簗瀬進の発言 (憲法調査会)
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○簗瀬進君 民主党の代表幹事を務めます簗瀬進でございます。
憲法改正国民投票法制に関する私ども民主党の考え方、あるいは基本的にどんな論点が挙げられるかということについては、既に三月二十九日付けで論点メモを提出をしてありますので、今回は、その中で重点を絞りながら、我が党の考え方の基本を御説明をさせていただければと思います。
マスコミ的には、自公民はこの国民投票法で随分接近をしていると、かなり一致点があるかのような報道が出ております。しかし、私個人にとってみれば、一番最初のスタートラインでの溝というようなものは依然として埋まっていないんではないのかな、こういう感じがするわけであります。
まず前提として、どうも憲法という国家の最高規範と、それから通常の国会制定法をどうも同じように考えているんではないのかなと、節が見受けられるわけでございます。
私どもは、そういう意味では、今回の国民投票法を定めるについて、これを一般国民投票法制をつくるべきであるという、こういう立場を明瞭にさせていただいております。そして、そのうちの各論の一つが憲法改正手続であり、もう一つがいわゆる国政問題に関する一般的な国民投票であると、それを二つをくくるものとして国民投票法制を定めるべきであると、このように考えておるわけでございます。
なぜかといいますれば、言うならば、先ほどのお話にこれつながる話でございますけれども、憲法改正というのは、言うならば憲法制定権者としての国民の、民主主義の基本としての権限の発動でございます。したがいまして、その憲法改正を行うということについては、できる限り主権者としての国民の考え方が生に非常にストレートに出てくるような、そういう手続をつくるべきであろうと、私どもはこのように考えているわけでございまして、このことがすべてに広がりを見せてまいります。
例えば、先ほど申し上げたように、我が国が、ある意味で間接民主制の限界を意識しながら、重要な国政問題については国民の考え方を直接聞かせていただこうというのは、正に憲法改正に非常に率直に表れている、直接民主主義の新たな二十一世紀的な発動の姿なんではないのかな、こういうふうに考えておるわけでございますし、通常の国会議員の選挙、これの投票年齢をそのまま憲法改正に当てはめてこようというのは、いわゆる代議制民主主義というようなものが憲法によって、一種選挙制度は憲法で、立法によって定めるという国会の意思によって選挙制度が出てくるわけでございまして、ある意味では憲法の下位規範としての選挙制度の中で様々な投票要件が出てくるわけでございますけれども、これが憲法改正という形になりますと、非常にもっと原初的な形で国民の率直的な意見が出てもいいんではないのかなと、こういうふうに考えるから、投票要件については別に通常の国政選挙の投票年齢に横並びにする必要はないと、こういうふうな考え方になってくるわけであります。
そういうことで、正に私どもは、今回の国民投票をつくるにしても、まず基本的にはいわゆる民主主義の本来的な姿であります直接民主主義の発動の在り方をどういうふうに考えていくのか。その一つの表れが憲法改正という行為であり、もう一つの表れが重要な国政問題に対する国民の権利行使であると、こういうふうに整理をしていくべきではないのかなと、このように考えておるわけでございまして、ここが自公案と我が民主党のいわゆる考え方の大変大きな違いなんではないのかなと、こういうふうに考えるわけであります。
その次に、総論的な問題として、私たちは憲法改正の限界というようなものをどういうふうに考えていくのかということについてもきちんとした議論をしなければならないと、こういうふうに思っているわけであります。
自民党、公明党さんもいわゆるこの手続をつくるに際して、無効争訟、投票の効力に関する争訟制度をつくるということについては、これは同じような考え方に立っていらっしゃるようでございますけれども、仮にそうであるとするならば、この憲法改正の限界として考えられたものが無効争訟の中にどういうふうな形で反映をしていくのかという、そういう結論も出していかなければならないと。そういうふうに考えてみますと、手続法の中で憲法改正の限界というようなものについてどういう対応を取るのかなということはやっぱり一つ大きなポイントとして出てくるのではないのかな、このように考えているわけでございます。
以上、総論的なところで国民投票法についての一般的な性格付け。私どもは、正に憲法改正手続とそれから通常の重要な国政問題に関する国民投票と、それを総合的に対処できるような国民投票法制をつくるべきだと、そういう新しい二十一世紀的な民主主義の姿をどう考えるのかという、そういう考え方に立ってこの国民投票法の議論をすべきだと、こういうふうに思っているということが一つ。
それから、仮に無効争訟制度というようなものをつくるということになれば、今申し上げた憲法改正の限界についてのもうちょっと精度の高い議論をしていく必要があると、このように考えているわけでございます。
