輿石東の発言 (本会議)

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○輿石東君 民主党・新緑風会・日本の輿石東です。
 私は、今ここに、江田参議院議長の前で代表質問ができることを誇らしく思うと同時に、極めて感慨深いものがあります。また、野党第一党というだけではなく、参議院第一党としての責任に身の引き締まる思いであります。
 さて、私は、この数週間の出来事に激しい憤りを感じております。三週間前、安倍前総理がこの場で所信表明をなさいました。引き続き行われる代表質問のトップバッターとして、私は既に準備を終えておりました。それが突然、質問の前日になっての辞任表明であります。
 私は、二か月前の参議院選挙の結果を中心に、安倍前総理の責任を追及しようと考えていました。それが参議院第一党となった民主党の責務であるからであります。しかし、所信表明演説を行っておきながら、安倍前総理はいきなり政権をほうり出してしまいました。今日は、まずその問題から始めなければなりません。
 福田総理に、まずお聞きをいたします。
 安倍前総理は、参議院選挙で大敗しながら続投を決めました。そして、内閣改造さらには国会での所信表明演説まで行いながら、質疑の一方的な放棄、そして政権の投げ出し。これには私だけではなく国民すべてが唖然としました。怒りを通り越してあきれてしまいました。これが一国の総理の取るべき行動でしょうか。
 本来ならば、安倍前総理御本人に聞くべきことでしょうが、辞任してしまった今、それはもう意味がありません。安倍前総理は自民党の総裁であり、選んだのは自民党の皆さんであります。福田総理も、一年前、安倍前総裁に一票を入れられ、そして今回あなたは自民党の総裁を引き継がれた。
 そこで、あなたにお伺いをいたします。
 国会と国民を愚弄したかのような今回の安倍氏の辞任について、現在の自民党総裁として、またかつて安倍総裁を支持した自民党の一員として、どのような責任を感じておられますか。私たち国会議員だけでなく、国民の皆さんに説明していただきたいと思います。
 次にお聞きしたいのは、自民党の政党としての責任についてであります。
 今回の自民党総裁選挙を見ていた国民はあっけに取られました。安倍氏の辞任を受けて、何人かが立候補の意向を示されました。当然、安倍内閣の路線について、賛成、反対、それぞれの立場から自民党内で政策論争が繰り広げられるものだとみんな考えていました。ところが、麻生候補が嘆いたように、幕が上がったら芝居が終わっていたのであります。聞けば、九つある派閥のうち八つが雪崩を打って福田候補の支持に回ったといいます、しかも一日のうちに。候補者の政策を聞く前から多数派工作が始まり、総裁選の幕が開いたら流れは既に福田氏に決まっていたというのでは、結果の見えた下手な芝居に延々と付き合わされた国民はたまったものではありません。
 私たちは一年前にも主役が違うだけの同じ芝居を見せられました。自民党は、政策論争をそこそこに、何よりも選挙に勝てる顔として安倍氏を担ぎました。そして、今回、福田氏を担いだ自民党の人たちの多くは、一年前に安倍氏を担いだ人たちであります。政策的には安倍前総理とかなり立場を異にする福田氏に、同じ人たちが雪崩を打って支持をする。政権をほうり出すような無責任な総理を選んでしまったことに何の反省もなく、党内で政権をたらい回しすることだけに熱心で、政治空白を物ともしない。国民無視の自民党にこのまま政権を担当する能力があると思いますか、見解を伺いたい。
 次に、福田総理御自身についてお聞きをします。
 参議院では民主党の小沢一郎代表が総理に指名されましたが、衆議院の優越により、あなたが総理大臣となりました。国民の未来は当面あなたの肩に掛かっているのであります。ところが、私を始め国会議員も国民も、日本国の総理であるあなたがどんな政策を持っておられるのかについてほとんど何も知りません。初めての内閣も居抜き内閣、お下がり内閣と言われ、所信表明の内容も政策の羅列、総花的、余り個性が感じられませんでした。
