園田康博の発言 (日本国憲法に関する調査特別委員会)
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○園田(康)委員 ただいま議題となりました民主党提出の日本国憲法の改正及び国政における重要な問題に係る案件の発議手続及び国民投票に関する法律案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
この特別委員会が設けられてから一年半ほどの議論を通じ、国民投票法制について、民主党は、改憲をするあるいはしないとは全く関係なく、客観的、中立的な手続法として幅広いコンセンサスのもとで制定しなければならないということを一貫して主張し、その認識がやっと広まりつつありました。しかし、ことしの一月に安倍総理が任期中に憲法改正をしたいと発言したことから、議論の質が一変してしまいました。国民投票法制をめぐる議論のみならず、日本の憲法の議論も、この安倍総理の発言によって、政治論的には十五年、政治思想的には百五十年後退したという印象がございます。
さらに、与党は、みずから定めた採決日程どおりに何が何でも運ぼうと、最初の中央公聴会設定のときと同じように、乱暴な委員会運営も辞さない覚悟のようであります。
保岡与党筆頭理事は与党修正案の趣旨説明で与党案民主党案の違いはもうほとんどなくなったと発言しておられますが、国政における重要な問題に係る案件の国民投票法制について、与党修正案ではその意義及び必要性の有無について検討を加えと消極的な修正となっているだけであります。投票権者を十八歳とする点についても、与党修正案では実施を幾らでも先送りできる余地を残しております。また、与党修正案では、国家公務員法、地方公務員法などに定められた公務員の政治的行為の制限規定を国民投票運動に適用除外とはせず附則で検討を加えるにとどまっており、一体何を検討しようとしているのかさえ意図不明であります。
このように、与党修正案は、当特別委員会でのこれまでの議論の積み重ねを踏まえているとは到底言いがたいものであり、民主党の考えと与党修正案の間には厳然たる相違点が存在していると言わざるを得ません。民主党は、これまでの当特別委員会における質疑、参考人や公聴会における公述人からの御指摘を踏まえ、党内で真摯に議論を重ね、民主党独自の修正案を提出することといたしました。民主党修正案は、現段階において最も合理的な案であると考えておりますので、必ず過半数の賛同を得て成立させていただけるものと確信をいたしております。
以下、本修正案の主な内容について御説明申し上げます。
第一に、国民投票の対象についてですが、憲法改正のほか、国政における重要な問題のうち憲法改正の対象となり得る問題、統治機構に関する問題、生命倫理に関する問題その他の国民投票の対象とするにふさわしい問題として別に法律で定める問題に係る案件とすることとしており、附則において、この法律が施行されるまでの間に国政問題国民投票に関し日本国憲法の採用する間接民主制との整合性の確保その他の観点から検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとするとの規定を置くことにしております。
第二に、投票権者についてであります。
諸外国では、成人年齢に合わせて十八歳以上の国民に投票権を与える例が非常に多いことから、投票権者の年齢を十八歳以上とすることとし、附則において、この法律が施行されるまでの間に公職選挙法、民法等の関連法令について検討を加え必要な法制上の措置を講ずるものとするとの規定を置くこととしております。
第三に、投票用紙への賛否の記載方法及び過半数の意義についてであります。
この点については、投票人の意思を酌み取ることを重視する観点から、さらに検討を加え、あらかじめ投票用紙に印刷された賛成、反対の文字をマルで囲むこととし、無効票をできるだけ少なくする方式に変更した上で、賛成の投票数が賛成の投票数と反対の投票数の合計数の二分の一を超えた場合に国民の承認があったものとしております。
第四に、国民投票運動が禁止される特定公務員の範囲については、民主党原案どおり選管職員等に限ることとしております。これは、本委員会での議論を通じて、憲法改正国民投票における意見表明は主権者国民が直接に国政に対して発言できる重要かつ貴重な機会であり、それは裁判官や検察官等の職種についている者でも同じように保障されるべきであると考えたからであります。
第五に、公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の制限については、要件を明確にした上で設けますが、罰則は設けないこととしております。
なお、公務員が憲法改正の発議から投票期日までの間に行う国民投票運動及び憲法改正に関する意見の表明並びにこれらに必要な行為については、国家公務員法、地方公務員法等の公務員の政治的行為の制限規定は適用しないことといたしました。
第六に、組織的多数人買収罪については、適用対象を最も悪質な部分に限定するため、勧誘行為を明示的なものに限定するとともに、投票に影響を与えるに足りる物品その他の利益という要件についても、多数の者に対する意見の表明の手段として通常用いられないものに限ると限定した上で新設することといたしました。
第七に、国民投票における周知広報については、まず、国民投票公報には、憲法改正案及びその要旨並びに憲法改正案に係る新旧対照表その他、参考となるべき事項に関するわかりやすい説明を記載することとしております。
また、説明会の開催及び新聞における無料広告枠の規定は削除することといたしました。テレビ等における無料広告枠においても、賛成意見、反対意見を公正かつ平等に扱うこととしております。また、賛否の意見の放送は政党が指名する団体も行うことができることといたしました。
第八に、テレビ、ラジオにおける有料広告については、禁止期間を憲法改正の発議から投票期日までの間は禁止するとともに、放送事業者は国民投票に関する放送については放送法の規定の趣旨に留意するものとする旨の規定を設けることとしております。
最後に、この法律の施行期日及び憲法審査会の審査権限については、施行を公布の日から起算して三年を経過した日とするとともに、それまでの間は憲法審査会は調査に専念することを明記することとしております。
先週までに二回の中央公聴会と二カ所で地方公聴会が開かれましたが、公聴会が終わったから採決の環境が整ったというような身勝手な解釈はやめ、公聴会で示された多くの意見に謙虚に耳を傾け、また、与党修正案と民主党修正案の相違点等について十分な議論を積み重ねながら、できるだけ幅広いコンセンサスの形成に向けて、各党、委員各位が引き続き努力することを訴え、提案理由の説明といたします。