の確保等のために緊急に講ずべき施策の推進に関する法律案に対しても質問をいたしたいと存じます。(拍手)
 現在、診療報酬制度、医療提供体制に関する制度、健康保険制度などの医療に関する制度は、ことごとく制度疲労が極限まで進行しています。その理由には、それぞれの制度が成立した時代から年月を経て、当時の社会経済状況と様相が一変し、制度創設時点で想定しなかった事態に対応できなくなったことが挙げられます。
 例えば、国民健康保険制度創設当時は、その加入者は、自営業者、農業者など生業を持つ者を想定していましたが、現在は、退職者や無業者、さらには、被用者でありながら国保に加入している者が急速にふえているという状況がございます。
 また、総理は、社会に広がりつつある格差の実態について余り御認識されておられないようでございますが、高度成長期を経て家族像が変容し、近年、単身高齢世帯が増加するに伴い、加入者の年齢、所得構成の保険制度間の格差も広がっております。
 医療提供体制においては、生命と直結する救急医療など、その技術と人材が求められる分野に対する評価が診療報酬でもなされていないために、十分な人材の確保が困難となり、所属する医師、看護師等の医療従事者の疲弊を招き、医療の質の保証ができなくなっているのであります。
 民主党は、今回の政府医療制度改革の柱を、診療報酬制度や小児科問題やがん対策などに象徴される今取り組むべき医療提供体制について抜本的に改めることにあると考えております。その問題の核心部分に踏み込まないままに財政的観点から改革を進めるという点で、従来の医療制度改革と同様に、全く不十分な取り組みであると言わざるを得ません。
 総理並びに厚生労働大臣にお尋ねを申し上げます。今回の法改正を行うことにより、国民の生命を将来においてどのように守り、どのような医療提供体制をつくっていこうとお考えなのか、御見解をお答えください。
 政府が言う医療費の適正化は、医療給付費の抑制を目標に掲げています。医療にかかわる費用は、その対象範囲によって、医療費総額、国民医療費、医療給付費に区分されており、医療給付費は政府が支出する費用をあらわすものでございます。なぜ今回の適正化対象を医療給付費にしたのでしょうか。厚生労働大臣に説明を求めます。
 また、政府支出である医療給付費を抑制するために、政府は今後、患者の自己負担比率の引き上げや食費、居住費負担の引き上げ等を実施することはあるのでしょうか。総理、お答えください。
 医療費適正化の言葉が躍っておりますが、現在の医療提供体制は、患者、被保険者にとって適正な状態であると言えるでしょうか。
 医者、医療従事者の対人口比率、対ベッド比率をアメリカ、ドイツ、フランス、イギリスと比較すると、日本の医者、医療従事者数は最少でございます。千人当たり医師数は、ドイツ、フランスが三・四人、イギリスでも二・二人であるのに対し、日本は二・〇人。病床百床当たり医師数も、アメリカが六十六・八人であるのに対し、日本はわずか十三・七人でございます。後者の病床当たり医師数については、日本の病床数が多過ぎるということもあるでしょうが、人口当たり医師数や看護師数の少なさは群を抜いているではありませんか。
 医者の診療科別の偏在や地域別偏在もありますが、根本的な問題として、現在の医療従事者数では十分な配置ができていないのではないでしょうか。政府は、医師を含む医療従事者の充足率を確認し、必要な医療人材の確保を通じた医療の質の確保、向上を行うことを根拠として医療費のあり方を見るべきと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。
 今回の医療関連法改正において、新たに負担増の施策が組み込まれました。高齢者の窓口負担、高額療養費の定額部分の引き上げ、医療の必要性の少ない入院高齢者の食費、居住費自己負担化等でございます。このように、今回の負担増は、主に高齢者を直撃することになります。
 少子高齢化社会になり、医療を受ける機会のふえる高齢者が増加するに伴い、政府は、医療財政が厳しくなるという仮説に基づいて、高齢者の負担増を盛り込んでおります。一昨年の改正年金法では、マクロ経済スライドの導入により、二〇二五年までの間で一五%の年金給付額を抑制し、さらに、昨年の介護保険法改正で施設入所者の食費、居住費自己負担化の盛り込み、ことしの介護保険料見直しでは平均で二五%、八百円増の四千九十円に保険料の引き上げが行われる中で、医療保険でもさらなる負担増を求めることが可能なほど高齢者の生活に余裕はないと考えられます。