 あなたは、一年前の自民党総裁選挙において早くから安倍前総理の対抗馬として名前が挙がっていたにもかかわらず、最初から出る気はなかったと逃げました。しかし、今回は緊急事態だから、多くの派閥に推されたからと、いろいろ理屈は付くでしょう、負ける戦いはしないというのがあなたの政治哲学なのではありませんか。しかも、今回、貧乏くじを引いたかもしれないともおっしゃった。私は、このような人を一国の総理に頂くのは本当に情けない気がいたします。
 私は、総理になる人には少なくとも二つの条件が求められると思います。一つは、もちろん政策であります。真に国民のためになる政策を掲げることであります。もう一つ、情熱と意志であります。どんな困難にも耐え、国民のために働くのだという強い情熱と意志が必要であります。安倍前総理には残念ながらこの強い意志がありませんでした。このため、無責任にも途中で総理の職を投げ出したのであります。
 しかし、福田総理、まさかあなたも同じじゃないでしょうね。これまで具体的な政策を明確に提示していなかった。総裁になれると分かったら、にわか仕立てで極めて大まかな政策を作り上げる。総裁選は、勝てそうにないときは年を取っているからといって逃げ、みんなが担いでくれて勝てそうになったら立候補する。そこには、福田総理御自身の明確な政策も強い情熱も感じられません。この点について総理は国民の前にどのように説明されますか。
 参議院選挙が終わって二か月がたちました。改めて、この選挙が何であったのか、そして、民主党がなぜこれほどまでに勝てたのかを考えてみたいと思います。
 選挙結果は、自民党三十七、民主党六十議席という自民党の惨敗、民主党の勝利でした。そして、野党が過半数を得るというものでありました。民意ははっきり示されました。国民は自民党にノーを突き付けたのであります。
 これまで、参議院は衆議院のカーボンコピーなどと悪口を言われる一方で、私たちは、良識の府、再考の府と、その意義を主張し続けてきましたが、衆参両院とも自民党が多数を占めている状態では、このことの意味は余り明確ではありません。とりわけ、一昨年、小泉元総理が行った郵政解散で参議院の権威は大きく傷付きました。
 しかし、今回の選挙の結果、この参議院において、私たち民主党が第一党、第一会派となりました。私たちは大きな力をいただきました。
 それだけではありません。この選挙は政権選択の選挙だったのであります。選挙期間中に安倍前総理は、私を取るか、小沢代表を取るか、その選択の選挙だと繰り返し主張されたのであります。総理の選出は最終的には衆議院の判断によるもので、参議院選挙は政権選択ではないと言う人もいます。しかし、安倍前総理自身がこの参議院選挙を政権選択として位置付けたのであります。そして、有権者は自民党ではなく民主党を選んだのであります。
 そこで、総理に伺います。
 自民党は国民からノーを突き付けられました。それなのに、なぜ引き続き政権に居座っているのでしょう。その理由を国民の前に明らかにしていただきたい。そして、あなた自身が国民の審判を受けていない。一日も早く衆議院を解散して民意を問うべきでしょう。それについてはどうお考えですか。
 参議院で野党が過半数を取ったことで、法案が何も通らなくなったと心配する声もありますが、そのようなことはありません。もちろん、国民のためにならない法案には断固反対します。しかし、国民のためになる法案であれば賛成いたします。政府のやることを何でも反対といった無責任な態度は取りません。
 その上で、私たちは、さきの参議院選挙のマニフェストで国民にお示しした三つの約束と七つの提言を実現するため、今後早急にこれらを議員立法の形で国会に提出していく考えであります。参議院では、野党が連携すれば必ずこれらの法案は可決され、衆議院に送られることになります。仮に、それらの法案が衆議院で廃案とされるようなことになれば、それは民意を無視した暴挙であり、断じて許されないことと考えますが、総理の認識を伺います。
