山東昭子の発言 (本会議)

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○山東昭子君 私は、自由民主党を代表して、施政方針演説について総理大臣に質問をいたします。
 昭和二十九年三月、緒方竹虎は、時局を案ずるに、政局の安定は爛頭の急務であって、内外庶政の刷新も自立経済の達成も国民生活の充実も、これなくしては到底考えられないと訴え、これに端を発して加速していった新党運動は、翌三十年十一月十五日、自由民主党の結成につながりました。
 以来五十年、我が党は、一時期を除き、長期にわたる国民の信託をいただき、国民とともに幾多の困難に立ち向かい、平和を築き、政治、経済、文化の発展に努めてまいりました。この間の先達の情熱と努力に敬意を表するとともに、我々もまた常に主導的な役割を果たしてきたと自負しております。
 しかし、いまだに今日、我が国が直面する数々の課題は山積しております。また、立党時からの悲願である自主憲法制定に向け草案も得ましたが、このような大きな課題に取り組んでいかなければならない使命が我々には課せられております。
 政治は、一〇〇%これでよしということはありません。いつも、国民に真実が伝わっているんだろうか、この政策はみんなに公平なんだろうかと自問自答しながら活動しております。
 折しも、政治家が決断すべき難題が出ております。BSE問題であります。国民生活に密着した問題である牛肉の輸入は、解禁した途端、米国側の不祥事発覚となりました。これには開いた口がふさがりません。政府も素早く対応しましたが、我々政治家も米国に対して厳しい態度で臨まなければならないと思います。
 さて、立党宣言では政治は国民のものとうたわれました。この宣言は我々政治家にとって原点であり、政権の一翼を担う責任の重さを新たにかみしめ、国政に全力を尽くすことを、次の五十年に向けスタートを切る今国会冒頭、国民の皆様にお誓い申し上げます。
 自由民主党が新しい一歩を踏み出すに当たり、総理・総裁としての所感と決意をお聞かせ願います。
 総理にとって、米百俵の感動から五年の月日が流れました。就任後初の所信表明演説で、改革なくして成長なし、恐れず、ひるまず、とらわれずの姿勢を貫き、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを確立していきたいと国民に語り掛けられました。この演説から、総理は国民の圧倒的支持を受け、長年の懸案であった政策課題に取り組まれ、既に道路公団を民営化、昨年は多くの犠牲を払いながら郵政を民営化する法律案を成立させ、三位一体改革も着々と進んでおります。
 これらの実績を積み重ねた小泉改造内閣の総仕上げが今国会であり、幾多の課題について伺います。
 本年は、久々に景気に明るさが見える中での新年を迎えました。不良債権処理も順調に成果を上げ、企業実績も軒並み上昇、株価も高い水準まで回復、このような良いムードの中で、東京証券取引所が昨年に続いての不手際で世界じゅうの投資家に冷水を浴びせたことは情けない限りです。
 こうした中、我が国経済は、昨年十一月の消費者物価指数が平成十年四月以来七年七か月ぶりにプラス基調に転じ、小泉構造改革四年半にしてようやく好循環に入ったようであります。総理は、年初の記者懇談会で、九月までの任期中にデフレ脱却を目指す考えを表明されました。
 しかし、世界を展望すると、米国の双子の赤字や、貿易、財政、長期金利の低下、二〇〇八年中国でのオリンピックや二〇一〇年の万博などがあり、デフレ脱却を確実にして日本経済を安定成長軌道に乗せるには、景気動向を的確に読んだ経済運営をしなければなりません。どう取り組まれるのか、お考えをお聞かせ願います。
 次に、小さくて効率的な政府について伺います。
 言うまでもなく、我が国財政は非常に厳しい状態にあります。二十年前、我が国の借金は国と地方合わせて一人当たり百万円でしたが、二〇〇五年の数字では六百七十万円に上っております。国債残高は来年度予算案で五百四十二兆円、これは国内総生産並み、地方も合わせた長期債務残高は七百七十五兆円で、国内総生産の一・五倍になっております。来年度予算案で減らしたとはいうものの、三十兆円の国債を新規発行しないと予算は組めない状況であり、公債依存度は四一・八%に及んでおります。
