市田忠義の発言 (本会議)

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○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小泉総理に質問をいたします。
 小泉内閣が発足して四年九か月、自民党政治の危機と行き詰まりは、外交でも内政でもかつてない深刻な段階を迎えています。
 まず、外交の問題であります。靖国問題に絞ってお聞きします。
 小泉総理の下で、日本外交の孤立と破綻は一段と深刻になりました。その原因は、総理が靖国神社への参拝を五年連続強行したことにあります。内外からの批判に対してあなたは、心の問題であり、批判するのは理解できないと言いました。しかし、今問われているのは首相の心ではありません。参拝という行為そのものであり、それが客観的に持っている政治的意味であります。
 靖国神社の歴史観、戦争観、それは過去の日本の侵略戦争をアジア解放の正義の戦争として正当化するという立場であります。総理の靖国参拝は、これに日本政府が公認のお墨付きを与えることになる、そういう行動が今日の世界において許されるか、ここに問題の核心があります。
 戦後の国際秩序は、かつて日本、ドイツ、イタリアが行った戦争が犯罪的な侵略戦争であったという共通の認識に立ち、二度とこうした戦争を許さないという決意の上に成り立っています。だからこそ、中国や韓国だけでなく、小泉総理が頼みとするアメリカからも、総理の靖国参拝への懸念と批判が公然と寄せられたのであります。
 ブッシュ大統領は、対日戦勝六十周年の記念演説の中で、アジア解放のための戦争という侵略戦争正当化論を厳しく批判しました。首相の連続参拝に当たって、米下院の外交委員長からは、駐米日本大使あてに遺憾の意を伝える書簡が送られてきました。あなたがどう言い繕おうとも、これは明白な客観的事実であります。それが理解できないと言うのなら、国際政治に参加する資格すら問われることになるではありませんか。
 総理は、国会での我が党の追及に対して、靖国神社の考えと政府の考えは違うと答弁されました。それが本心なら、日本外交を立て直すためにも、そのことを行動で示すべきではありませんか。
 次に、内政についてであります。
 小泉内閣が推進してきた構造改革路線、規制緩和万能路線は日本社会をどう変えたか。総理が言う自信と誇りに満ちた社会どころか、不安に満ちたモラルなき社会、ルールなき社会になったというのが多くの国民の実感であります。そのことを象徴的に示したのが、最近起こったライブドア事件と耐震強度偽装事件であります。
 自らの著書で、人の心はお金で買える、人間を動かすのはお金と豪語し、その言葉どおりにルールを踏みにじってうその情報を流し、粉飾決算を行った疑いが持たれているライブドアの堀江氏。安倍官房長官が、堀江さんが仕事で成功してきたというのは小泉さんの改革の成果、規制緩和の成果と言い、竹中総務大臣は、自民党の要請で選挙の応援に行き、小泉首相、ホリエモン、私がスクラムを組みますとまで言いました。文字どおり弱肉強食の小泉政治の申し子でした。
 彼らが駆使した株式分割や株式交換などの金が金を生む手口は、商法改正などによって与えられました。モラルとルール破壊を促進するとともに、堀江氏を天まで持ち上げ、国政にまで関与させようとした責任を総理はどのように感じておられますか。何の責任も一切ないと考えておられるのか。堀江氏の問題と選挙での応援は別だなどとごまかさないで、はっきりとお答えください。
 次に、耐震強度偽装事件についてであります。
 事件に直接かかわったゼネコン、建築士、検査機関など関係者の責任が重大であることは言うまでもありません。しかし、問題の根底には、九八年の建築基準法改悪で、建築確認という国民の命にかかわる重大な仕事を民間任せにしてしまった規制緩和があったことは明白であります。そして、そのことが、客を増やすためには検査を甘く、ばれなければ何をやっても構わないというモラルの退廃まで引き起こしたのであります。民間でやれることは民間でという掛け声で、国民の命と安全までないがしろにしてきた小泉内閣の責任をあなたはどう考えておられますか。
 今、被害者救済と再発防止の対策が緊急に求められています。被害者救済のためには、ヒューザーなど関係者の第一義的責任は当然であります。同時に、住宅ローンを貸し付けた金融機関、ゼネコン、ディベロッパーなど不動産業界の負担と協力で被害者の負担を軽減する。その際、不足する費用については政府が補償する。耐震診断、改修への助成制度を改善、拡充し、希望するどのマンションでも耐震診断、改修が行えるようにする。再発防止のために、建築基準法の抜本的見直し、建築士が建築主や施工主の言いなりにならないよう建築士法などを改正する。民間任せの検査確認体制を見直し、行政が検査確認業務に実質的な責任を負えるよう体制を強化する。
 私は、少なくとも以上述べた措置は直ちに講じられるべきだと考えますが、総理、いかがですか。
 金の亡者がばっこする一方、法律で禁止されていた派遣や請負などを大幅に認めた労働法制の規制緩和がこの間相次いで強行されました。そのために正社員の道を奪われ、派遣や請負、パート、アルバイトという不安定で低賃金、極めて劣悪な労働条件を押し付けられている国民が激増しています。今や労働者派遣会社は一万六千八百社、二百三十六万人、非正規雇用は働く人の実に三人に一人、若者の二人に一人に達しています。その平均年収は、民間研究機関の調査によると、わずか百三十三万円という驚くべき低さであります。これでも総理は格差はないとおっしゃるのですか。
 労働の規制緩和による非正規雇用の増大は、今働く人々を苦しめているだけではありません。日本の将来をも危うくしています。それは、技能の継承を困難にしているとともに、少子化の大きな原因の一つにもなっているからであります。
 労働政策研究・研修機構の調査によると、結婚している男性の割合は、正社員の場合は三四・七%なのに、非正規雇用者は一四・八%と半分にも至りません。収入で見ると、二十五歳から二十九歳までの男性の場合、年収一千万円以上の人は七割に達していますが、四百万円台では四三・九%、非正規労働者の平均年収に近い百四十九万円以下では一五・三%でしかありません。子供を産み育てるどころか、経済的理由で結婚すらできないという異常な事態が広がっています。
 日本社会の前途を真剣に考えるなら、いっときも放置できない問題であります。規制緩和万能路線を脱して、大企業のわがまま勝手なリストラ、野放しの派遣や請負を厳しく規制し、すべての人が人間として正当に扱われる安定した雇用をつくり出すために、政府が先頭に立つ。これこそ緊急の、抜き差しならない課題だとは考えませんか。
 小泉内閣が推し進めてきた構造改革が日本社会をどれだけゆがんだものにしてきたか。今述べたのはその一端にすぎません。ルールなき資本主義、極端な大企業中心主義が、貧困と社会的格差の新たな広がり、庶民増税と社会保障の連続改悪、少子化の進行など、日本経済と国民生活の矛盾をあらゆる分野で深刻にしています。それは人間がともに支え合う社会のありようを否定し、弱肉強食の寒々とした社会をつくり出しつつあります。
 日本共産党は、人間らしい暮らしの基盤を破壊する攻撃に対して社会的連帯と社会的反撃をもってこたえる、その闘いの先頭に立って奮闘する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣小泉純一郎君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 市田忠義

speaker_id: 16179

日付: 2006-01-25

院: 参議院

会議名: 本会議