 このほか、私たちは、総理大臣問責決議案を参議院に提出し、しかも可決することができるのであります。さらに、国権の最高機関としての国会が内閣に対して行使できる最も基本的な憲法上の権利である国政調査権を積極的に活用し、これまで政府が隠し続けてきた様々な都合の悪いことを明るみに出し、国民の前に明らかにしたいと考えております。また、国会の同意を必要とする国の機関の人事については、衆議院と参議院は対等の立場であり、参議院が拒否すれば任命することはできません。
 私たちは、国民にこうした力を与えていただいた意味をしっかりかみしめて、政権の交代に向け、可能な限り有効に使っていきたいと考えています。
 次に、国政の主な分野について、福田総理に具体的に質問するとともに、私たち民主党としての考え方もお示ししたいと思います。
 まず、政治と金をめぐる問題について伺います。
 前の安倍内閣では、去年の暮れに辞任した佐田行革担当大臣を始め、何とか還元水で物議を醸した松岡農水大臣、その後任でばんそうこう騒ぎの赤城農水大臣と、何と三人の閣僚が事務所費経費の問題に関連して交代しました。特に、松岡農水大臣のケースでは、説明を拒否する松岡大臣を安倍前総理がかばい続けた後に、戦後初めて現職大臣の自殺という悲惨な出来事が起きてしまいました。内閣改造の後も、わずか一週間後、遠藤農水大臣が辞任するなど、その後も疑惑が次々と明らかになりました。
 ついに、福田総理御自身についても、政治資金収支報告書に添付した複数の領収書のあて名を勝手に書き換えていたほか、国の公共事業を受注している群馬県内の二社から不正な献金を受けていたことが分かりました。汗顔の至りなどと言って済まされる話ではありません。所信表明で総理御自身も述べているように、国民が納得するような説明を求めたいと思います。
 さて、政治と金の問題をめぐって私たち民主党は、すべての政治団体について、人件費を除く一円以上の支出は領収書添付を義務付ける法案を間もなく国会に提出することにしています。
 報道によれば、ようやく自民党も、公明党との政権協議で、公明党に押される形で、一円以上の支出にすべての領収書添付を義務付ける方針に同意したということですが、なお公開の仕方は政党間において協議というあいまいな条件が付いており、自民党内では、国民への公開は見送り、第三者機関にのみ明らかにするという案も出されているということであります。このままでは透明化は絵にかいたもちに終わるおそれがあります。今後の対応を伺いたいと思います。
 次に、内政の諸問題について伺います。
 まず、今もなお国民最大の関心事である年金の問題についてお聞きをいたします。
 まず、宙に浮いた年金記録五千万件の照合作業は遅れていると言われていますが、来年の三月という期限は本当に守れるのでしょうか、確認しておきたいと思います。
 それにしても、この来年三月という期限は、現在コンピューターに入っているデータだけを使って、名寄せ作業の期限で、きちんともらうべき人がすべてもらえるようになるまでに行うべき作業について手順や期限は何ら示されていません。参議院選挙も終わり、総理大臣も交代したのですから、今こそ、落ち着いて謙虚に私たちの提案に耳を傾け、消えた年金、宙に浮いた年金への対策を根本的に考え直すべきだと考えますが、福田総理の見解を伺います。
 ところで、前の国会では、年金資金を給付以外に使うことを正当化する法律も強行採決されました。既に、六兆八千億円にも上る保険料がグリーンピア施設などへ流用されています。正にどぶに捨てたに等しい年金資金の流用に対する反省が全く見られません。私たちは、今の国会で既に年金保険料流用禁止法案を提出しており、成立を目指すことにしていますが、対応をお伺いいたします。
 さて、今、国民年金は不払が年々増え、その存在自体が危機に瀕しております。政府・与党は、今までどおり年金の財源として保険料を充てるべきだとしていますが、到底現実的とは思えません。国民年金の加入対象者であるフリーターやワーキングプアと呼ばれる人たちは、格差の深刻化によって、年金保険料を怠けて払わないのではなく、この人たちの給料では払い切れないのであります。
