小川勝也の発言 (本会議)

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○小川勝也君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案のありましたいわゆる道州制特区法案に対し、幾つかの質問をいたします。
 道州制といえば地方分権の究極の形、権限と財源が移譲され、地域の特色を生かしながら地域のことが地域で決めることができ、税金の無駄遣いも起きない。道州制という言葉にはそんなバラ色に似た地方分権の究極の形、そんなイメージさえあります。私たち民主党でも、結党以来、道州制について議論を積み上げ、その方向性を二〇〇〇年の衆議院選挙のマニフェストにも明記いたしました。
 しかし、このたび審議することになった政府提案の法律は、内容、いきさつ、目的、意欲、いずれを取っても道州制の名に値しない悪法と言わざるを得ません。そもそも、我が国の法律のどこを探しても出てこない道州制に特別区域の概念を持たせることは立法論的にもかなり問題があるばかりか、国民の立法府に対する信頼を低下させる大きな原因になるおそれさえあります。
 まず、お伺いいたします。この法律における道州制及び道州制特別区域とは何か教えてください。
 私は、道州制という崇高な理念を、特区法案の審議のために適当な文言をつくり答弁されることに大きな憤りさえ感じます。また、この法律が成立すれば、将来、真の道州制を導入するときの大きな妨げになることも大きな懸念材料です。
 そもそもこの法律は、見栄えを重んじ中身を問わない時の権力者の一声からスタートしたと言われています。それを聞いた北海道知事も寝耳に水。時あたかも北海道では、全国一律の市町村合併の問題のほかに、独自の支庁再編問題で全く余裕のない時期でありました。渋る北海道庁に対し、与党の実力者が様々な働き掛けをしながら議論が推移してまいりました。道庁にとっても財政が厳しい中ですから、権限はもちろん、少しでも自主的に使える財源が欲しいので前向きの話になってまいりました。
 しかし、北海道庁が与えられた権限は期待とは裏腹にほんの少しで、そのうちに増やすからという約束手形を後生大事に抱えてのスタートというのが現状だろうと拝察するものであります。
 法案作成段階で北海道からどんな要望があったのか、また、権限を移譲することに対する各省庁の大きな抵抗があったことが漏れ伝わってまいりましたが、どんな御苦労があったか、教えていただきたい。
 この法律案は、先ほど述べたように、北海道庁の行政エリアと多くの国の支分部局の統括エリアが同一であることに着目した、時の権力者の気まぐれなツルの一声、思い付きで始まった議論で、当初準備されていたのは当然北海道の特区法案でした。ところが、ふたを開けてみると、出てきたのは現在の三以上の都府県を含めた法律案。このことは憲法第九十五条をクリアするためだったと拝察できます。
 憲法九十五条は、一つの地方公共団体にのみ適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民投票においてその過半数の同意を得なければ、国会はこれを制定することができないと定めております。
 当初議論されていた案から本法律案に替わったいきさつを、憲法第九十五条の問題をクリアするという観点から御答弁を願います。
 また、本法律案に替わっても、その実態から住民投票を必要とするという専門家の意見も多数ありますが、どう弁明されるおつもりでしょうか、伺います。
 さて、小泉政権以降、すべてを経済効率で測る風潮がはびこっているようでありますが、本法案は行政及び地方自治の在り方に一石を投じています。国、都道府県、市町村、どんな行政スタイルが最も税金の無駄遣いがなく、より良いサービスを提供できるかを議論することは重要です。
 まず、総務大臣にお答えをいただきますが、平成の合併の総括についてです。三千三百余りあった市町村が千八百余りになりました。サービスの質等は後の議論を待たなければなりませんが、財政的縮減効果について可能な範囲で御答弁願います。
 当然、次は都道府県の合併かということになりますが、この法律の趣旨にそれを推進するという意味が含まれるのかどうか、その実現性を踏まえて御答弁をいただきます。また、総務大臣からは、その経費縮減効果の予測についてもお答えをいただきたいと思います。
