大門実紀史の発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)
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○大門実紀史君 第二班の大門です。ほかに委員会のメンバーおりませんので、私の方から報告さしていただきます。参加メンバーはお手元の資料にあるとおりでございます。私は四回目のODA調査になりますけれども、今回の調査は大変ドラマチックといいますか、アクシデントの多い調査でございました。これはほかのメンバーも同じ意見ですので、その点に絞って報告をしたいと思います。
タイ、インドネシア、シンガポール全体の案件は時間の関係で報告書を見てもらいたいと思いますが、調査団全員が大変強烈な体験をしたインドネシアのコトパンジャン・ダムについて絞って、後々の教訓もありますので、報告をしたいと思います。
お手元に資料ございませんが、この分厚いやつの九十七ページから、具体的には九十八ページからかなりリアルに書いてありますので、見ながら聞いていただければというふうに思います。なぜこのダムについて報告するかというと、今後のこのODA調査の在り方そのものにも、外務省とのかかわり、関係機関とのかかわりも含めていろいろ引き出すべき教訓があると思いますので、絞って報告をさしていただきます。
インドネシアのコトパンジャン・ダムというのは三百十一億円の円借款事業でございます。この案件そのものは外務省がセットしたものではございませんで、参加メンバーが是非見に行きたいということの希望によってセットされたものでございます。なぜかといいますと、このODA案件については今、日本政府、JBIC、JICA等を相手に現地の住民の方々が訴訟を、裁判を起こしておられます。今、東京地裁で口頭弁論、証拠調べに入っている段階でございます。調査団の問題意識は、どちらがいいとか悪いとかじゃなくて、とにかくきちっと、そもそもなぜ住民に感謝されるはずのODAが喜ばれない結果になってしまったのかと、このことを賛成の方も反対の方も含めてきちっと把握をして、この委員会に報告をしようという立場で、あらかじめ賛成も反対とかいうことではございませんでした。
訴訟を起こされている理由は、ダムができて移転した後、住民の人たちが生活が補償されないと、約束が違うということが原因になって、日本政府あるいはインドネシアには補償ということで裁判を起こされているということでございます。ところが、そういう立場で調査に行ったんですけれども、現地の大使館、JBICの不手際、そしてなおかつ現地の住民あるいはNGOの方々の過剰反応ということがありまして、整然とした調査ができませんでした。
ちょっとドキュメンタリー風に申し上げますと、ジャカルタから四時間ほど掛けて相当の長い距離を現地に入ったわけですけれども、その車の途中で、現地で住民が千二百人ほど集まって抗議集会をしているという情報が入りまして、大使館の方はこれは危険だというふうなことを言われたわけです。それならば、まず村長さんに会いに行こうということで、ダムサイトではなく村長さんに会いに行ったんですけれども、それはダムに反対意見を持っている村長さんと思っていましたら、話を聞くと大賛成の村長さんでございました。しかも、それはそれとして、次に会う人は反対の人かなと思ったんですが、その村長さんのお宅を出たときにJBICの現地人コーディネーターが握手をしながらお金を渡すというところをたまたま私が目撃をいたしました。確かめたところ、テレホンカードを渡したんだと。私は確かに現金を見たんですけれども。それで、後でやはりあれはテレホンカードではなく現金でしたという報告がございました。十万ルピー、現地の十万ルピーというと一か月の給料の四分の一ぐらいでございます。二十万円の給料だったら五万円ぐらいの金額に値いたします。
メンバーも、これではJBICがセットしたところは信用できないということになりまして、ダムサイトへもう行こうと。住民が集まって、抗議集会であろうと行こうというふうに思ったところですけれども、大使館は、危険だからということになりました。しかし、団長含めてメンバーで、もうほかの人を置いて、車の中でこもって相談をいたしました、どう判断するかと。ここで帰ってしまったら参議院の調査団として何しに来たのかというメンツにもかかわるし、もう男が廃るということもありまして、行こうという判断をいたしました。
で、先遣隊で何人か現地見てもらったら、三百人ぐらいの集会があって、警官も出ていただいていると。ただ、この警官は大使館が手配したんじゃなくて、現地行ってから私たちが要求して手配された警官でございます。
とにかく現地に、ダムサイトに行ったわけです。そこで取り囲まれまして、三百人ぐらいの方々もうかなりエキサイトしておりました。取り囲まれたんですけれども、それを整理してもらって、ちゃんと話を聞く場に座ってもらって、それで各村の代表から訴えを聞きました。
これはなかなかの切実な中身で、報告書の百一ページから載っておりますけれども、なかなかのきちっとした切実な訴えで、それは聞けてよかったなというふうに思っております。
で、村そのものを見たいということを申し上げたんですが、警官が、警官隊がそうしたら案内するということで行ったんですけれども、別に見なくていいようなところに案内されましたので、そこではないと、私たちが見たいところはそこではないということをまた私たちが判断をして、アスベストを含んだ、おばあちゃんが独り住んでいる貧しいところの家を訪ねて、そこの調査をいたしました。
その後もう飛行機乗る時間が迫っておりましたので、慌てて車に乗ってサンドイッチ食べながら帰ってきたということで、ちゃんとした、反対派、賛成派、あるいはその村民の方々ともやり取りをしたかったわけですが、それがする時間もなく過ぎていって非常に不十分だというふうに思っております。
今後の教訓として、これは団の、メンバーの総意でございますけれども、ODA調査団の調査が、この参議院が特別委員会を設けてこうして調査団を派遣していることの意味、これをきちっと、外務省、JBIC、JICA、関係団体、きちっとまず認識すべきで、現地の大使館の責任は特に大きいと思いますが、その調査の安全を確保するというのは当然のことだと。そういう手配が非常に不手際であったということです。これは団長も現地の大使に大変抗議をされておりました。
そしてもう一つは、こういう調査のときに、たとえどんな理由があれ、現金を話を聞いた人に渡すというようなことがあると、もう調査の話を聞いた中身の信憑性にかかわると。こんなことあってはいけないということでございます。こういう点は今後の、外務省、JBIC、JICA、いろいろ関係してくるかも分かりませんけれども、今後の本当に教訓としてもらいたいし、厳しく、メンバー、調査団としては指摘をしておきたいというふうに思います。
コトパンジャン・ダムそのものについては、そういうことでもっと正確な情報を総合的に判断したかったわけですけれども、例えばなぜ住民がインドネシア政府よりも日本政府を相手に訴訟を起こしているのかと、そういうことも詳しく聞きたかったわけですが、さっき言った大混乱の調査になりましたので十分聞き取れなくて、まだまだ判断材料が少ないというふうに思います。
なおかつ、後で聞いた話ですが、その集会をやっていたNGOの方々が私たちが去った後警察に拘束をされたと。逮捕はされておりませんが、長時間の取調べを受けたと。こういうことになりますと、これは現地の大使館が警察に言って警察がやったのかどうか分かりませんけれども、日本が調査に来て、私たちはちゃんと住民の意見を聞いたわけですけれども、その後そういう警察に引っ張られるようなことがあるとまたまた日本の印象が悪くなると。こういうことはだれが対応しているのかと、これは改めてまた現地の大使館にも指摘をしていきたいというふうに思います。
全体の案件について触れる時間はもうありませんけれども、団の所見を御参照いただければというふうに思いますが、いずれにせよ、このインドネシアのコトパンジャン・ダムを通じて、もっと参議院が特別委員会を設けて調査団を派遣しているということを外務省がきちっと意義付けを、あるいはそれに対するフォローをきちっとやるべきだということを重ねて指摘して、取りあえず報告とさしていただきます。