小川勝也の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○小川勝也君 民主党・新緑風会の小川勝也でございます。
私は、ただいま議題となりました地方公共団体の財政の健全化に関する法律案につきまして、民主党・新緑風会を代表して質問いたします。
この法律案は、地方分権が進展する中で、地方財政の規律を回復させる観点から、財政再建の要件となる対象を、普通会計だけではなく、公営企業、一部事務組合、地方独立行政法人、地方公社、第三セクターなどに拡大し、これらの分野を含む新たな財政指標等の作成、公表を行うことにより、住民や議会のチェック機能を有効に発揮させ、地方公共団体の財政破綻を未然に防ごうとするものと理解しています。また、それぞれの財政指標についてある一定の基準を国が定め、それに該当した地方公共団体は財政健全化計画ないし財政再生計画を策定することが義務付けられ、地方公共団体の財政再建を二段階で行う仕組みを導入することが法案の中心です。
北海道夕張市に見られるように、財政破綻した地方公共団体の住民が過大な負担や不利益を被ることにかんがみ、また地方公共団体の財政情報が広く公開されることになることから、その方向性には一定の理解をさせていただきます。しかしながら、国と地方の関係、真の意味での分権の在り方、また国が責務を負わなければならない国民福祉の観点など、この法律案の審議に際し、大きな疑問からスタートしなければならないのも事実です。
第一に、夕張市の財政破綻に関する国の責任についてであります。夕張市の財政破綻は、身の丈を超える観光事業に進出したことが原因とされております。このような事業に進出したのは、基本的には夕張市の自己責任でありますが、国にも一定の責任があるのではないでしょうか。
その一つは、国策の変更に伴い石炭産業に代わる新たな産業振興を自らが行わざるを得ない状況に追い込まれたことであり、もう一つは、国の景気浮揚対策の肩代わりをさせられたということであります。特に、国が景気対策の目的で地方単独事業を奨励していた時期には、起債充当率を高め、地方債を発行させ、その元利償還を補てんすることを認めていました。また、公共事業を行えば、その分を交付税で上乗せするという政策を取った時期がありました。複数の自治体関係者から、上乗せどころか毎年交付税が減り、やりくりが厳しくなったと耳にいたしました。その後の三位一体の改革で、力の弱い自治体の交付税がどのように変化したかは皆様がもう御承知のとおりでございます。
夕張市の財政破綻は、このように国の政策の変更に振り回されたことと無縁ではないと考えます。国に何らかの責任があったことを認めるところから地方財政の問題を論ずるべきと考えますが、総務大臣、あわせて経済産業大臣のお考えをお伺いをいたします。
総務大臣も夕張に行かれ、市民の生の声を聞いていただきました。夕張市民は、新しい市長も選び、新しいスタートを切りました。行政サービスが低下したので、あの成人式に見られたように、正に市民の手作りの市政運営、まちづくりがスタートいたしました。地方自治の学者からは、正に自治の原点、悪い面ばかりではないという励ましの言葉もありましたけれども、依然として市民は大きな不安を抱えています。
最高の住民負担と最低のサービスと言われる夕張市がどれほど人口を維持できるのか。すなわち、現在一万二千八百人と言われている夕張市の人口が十八年後には七千三百人になると予想していますが、予測以上の人口減少が進めば財政再建計画に狂いが生じてきますし、再建計画の再策定が必要となります。余りにも厳しい計画は、再建への市長、職員、市民の意欲低下にもつながりかねません。実は、市長のコメントが地方紙に載っておりました。分かってはいたけれども大変ひどい、何もできない。窮状を訴え、夕張をアピールするため市長会に出席したかったが、旅費が賄えないのであきらめた。こんなコメントが載っておりました。
総務大臣に伺います。夕張再建への見通しをどのようにとらえているのか。また、計画の見直し、新たな支援策の検討状況なども併せてお聞かせください。
平成の大合併で市町村の数が大きく減りました。住民説明会や合併協議会などの議論の中で、進むも地獄、引くも地獄などという嫌な表現を耳にいたしました。合併後のそれぞれの自治体の満足度を総務大臣はどのように把握されておられるのか、お伺いをいたします。
全国には、合併を視野に入れながらも財政問題がネックになり合併を選択しなかった、あるいはできなかった自治体が多数存在します。三位一体改革に伴い、地方交付税は五兆円の削減が行われました。このままの交付税の推移では、財政健全化計画や再生計画を立てなければならない地方公共団体が多数出現することになるでしょう。総務省は、自治体の自主的判断と言いながらも合併を奨励してきました。この法律による財政の健全化と合併を促す政策を今後どのように関連させていくのか、その方途について考えを伺います。
この法律の目的が国や財務省が目指す地方財政の緊縮化だとするならば、大きな役割を果たすことは間違いないでしょう。しかし、本当の意味での分権化時代における輝ける住民自治の健全なる発展を目指しているとするならば、余りにも心配な点が多いことも指摘しなければなりません。
私の懸念の第一は、新たな財政指標の導入と早期健全化基準、財政再生基準という物差しの出現と、国からの無言の圧力で地方公共団体の行財政運営が過度に萎縮してしまうことです。財政健全化が求められる余りに、地方債発行を抑制し、最低限の事業しか行わない地方公共団体が増えてしまうのではないでしょうか。こうした事態を招かないために、地方自治の観点から、地方公共団体が自主的、主体的に財政再建に取り組むこととし、国の関与は極力制限する必要があると考えますが、総務大臣の答弁を求めます。
