下平尾勲の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(下平尾勲君) ただいま紹介いただきました下平尾でございます。
 経済成長戦略大綱関連三法案のうち、中小企業地域資源活用促進法案を中心に意見を述べたいと思います。
 今回、中小企業地域資源活用法案を出されましたことは、地域から見ますと大変期待が大きいものでございます。この法案を起爆剤として、地域及び中小企業の方でも主体的に、そしていろいろ知恵、工夫を出して良い町をつくっていく動きが活発化するであろうと。そういう意味では非常に画期的な法案であるというふうに考えております。
 ただ、今日の地域の状況というのは大変厳しいものがございまして、地域の側からする政策と、そして今回出されてきた政策との間に少しずれがあるのではないかと思っております。
 地域で今何が重要かというと、失業率を減らすと、完全雇用の問題をいかに達成していくかということが大切であります。地方の大学を卒業いたしましても、ほとんど大都市へ出ていきます。地元には働く場所がないと。特に、広域合併されたために役場がなくなり、農協がなくなり、商工会がなくなり、学校が統合されるというふうになりますと、地元で働く場所は極めて限られております。銀行も人減らしをやっておりますので、金融機関にも就職できないと。商工会議所はどうかというと、商工会議所もそれほど人を増やさないでいる。こういう状況で、地域の優秀な人材を地元に残して地域を担っていくべきである、そういうような目的でつくられた実業高校は、労働力の流出の予備校になっております。大学もまた、地方の大学は大都市へ人を流出させる予備校になっているわけであります。
 しかしながら、地域は産官民学の連携が非常に重要であると、そういうふうに言われているわけですけれど、それを実現するべき人材の流出が大きな影響を与えております。したがって、完全雇用をいかに地方で確保していくかという観点で、全体的な計画を是非作っていただきたいと。その中で中小企業政策等々も考えるという、全体構想が大切ではないかと思っております。
 それから、地域自体も自立化の動きが非常に活発になっております。地域の産業というのは、地場産業が発達し、誘致企業が増えて、そして土木建設業が力を持っているという、それに関連して、通信、運輸関係が膨らみ、結果的には雇用が拡大し、収入、所得は増えると。その経済基盤の上に商業が発達し、サービス業が発達してきたわけであります。ですから、商業及びサービス業だけで発達するという、こういうことは全くありませんで、したがって、最も基本的な地域の地場の産業と誘致企業と土木建設業が低迷をしたというところに問題があります。そして、地方から大都市へ労働力が流出したために、一挙に少子高齢化の問題が表面化をし、そして社会福祉的費用が増大をしていくと。
 したがって、今日の政策は、現在起こっている結果に対する対策が中心であって、どういう原因からそれが発生してきたかという発生原因に対する対策が少し遅れているんではなかろうかと、こう思っております。したがって、地域では様々な資源を何とか有効に結び付けながら自分たちで自立していこうと、こういうことで、地域文化、歴史、コミュニティー、自然環境ですね、こういったものも含めていろいろ取り組んでいるところへ今回のように法案が提出されましたので、非常に勇気が出るとは思いますが、なかなか容易に進められる状況ではないのであります。
 それから、地域循環と再生産ということが地方では問題になっております。これまでは、メーカー、産地の問屋さん、消費地の問屋さん、小売業、消費者というふうに縦の連携でずうっと動いていたわけですが、今日大切なのは横の連携でありまして、農業と観光と地域商業とが連携すればもっといろんなことができます。それから、大学と商工会議所と金融機関と、そしてマスコミも含めて横の連携をやりますと、面白いユニークな町づくりができるわけであります。そして、地域の中でやはり循環と再生産を考えていくという、こういうことが地域から見て大きな課題になっているわけであります。
 とりわけ、平成の大合併で、ここに挙げておきましたが、わずかの間に三千二百三十二の市町村から千八百十七の市町村に四五%ほど減りました。特に、広島県では八十六の市町村から二十三、新潟は百十二から三十五、愛媛は七十から二十と、そして今日、十九市町村よりも少ない県が六つございます。そして、二十から二十九の市町村の数の県が十三県あります。
 こういう状況で、そういう地域はやはり行財政の効率化によって投資を拡大をし、住みやすい地域を実現していくんだという、こういう基本があるわけですが、そこにおきまして何が大切かというと、やはり産業の問題が最も重要であります。したがって、産業基盤の強化なくしてこの広域合併がどんどん進んでいきますと、空洞化というものが発生してくるわけであります。
 今日、ここで書かれていますように、地域資源を活用してと、こういうふうに言っておりますけれども、地域資源を活用して発展してきた地場産業、特に大都市に市場を求め活躍してきた地場産業ほど深刻な状況になっております。
 これは資料のところに挙げておきましたが、第一表は中小企業庁の産地概況調査結果を基にして作ったものでありますが、生産額は、一九九一年から二〇〇五年の間に生産額は四一%になっております。有田焼産地は生産額は一九九一年から二〇〇五年に四百億円から百三十五億円に、三三%に減ると。西陣織の場合も九〇年から二〇〇三年の間に生産額は二二%、輪島は四八%、それから山中漆器は生産額三五%、組合員の数は六五%というふうに減っております。家具では広島の府中、大川の家具ですね。それから日本の仏壇産地も惨たんたる状況で、資料を挙げておきませんでしたが、非常にブランド力があって大都市向けの産品を生産している地場産業はこういうふうになっております。
 したがって、地方の産業政策というものは、既存の産業をどういうふうに活性化をしていくかというものをベースにして、そしてベンチャーとか新事業とか新しい取組を行っているものについて支援をしていくというふうに、二階建ての構想が必要なのではないかと、こういうふうに思っております。
