山口那津男の発言 (憲法調査会)

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○山口那津男君 公明党の山口那津男でございます。
 論点について、私ども公明党の考えを述べさせていただきたいと思います。この各論点に対する公明党の意見は別の機会に譲りたいと思います。
 まず掲げましたのは、総論的な事項として、国政選挙と同時実施することを念頭に置くか否かという論点であります。国民の参加を広く促すという意味では国政選挙と同時実施という考え方もあり得ますし、また、民意の拡散を防いで集中させるという意味ではこれを避けるという選択肢もあり得るというところで、論点となり得るものであります。
 次に、一般的な国民投票も対象とするか、あるいは憲法改正国民投票に限定すべきかという点でありますが、この点も、投票の結果、法的効果を生じさせるものと政治的な重要な参考意見にとどめるかどうかという二つのものを一緒に制度として仕組むかどうかという判断の問題でありまして、これは重要な論点の一つと思われます。
 次に、各論的な事項として、投票権者と投票人名簿の関係について。投票権者の範囲については、国政選挙と一致をさせ選挙人名簿をそのまま用いるという考え方もあり得ますし、この憲法改正については、国家の基本を定めるものであるから、できるだけ幅広く認める必要があるということで、国政選挙の有権者と一致させる必要はないとする考え方があり得ると思われます。
 その広く認める場合の一つの視点として、投票権者の年齢を十八歳以上として二十歳よりも下げるという視点、それから選挙権停止中の者、これも、人を選ぶ選挙あるいは政党を選ぶ選挙とこの憲法の選挙というのは価値判断の基準が異なるということで、投票権を与えてもいいという考え方もあり得るということであります。
 さらに、三か月の居住要件というのが公職選挙法にございますが、これは二重投票を防ぐという意味と、どの場所で投票すべきかという点を考慮するものでありますが、憲法については全国で二重投票を防ぐということを最も重視すべきか否かという論点になろうかと思います。
 次に、投票期日及び憲法改正案の周知、広報の在り方に関する論点であります。
 投票期日までの周知期間をどの程度とするかということでありますが、これはどういう発議の仕方をするかにもかかわるところでありますけれども、慎重かつ十分な配慮期間、周知期間というものを基本的に置くべきであろうと思われます。
 次に、投票期日をだれが定めるかということでありますが、この投票について、発議者以外の機関をつくってそこにゆだねるという考え方もあり得ますが、まず発議者が基本的にすべてを、手続的なことを決めると、詳細を決めるという考え方もあり得るところでありまして、ここも論点になると思われます。
 憲法改正案の周知、広報の在り方についてでありますが、どのような事項を記載した資料を配布することとすべきかということで、これは発議者の意見を分かりやすく解説する、その意味で要約あるいは賛成の論拠というものを記載するのは当然でありますが、反対の立場からの論拠というものも載せる必要があると思われますが、その作り方、範囲についてはいろいろと意見のあり得るところだろうと思います。そのパンフレットをだれが作成すべきかということについても、これを発議する国会の側に例えば憲法改正広報協議会等々あるいは国民投票委員会というような機関をつくって、この作成の内容について詳細を詰めるという手続が必要かと思われますが、そこも一つの論点であります。また、そのような機関を国会につくった場合にその構成をどうするかということ、これは発議に賛成する側と反対する側が予想される中で、公正な中身というものを詰めていく必要があると思われます。
 次に、国民投票運動の在り方についてでありますが、この国民投票の運動については原則自由として、投票の公正確保のための最小限の規制を課すということを基本に考えるべきであると思われます。その上で、次のような規制又は助成の規定を置くべきかどうかが論点となると思われます。
 まず、運動の主体に関する規制についてですが、公選法等にあるように、特定の公務員、例えば選管職員などの国民投票運動を禁止するべきか否かという点があります。それから、公務員あるいは教育者等の国民投票運動の禁止を設けるべきか否かという点があります。
 次に、外国人の国民投票運動の禁止の是非ということも論点となり得ると思います。今の憲法の解釈においては、基本的な人権も可能な限りその性質に応じて外国人にも適用されるべしという理解でありまして、その改正を論ずる場合に外国人に対する人権が論点になるということも観念的にはあり得るわけでありまして、その場合に、外国人の国民投票運動の参加を拒否していいのかどうかというところが論点となり得ると思います。
 次に、運動の期間、方法に関する規制の在り方でありますが、公職選挙法の戸別訪問の禁止、飲食物の提供の禁止等の是非、これについても議論の余地があると思われます。特に、この国家の基本法である憲法に対する国民の参加を促すためには、人を選ぶ、あるいは政党を選ぶ選挙とは別な視点からの規制の在り方というものを検討すべきであろうと思われます。
 予想投票の公表の禁止。これも、人を選ぶ、政党を選ぶ選挙とは違った視点で検討されるべきものがあると思います。
 また、マスコミに対する規制についてでありますが、新聞、雑誌、テレビ等の虚偽報道、不法利用等の禁止は、必要最小限の規制にとどめるべきであると思われます。基本的には、自由な中で自主的な規制に任せるという基本の上で、どの程度の規制を設けるべきかということを議論されなければなりません。