 社会保障制度全体の抑制策から生じる高齢世代の生活レベルの低下、それに伴う受給抑制が、身体状況を悪化させてから受診をさせることになり、当初の目的と反する結果を招くことにならないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 政府法案において、小児の医療費負担軽減を図る趣旨で、軽減期間を三歳未満から義務教育就学前まで延長することとしています。少子化対策の一環としての措置と考えられますが、二年前、そしてことしの三位一体改革関連の児童手当法改正のように、給付対象を段階的に引き上げていくような手法では、国の少子化に対する危機意識は弱いという印象しか与えません。健康弱者である乳幼児期から義務教育終了時までは、安心して医療にかかることができるように、年齢に合わせた負担軽減を行い、育成する家庭の不安を少しでも和らげるべきと考えますが、総理の御見解をお伺いいたします。
 また、今回民主党から小児医療緊急推進法案を提出されておりますが、どうして小児医療に絞った法案を提出されたのか、その経緯を御説明ください。
 政府は、現在三十八万床ある療養型病床を十五万床まで削減することを打ち出しています。しかし、政府の調査によれば、現在、医療、介護の療養型施設に入所するうち七割の人は、何らかの医療的な管理が必要とされています。すなわち、三十八万床のうち二十七万床は必要であると言えるわけですが、政府は十五万床まで削減すると言っております。これでは、政府の調査で医療が必要とされる人たちの分まで病院からほうり出されるのではないでしょうか。
 医療が必要でないと考えられる十一万床分の入院者も、在宅に戻ったり介護関連施設に入居できないことから入院を継続しているんです。その現実を踏まえれば、療養型医療施設の廃止は、介護関連施設や在宅介護の充実が伴わなければ、行き場のない高齢者を社会にほうり出すことにほかなりません。六年間の経過期間を置いておりますが、第三期の施設整備計画が十八年度から開始される中では、施設整備は三年間凍結となります。政府は、この六年間、実質三年間で介護療養型医療施設の廃止を実施できると考えていらっしゃるのでしょうか。厚生労働大臣、明確にその根拠をお示しください。
 政府は、医師の過剰を発生させないために、医学部の定員設定を通じ人材供給をコントロールしておりますが、現に医療現場に従事している医者、医療従事者の不足が指摘されているところでございます。
 人材の偏在は地域医療に影を落としていることは、報道からもかいま見ることができます。政府は過剰な医療従事者を生み出さない方針でありますが、現在の就労状況を見ますと、医療現場はオーバーワークに耐えることで辛うじて人員不足を補い、機能しているにすぎません。これは、先ほど民主党の提案者からも説明があったとおりでございます。このような状況で、医療提供量、質、医療安全確保は十分だと言えるでしょうか。
 報道をにぎわす医療事故は、その原因をたどれば、医療人材の不足から生じる医療スタッフの過労、そして注意力の減退や非常時の判断ミスから、すなわち現在の医療提供体制の構造的な原因から生じているとも考えられるわけでございます。少なくとも、救急医療を中心とした医療提供体制に人材の補充が必要であり、連続勤務を強いられる実態を改善する必要があるのではないでしょうか。このように医師不足や過酷な勤務実態の解消のため、そして医師の使命感、達成感を高めるために政府は何をなすべきであるとお考えか、厚生労働大臣の御見解をお伺いします。
 また、医療事故の原因を究明するためには、中立な調査機関を設置し、そして専門家を含めた冷静な判断に基づく必要があると考えますが、大臣の御見解をあわせて御答弁願います。
 今般の診療報酬改定において、内容のわかる領収書の発行が義務づけられることとなりましたが、どのような薬が使われ、どのような治療や検査が行われているかなどの医療の内容を詳細に把握しようとしますと、レセプト並みの詳細な内容を記した文書の交付が必要となります。しかし、今回の診療報酬改定では、この「さらに詳細な医療費の内容が分かる明細書」を発行するのは努力義務となっており、医療過誤が疑われる場合の患者が医療内容を把握するには高いハードルが残っていることになります。なぜ詳細な医療費の内容がわかる明細書を発行することを義務づけることができないのか、厚生労働大臣の御見解をお伺いいたします。
 民主党は、単なる財政抑制の視点に立つのではなく、患者本位の立場で安心、納得、安全の医療提供体制、これを構築し、国民生活の向上のために全力を尽くすことをお誓い申し上げ、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇〕

発言情報

speech_id: 116405254X02020060406_026

発言者: 園田康博

speaker_id: 31593

日付: 2006-04-06

院: 衆議院

会議名: 本会議