もう一つの懸念は人口減少社会です。厚生労働省は二〇三五年までの人口推計を発表いたしました。それによれば、十九道県で人口が二割以上減るということであります。県別では二割でも、自治体別になるともっと厳しい数字になります。北海道内でも顕著に見られるように、県庁所在地に人口が集中する分、人口が流出する地域の減少率はもっとすさまじい数字になるでしょう。言うまでもなく、財政が著しく悪化する自治体は、夕張がそうであるように、かつて人口の規模があって財政のサイズが大きく、急激な人口減少が行政のスリム化を追い越すという状況に生じやすいと考えられます。国際競争力や人材の確保の面から地域の中心企業の撤退や工場の閉鎖など、今後自治体財政を大きく圧迫する事態も予想されます。
二〇三五年、秋田県の六十五歳以上の老年人口の割合は四一%になると予測されています。そこで心配なのは超高齢社会における高齢者福祉です。厚生労働大臣にお聞きいたします。外国人看護師、介護士等の話も出ていますが、抜本的な解決にはほど遠いと思います。人口減少及び高齢化率の高い地域における高齢者福祉の確立のためには、未来予測とともに周到な施策の準備が必要と考えます。答弁を求めます。
また、軒並み全国の人口が減少すると予測されている中で、沖縄とともに東京はまだ人口が増えると予測されています。明らかに政策の大失敗です。かつて、全総では国土の均衡ある発展、多極分散型国土の形成とうたっていました。今の政治はふるさとの破壊です。首都機能の移転話は鳴りを潜めましたが、今こそ一極集中から脱却するための施策が必要です。施策の大転換を図るべきと考えますが、国土交通大臣にお伺いをいたします。あわせて、今後の都市と地方の在り方について基本的な考え方もお伺いいたします。
また、健全化に向かう自治体は、基本的にはぎりぎりまで支出の抑制、見直しを行った後であり、その後の計画では夕張の計画で見られたような大変厳しいものになることが予想されます。財政が破綻した地方公共団体の住民であってもシビルミニマムは保障されると言われておりますが、夕張市の財政再建計画を見ると、下水道料金や保育料が引き上げられる一方、小学校、中学校の統合等が予定されており、行政サービスの水準は低下する一方です。これに対し、東京都二十三区のうち相当の区が中学生までの医療費を無料にする施策を行っております。
このように、居住する自治体間で住民が受けられるサービスの格差が拡大していると考えますが、このような格差はどこまでが許容範囲なのでしょうか。総務大臣、明確にお答えください。
現在、私の出身地であります北海道の各地域の最大の問題は地域医療、病院問題です。どうあがいても赤字にしかならない公立病院が市町村の大きな負担になります。医師、看護師の確保問題も深刻です。
厚生労働大臣に伺います。国民の医療へのアクセスは国が大きな責務を持たなければならない分野だと考えますが、現状をどう考えておられますか。また、医療制度、診療報酬体系、一律の規制など、細やかな配慮によって工夫の余地があると思われますが、地域医療、特に公立病院の存続、充実に向けての検討をお願いいたします。
各市町村は血のにじむような支出の削減を続けてきました。しかし、現行制度では病院の赤字だけはどうにもなりません。自治体が存在している地理的要因だけで大きなハンディを背負っています。様々な指標に病院経営の赤字が組み込まれます。財政の健全度に住民の命と健康を守るために必要な病院会計の赤字が組み込まれるのは大変酷な話です。基準の算定に当たり、何らかの特例的な扱いを検討する必要があると思われますが、総務大臣、明確な答弁をお願いをいたします。
この法律も御多分に漏れず、連結実質赤字比率、将来負担比率等の具体的要件という肝心な部分が政省令にゆだねられています。特に、下水道会計に関する点、職員の退職金の将来負担比率への算定の仕方など、余りにも現実と懸け離れた考え方に基づいているなど、不安と不満の声が多く聞かれます。政省令の策定及び運用の際は丁寧に地方六団体との協議をする必要があると考えますが、総務大臣、いかがでしょうか。
国はいつから地方に対してこんなに冷たくなったのでしょうか。子供を育てて都会に送り出す、そして地方出身者は社会人となって税金は都市に落とし続けます。その間、大学生などの学生の親は都市に所得移転を余儀なくされます。交付税の算定基準たる人口を増やしたいために、各自治体は定年世代のUターンや定住促進を訴えています。そして、医療、介護などの支出が増えます。都市で働く人たちがふるさとの親を心配しなくていいように様々な思いが詰まっているのが地方交付税交付金制度です。小学校の社会科の教科書では、ばりばりの太字でございました。田舎の小学生だった私は、この地方交付税交付金という文字を見て、私はいい国に生まれたなと実感したものでした。地方公共団体の無駄遣いは許されませんが、交付税はいたずらに減らしてはいけないのです。ふるさと納税のアイデアはいいのですが、その前にやらなければいけないことがあるのではないでしょうか。すなわち、地方が求める交付税の総額の確保の実現に向けて最大限尽力することであります。総務大臣、お答えください。
小泉政権が誕生して以来、経済効率優先主義の社会が地方を壊しています。富の再配分、そして地域間の調整、この二つは政治にだけ課せられた重大な使命です。今の政治は使命を果たせていません。
急激な人口の移動は、後で大きなツケを受け取ることになります。少子化も治安の悪化もモラルの低下もその一つです。国民の心と暮らしの安心が今失われています。肥大化した首都東京に大地震が起きたとき、我が国は大きなダメージを受けます。食料の自給ができない国が長く栄えた歴史はありません。地方が豊かな自治によって栄えれば、その国は正に真の繁栄を享受できます。国民の幸せは国の経済力で推し量られるものではありません。現在の我が国は決して豊かとは言えません。
民主党は、都市も地方もすべて国民が安心で豊かな生活を営める国をつくるため、政権交代を目指すことを改めて表明して、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣菅義偉君登壇、拍手〕