舛添要一の発言 (憲法調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○舛添要一君 今、日本で憲法改正の議論、それから国民投票法案をどうするかという議論がございますんで、そういうことを念頭に置きながら、ヨーロッパでの調査について御報告申し上げたいと思います。
 大きく分けて二つの点を申し上げます。一つは憲法裁判所の設置をするか否かということ、第二は国民投票法案をどうまとめるかという点であります。
 フランスは、憲法院、コンセーユコンスティチューショネルという名前で憲法裁判所を呼んでおります。我が国の最高裁判所は具体的な規範統制のみを行っていますけれども、フランスの場合は当然法律の合憲性審査ということで抽象的規範統制を行っております。
 我が自民党の新憲法草案は憲法裁判所を設けないことになっていますが、私は個人的には憲法裁判所に賛成の立場を取ってきました。
 憲法裁判所を設置しないという多数意見が我が自民党の中で有力となったのは、立法権を持つ我々の権利を、例えば内閣法制局の憲法解釈によって大きく傷付けられているんではないかと、内閣法制局ですらそこまで立法権を阻害するのであれば、それよりもっと大きな権力を持った憲法裁判所を設ければ更なる規制があるんじゃないかという、むしろ立法府の懸念というか、長い間政治経験を重ねられた自民党の国会議員の先生方の意見が強かったわけでありますけれども、フランスの場合は、そういうことが起こらないために、一つは、憲法院は九名のメンバーで構成しているんですけれども、そのうちの三分の一を大統領が指名する、残りの三分の一を上院議長が指名する、更に残りの三分の一は下院議長が指名しますから、要するに、行政権が任命するのは三分の一で、立法、つまり国会が任命するのが三分の二となっております。
 ちなみに、大統領経験者は自動的にメンバーに加わりますから、今はジスカールデスタン元大統領が入っていますから十名です。
 そういうことであるとともに、実を言うと、フランスの場合、非常に私は憲法裁判所が画期的だったと思うのは、二〇〇四年十月にローマにおいて欧州憲法条約案を作ったときに、それまでのフランスの第五共和制憲法ですとこれは違憲になってしまうんですね。つまり、超国家的なシステムを想定していなかった。そこで、フランス憲法院は、これは違憲であるという解釈を下す。それを受けて憲法改正が必要との判断が出ましたのでその憲法改正手続を取りまして、これは国民投票ではなくて両院の合同協議会、コングレと呼びますけれども、ここで採択されて改正案が二〇〇五年三月一日の法律となりました。そして、そこから先は昨年、このEU憲法を、条約案を国民投票にかけたら、これは国民投票で否決をされたわけですけど。
 いずれにしても、新しい時代に新しい判断を下すことによって憲法改正を推し進めるという実績があったという意味においてフランスの憲法院というのは大きな評価をしていいと思いますんで、もし私たちが憲法裁判所を作るとするならば、範に取るのは、韓国ではなくてフランスの憲法院であろうというふうに思います。
 それで、今国民投票について申し上げましたけど、これも時間限られているので幾つかのポイントだけ申し上げますと、フランスは、今会長の御説明にもありましたように、国民投票は法案というのを作りません。国民投票をやるごとにデクレという、デクレって、まあ省令と言ってもいいですが、その規則を作る。で、それは何で恒常的な法を作らないのかというと、時代がどんどん変わっている、インターネットが入ってきた、じゃそれに合った法律、ルールを作った方がいい。それから、毎回作るたびにデクレが違ってきますから、国民投票の投票時間をその状況に応じて長くしたり遅くしたりしている。だから、フレキシビリティーを担保するという意味ではこういう形でやる方法もあるということを御紹介申し上げておきたいと思います。
 それから、これは民主党の簗瀬先生なんかは常におっしゃっていることですが、国民投票の対象を憲法改正ではなくて大きな一般的政策についてもやれということで、これはフランスはそういうことをやっているんですけれども、しかしながら、これはある意味でもろ刃の剣で、一九六九年にドゴールが上院の改革ということを国民投票にかけたんで、上院改革というよりこれはドゴールに対するウイかノンかと、イエスかノーかということだったんで、結局ノーという答えが出てしまったんで、政治指導者にとってはもろ刃の剣になるよということを申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つ、細かい投票ルールについてはもう時間がありませんので申し上げませんけど、一つだけ私は賛成なのは、政党助成金を出しているということであります。やはり、これはみんなが自由に国民投票の運動をやればいいんですけど、私は政党政治というのは今日の現代民主主義の基本だと思いますんで、ちょうど公職選挙法で同じように助成金を出す、それから政党助成金も出していますけど、それと同じように、フランスの場合上限が八十万ユーロですから大体一億円ぐらいになりましょうか、それぐらいのは民主主義のコストとして出して基本的に政党を中心の運動をやった方がいいのかなと、そういう感想を抱きました。
 また、後ほど御質問があれば議論をいたしたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

speech_id: 116414184X00120060222_004

発言者: 舛添要一

speaker_id: 6496

日付: 2006-02-22

院: 参議院

会議名: 憲法調査会