林久美子の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○林久美子君 民主党の林久美子でございます。
質問の前に、昨日は、秋田県で小学校一年生の男の子が遺体となって発見される大変痛ましい事件がございました。心より御冥福をお祈りいたします。また同時に、私たち民主党、しっかりと子供の安全を守っていく決意を新たにしているところでございます。
さて、民主党・新緑風会を代表いたしまして、ただいま議題となりましたいわゆる認定こども園法案について、関係各大臣にお伺いいたします。
私にも三歳の息子がおります。本日は、全国のお母さんの気持ちを代弁するつもりで、また民主党は対案を提出させていただいておりますので、私たちの提案をお示しをいたしながら、質問をさせていただきます。
幼稚園と保育所の一元化に関する議論は、少なくとも戦後六十年続けられてきました。一九四六年には、既に帝国議会において幼保一元化の議論が行われています。議事録によりますと、衆議院予算委員会の場で、幼稚園も託児所も保育の面で内容は本当に同じことをしているのでありますから、これを一つにして子供を育てていただきたいと委員が一元化を求めて発言しています。これに対し、当時の厚生大臣は、社会情勢の変化に伴いまして、保育所に一面的、文化的要素を注ぎ込むということも必要でありましょうし、それから幼稚園に向かってまた社会的の分子を入れるということも必要であると思いますが、ただいまのところではこの二つを一緒にして一つにしてしまうというほど進んだ考えは持ちませぬと答えています。
こうした議事録からも分かるように、少なくとも六十年前から、同じ年齢の就学前の子供たちがひとしく教育、保育を受けるのが自然であるという素朴な願いはかなえられず、かたくななまでに今日まで、幼稚園、保育所と二元化体制が維持されてきました。その最大の要因はどこにあると考えていらっしゃいますか。所管する文部科学省と厚生労働省が、子供にとって最善の利益は何かを考えず、権益争いを続けてきたためではないでしょうか。まず、文部科学大臣と厚生労働大臣に御所見をお伺いいたします。
そもそも幼稚園と保育所の違いは何でしょうか。保護者、とりわけ母親が働いているのかいないのかによって子供たちの居場所が分けられ、文部科学省と厚生労働省という二つの省が別々に所管しているにすぎません。
既に、幼稚園と保育所における教育、保育内容は接近しています。幼稚園であっても、保護者が就労しているために預かり保育で通常八時間保育を受けているケースもありますし、一方で保育所において、就労していない保護者の子供が保育を受けているというケースもございます。また、三歳児から五歳児に関して言えば、幼稚園教育要領と保育所保育指針によって、健康、人間関係、環境、言葉、表現というふうに、指導上のねらい、保育上のねらいは全く同じとなっています。こうした現状は既に国の二元化行政の形骸化を意味しており、幼保一元化の実現は正に時代の必然であると考えます。
にもかかわらず、今回の政府案を見てみると、依然として実権を握る担当省庁の一元化はなされていません。文部科学省と厚生労働省が密接に連携して幼保連携推進室を設置すると伺っておりますが、担当する省庁や窓口はしっかりと一本にするべきではないでしょうか。私たち民主党は、子ども家庭省の設置を理想としていますが、それまでの間、内閣府に担当部局を置くことを提案しています。こうした担当する省庁や窓口の一本化について、内閣府担当大臣であり、少子化対策を担当されている猪口大臣から御見解をお伺いしたいと思います。
さて、この法案の名称は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律とされています。しかし、法案の内容を見てみますと、総合的な提供は何らなされておらず、ただ単にこれまでの幼稚園と保育所に認定こども園という看板を掛け替えるだけとしか読み取ることができません。
小泉政権においては、待機児童の未解消や幼稚園の定員割れが依然として続いており、地域における幼稚園と保育所の偏在問題も一向に解決されていません。
認定こども園は待機児童解消のための一つの方策ともされていますが、幼稚園型こども園では、待機児童のうちの六七・八%を占めるゼロ歳児から二歳児の保育に欠ける子供の受入れも認められていません。本当にこの認定こども園によって待機児童は解消されるのでしょうか。具体的にどの程度の待機解消が期待できるのか、厚生労働大臣にお伺いいたします。
また、児童虐待の観点からも効果は期待できません。児童虐待の実態を見てみると、保護者が働いていないケースも多く、虐待を受ける子供の六七・七%はゼロ歳児から二歳児となっています。しかし、政府案では、幼稚園型、保育所型のいずれの認定こども園においても、保護者が就労していないゼロ歳児から二歳児の受入れは認められていません。
一方、民主党案では、多様なニーズに対応するために、ゼロ歳から就学前までの希望するすべての子供たちの受入れを可能としているほか、一時保育、病時・病後時保育などへの支援を強化することなども提案しています。