 もし仮に都府県の合併をも促進させようということになると、権限、財源を中央から地方に移譲しようとする立法趣旨を更なる地方行革にすり替える、正に頭脳明晰な霞が関官僚による換骨奪胎になってしまうでしょう。
 この法律への国民的関心は余り高くないと認識しています。ましてや、都府県合併にインセンティブを与えようとするならば、ほかの知事の方々にとって、北海道がうらやましくてしようがないという内容にしなければならなかったはずです。
 しかしながら、唯一の直接利害関係者である北海道民の理解さえも残念ながら大変低い。民主党北海道は、今年五月に市町村長を対象にアンケート調査を実施いたしました。道内百八十自治体のうち百三十九市町村長からお答えをいただきましたが、実は内容を余り理解していないと思われる答えが大変多いという結果が出ました。北海道庁もいろんな何とかミーティングのようなもので理解を求めようとした形跡はあるのですが、自治体の市長、町村長さんでさえ余り理解していないのに、一般道民にとってはなおさら理解できないのでしょう。
 肝心の北海道民が法案への理解度に対していかなる認識を持っておられるのでしょうか。私が意見を聞いた範囲では、分かりにくい、どう変わるのかが分からない、権限は今のままでいいから使う金の額が大事だなど、反応は様々です。
 また、多くの人の危惧は、この法律案が北海道だけを対象とした行革ではないかという懸念です。実のところはどうなのか、本音をお伺いしたいと思います。
 今、道民の多くが関心を持っている課題は財政破綻に陥った夕張問題です。様々な理由があるにせよ、国の制度があそこまで夕張市民の生活を苦しめるのかという思いが強いということでもあります。北海道の財政状況も、なおかつ道内のほとんどの自治体財政も大変厳しい状況にあるからです。自治体関係者からも、夕張問題は夕張市だけの問題ではない、このままの制度と交付税削減が続くと、あとは時期と順番の問題だといううめき声さえ出るほどです。
 数日前の北海道新聞のコラムにこんな記述もありました。北海道拓殖銀行が都市銀行で初めて破綻したとき、救済策の枠組みはなかった。道内経済は大変な影響を受けた。金融システムに動揺が広がると、大手行に公的資金が注入され不良債権が処理された。今銀行は最高の利益を出す。あのとき政府は無策で、北海道は実験台となった。今も夕張は崩壊しても構わないと言わんばかりだ。地域を切り捨て住民をふるさとから追い立てるのでは、政治とは虚無にすぎないと。
 今、夕張は国からの指導を受け、再建計画を作り住民に説明をしている最中です。七校、四校あった小中学校をそれぞれ一校とする、保育料の大幅アップ、図書館と美術館の休止、養護老人ホームの廃止、市立病院の新規入院なしなどの内容が盛り込まれ、住み続けることが困難な再建策となっています。かなり厳しい内容ですが、北海道新聞社のコラムニストが筆を持った理由は、菅総務大臣の、厳しいことも必要と述べた一言に対してでした。
 夕張が国の指導どおり財政を再建しても、人口が現在の半分以下、最盛期の五%以下になります。かつて夕張は、国策にのっとって黒いダイヤと呼ばれた石炭を産出して戦後の日本経済を支え、石油へのエネルギー政策の転換によって衰退を余儀なくされた町です。人口は最盛期の十分の一。今また、今回の再建策で夕張を出ていかなければならない人の中には、かつて国策で仕事を奪われた人とその家族が含まれていることは言うまでもありません。
 どの自治体に住んでいるかということで生活に大きな差が出ることを憲法や地方自治法が想定しているでしょうか。いつから私たちの国日本は国民にそんなに冷たい仕打ちができる国になったのですか。お答えをいただきたい。是非、総務大臣、夕張市に行って直接市民の話を聞いてください。可能な措置を考えてください。北海道における道州制特別区域は実験台なのでしょうか。
 かつて自民党政治の重要な理念に、国土の均衡ある発展という一言がありました。過度の利益誘導合戦が行われ、予算、補助金の獲得や公共事業そのものが正に政治そのものになってしまったなどは反省点です。しかし、ふるさとを田舎に持つ私にとっては好きな言葉でした。
 国が景気対策、公共投資と称し、地方を唆し、過度の社会資本整備をさせ、その結果、地方財政は逼迫しました。バブル崩壊後、社会資本整備のスピードはかなりダウンしました。北海道は、青函トンネルができていてもいまだに本州と自動車が行き来できないばかりか、新幹線も通っていなく、高速道路網も細切れです。その間、施策は経済効率優先となり、東京一極再集中が進んでいます。そのことによって、地方分権や道州制が意図する地方の産業の育成や特色ある地域づくりなどの将来像が見えにくくなっています。
