浅尾慶一郎の発言 (憲法調査会)
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○浅尾慶一郎君 私の方からは、今回の調査に参らせていただきまして私自身が持ちました印象について幾つか述べさせていただきたいと思いますが、まず第一にポイントとして申し上げたいのは、国民投票というのはすべからくその国の制度の中に組み込まれているものであるので、他国の例をそのまま持ってきてもそのとおりにはいかないだろうというのが一番のポイントで申し上げたいところであります。
具体的に申し上げますと、会長の報告にもございましたけれども、例えば、スイスの場合はほぼすべてのことが国民投票にかかると、重要なことはすべてかかると、あるいは地方の自治体においても重要なことはその地域の住民投票にかかるということでありますので、そういう国における国民投票あるいは投票と、日本の今の制度でいえば、制度で規定されておりますのは憲法改正のときの国民投票でありますけれども、その国民投票とではおのずと違いがあるんではなかろうか。
もう少し具体的に言いますと、スイスの場合は国民投票の告知ということにそれなりに力を入れているわけでありますが、こういう発言をすると若干語弊があるかもしれませんが、めったにない憲法改正ということであれば、その告知そのものに力を入れるほどのことを日本の場合は場合によってはやる必要がないんではないかなと。これは、まあもう少し検討が、必要があるでしょうけれども、ただ私の率直な感想で申し上げれば、恐らくマスコミもかなり大きくそのことは取り上げるでしょうから、告知ということについて力を入れる必要性があるいはないのかもしれないというふうに思います。
逆に、今のケースを欧州条約の件でとらえて考えてみますと、欧州条約はもちろん、ここの報告にもありますように条約でありますから、その批准は何も国民投票にかける必要性はないわけでありますけれども、欧州憲法といってもこれは条約の集大成ということでありますから、国民投票にかける必要性自体はなかったんだと思いますが、それぞれフランスあるいはオランダにおいて、それを国民投票にかけるという決意をその時の政府が示し、そして国民投票にかけたということでありますが、それは、常にかけるものではないものを国民投票にかけた結果、これは訪問先でヒアリングをした結果私なりに理解をしたことでありますが、例えばフランスで否決されたのは、それまでの条約の集大成、条約そのものに対して反対しているというよりかは、そのときの政治風土が反対に表れたということでありまして、したがって、日本に翻って、ここは日本の憲法調査会ですから考えてみますと、憲法改正の国民投票において参考になるとするならば、それは憲法改正の条文そのものを問うていくような国民投票にしないと、そのときそのときの政治状況によって、あるいは場合によってはというふうに表現した方がいいかもしれませんが、その問われていること自体以外のものが日本においても国民投票において問われるようになるんではないかという印象を持ちました。別の言い方をするとするならば、国民からすれば、憲法改正という、まあめったにない、そのことによる国民投票ということではありますけれども、そのことと、そのときの政治状況によってもたらされる印象、イメージによって投票行動が変わる可能性があるんではないかなというふうに思います。
そのことの是非は何とも述べられませんが、率直に言えば、その国民投票で求められるのは、正に条文、憲法の改正ということであれば、条文そのものに対する改正についての認識ということになってくるんではないかなというふうに思いますんで、先ほど国民投票のあることの周知徹底はあるいは他国と比べてさほど必要ないということを申し上げましたが、その中身についての客観的な徹底は日本においても必要なんではないかなというふうに考えております。
そして、最後に、フランスのケースから参考になることを申し上げさせていただいて発言を終えたいというふうに思いますが、今、舛添委員の方からもお話がございましたように、フランスにおいては、国民投票にかけるかかけないかというところについてやや柔軟なところもあるということでございました。
我が国においては、これはもう、かけるべきものというのは当然かけていかなければいけないということだと思いますが、そこで逆に柔軟にすればするほど、これは欧州憲法条約についても同じだと思いますが、欧州憲法についても同じだと思いますけれども、そのときの政治状況によって有権者の判断が変わってくる可能性もあるんではないかと、そういう率直な印象を受けましたので、そのことを申し上げさせていただきまして、時間になりましたので発言を終えたいと思います。