 政府は、この非常事態の下、今年六月に歳出歳入の一体改革の工程表をまとめることとしております。二〇一〇年代初頭の基礎的財政収支の黒字化へ向け、国を挙げて取り組むには、この際国民に、小さくて効率的な政府、例えば社会保障の面ではこうだという懇切丁寧な説明と激変緩和措置が必要です。国民的論議と合意形成のプロセスは欠かせません。お答えください。
 次に、行政改革について伺います。
 この道筋を確かなものとするため、行政改革法案を今国会三月に提出予定と聞いております。項目の幾つかについて伺います。
 総人件費改革では、国家公務員を五年間で五%以上純減するとしています。
 平成十三年の省庁再編では幾つかの巨大官庁が誕生しました。スリム化、効率化という点から考えると課題が残った再編であり、今回の純減は進めるべきでありますが、その達成のためには大掛かりな改革でなければなりません。しかしながら、人員を何でも切ればよいというわけにはいきません。それによって国民に不利益をもたらしたり国益を損なうことのないよう、国が果たすべき役割や、官が担うべき事務や事業とは何かを明確にした上で、必要な組織、人員はしっかりと確保するべきではないでしょうか。また、これらを実効あるものにするためには抜本的な公務員制度改革も急務です。
 さらに、社会保険庁の解体的出直しが掲げられておりますが、将来の高齢化社会に国民に不安を持たせないような改革が必要であります。どうお考えでしょうか。
 特別会計改革は、三十一の特別会計について、今後五年間で合計約二十兆円程度の財政健全化への貢献を目指すとしています。肥大化した特別会計の改革は財政再建には不可欠であります。しかしながら、個別の問題を精査する必要があります。
 空港整備特別会計などはその筆頭であります。我が国の空港整備は国際的に見て後れており、特にアジアにおいては顕著であります。これからは、観光と経済発展に必要な空港の建設は国家的プロジェクトとして取り組むべきで、そのためには特別会計をただ減らすというのには反対です。
 道路特定財源については、与党内でも検討しますが、道路建設は、全国を歩いているとまだまだ整備不十分なところもあります。加えて、現在、暫定税率を採用しております。一般財源に組み入れるなら、せめて基本税率に戻すべきではないでしょうか。この二件についてどう考えておられますか。
 以上、疑問の一端を述べましたが、広範囲の行政改革を進めていくには数々の壁を乗り越えていかなければなりません。与党内の意見も十分聞いていただきたいのです。今後、道筋を付ける法案を成立させ、どのように改革を継続していくのか、お聞かせ願います。
 後継問題について伺います。
 総理は記者との懇談で、衆議院選であれ参議院選であれ新しい総裁の下で選挙に勝てるかどうかが大きな要素になる、小泉内閣が進めてきた改革路線をしっかりと軌道に乗せてくれる人が望ましいと述べられております。
 この国会で、総理のリーダーシップの下、改革の総仕上げに掛かるのですが、道半ばであり、後継者は改革の旗を受け継ぎ、強力に推進する責務を負わなければなりません。また、税制の将来像や財政再建の道筋はもちろん、教育と外交の再構築を示す政権構想も明らかにしなければなりません。未来を託すに足る総理像はどのように描いておられるか、披瀝していただきたい。
 次に、自衛隊のイラク駐留問題について伺います。
 イラク特措法に基づく基本計画による自衛隊の派遣期限は本年十二月十四日までであります。この派遣は日米同盟の象徴であり、総理とブッシュ大統領とのみつ月関係も手伝い、かつてないほど良好と言われている日米関係を思えば、その撤退時期の判断は難題であります。
 我が国だけの都合で撤退というわけにはまいりません。ただ、陸上自衛隊が活動するサマワで治安を担当する英豪両軍が五月目途に撤退を検討していることから、彼らと同時に撤収するという観測もあります。米国からすれば、このように五月雨的に友軍が撤退することには慎重な対応を要請してくるのではないでしょうか。
 退くには用意周到な準備と時間が必要です。今日まで猛暑と砂あらしに耐えながら国のために頑張ってきた現地自衛隊員たちの安全を確保するためには、現地のイラク国民の理解が不可欠であり、例えば円借款の再開や雇用対策も検討する必要があるのではないかと考えます。十二月の期限切れまでにどのような対応をされるのか、お示し願います。
   〔議長退席、副議長着席〕
 次に、北朝鮮問題です。