 例えば、放送メディアの影響力が強いということを考慮した場合には、投票期日直前の一定期間にスポットCMの禁止等を設けるべきかどうかというところが現実的な論点になり得るだろうと思います。
 それから、罰則による規制でありますが、投票干渉罪、投票箱開披罪、詐偽投票罪等、これら公選法と同様の規定を置くべきか否かということも論点であります。
 それから、買収罪の是非ということでありますが、これも、人を選ぶ選挙、政党を選ぶ選挙ではないと、むしろ国民の参加を広く促すという意味から、厳密な規制を設けるべきかどうかということについては議論のあり得るところであろうと思われます。
 それから、投票の自由、平穏を害する罪等の是非。これについては、投票過程の公正をどの程度担保すべきかという点で議論のあり得るところだろうと思います。
 次に、国民投票運動への公費助成についてですが、これは、発議にかかわった賛否いずれの立場からも、テレビ、新聞に無料枠の提供を考えるべきか否かといった、国民参加を広く促すためにどのような仕組みがあり得るべきかということで論点となり得ると思います。
 次に、投票用紙とその記載方法についてでありますが、投票用紙の様式等をどうするか、これは個別条項ごとに賛否を問うべきか、あるいは一括でやるべきかという考え方の違いによってくるところであります。我が公明党のように加憲という考え方を取っている立場からすれば、個別投票、個別項目ごとの投票が可能となるような記載の投票用紙の様式というものを考慮すべきであろうと思われます。ただし、憲法の中には、例えば基本的人権のように個別ごとの検討になじむ分野と、統治機構のように全体としてシステムの一体性というものが重んじられる分野とそれぞれありますので、この記載の在り方については十分な慎重な議論が必要かと思われます。
 投票用紙への賛否の記載方法をどうするかということでありますが、マルかバツか、あるいは賛成、反対を明記させるかどうか、いろいろな記載の在り方が考えられると思いますが、いずれにしてもその意思を明確に判断できる、そういう記載方法を検討すべきであると思います。
 次に、過半数という憲法の規定の意義でありますが、これは、有効投票総数の過半数と考えるべきか投票総数の過半数と考えるべきか、非常に難しい論点、非常に重要な論点であろうと思います。
 また次に、最低投票率制度を導入すべきかどうかというところでありますが、これは、棄権運動などが起きてくることも予想しながらこういう制度の是非を考えるべきだろうと思います。これは、有効投票総数の過半数か投票総数の過半数かいずれかを取った場合に、現実にどういう投票行動が出てくるかということとも関連する問題でありまして、仮に有効投票総数の過半数といった場合に、実際問題、非常に低い投票率で賛成意見が形成されるということもあり得るわけでありまして、この点、関連させた議論が必要だろうと思われます。
 次に、投票の効力に関する争訟制度、これは投票制度をつくる以上必ず設けなければならないと思われますが、無効訴訟をどこで提起できるようにするか、管轄、あるいは三審制、二審制等々、どのような制度とすべきかを検討すべきであります。
 次に、投票結果はいつ確定することとすべきかということでありますが、これを早く確定すべきか、あるいは慎重に争訟の確定等を待って確定させるべきか等々、考え方の分かれ得るところであります。それは、次の執行停止の制度を導入すべきかとも関連しているわけでありますが、投票結果を早く確定させた上で例外的な制度を設けるべきとするかどうかという点であります。
 次の論点として、在外投票制度についてでありますが、この点については可能な限り広く認める方向で制度を検討すべきかと思われます。
 それから、郵便投票制度の簡素化等ができるかどうかということでありますが、これも、投票の機会を広く保障する必要があるという点で、現行よりも広く認める余地があるのではないかという意見もあり得るところであります。
 さらに、国会法の改正案についても主要な論点を提起いたしました。
 これについては、まず提案権の所在でありますが、内閣にも認めるべきかどうかということでありまして、三権分立との関係で議論のあり得るところであります。
 それから、国民請願による憲法改正案の提案のような制度を認めるべきかどうかということでありますが、これは請願の果たす役割と現行の機能とを比較しながらこれを検討すべきであろうと思われます。
 憲法改正案の審議の体制、手続についても決めなければなりません。憲法調査委員会等の権限をどうするかというようなことと関連すると思われます。
 また、憲法改正案の審議手続、議事手続の特則を設けるべきか否か、例えば中央・地方公聴会を義務的なものとするかどうか、こういう論点があり得ると思います。
 また、憲法改正案の発議についてですが、総議員という憲法上の規定、これが現在議員数か法定議員数か、この解釈の分かれが生じないように明確に規定する必要があるだろうと思います。
 それから、発議の在り方については、個別項目ごとにするかあるいは一括にするか、これは先ほど述べたことと関連するわけでありまして、ここも発議の在り方について重要な論点であると思われます。
 以上、主要なものについて意見を述べさせていただきました。
 終わります。

発言情報

speech_id: 116414184X00220060419_006

発言者: 山口那津男

speaker_id: 1759

日付: 2006-04-19

院: 参議院

会議名: 憲法調査会