 そこで、私たち民主党では、政府が進めている厚生年金と共済年金の統合にとどまらず、国民年金の統合も行い、すべての年金の一元化を実現すべきであると考えております。そのために、最低保障年金部分には現行の五%の消費税収入をすべて充てることとし、所得に比例し、それに上乗せして支給される部分は自分たちが納めた年金保険料を充て、現在の給付水準を維持すべきであると考えております。
 先月二十日、日本経団連の御手洗会長が基礎年金は税金でやった方がよいと述べ、事実上、私たちの提案を支持する発言をしました。
 総理も、場合によっては私たちの提案を検討してもよいというようなあいまいな発言をしているようですが、私たちの提案に賛成するのか反対するのか、明確にお答えいただきたい。
 次に、これも国民の関心が極めて高い税制、特に消費税の問題についてお尋ねをいたします。
 今、国民は、小泉、安倍両政権の下、度重なる増税で疲弊しています。その一方で、基礎年金財源の国庫負担比率を三分の一から二分の一に引き上げるのは政府の既定方針となっております。このままでは財政に穴が空くのは目に見えています。しかし、安倍前総理は、選挙対策もあって問題を先送りしてきました。
 こうした中で、福田総理が総裁選で麻生前幹事長と意見がほぼ一致したのが消費税の税率引上げの容認でした。総理はこの問題についてどのように考えておられるのか、明快な答弁をお願いします。
 次に、都市と地方の格差の問題についてお尋ねします。
 参議院選挙の結果は、政府・与党の地方切捨て政策に対し、ある意味で地方の反乱とも言えると思います。
 大規模化、集約化によって農業の国際競争力を回復しようとした結果、今地方で何が起こっているのか。海外から入ってくる安い農産物に太刀打ちできず、人々は農業に希望を失い、農山村人口は減少し、打ち捨てられた田畑や山林は荒れる一方であります。環境上極めて貴重な里山の風景はどんどん失われています。食料の自給率も低下の一途をたどり、カロリーベースでついに四割を割り込んでしまいました。今こそ農業政策の大転換が求められております。
 もちろん、日本は世界で自由貿易の恩恵を最も受けている国の一つであり、農産物だけ例外というわけにはいきません。しかし、掛け替えのない環境の維持や食料の安全保障という見地から、国内農業の拡大を図らなければなりません。そのために私たちは、すべての販売農家を対象とした戸別所得補償制度の導入が必要だと考えます。たとえ小規模であっても生産が続けられるように、総合的な農山漁村振興政策を実施すべきであります。
 福田総理も所信表明演説で、地方と都会がともに支え合う共生の考え方の下、攻めの農政を基本に、農林漁村に明るさを取り戻しますと述べていますが、正にこうした私たちの提案こそがそうした政策だとお考えになりませんか。見解を伺います。
 また、小泉、安倍両政権の下で、地方の自主財源である地方交付税交付金は年々減る一方でした。安倍前総理は、頑張る自治体は支援すると繰り返し述べていましたが、多くの自治体は疲弊し切って、頑張るための気力、体力さえ残っていないのが実情であります。選挙結果も、こうした地方切捨てに対する大きな批判が込められていると見るべきであります。
 そこで、民主党としては、他の地方活性化政策とともに、地方制度を根本的に改め、全国を三百程度の多様性のある基礎自治体とし、現在国が持っている権限も可能な限りそこに下ろし、中央政府の役割を安全保障などに限定することによって新しい国の形を目指すべきだと考えております。
 また、日本で地方分権が進まない最大の理由の一つが、中央官僚支配の源泉かつ利権の温床となっている補助金制度であります。民主党としては、中央からの個別補助金を廃し、それを地方固有の自由な財源とし、一括交付すべきだと考えております。総理の見解を伺います。
 次に、教育の問題について伺います。
