マヒンダ・ラージャパクサの発言 (政府開発援助等に関する特別委員会)

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○参考人(マヒンダ・ラージャパクサ君)(通訳) お集まりの先生方、私にとりましてこのように初めてのスリランカ大統領としての日本への公式訪問の中で、国会議事堂の中でこのように演説できることを大変うれしく思っております。
 まず初めに、皆様そして日本政府に対し、私並びに同行代表団に対する心温まる歓迎そして御歓待に感謝申し上げます。
 日本とスリランカは、七世紀のころからの長きにわたる友好関係を享受してまいりました。七世紀には、アモガ・バジラという名前の日本の仏教学者が古都のアベヤギリヤの僧院において仏教を学んだというところからこの友好関係は始まっております。その後、我々は忠実なる友好関係を保ってまいりました。
 また、外交関係ももう五十年を超えて、強力な関係を築いております。日本が我が国の開発に当たって果たされた役割は特に特筆すべきであり、また賞賛に値するものだと思っております。事実、日本は私どもの開発に当たっての、我々にとって常にリードしてくれるパートナーでありました。
 さて、皆様、日本からのODAは我が国にとっての二国間ベースの援助の六割に上ります。また、ODA総額の四割に上ります。日本のスリランカへのODAは、近代的なインフラ施設の建設に役立たせていただいております。幅広い様々な分野が網羅されております。通信から海の港そして空港、道路や橋梁、発電そして配電、給電、水道、かんがい、病院そして学校などに役立たせていただいております。また、我が国の国会施設並びに国立テレビネットワークそして国立血液銀行も日本政府からの御支援によって構築されました。また、ODAは中小企業の育成にも役立たせていただいておりますし、特に後発地域、貧困の削減、そして平和の構築などに使わせていただいております。
 さて、皆様、是非記録に残していただきたいことでありますが、日本は、二〇〇四年の十二月の未曾有の津波が襲ったときに、我が国に対して真っ先に寛大な御支援をいただいた国であります。この津波によって四万人近くの命が失われました。しかしながら、御安心いただきたいと思っております。大変うれしいことでありますけれども、今や成功裏に復興も成りました。そして、これまでの日本からいただいた前代未聞の人類愛に対し、心から感謝を申し上げたいと思います。日本からいただいた御支援、その役割は、長く我が国の国民の間にも記憶としてとどまるでありましょう。
 さて、皆様、津波が襲って一年ぐらい後に、私は国民から負託されて大統領となりました。この選挙で負託されたことにのっとって、私はマヒンダ・チンタナ十か年計画を打ち出しました。これはニュースリランカの新しいビジョンでありまして、二〇〇六年から二〇一六年の十か年の開発の枠組みを提示するものであります。強力な国民経済を構築し、そしてすべての人に等しい開発機会をもたらすということです。
 この十か年の開発枠組みが優先しているのは近代的なインフラを建設するということです。電力、高速道路あるいは国道網、また近代的なかんがいや水道施設、港や空港であります。また、ひとしく開発の中で重点が置かれているのは、教育並びに医療施設、そして文化、芸術、そして宗教施設であります。多様な社会の中で培われた様々な価値を尊重しようということです。
 さて、皆様、経済発展というのはやはり地域社会のレベルでその恩恵が行き渡らなければなりません。過去の開発は主にコロンボ中心であった、ほかは非常に偏っていたということです。南部そして東部あるいは中央部そして北部の一部の地方は取り残されてまいりました。経済政策の戦略の中では、単に首都や西部地方だけではなく、更に開発をほかの地方に拡大していこうということです。
 我々は、ですからこそ、農村開発プログラムに最も注力を注いでおります。これはガマネグマというプログラムを通じてであります。地域社会ベースの開発イニシアチブで人々をエンパワーしようという計画であります。