 平成十四年九月、小泉総理は北朝鮮を訪問、金正日総書記が我が国邦人の拉致を認めて謝罪、両首脳による日朝平壌宣言に署名が行われました。以来、国交正常化を目指して、両国間あるいは国連やほかの国も参加して話合いが続けられているのは承知しておりますが、いまだ不明の拉致被害者について到底納得のいく回答が得られないのに憤りを感じます。
 経済制裁法たる外為法改正や特定船舶入港禁止法を制定し、いざとなればその発動も辞さぬ覚悟を国会も示しているのですが、何らの進展がないのが実情であります。被害者の御家族のみならず、我が国民こぞって怒りは沸点に達しているのです。
 歴代総理ができなかった交渉を始められたのは小泉総理でございます。退任される九月までに何とか決着を付けていただきたい。それには韓国や中国の協力も欠かせません。この二国との外交も、関係改善に向け真摯な態度で臨んでいただきたい。この課題を乗り越えてこそ拉致の解決につながり、これこそ小泉純一郎、男の花道にすべきであります。御決意を明らかに願います。
 明治の初め、我が国は、知育、徳育、体育とともに食育と才育がございましたが、置き去りになっておりました。しかし、今こそ私たちは原点に返って、食育を通じて、自然の恵みや生産者に感謝し、親子のコミュニケーションを図ること、また生活習慣病を減らすこと、食文化を大切に地産地消を心掛けるなど、昨年六月十日に我々が成立させた食育基本法を今年は国民運動として展開していかなければなりません。これは総理の肝いりで党として取り組んだものですが、この運動の先頭に立つ総理の意気込みを明らかにしてください。
 さて、昨年を振り返ってみますと、小さな子供たちを巻き込んだり、何の理由もない衝動的な殺人事件、JR西日本の過密ダイヤによる尼崎脱線事故、内外の投資ファンドをバックにしたIT企業などによる株の買占め騒動、死亡事故を誘発する可能性のある欠陥製品の回収、極め付けは耐震データ偽装問題でありました。私たちの社会が何か変わってきている。そんな兆しが幾つも見られる。振り返ってそういう一年であったと私は思います。
 今、勝ち組、負け組という言葉がはんらんしています。改革は競争。それは弱肉強食につながります。でも、そこに優しさやゆとりがあるのでしょうか。昨年、郵政解散選挙、総理は賛成か反対かを争点に戦われました。自民党は大勝しましたが、多くの仲間を失い、心にぽっかり穴が空いたような気もいたしました。勝つか負けるか、イエスかノーか、何かアメリカナイズされてしまって、儒教の精神が消えてしまい、寂しい限りでございます。感想はいかがでしょうか。
 さて、総理が未来に向かって行う最後の改革は一つ、それは心の改革だと思います。様々な分野での意識改革であります。
 現代の日本社会は、子供から大人まで心が病んでいます。少年少女や大人が勉強や人間関係がうまくいかないと、せっかくこの世に生をうけたのに自ら人生を捨ててしまう事件を見るにつけ、私は残念でなりません。これからはプラス思考で生きていく習慣を付けるべきではないでしょうか。
 子育てがつらいから子供をつくらないなどと考えず、子供は国の宝なんだと思い、子供を持つ喜びを大切にしてほしい。また、産んでくれてありがとう、できる限り手伝うよとの夫の優しい姿勢も必要です。少子化対策は、子供を育てやすい環境や不妊治療の在り方、職場復帰の整備などシステムの確立はもちろんですが、お金では代えられない女性への何かを重要視してもらいたいのです。いかがでしょうか。
 そして、世界へ目を向けると、障害を持つ人たちが叫んでいます。我々は人から与えられるだけの生活は御免だ、努力して少しでも社会に貢献して税金の払える人間になるんだ。人呼んでチャレンジド。厳しい壁を乗り越えて、音楽にスポーツに、経済人として生きている、いや、生きようとしている人はたくさんおられます。
 総理、正にあなたは大きな壁を壊し、乗り越えていくチャレンジャーです。ちょうど今は受験シーズンです。私たちの愛する国日本をこれから支えてくれるであろう若人に向けての総理のビジョンを聞かせていただき、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 山東昭子

speaker_id: 33791

日付: 2006-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議