小池正勝の発言 (経済・産業・雇用に関する調査会)

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○小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。本調査会は「成熟社会における経済活性化と多様化する雇用への対応」をテーマに三年間にわたって調査を続け、今国会はワーク・ライフ・バランスを中心に調査を行いました。本日は、この三年間の調査を踏まえ、自由民主党を代表し、意見を表明いたします。
 我が国経済は、目下、イザナギ景気を超える景気拡大局面が続いております。これまでの構造改革、不良債権処理、規制緩和などの諸施策の効果がようやく実を結びつつある状況と言えるかもしれません。しかし、失業率が約四%、経済成長率が一、二%と、経済社会の成熟化によりイザナギ景気ほどの景気拡大は望めず、また家計部門への広がりに欠けているため、好景気の実感がわかないとの声が聞かれます。とりわけ、地方や全企業の九九%を占める中小企業には好景気が十分に波及していないと思われます。地方では商店街がシャッター街と化すとともに、中小零細の製造業は人件費の安いアジアなど外国企業との価格競争に追われている状況にあります。
 現在の景気拡大を持続させ、真に豊かな国民生活を実現するためには、地域が地域として自立できる環境づくりが必要です。住民の目線に立った自立した地域づくり、安心して元気に暮らせる町づくりを推進するためにも、地方や中小企業に光を当てた政策を今後積極的に実施していく必要があると考えます。昨年、中心市街地活性化法が改正されましたが、こうした法整備も含めて、自助努力している地域を応援するスキームをしっかりと整備することが重要であります。また、地域経済と雇用を支える中小企業を支援するための施策の充実を図っていくことも欠かせません。
 一方、少子高齢化、グローバル化、地球規模の環境問題が進む状況において我が国経済が中長期的に成長していくには、技術革新を含めた経済社会システムの革新、すなわちイノベーションの推進が重要な課題となります。最近ではインターネットの普及が私たちの生活を一変させたように、新たな技術は経済の発展に寄与するばかりではなく、国民生活をより便利にする力があります。イノベーションの推進のための研究開発体制の強化、効率的、効果的な資金の配分、人材育成等、総合的な取組を一層進めていくことが求められております。
 次に、雇用をめぐる動向についてであります。
 近年、パートタイム、派遣労働、有期契約等、雇用形態の多様化が進んでいます。このような非正規雇用の拡大については問題視する声もありますが、単に非正規雇用者の総数の増加だけを見て否定的にとらえるのはいささか早計に過ぎると思います。正社員を希望する者には機会の平等の観点からチャンスを与えていくべきであり、正規、非正規の二極化構造の固定化は是正する必要がありますが、今日の多様な働き方は、情報化の進展、経済産業構造の変化、個人のライフスタイルの多様化、企業における人材の有効活用等を背景に広まっているものであり、成熟社会においてはある程度やむを得ない面もあると思います。留意すべきは、公正の確保という観点であります。
 今国会、パートタイム労働法改正案が提出され、パートタイム労働者と正社員の均衡処遇の実現が図られますが、今後とも、企業と雇用者がともに満足できる雇用システムを目指し、時宜にかなった法改正を進めていく必要があります。また、企業においては、非正規雇用者に対して職責に応じた処遇を行うとともに、正規雇用を希望する者に対して正規雇用への転換を積極的に行うなど、適切かつ柔軟な労働環境を整備することが求められます。
 また、本調査会でも取り上げたところでありますが、近年大きな問題となっておりました若年者雇用については、企業業績の好調さを背景として、行政が一丸となって様々な施策に取り組んだ結果、昨年はフリーター、ニートの数がともに前年に比べて減少するなど、その効果が現れつつあります。しかし、就職氷河期に学校を卒業した世代を中心としたいわゆる年長フリーターについては、その固定化が危惧されています。再チャレンジを支援する仕組みを喫緊に整備し、その固定化を防ぐ必要があります。行政においては、ジョブカフェや日本版デュアルシステムを始めとした各種教育訓練制度の充実を図るとともに、各企業においては、年齢にかかわらない能力に応じた採用をより一層重視することが求められます。
 少子高齢化、労働力人口の減少が急速に進行する中、我が国経済の活力を維持するためにも、働く意欲のあるすべての人がその能力を十分に発揮し就業できる社会とする必要があります。そのためにも、高齢者、女性が活躍できる環境整備が不可欠であります。
 高齢者雇用については、改正高年齢者雇用安定法が昨年四月に施行され、原則六十五歳までの雇用が各企業に義務付けられました。諸外国と比較した場合、我が国の高齢者の就業率は高いものでしたが、働くことを希望する高齢者がより働きやすくなったと言えますし、年金支給と退職との間に空白期間をつくらないという大きな意義があります。団塊世代の退職、いわゆる二〇〇七年問題という当面の課題はありますが、製造業を中心に高齢者が持つ技能伝承を円滑に行い、この難局を各企業が乗り越えられることを期待します。
 女性雇用については、いわゆるM字型カーブの問題があり、結婚・子育て期にいかに就業を継続できるかが大きな課題となっております。既に育児休業制度の充実、看護休暇制度の創設などの対策が取られていますが、これら制度の一層の普及を図る必要があります。また、子育て等のために女性がいったん離職しても適切な再就職が可能となるよう、労働市場や教育訓練機会の整備充実も重要であります。
 次に、ワーク・ライフ・バランス、仕事と生活の調和についてであります。
 ワーク・ライフ・バランスの実現に当たっての喫緊の課題の一つは、子育てや介護などと仕事を両立しやすい環境を整えることです。各企業がワーク・ライフ・バランスの取組を積極的に推進し、フレックスタイム、在宅勤務、短時間正社員など様々な選択肢を用意できれば多くの人が就業を継続することが可能となり、雇用者の満足度を上げるばかりでなく、企業にとっても優秀な社員の雇用維持につながると考えられます。
 言うまでもなく、ワーク・ライフ・バランスは、育児や介護といったことだけではなく、自己の生活ニーズに即しためり張りのある働き方を可能とするものであり、自己選択的な雇用環境を生み出し、これまでの硬直的な仕事の進め方や中身の見直しにより生産性の向上に資することが期待できます。
 しかし、残念ながら、先進的な企業を除いて余り積極的な取組が見られないのが現状です。それは、もちろん正社員の長時間労働の是正は必要でありますが、労働時間の短縮ばかりが注目され、企業に導入のメリットが余り伝わっていないからだと思われます。ワーク・ライフ・バランスは、働き方の見直しを通じて私的生活を充実させるための環境をつくるとともに、企業の生産性の向上を図ろうとするものであり、社員と企業の双方にとってプラスであることを企業に広く周知する必要があります。
 参考人からはワーク・ライフ・バランスについての情報公開や財政、税制支援の必要性について言及がありましたが、行政においてはこのような支援策についても十分検討することが求められます。
 成熟社会における日本の在り方を考えますとき、一人一人の生活の場であるそれぞれの地域に立脚した安心で健やかな日本、豊かな日本づくりを目指すことが重要であり、その一環としてワーク・ライフ・バランス社会の実現に向けた取組を一層強化していくことを強く望みます。
 以上で意見表明を終わります。

発言情報

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発言者: 小池正勝

speaker_id: 14610

日付: 2007-05-09

院: 参議院

会議名: 経済・産業・雇用に関する調査会