伊吹文明の発言 (教育再生に関する特別委員会)
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○伊吹国務大臣 先ほど来、民主党の提出者と先生の間で御議論がありましたように、日本は人口に比例してGDPの非常に大きな国ですよね。であるからこそ、世界第二位の経済大国になったわけです。それから、若年層が非常に、残念なことに、少子化で少なくなってきておりますね。それから私学のウエートが圧倒的に高いということを考えますと、日本人が教育に使っているお金という感覚と公的な教育費のGDP比率というのは少し違うと思うんですね。ですから、それを全体として考えておかないと、教育力というのははかれない。
もちろん、崇高な魂を持って教育をやれば、萩に行ってわかるように、松下村塾の建物の中でも立派な日本人が出てきたということは確かなんですが、しかし、やはりある程度の待遇をしっかりとして、一般の方々より世間的に尊敬も受け、そして先生自身もみずからを磨いていただくということにならないと、やはりいい子供は育てられないと私は思います。
ですから、めり張りということでいえば、私は大きく言って三点あると思うんですが、一つは、今の学校現場の状況を見ると、家庭が残念ながら実質的に崩壊をして、地域社会が機能を非常に低下させているという状況で、ほとんどの重荷は学校の先生に寄せられている。それから、これだけメディア社会になりますから、次々と調査や資料の提出を要求されるわけでしょうから、我々も心しなければならないんですけれども、子供と向き合う時間が非常に少ないですね。ですから、少しその教師の重荷を、負担を下げてあげるためには、教師の数をふやすのか、職員の数をふやすのか、あるいは事務的なものを外部へ出すのか、ボランティア的な人に、お金を少しつけて、中へ入ってきていただくのか、いずれにしろ、そのあたりの人員に関するお金が少し要る。
それから、地方公務員よりずっと優遇して教師を確保してきたんですが、今や、教師の勤務実態を見ると、かなり超過勤務が過重になっている。それだけの超過勤務をもらっておられる地方公務員と対比した場合に果たして優遇されておるのかということは、しっかりと見きわめないといかぬと思いますね。それで、トータルの予算を大体考えた上で、努力をした教師とそうじゃない人との、先生も先ほどから非常に言葉を選んで質問しておられるなと思ったのは、優遇するという言葉と、優遇の度合いを抑えるという表現を使っておられますね、やはりそういう配慮をしながら教師の予算の体系をもう一度見直す。この二点が初等中等教育の大きなポイントだと思います。
あと一つは、大学ですね。今、大学の運営交付金とか私学の助成費を減らして、すぐにもうけ仕事に結びつく研究開発の金をふやせという流れがありますが、本当は、どんなにメスさばきが立派な医師が出てきたり、立派なお薬を投与する先生がいたとしても、患者に心の平安を与えない医師というのはやはりだめだと思うんですね。どんなに法律の専門家であっても、源氏物語も読まずに、男女の機微がわからずに離婚調停されたら困っちゃうという問題がやはりあるんですよ。
ですから、リベラルアーツというのか、歴史だとか古典だとか、こういうものの厚みをある程度持っている、それは必ずしももうけ仕事には直結しないけれども、もうけを超える価値を人間社会に与えていく、こういう知識人を輩出するというのが私はやはり大学の本来の役割の一つだと思うんです。だから、大学の運営交付金をどうするかということは、よく考えなければならない。
この三点を安倍内閣としてどう判断をしながら政策のプライオリティーを考えていくか。同時に、おっしゃっている財政再建の問題もありますし、社会保障の問題もあります。とかく議論は、一部だけをとって、いいことだけを言って変える、そうすると、変えるとそこはよくなるんだけれども、必ず副作用が出てくるわけですね。だから、行政を預かっている者は、効果と副作用を必ず考えながら予算のプライオリティーを決め、そして改革を進めていかなければならない、そんなふうに考えております。