 とりわけ山中漆器産地はどういうルートのものが駄目になったかというと、産地のメーカー、産地の問屋、消費地問屋、デパートへ持っていって販売するという、そういうオーソドックスなところが駄目になっていくと。これはデパート自体が合理化をして、そして、今まで例えば東京、千葉、神奈川に店のあったところは東京に一極仕入れ部分を集中して、そして、しかも自分のデパートの方で商事会社をつくって、そこへ余剰人員を持っていって仕入れを行うというふうなことから、消費地の有力な問屋が相次いで倒産をいたしました。そしてそれが産地の有力な問屋に跳ね返り、それが更に産地の有力メーカーに影響すると。
 したがって、消費地及び産地のリーダー的な役割を果たしてきた企業が破綻あるいは縮小、停滞をしております。とりわけしにせの企業というところに大きな影響が出たわけであります。したがって、組合活動、地域を取りまとめていくべきリーダーが不足をしております。したがって、地域にはたくさん人がいるわけですけれども、リーダーがいないという、こういう問題が出てまいりました。
 それから、ギフト商品関係も物すごく落ち込んでおります。例えば、山中は弁当箱をたくさん作ったわけですが、弁当箱が売れなくなったので、それを改良して置き時計を作り、あるいはオルゴールを作り、ふたを開けてティッシュペーパーボックスを作るというふうに既存の技術を用いて展開をしてきたわけですが、余りにもよく売れたので、短期間の間にそういう業者が増えて自滅をしていくという、こういう経過をたどっていったわけであります。
 したがって、山中漆器産地は、時間がありませんが、どういう経過をたどったかというと、一九九三年から九六年までと九七年から二〇〇〇年と二〇〇〇年以降では全く衰退の原因が異なっております。最初は消費需要が減っており、そして続いて流通機構が動揺し、そして海外からの輸入が増えて生産構造が変わってくると。したがって、消費と流通機構と生産構造という三つの問題に直面して今日のような状況に立ち至っております。
 したがって、マーケッティングについても、地元のマーケッティング、それから全国の中都市のマーケッティング、大都市のマーケッティングというふうにきめ細やかにやっていかないと、マーケッティング一本とかブランド戦略論というだけではなかなか難しいものがございます。
 それからその次は、資料の四ページ、挙げておきましたが、海外からの輸入が急増して、それとの対抗上、日本の有力地場産地は苦戦をしております。
 仏壇についていいますと、七〇%ぐらい海外生産になっております。せめて日本の仏壇を使いたいと思っているわけですけれども、台湾とベトナムと中国で部品を作って、組立てだけ日本でやると。日本の有力な仏壇師は月に三本、四本作っているわけですが、大きな商店は一か月に五千本ぐらい海外で生産した仏壇を運んでくるという、こういうふうにして国際競争の中に地域産業が巻き込まれております。特に織物関係は深刻でありますし、そして今の木工・家具ですね。とりわけ地域資源に基づいて発展をしてきた産業というのは、売れ筋商品を中心に国際競争に巻き込まれております。これが実は、日本の文化と非常に密接に関係している産業については、文化政策の面からある程度規制を加える方が必要ではないかと思っております。
 この四ページの図の四でありますが、これは陶磁器の日本の国内の生産額は一九九一年、一千八百億円ありました。消費は一千四百億円で、国内消費は一千四百億、生産は一千八百億。じゃ、その四百億というのは輸入に対して輸出超過四百億でバランスを取っていたわけでありますが、二〇〇三年になりますと輸出入が逆転して二百億の輸入超過になり、生産額は七百億になり、そして国内の消費量が九百億になると。国内の消費が九百億で生産は七百億で海外の輸入が二百億と。したがって、わずか十数年の間に一千八百億円から生産額七百億円というふうに落ち込んでおります。したがって、業界内の過当競争というのは非常に激化をしております。
 それで、あと、結論的部分でありますが、地域産業が空洞化しているという場合に、空洞化というのは、販売不振、販売数量が減って単価が下がって過当競争になるというのがベースであります。そして、建物や設備、店が空洞化をすると。組織が形骸化をし、産業集積、特に人材、技術、社会的分業、商人活動、原材料、そして体制という、こういう条件ががたがたになるのを産業集積の空洞化というふうに申し上げております。そして、人々の意識、意欲が空洞化すると。
 こういうふうに五つの道をたどりながら進んでくるわけですが、再生をするために人々の意識を高く高めていくということと、組織を強化するということと、地域循環をしっかりさせていくという三つのことが必要であります。したがって、志の高い人材をいかに確保するか、そして推進体制をいかに強化をしていくか、地域内の再生産をいかに強化していくかと。
 そういう意味からしますと、今回の法案のかなめ石は、県でどのような具体的な構想をつくりそして着眼点を明快にするかということを示した上で、地域がそれに対して地域自らが置かれている現場、現状に即して計画を立てて推進していくということが大切であります。そして、地域としては、産官民学の連携と同時に、大学の果たす役割が非常に大きいわけであります。
 今日、付け加えて言えば、日本の大学生及び短期大学生の四二%は東京、神奈川、千葉、埼玉に集中しております。したがって、これからの日本の国土計画を考えるときに、高等教育機関の地方への配分という問題が大変重要になってきているというふうに思います。
 以上でございます。どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 下平尾勲

speaker_id: 2193

日付: 2007-04-17

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会