今の考え方が私はスタートだと思っております。そして、その上で、各論的なところで様々な細かな論点、大きな論点があるわけでございますけれども、例えば国民投票運動についてのその在り方でございますが、正に先ほど申し上げたように、憲法改正が国民の主権者としての権限を非常に率直に受ける機会であるということを前提にするならば、基本的には原則自由で最小限の規制にとどめるべきであると、こういうふうな原則的な考え方が出てまいるわけであります。
そういう観点に立って、例えば運動の主体に関する規制、例えば特定公務員、例えば選管職員をどうするのか。選管職員のみに限って国民投票運動を禁止すれば足りると、それ以外については広くこの運動を認めるべきであるとか、あるいは公務員、教育者の地位利用による国民投票運動ということについては、国家公務員法等の政治活動の制限規定で対処すれば足りることであり、新たな制約を設けるべきではないとか、あるいは外国人の国民投票運動をどうするのかということでございますけれども、こういう論点についても、公共の福祉に反する場合を除き、基本的に外国人にも国民投票運動は保障されるべきであると、こういうふうな考え方にこれがつながってくるわけであります。
さらには、先ほどの言うならば年齢の話も、私どもは単に十八歳を言っているわけではございません。案件によりますれば、例えば十八歳以下の者でも、教育関係あるいは介護の問題とか様々な部分で自分にかかわりのある様々な重要な課題が憲法の中にも当然含まれてくるわけでありますから、それを前提にするならば、先ほど申し上げた、いわゆる憲法の授権による国政選挙、その資格要件であります二十歳とか、そういうことと横並びで考える必要は全くない。案件によれば十八歳よりももっと下げていいんではないのかなと、こういう場合が出てくると、このように考えておるわけであります。
その他、投票用紙への賛否の記載の方法とか、過半数の意義とか効果とか、様々な細かな論点がありますけれども、いずれにしても、基本的にはこのすべての問題解決のキーワードというようなものは、憲法改正というようなものが主権者としての国民の非常に原初的な権限の発動であるというところからすべてを組み立てて考えていくべきなのではないのかなと、このように考えているわけでございます。
さらに、このようなことから、例えば国会法改正にも絡む論点が幾つかあるわけでありますけれども、例えば憲法改正原案の提出というところでは、私どもは内閣の提案権は認めるべきではないと、このように考えておりますし、また国民請願による憲法改正案の提案ということについても、一定の限度で、国民の側から憲法改正の案が出てきた場合は、それをしっかりと受け止められるようなそういう制度をつくるべきであると、このように考えておる次第でございます。
いずれにしても、EUの新しい国家の枠組みを超えるようなそういうシステムが出てくるときに、それぞれの国民の直接的な意見を聞きながら国の新たな姿を形作っていったというあのヨーロッパの経験は、これから国民投票法制を議論をする際にも、しっかりとそれを踏まえながら、二十一世紀の新しい民主主義の姿というようなものを考えていく必要があるのではないのかなと思っておる次第でございます。
また、衆議院での議論もございますけれども、参議院に参りまして新たな追加論点が出てまいりましたので、そのことについて若干触れさせていただきたいと思います。
例えば、天皇、皇族の投票権の有無というような問題もあるのではないのかなと思います。
皇室典範の改正という問題が出てまいりましたが、非常に皇族御自身にも関係の深いテーマであるということは、これは言わずもがなでございます。天皇、皇族とも投票権を有すると、このように考えてもいいのではないのかなという意見も党内にはございます。結論は出ておりません。
諸外国を参照いたしますと、例えば王室制度を有しておる諸外国の中には王族に国民投票権を与えている例があると、こういうこともございますので、しっかりとやっぱりこのことも議論をすべきなのではないかなと思う次第でございます。
それから、同一案の再発議の可否という問題も新たに参議院の段階で私ども論点として追加をさせていただいた部分でございます。スロバキア共和国憲法では、直近の国民投票の実施から三年経過後には同一の問題に関する国民投票を再度実施することができると、すなわち三年間はいじってはならないと、こういうふうな規定を置いてあるところもございまして、一事不再議ではございませんけれども、同一案、憲法改正案が否決をされた後どうしたらいいのかと、こういうふうなことについても論点として考えられるのではないのか。
また、国民投票運動への公費助成とか費用規制の点も新たに出てまいります。大変圧倒的な物量で一種のマインドコントロールが行われるようなところで憲法改正が行われていいんだろうかと、こういうふうな問題意識でもございます。
それから、我が党としてもう一つ結論が出せていない部分がございます。それは、最低投票率制度を導入することの是非でございます。これについてはまだ意見が実はまとまっておりません。例えば、憲法改正を実施してみたら投票率が三〇%にも満たなかった、そこで過半数で決まるという形になりますと、国民の一〇%前後で憲法改正が行われてしまう、こういうふうな状況でよろしいんだろうかという、こういう議論もきちんとしていかなければならないと思っております。
以上、かいつまんで重要と思われる論点について御報告をさせていただきました。
ありがとうございました。