岩永浩美の発言 (国民生活・経済に関する調査会)

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○副大臣(岩永浩美君) 農林水産副大臣の岩永浩美でございます。
 農林水産省関係といたしましては、森林保全、都市と農山漁村の二つのテーマについて説明をさせていただきます。
 まず初めに、森林保全についてであります。
 我が国は温帯モンスーン気候に属し、降水量に恵まれていますが、狭く急峻な地形に一億三千万人が住んでいることから、限られた水資源をいかに大切に利用していくかが重要であります。また、降水量は梅雨と台風の時期に集中しており、雨水の多くは利用されず、海に流れ出てしまうだけでなく、洪水などの災害を引き起こします。このため、雨水を河川にゆっくりと流し出すことができれば、我々が利用できる水の量が増え、洪水等を軽減することが可能になります。
 森林においては、雨水が土壌のすき間に浸透し、一時的に蓄えられ、ゆっくりと河川に流出をいたします。このように森林には雨水をゆっくりと河川へ送り出す働きがあり、このことによって河川を流れる水量を安定させていきます。また、森林は土壌の働きによって水質を浄化します。これらの機能は総称して森林の水源涵養機能と呼ばれております。日本の国土の約三分の二は森林で覆われており、森林は水源涵養機能を始め、山地災害の防止、地球温暖化の防止、自然環境の保全などの多面的機能を有しています。このような森林を適正に整備保全していくことによって、その多面的機能を発揮させていくことが我が国の国土保全施策の重要な柱の一つとなっています。
 このため、農林水産省では、水源涵養等の森林の有する多面的機能を維持増進する観点から、水源涵養保安林を始めとする保安林の指定拡大を図りながら適切な管理を行うとともに、森林所有者等の林業生産活動の一環として行われる造林、間伐などの森林施業を助長する森林整備事業や、国や都道府県が治山施設の設置や保安林等の森林の整備を行う治山事業などにより、森林の整備保全を推進しているところであります。
 また、平成十八年九月に閣議決定された森林・林業基本計画に基づき、地球温暖化の防止、山地災害の防止、環境教育の場の提供、生物多様性や景観の保全、花粉の発生抑制などの国民の多様なニーズにこたえるため、森林の有する多面的な機能を持続的に発揮できるよう、健全な森林の育成のための間伐はもとより、立地条件等に応じて広葉樹林化、針広混交林化、長伐期化などによる多様な森林整備を推進しているところであります。
 さらに、近年喫緊の課題となっている地球温暖化防止については、森林による二酸化炭素の吸収目標を確保するために、平成十九年度から六年間、毎年二十万ヘクタールの間伐を追加的に実施する必要があります。このため、平成十九年度は平成十八年度補正予算と併せ二十三万ヘクタールの間伐に相当する追加予算を措置したところであります。
 このような森林の整備保全を確実に推進していくためには国民の理解と協力が不可欠であり、平成十九年二月から、間伐の推進と多様な森林づくりを目標に「美しい森林づくり推進国民運動」を官民一体となって展開しているところです。今後とも、水源涵養機能を始めとする森林の有する多面的な機能の発揮に向けて、関連する施策の推進に努めてまいる所存です。
 続いて、都市と農山漁村についてであります。
 初めに、都市と農山漁村の交流について現在行っていることを御説明をいたします。
 この都市と農山漁村の交流も含めました農山漁村の活性化方策につきましては、農山漁村活性化法が八月一日に施行され、同法に基づく農山漁村活性化プロジェクト支援交付金によって、農山漁村地域の活性化の取組支援を確実に推進することといたしております。
 また、現在、今村副大臣を本部長とする農山漁村活性化推進本部において、農山漁村の活性化のための方策について、現地に出向き、農林漁業者を中心に関係者から御意見を伺う「みずほの国・防人応援隊」の取組を行っております。今村農林水産副大臣が中心となり、局長クラスと分担し、現地に出向き、農林漁業者を中心に関係者からの声を直接伺っているところであります。この防人応援隊は全国九か所で行うこととしており、本日までに既に六か所の地域で開催をされました。地域で伺った御意見については、都市と農山漁村の交流の推進も含め、今後の政策展開にどのように反映できるか検討していきたいと考えています。
 次に、都市と農山漁村の共生・対流のこれまでの活動と成果を簡単に御説明をいたします。
