高嶋良充の発言 (憲法調査会)
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○高嶋良充君 私は、各会派から提出されました主要論点の中でも、総論的な論点について、他党との違いも含めて意見を表明をさせていただきたいと思います。
まず、先ほど岡田委員からも述べられました憲法改正国民投票制の要否、いわゆるそもそも論から述べたいというふうに思います。
民主党は、憲法改正国民投票制度そのものについては必要であるというのが原則的な立場でございます。その理由は、憲法制定権の担い手である国民がその権利を行使する制度を整備をするということは、国民の主権を回復をし、真の国民主権を具体化することであるというふうに考えているからであります。
じゃ、いつ制定すべきなのかという問題であります。
自民党、さらに先ほどの岡田委員からは、速やかに制定すべきとの意見が述べられておりますけれども、私は、国民的議論の成熟度という面からは慎重であるべきだというふうに考えております。平成十七年の十月十三日の衆議院憲法調査特別委員会において、高橋正俊参考人は、国民投票法が国家の基本法であることからすれば、十分な時間的余裕を持って直近の政治状況に惑わされずに制定することが理想であると、このように述べておられますが、私も同感でございます。
既に政権党から具体的な憲法改正草案が公表、提示されているという状況の下で、本当に中立公正な国民投票法を制定することができるのかどうか疑問であると言わざるを得ません。今必要なことは、直近の政治状況に惑わされないためにも、憲法改正論議と国民投票法の議論を明確に切り離して行うべきであります。
前回の調査会で自民党の若林幹事からも、憲法を変える、変えないという議論とは切り離して、憲法改正についての意見の違いを超えて、公正中立な改正手続のルールとして制定すべきであると述べられました。であるならば、政権党である自民党は、新憲法草案なるものを白紙に戻すくらいの配慮が必要なのではないかと思っているわけであります。
さらに、投票法に対する国民の関心がまだまだ低い、国民的議論が成熟をしていないという状況の下では、衆議院で言われているような今国会で成立をさせるとか、本年中に成立とかの期限の特定はもってのほかであると思っております。
いずれにしても、今一番大切なことは、国民的議論を高めることであります。そのためにも、十分に時間的な余裕を持って本調査会で引き続き慎重に調査を行うべきであると考えております。
第二に、憲法改正の限界論についてであります。
衆議院の憲法調査会において自民党は、現憲法の良いところを堅持しつつ、全面改正という形式によって新憲法を制定することは憲法九十六条の許容するところではないかと主張をされていますが、私どもは、憲法改正権は憲法自身によって設けられた権限であるから、改正の範囲には限界があると考えています。
九十六条二項には、改正憲法をこの憲法と一体を成すものとして公布することが定められています。この規定が現行憲法の存在を前提としていることは明らかであり、全面改正は認められないと考えています。憲法改正の限界は憲法の同一性が保たれるか否かであります。現行憲法の基本理念である国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、これらを変更する憲法改正は行うべきではありませんし、また、他の規定よりも上位にあると思われるものは改正できないと考えています。
憲法改正に限界があるとしているのは、日本だけに限りません。ヨーロッパでも、軍部による独裁、圧制を経験した国においては、改正に限界があることを記している国もございます。また、憲法改正の限界を超えた改正については、裁判所による無効判決の原因となるものにすべきではないかとも考えております。
第三に、国民投票法案の対象範囲についてであります。
国民投票制度を適用させる範囲について、今回は、憲法改正時の国民投票制度に限定すべきであるというのが自民党の考えのようでありますが、民主党は、前回の調査会で簗瀬幹事が申し上げたとおり、国政の問題に関する一般投票も規定すべきであると考えています。
国政における重要な問題に関して国会がその旨を議決した場合は、憲法改正国民投票とは別に、国民投票に付することができる法制をつくるべきであると考えています。例えば、皇室典範の改正について、象徴天皇制が国民の総意に基づいていることからも、国民投票に付してもよいテーマであるはずであります。また、欧州の国民投票制度の調査によれば、各国は憲法改正の場合以外にも直接民主制の手法を限定的ではありますが採用していることは、本調査会の海外調査でも明らかになっているとおりであります。
第四に、投票権者の範囲についてであります。
今日までの論点として、第一は、国政選挙と一致させ二十歳とすべきとの意見、第二は、国政選挙と一致させるべきであるが十八歳にすべきとの意見、第三は、国政選挙と必ずしも一致させる必要はなく十八歳とすべきとの意見、第四は、最近自公で合意されたと言われる、当面は二十歳以上とするが年限を切って国政選挙の選挙年齢と一緒に十八歳に引き下げるべきとの意見がございます。
民主党は第三の考え方に立ち、投票年齢はあくまで十八歳以上あるいはそれよりも若い世代の国民とすべきであると考えています。その理由は、国政選挙と国民投票は本質的に異なっていることから、投票者の範囲も当然ながら異なってもよく、憲法改正国民投票は二十一世紀の国の形を決める大変重要な国民の意思表示であることから、幅広く多くの国民に投票へ参加してもらうことが重要であるとの考え方からであります。このため、投票権者は原則十八歳以上とし、例えば未成年者の人権にかかわる憲法改正の場合など、国民投票に付する憲法改正又は案件の内容に応じ、両議院の議決によって年齢要件を下げることができるようにすべきであると考えています。
なお、自公で合意された当面二十歳以上の考え方の要因には、年齢は国政選挙と一致させるべきとの理由が大きいと思われます。しかし、自民党は、国政選挙と憲法改正国民投票とは同時実施すべきではないとの御意見のようでもあり、そうであるならば、国政選挙と同年齢にこだわる必要はないと考えます。また、前回の調査会で若林幹事は、選挙権者と投票権者の範囲が異なれば、コストや名簿調製等実務的に困難であると述べられています。そうであるならば、この機会に選挙年齢も十八歳に引き下げることが一番良い問題解決の方法ではないでしょうか。
既に民主党は、国政選挙の選挙権の年齢を二十歳以上から十八歳以上に引き下げることをマニフェスト等で主張していることを申し添えておきたいと思います。
以上が私の意見でございます。後ほど同僚委員からも意見が述べられると思いますが、手続法といえども国家の基本にかかわる重要な法制度であり、拙速は避け慎重に、そして国民とともに論議を尽くしていくことを申し上げ、意見表明といたします。
ありがとうございました。