 安倍前総理は、内閣の最重要課題として教育再生を掲げ、教育基本法や教育三法の改定を行うなど、改革と称するものを進めてきました。しかし、突然の辞職ですべてのことが中途半端にほうり出されてしまいました。何という無責任だ、規範意識の向上が聞いてあきれます。今、教育現場に戸惑いが広がっています。福田総理はこの後始末をどうするのか、まずお聞かせいただきたい。
 とりわけ、沖縄戦での集団自決に軍の直接的関与があったとの記述が教科書から削除された問題です。先月二十九日、党派を超えて抗議するために集まった十一万人に上る沖縄県民の心を総理はどのように受け止めておられるでしょうか。検定のやり直しなど今後の対応とともにお聞かせください。
 さて、福田総理も所信表明演説の中で、教育の再生、信頼できる公教育の確立をうたっておられます。そこで伺いたい。
 来年度の予算編成が既に始まっています。教育の充実に向けてこの予算編成は極めて重要なものであります。民主党は、教育予算の拡充なくして教育の充実はあり得ないと考えております。教育予算の拡充にどのような姿勢で臨むかということは、真に教育問題を考えているか否かの判断基準と言えるのではないでしょうか。
 真の教育再生のためには、制度を変えるだけではなく、現場の子供たちや学生、保護者の方々が教育は本当に良くなったと実感できるような措置を講じるべきであります。そのためには、小中学校はもとより、大学や生涯学習も含め、教育全体を充実させるような教育予算を拡充することが必要不可欠と考えます。国民の期待にこたえる教育の充実を実効あるものとするため、来年度予算に向けての総理の決意を伺いたいと思います。
 最近の学校では教員の多忙化が深刻な問題となっています。現場の教員からは、子供たちの悩みをもっと聞いてあげたい、保護者ともコミュニケーションをする時間が欲しいなどの悲鳴が聞こえてきます。総理御自身も所信表明の中で、先生が子供たちと十分に向き合える時間の増加を強調しておられるとおりです。
 このような厳しい状況の中で現場の教員は日々頑張っていますが、学校現場が元気になり、意欲と情熱を持って子供たちの教育に取り組むことができるようにするためには、教職員の定数を改善し、学校現場を支援することが必要不可欠であると考えます。この教職員の定数改善について、福田総理としてはどのような決意を持って予算編成に取り組むおつもりか、見解を伺いたいと思います。
 また、教育は人なりと言われるように、教育の充実のためには教員に優秀な人材を確保することが必要であります。そのためには、教職が魅力あるものとなるような条件整備が必要です。文科省が平成十八年度に実施した勤務実態調査によると、教員の時間外勤務の実態は月平均三十四時間にも達しています。また、部活動についても、土、日の指導には十分な手当が支給されておらず、教員の熱意と犠牲によって支えられているのが実態であります。
 教員の勤務実態を踏まえた適切な処遇を行い、教員が意欲と生きがいを持って職務に専念できるようにすべきだと考えますが、見解を伺いたいと思います。
 さて、外交と安全保障の問題についてであります。
 これらの問題は、安倍外交の責任者であった麻生前幹事長と福田総理とが総裁選で最もはっきりと対立したところでありました。
 まずお尋ねをしたいのが、今度の国会の焦点と言われるテロ特措法の延長問題です。
 テロ対策特別措置法は、海上自衛隊がインド洋でアメリカやパキスタンなどの艦船に給油活動をするための根拠法で、来月一日に期限が切れますが、民主党としては、既にこのテロ特措法の延長に反対の姿勢を明確にしております。
 そもそもアメリカのアフガニスタン侵攻は、アメリカが自衛のためだとして起こした戦争です。幾らアメリカが大事な同盟国であるとはいえ、国連の直接的な決議もない海外での戦争に、平和憲法を持つ日本がこれ以上加担するわけにはいきません。
 安倍前総理は先月九日のシドニーの記者会見で、テロ特措法の延長は国際公約であり、この問題の解決に職を賭すとまでおっしゃいました。