 日本政府は、ODAを通じてこのような原則を受け入れてくださいました。そして、中小企業育成のための財政支援も行っていただいております。また、中小規模のインフラ開発プロジェクトも農村で進めようとしていただいております。日本からの目を見張るような貢献によって貧困を削減することができるでありましょう。インフラを提供し、そして農業のための市場の様々な施設が整うことになります。これはウダワラウェかんがいプロジェクトで明らかに立証されたことであります。これは来年にも完成する予定であります。総額の投資は九十億円を超えております。
 さて、皆様、私がスリランカ大統領に選任されて以降、日本からのODAプログラムによって我が国政府はいろいろな面で援助をいただいております。
 ランドラの下で重要なインフラプロジェクトの実施が進んでおります。このランドラというのはスリランカ政府のインフラ推進のためのイニシアチブであります。例えば、南部の高速道路四車線、これによって南部の地方を経済の中心地と結ぼうということです。また、更に御支援をいただいて六車線の外部環状道路を造る予定であります。これは西部地方の境界線のところでの開発であります。さらに、近代的なターミナルビルを国際空港に造る、それによって更に拡張ができるでありましょう。
 また、アッパーコトマレ水力プロジェクトも加速されております。これはCDM、クリーン開発メカニズムのクレジットを得るための強い候補となるでありましょう。我々は、環境に優しい発電戦略を長期にわたって取るということにコミットしております。そのための援助をお願いしております。これはLNGベースの発電、そしてそれに関連するインフラ整備であります。
 私の二〇〇八年の国会における予算教書演説の中で強調したのは、やはり環境への配慮ということです。そして、環境に優しい開発を我が国で進めるための新しい様々なイニシアチブについて私は概要を発表いたしました。これは日本のODA政策とも整合性を持つものです。経済開発は平和と民主主義を推進していく上でかぎを握るものであります。我が国の脈絡でいうならば、遅れた地方の開発、これは南部であろうと北部であろうと、もう先送りをしてはならないということです。
 私が大変意を強くしているのは、日本も、平和を推進するために開発こそが必要なステップであると、そのように確信していただいているということです。
 このような努力に対し感謝をするということで、我が国に対する日本からの幾つかのODAイニシアチブについて触れたいと思います。
 例えば、マナンピティヤ橋でありますが、これは東部地方と結ぶものでありますけれども、私が首相であり道路大臣であったころに始まりました。ごく最近に完成をいたしました。これは平和の橋と私は名付けました。大変意を強くしておりますが、マナーでも同様の平和の橋造りを日本が始められたと聞かされております。政府は、東部に加えて、テロリストからやはりこの地方を解放することに役立つでありましょう。
 キリノッチ病院の建設に当たっても日本から御支援をいただきました。またジャフナ教育病院の建設、これも平和構築のためのプロジェクトで、また近々完成する予定であります。
 さて、皆様、我が国政府は、成功裏にジャフナ並びにトリンコマリーの裁判所の施設についても開始することができました。ジャフナの水道制度の開発のため、また、その他の幾つものインフラプロジェクトも様々な開発パートナーからの支援をいただいて国民の利益のために進めております。LTTEのテロあるいはその暴力によって北部あるいは東部地方の人々が十分に苦しめられてきたからであります。
 また、日本政府に要請を出しておりますのは、後発地方における開発を優先するためのプロジェクトであります。モラガハカンダ、多目的開発制度、これは第四十次の円借款のパッケージであります。東部地方の水道プロジェクト、あるいは北部、中央地方のプロジェクトと相まってであります。さらに、こういった大規模プロジェクトの実施を加速していただければ、更に平和の構築に寄与することでありましょう。
 さて、皆様、日本のスリランカへのODAはもう既に四百億円を超えております。このような援助が向こう三年間続けられるように、そして十か年の我々の開発イニシアチブを是非助けていただけるようにお願い申し上げたいと思っております。
 国際協力銀行並びに国際協力機構の方々も様々な形で協力をしていただいております。特に駐スリランカ日本大使も優れたリーダーシップを発揮していただいております。