 都市と農山漁村の共生・対流については、平成十四年度に官房副長官と関係八府省の副大臣から成るプロジェクトチームを設置し、重要施策として政府一体となった推進を図っているところです。
 これまでの活動の成果については、まず、共生・対流は国民的な運動として推進することが必要との観点から、平成十五年度に養老孟司氏を代表とする民間の推進組織であるオーライ!ニッポン会議を立ち上げ、ポータルサイトの構築やシンポジウムの開催などの情報発信活動を行っております。さらに、優良事例に対し内閣総理大臣賞を授与するなどの表彰を通じた普及活動を行い、都市と農山漁村の共生・対流の国民的な運動の機運醸成を図っております。
 また、平成十八年度には共生・対流の一層の推進に向けた提言を取りまとめ総理に報告したところであり、この提言を受けて、関係省において農家民宿にかかわる規制緩和の推進や予算措置の拡充を行っております。
 さらに、平成十八年二月に公表された都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査の結果を受けて、平成十九年度予算において更なる予算措置等強化を行ったところであります。
 このような取組を通じて、ここ数年で、農山漁家民宿の新規開業件数が平成十五年百八件であったものが、平成十八年度には四百二件に増加するなど、共生・対流の先進的な取組事例が増加し、地域の活性化の効果が明確になってくるなど、その効果が徐々に現れてきていると考えております。
 今村副大臣が主査をしている現在の副大臣プロジェクトチームでは、現在、本年六月二十一日に取りまとめた府省連携の対応方向に基づき、関係府省の連携の強化に向けた施策の具体化を検討しているところであり、これらの取組を通じて共生・対流を更に進めてまいる考えであります。
 国民生活・経済に関する調査会からの提言への対応状況を具体的に御説明をいたします。
 農山漁村における取組と都市側からの働き掛けがかみ合うことが重要だという御提言をいただいております件については、農山漁村における取組と都市側からの働き掛けがかみ合うよう配慮する観点から、平成十八年二月に公表された都市と農山漁村の共生・対流に関する世論調査により、都市住民も含め、国民の意識を把握しつつ取組を推進をいたしております。
 この世論調査では、団塊世代や二十代の若者が、他の世代に比べて共生・対流の実践願望が高いという結果が見られることから、これを受け、副大臣プロジェクトチームにおいて、団塊の世代、若い世代の願望、二つ、子供たちの体験学習、三、多様な主体の連携と参加を視点とした強化策を取りまとめたところであります。この強化策については、関係各省の平成十九年度の予算に反映されております。
 また、省庁横断的な規制緩和による地域活動の活発化についての御提言をいただいておりますが、省庁横断的な規制緩和への取組については、これまで副大臣PTで検討し、その結果も実践してまいりました。都市と農山漁村の交流における宿泊受入先となる農林漁家民宿の開業を促進するため、関係省と連携し、旅館業法の規制緩和や消防法等の運用改善が構造改革特区又は全国的な対応として措置されているところであります。
 具体的には、農林漁家民宿に関する全国的な措置として、一つ、旅館業法の面積要件の撤廃、二、旅館業法上、宿泊者を対象に行う送迎のための輸送が可能であることの明確化等の規制緩和が行われております。また、都道府県に対しても、農林漁家民宿にかかわる食品衛生法上の取扱いに関する条例改正等を要請し、規制緩和を進めてまいっております。
 地域におけるコーディネーターの育成などが必要だという御提案については、体験活動の受入れ促進の重要な役割を担う地域のコーディネーター等の育成については、人材育成の研修を実施し、平成十八年度までに千七百二十九名の指導者等を育成してきているところであります。
 また、農山漁村における体験学習や体験活動についての御提言もいただいております。
 農山漁村における体験学習や体験活動については、従来から受入れ地域づくりを推進し、体験施設の整備や体験学習の指導者育成等の取組を行っております。また、平成二十年度からは文部科学省、総務省と連携した取組として、子供の農山漁村交流プロジェクトを立ち上げ、農山漁村での長期宿泊体験活動を一層積極的に推進することといたしております。また、子供たちの受入れを契機に、子供でなく大人の受入れも可能な体験学習や体験活動の受入れ体制を整備していく方針であります。