 地方の自立、競争、責任という考え方は正しい方向ですが、そのための前提条件の整備、猶予期間や準備期間が必要です。また、地方分権を進めるならば、税財源の配分、財政調整機能の充実が必要なのは言うまでもありません。安倍政権のビジョンを示してください。
 北海道は財政問題のほかに、医師、看護師不足、そのほかの要因、あるいは政府の故意によって地域医療が深刻な状況に陥っている地域が幾つかあります。医療にアクセスする国民の権利について、厚生労働大臣の答弁を求めたいと思います。
 また、国の補助金等の施策の中に、負担率が都道府県何%、市町村何%というメニューが多々あります。北海道では、国が用意したメニューを見て、負担額が捻出できずにため息をついています。市町村に責任はありません。農業の新政策、災害復旧などについても同様であります。
 三位一体の改革で日干し状態の北海道は、一都道府県として道民に役割を果たし得ない状況の中でこのまま権限と責任を北海道が持つことになれば、市町村の窮状も北海道の責任で国は関係ないという流れが見えるような気がいたします。私の杞憂であると有り難いのですが、総務大臣からの答弁をお願い申し上げます。
 正に格差社会。個人も地域も、そして住んでいる自治体間においても。
 もう一つ、私たちの国にとって大きな課題は少子化です。二〇〇七年問題、すなわち団塊世代の大量退職期を目前に控えた今、国際的な立場で日本の経済力を維持しようとすれば、労働力を経済効率の良い地域に集中させなければなりません。東京から愛知県にかけてを黄金のベルト地帯と呼ぶ人もあるようですが、それ以外の地域は、今ある統計以上に高齢化が進むことになります。
 北海道も代表的な若者流出県ですが、当然、北海道からだけではありません。競争力のある産業の有無でその程度は変わってきますが、さらに、政府の農業政策で農業人口が激減することが目に見えています。今、正に超高齢社会に向かっていく地方をどうするかが大きな課題です。高齢化率五〇%になると、限界集落といって地域コミュニティーが維持できないと言われています。また、介護保険関連の様々な施策もマンパワー不足に陥ってきます。フィリピンから看護師さんに来てもらうくらいでは到底賄えないわけであります。
 これから進行する超高齢社会における地域医療、介護福祉政策についての柳澤厚生労働大臣の見解を伺います。こういう視点からの国づくり、地方の在り方について担当大臣にお伺いをいたします。
 また、総務大臣からは、新型交付税のこの点についての考慮を含め、御答弁をいただきたいと思います。
 議場内のすべての皆さんが気付いているとおり、地域間の格差が広がっています。そして、そのとおりの人口移動が進んでいます。農村から地方都市、県庁所在地へ、そして大都会へ。そして、衆議院の選挙区は人口割りです。すなわち、都市選挙区の割合が圧倒的に高いのです。目先の利益を追求するのではない、長期的な視点に立った国土政策、地方政策、農林漁業政策こそ参議院の役割だと考えます。
 日本は、言われているとおり、明治以来の官僚制が色濃く残った官僚制中央集権国家でございました。今、財政危機を理由にそのツケを地方自治体に押し付けています。国民的人気を誇った前総理でさえ、官僚の既得権益の壁を打ち破ることができませんでした。乾いたぞうきんを絞るように行革と節約を繰り返した町長の言葉が耳から離れません。国の役所にもやってほしいという言葉です。正にそのとおりです。特殊法人、公益法人、外郭団体、天下り、そして特別会計など。
 大臣、無理を承知で申し上げますが、国でなければどうしてもできない仕事をピックアップして精査していく、だれが考えても分かりそうなことをどうしてやらないんですか。
 変なきっかけから二転三転して取り繕っても、いい法律はできません。ましてや、今回の分権の名に値しない権限移譲は後世に禍根を残す、また、抵抗官僚の思うつぼになるおそれはないですか。

発言情報

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発言者: 小川勝也

speaker_id: 4765

日付: 2006-11-29

院: 参議院

会議名: 本会議