 ODAの調査団も参議院から今年の八月にスリランカに派遣していただきました。これに対しても感謝申し上げます。日本のスリランカへの援助を通じて様々な成果が上がっている、それに対して感謝をするとともに、皆様の調査代表団も感銘を受けていただいたことと期待しております。
 我が国には多くの挑戦課題があります。原油価格が高騰し、輸出は厳しい競争にさらされております。国民は治安、テロからの解放、経済開発と平和を要求しております。これらが我が国の優先順位が高い問題です。
 治安部隊は今現在、国民を守り、財産を守るために努力をしておりまして、LTTE、解放のトラに対しましてはテロを放棄するよう圧力を掛けております。無辜の国民が直面しているこれら多くの問題を解決するためには、軍事的な手段のみで解決できるとは考えておりません。政治的な和解方法を真剣に考えております。
 また、我が国の憲法の下で保障されている地方自治と分権に関する権力を東部の州にも移譲したいと考えております。同時に、私どもは、スリランカの東部の州を治安部隊による解放以降、復興と開発のモデルとしております。
 政府は、国内難民の家族の復帰を進めておりまして、電力、飲み水、学校、病院施設の提供に力を入れております。それによりまして通常の当たり前の暮らしができるようにしております。幹線道路の建設が行われており、すべての町、村を結び付けようとしております。農業、畜産業、漁業、観光業は再活性化されております。民間投資を拡大するための優遇措置も導入されております。
 開発パートナー国の皆様に対しましては、東部の復興戦略のための援助をお願いしております。いずれも大変厳しい課題であり、資源、時間、努力を拡大する必要がありますし、何よりもすべてを管理していく真のコミットメントがなければできません。
 皆様、今申し上げたように、これほど多くの挑戦課題があるにもかかわらず、大変高い水準の経済発展を行ってまいりました。私の就任の初年度におきまして経済成長率は七・七%であり、過去三十年の中で最大の成長率でした。本年に関しましても経済成長率は七%近い見通しです。
 輸出による収益は一二%以上の伸び率を記録しております。外国直接投資、FDIは六億米ドルを超えておりまして、増え続けております。外貨準備高は三十五億米ドルを超えた水準を維持しております。政府歳入もGDPの一七%にまで増大しておりまして、過去七年間で最大水準の歳入です。国防費はGDPの三・五%以下に抑えております。しかも、国民のための治安並びに財産、資産の保護に対する要求が高まっているにもかかわらず、国防費は抑制しております。財政赤字は、GDPの一〇%から七%に下がりました。失業率は、下がりまして六%です。一人当たりの所得は、本年は一千五百米ドルに達する見通しです。
 ミレニアム開発目標を実現するための進歩が進んでおりまして、人間開発指数、HDIも高くなる予定です。しかし、原油価格の高騰並びに一次産品の価格が上昇しているためにインフレ率が上昇しております。政府は、全省庁一丸となり、力を合わせまして、来年には高いインフレ率を低い水準に引き下げようと考えております。
 皆様、御承知のように、我が国は大変テロに苦しめられてまいりました。複数の民主主義的な解決策を考え、異なる共同体のニーズを調和する努力が過去の政権において行われました。しかし、いずれもうまくいきませんでした。それは、タミル解放のトラの傲慢のためです。LTTEは暴力とテロしか信じておりません。私どもは皆民主主義を信じております。私どもにとっては近代の社会においてはテロが存在する場所がないことは理解しております。政治的な反対の申立てを行うための手段にテロを使ってはなりません。無辜の子供、女性、男性を殺りくし、市民を恐れさせる理由にはなりません。容赦することはできません。我が国政府は、このようなテロによる脅威には力強く対抗し続けてまいります。