政府案ではどのように多様なニーズに対応することになるのか、文部科学大臣及び厚生労働大臣にお伺いいたします。
次に、認定こども園の将来像について伺います。
仮に、認定こども園が多様なニーズにこたえ得るのだとすれば、いずれ幼稚園は認定こども園に、保育所も認定こども園にと収れんされていくのでしょうか。それとも、幼保一元化への願いに対する免罪符施設として認定こども園をつくることこそが大切なのであって、将来のことは利用者任せ、成り行き任せなのでしょうか。認定こども園の将来像が見えてきません。
文部科学大臣、認定こども園の将来像について、是非明確な御答弁をお願い申し上げます。
そして、認定こども園が就学前の子供や保護者の多様なニーズにこたえる有効な選択肢となるためには、十分な供給がなされる必要があります。行きたくても近くにないのがこども園などという状況では、選択肢とはなり得ません。就学前の子供に対して教育、保育を行う施設として、それぞれの地域に認定こども園が誕生してこなくてはなりません。
しかしながら、昨年度、政府が実施した総合施設モデル事業に取り組んだ全国の施設に対しまして独自に聞き取り調査を行いましたところ、幾つかの施設からは認定こども園に手を挙げる予定はないというお答えが返ってまいりました。積極的に参加したいというお答えはむしろ少数でございました。最大の問題点は財政措置でした。
政府案では、公立の認定こども園については一般財源で、その他の私立の幼稚園型こども園については文部科学省の私学助成、保育所型こども園には厚生労働省の保育所運営費負担金と、各省の補助制度を活用することとされています。そのため、幼稚園型こども園における保育所機能、保育所型こども園における幼稚園機能など、新たに機能を拡充した部分については、認可を取らない限り施設側の持ち出しにならざるを得ず、経営的に非常に困難な状況に追いやられる可能性も否めません。その結果、利用料が高くなったり、子供たちに対する教育、保育の質が低下するのではないかと懸念されています。政府案による財政措置によって、どのように利用料の高騰を避けつつ、教育、保育の質を守ろうと考えていらっしゃるのでしょうか。文部科学大臣にお伺いいたします。
また、認定こども園は施設と利用者の直接契約となる予定ですが、保護者に対する支援は、主に私立幼稚園に通う方を対象とした幼稚園就園奨励費補助しかありません。これでは、私立の幼稚園型こども園に通う子供の保護者には支援が行われますが、私立の保育所型こども園に通う子供の保護者には支援が行われないということになります。子供たちはどちらも私立の認定こども園に通っているのに、その施設が幼稚園、保育所のどちらを母体とするのかによって保護者への支援が異なるというのは、利用者の側に立って考えれば非常に不公平ではないでしょうか。保育所型こども園を所管される厚生労働大臣にこの点についてお伺いいたします。
民主党案では、補助金も担当部局で一元的に管理することにしています。機能を拡充した部分についても、認定こども園という制度の中で十分な支援を行い、教育、保育の質を十分に守りつつ、認定こども園に参加しようというインセンティブを働かせていく考えです。さらに、認定こども園に通う子供の保護者に対してもひとしく支援を行ってまいります。
こうした一本化された担当部局における補助金の一元的な管理、保護者に対する支援の在り方について、いかがお考えでしょうか。文部科学大臣、厚生労働大臣、それぞれにお伺いいたします。
同じ年齢の子供が、保護者、とりわけ母親が働いているのかいないかによって、あるいは正社員なのかパートなのかという就労形態によって、教育、保育を受ける場所や内容、財政的支援が異なるというのは本当に不自然です。小学校はどうでしょうか、考えてみてください。母親が働いているか否かによって、学ぶ学級が違ったり学ぶ内容が異なったりするでしょうか。すべての幼稚園と保育所に良質な教育、保育が備えられ、子供たちに権利としてより良い居場所が与えられなければなりません。
今回の法案は、幼稚園と保育所を一体とすることを可能とし、法律上明確に位置付けたという点については一定の評価をすることができると思っています。しかし、決定的な一元化を行わず、文部科学省と厚生労働省の既得権益を守りつつ、一元化願望を吸収しようとしている、形式だけを整備した、非常に巧妙な、抜本改革先送り、言い訳完備の正に妥協の産物であると言わざるを得ません。
幼稚園と保育所の一元化は一体だれのためのものなのでしょうか。省庁の既得権益を温存するためのものではなく、子供たちのため、正にチルドレンファーストでなくてはなりません。
小泉政権には子供たちの視点に立った一本化はできないということが今回の法案によってより一層明らかになりました。小泉政権によって置き去りにされてきたのは、正に未来ある子供たちでございます。私たち民主党こそが子供たちの育ちを支えていく、私たち民主党にしかできないんだということを強くお訴え申し上げまして、私の質問とさせていただきます。(拍手)
〔国務大臣小坂憲次君登壇、拍手〕