 住宅の取得などを容易にするための施策についての御提言もいただいております。
 住宅の取得等については、副大臣プロジェクトチームで本年六月に取りまとめた府省連携施策において、国土交通省と農林水産省、総務省が連携し、定住や二地域居住を願望する都市住民等が住居を安価に入手する手段として、空き家の活用を促進していくことといたしております。
 また、長期休暇の取得を容易にする施策についても御提言をいただきました。
 長期休暇の取得については、副大臣プロジェクトチームで平成十七年七月に取りまとめた都市と農山漁村の共生・対流の一層の推進に関する提言において、有給休暇の取得率向上に向けたPR活動を推進する方針を出しており、関係省でPR活動を行ってきているところであります。
 農業の多面的な機能に対する費用負担の在り方について更に検討を深めるべきだという御提言もいただきました。
 国土や自然環境の保全、水源の涵養、良好な景観の形成など、我が国の農業が有する多面的機能は、農村のみならず都市を含めて広く国民生活及び国民経済の安定のために極めて重要な役割を果たしております。農業の多面的機能は、農村において農業生産活動が持続的に行われることにより発揮されるものであることから、農業の持続的な発展と、その基盤である農村の振興を図ることが極めて重要であります。このため、農林水産省としては、担い手の育成や農業基盤の整備など各般の施策を講じているところであります。
 平成十二年度からは、耕作放棄地の増加等により多面的機能の低下が特に懸念されている中山間地域等において、農業生産の維持を図りつつ多面的機能を確保するという観点から、中山間地域等における農業生産条件の不利を補正するための支援策として、中山間地域直接支払制度を実施しているところであります。
 また、農地、農業用水等の資源は、食料の安定供給はもとより、多面的機能の発揮の観点からも重要な社会共通資本でありますが、過疎化、高齢化、混住化の進展に伴い集落機能が低下し、その適切な保全も難しくなりつつあると認識をいたしております。こうした状況の中、平成十九年度から農地、農業用水等の保全向上を図る地域ぐるみの共同活動と環境保全に向けた先進的な営農活動を一体的に支援する地域振興対策として、農地・水・環境保全向上対策を導入いたしております。
 以上のように、農林水産省としては、従来より農業を持続させ、多面的機能を発揮させる観点から各般の施策を講じてきたところでありますが、近年はこれらに加え、新たな政策手法による支援措置も導入しているところであります。こうした施策の推進とともに、多面的機能の国民的理解の形成に向け、パンフレットやホームページによる多面的機能の内容と発現メカニズムについての紹介や、都市と農山漁村の共生・対流を推進し、都市住民を含む幅広い国民が農山漁村や農業に実際に触れる機会を拡大すること等を通じ、国民的理解の形成に向けて取り組んでまいる所存であります。
 都市住民に対して発信していく情報ネットワークの充実強化が必要であり、そのための人材育成について積極的な措置を講ずるべきだという御提言をいただきました。
 都市住民に対する情報発信については、都市と農山漁村の共生・対流の国民的な運動を推進しているオーライ!ニッポン会議において、民間団体や行政機関等で整備している共生・対流に関連する情報を都市住民が利用しやすいよう、一元化して情報発信を行うオーライ!ニッポンウエブの運用を行っております。また、オーライ!ニッポン大賞表彰の実施、シンポジウムの開催、新聞、雑誌等の各種マスメディアを通じた情報提供など、民間事業者とも連携して情報発信を行ってきているところであります。
 さらに、これらの情報発信を支える人材として、農山漁村地域の情報を紹介、提供するインストラクターを四百二十五名育成をいたしております。また、農家民宿お母さん百選を核とした良質な農林漁家民宿の全国ネットワークづくりを進めていくことといたしております。
 今後とも、関係府省とも連携し、都市と農山漁村の共生・対流の取組の推進に努めてまいります。
 以上で説明を終わります。御清聴ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 岩永浩美

speaker_id: 643

日付: 2007-10-24

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済に関する調査会