 私どもは、政治的な和解のためにすべての利害関係者と協力をすることに強くコミットしております。我が国政府は、タミルとムスリムを含む全主要政党をまとめまして、マイノリティーの懸念をも含めた政治的な和解を形成する努力をしております。このために、全党代表者委員会が設けられ、これまで審議を重ねてまいりました。その結果、間もなく提案がまとめられる予定です。その間、我が国憲法の下で認められた地方分権の下でほかの地方が享受している権限移譲は東部、北部にも系統立った形で展開してまいります。LTTEテロリストも暴力とテロを放棄し、我々も努力と協力をしていき、皆が受入れ可能な解決策を受け入れることを期待しております。
 皆様、この場をおかりいたしまして、我が国の政府は人権を守るすべての必要な措置をとっていることをここでお約束いたします。東部並びにマナーの人たちをLTTEによる苦難から解放していく中で、治安部隊は一切市民の犠牲者を出さないで制圧をすることに成功いたしまして、それは褒めてしかるべきことです。
 しかし、一方で、我が国に対する批判についても承知しております。かなりの部分の批判については根拠がないものではありますが、留意をしております。
 調査委員会を設けまして、真剣な人権問題に関する調査を行っております。この調査委員会の調査は国際監視団が監視をしてくださっています。この調査委員会は、国際連合人権高等弁務官と協議をする中で設定いたしました。我が国政府は、この調査委員会に参加をしてくださっている日本代表の横田教授の役割に心から感謝を申し上げます。
 さらに、内閣におきまして証人保護法を承認したことを報告申し上げます。開放的で建設的なかかわりを人権問題に関して維持することをお約束し、これまでについても国連の人権に関する諸機関と協力をしてきたことをここで表明いたします。
 このように、開放的な形で人権に関する活動をしてまいりましたおかげで、多くのハイレベルの国連の方々が訪問をしてくださっています。何名もの人権担当の国連の方が我が国を訪問してくださっています。
 日本は人権理事会アジア・グループのメンバーでいらっしゃいまして、例えばEUによる決議案のようなスリランカに不公正に批判的な動きについては、スリランカに支援の手を差し伸べてくださったことを感謝しております。さらに、ヒューマン・ライツ・ウオッチが人権の問題を理由にして開発を打ち切るべきであると呼び掛けた際にも、日本はうのみにされませんでした。開発の否定は平和の否定です。日本政府、日本の国民の皆様、ODA特別委員会の皆様に、開発による平和の促進のために支持を継続し、我が国の懸念事項に関する理解を示してくださったことを感謝申し上げます。
 開発の主要パートナー国といたしまして、日本政府と日本国国民の皆様に、グローバル社会とともに善意を引き続き発揮していただき、LTTEに圧力を掛け、テロを放棄し、全スリランカ国民のためとなる永続的な政治的解決を見付けるための交渉の場に戻るよう、よろしくお願い申し上げます。
 皆様、最後になりますが、今回日本を訪問する記念といたしまして、日本政府に付託をした特別プロジェクトについて申し上げたいと思います。
 コロンボにおきまして国立労働者病院並びに看護学校を建築するための特別援助をお願いしております。これによりまして、スリランカにおける労働者の福利厚生を向上させ、生産性を高めることを考えております。この崇高なる取組に対しまして、是非前向きな検討をお願いいたします。このプロジェクトによりまして両国の友好協力関係の新たな一歩が始まると考えております。
 皆様、御参会の皆様、国会議員の先生方、日本国政府、日本国民の皆様に対しまして、スリランカ国民の心からの感謝と祝意を申し上げます。
 皆様に崇高なる三宝の御加護があらんことをお祈り申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 お許しをいただいて、スリランカの代表団を紹介させていただいてよろしいでしょうか。
 ローヒタ・ボーゴラガマ外務大臣、それからランジット・ウヤンゴダ駐日スリランカ大使、またジャヤスンダラ財務計画省次官、それから駐スリランカの日本大使もいらしていただいております。

発言情報

speech_id: 116814580X00420071210_004

発言者: マヒンダ・ラージャパクサ

speaker_id: 31800

日付: 2007-12-10

院: 参議院

会議名: 政府開発援助等に関する特別委員会