 さらに、日本政府は、先月二十日、国連の安全保障理事会に働き掛けて、国連決議の中にインド洋での自衛隊の給油活動を含む国際活動に対する謝意を盛り込ませることに成功しました。しかし、ロシアが日本等の国内事情に配慮して必然性のない文言を決議に入れることに難色を示し、棄権したため、全会一致での採択とはなりませんでした。いずれにせよ、前文に謝意を入れることによって自衛隊の給油活動が国連の正式なお墨付きを得たとはとても言えないと思います。
 福田総理は、このテロ特措法を成立させたときの政府の責任者でもあります。あれから六年の歳月がたちました。三回の延長を経て、この間アメリカのイラク戦争への参戦と泥沼化など、国際情勢も大きく変化をしています。テロとの戦いを軍事的な手段のみによって解決することの限界も次第に明らかになっております。
 また、政府は活動の実態を秘密にし続けてきており、自衛隊の活動が本当にテロの防止に役立っているのかどうかもはっきりしません。とりわけ最近指摘されているのが、自衛隊の給油がテロ対策ではなく、法律の目的外のイラク戦争に利用されたのではないかという疑惑であります。給油活動の延長を言う前に、こうした疑惑について、真実を国民の前にすべて明らかにすべきではありませんか。
 政府・与党は、今こそすべての情報を公開し、立ち止まって国民の意見に耳を傾けるべきだと思いますが、いかがですか。見解を求めます。
 もちろん、私たちもテロの撲滅やアフガニスタン国民への支援はやぶさかではありません。しかし、ボランティアが人質事件に巻き込まれた韓国を始め、幾つかの国がアフガニスタンからの引揚げを表明したり検討したりしていることを見ても、支援のやり方を再検討する時期に来ています。
 私たちも、今そのためにどういうことができるか、検討を進めています。また、念のために申し上げるならば、現行法の延長をあきらめ、目的を給油だけに絞った新法を作ろうとしても、私たちとしては賛成するつもりがないこともこの際はっきりと申し上げます。ましてや、これまで必要とされていた国会の事後承認の規定を、シビリアンコントロールの原則に反して削除することなどもってのほかであります。
 次に、拉致問題を含む北朝鮮外交について伺います。
 総理は、拉致問題を自分の手で解決したいと意欲を示されていますが、対話と圧力と言いながら圧力に重心が掛かった安倍前総理の路線を変更するのか、もし変更するとすればどのような方向に変更するのか、明快な答弁をいただきたい。
 先月三十日、北京で開かれた北朝鮮の核をめぐる六か国協議は、報道によりますと、年内に北朝鮮の核施設のうち三か所に限って無能力化することや核計画を申告することで合意したと言われています。この合意についての評価を伺いたい。また、拉致問題を抱える日本が六か国協議で外交的に取り残される懸念も指摘される中、今後交渉のイニシアチブを獲得するためにどのような方針で臨まれるのか、見解を伺います。
 次に、外交の基本方針についてお尋ねします。
 福田総理、あなたは既に総理大臣として靖国神社を参拝しない方針を明確に打ち出すなど、明らかに安倍前総理とは異なる姿勢を見せてはいますが、全般的な外交の方針はまだ明らかになったとは言えません。
 民主党としては、対等な真の日米同盟を確立することに努力するとともに、中国を始めアジア諸国との信頼関係の構築にも全力を挙げるべきだと考えていますが、総理の外交の基本方針を伺いたい。
 さて、最後に、私の政治信条を述べておきます。民主党の進む道を議員の皆さんや国民の皆さんにお示しすることで自民党との違いを判断していただきたいと思います。
 私は、民主党は常々、政治とは生活であると申し上げてまいりました。これまで、この壇上でもそれに沿った主張をしてきました。今私は、それが間違っていなかったと誇りに思っております。
 自民党は、美しい国だとか戦後レジームからの脱却だとかを掲げ、選挙をしました。私ども民主党は、国民の暮らし、国民の生活を第一にして選挙を戦いました。そして、国民は明白に私たち民主党を支持しました。国民は、政治とは生活であるを支持してくれたのであります。私はまた、政治とは愛であるとも申し上げてまいりました。その主張も正しかったと考えております。
 小泉内閣と安倍内閣は構造改革を推し進めました。しかし、最近発表された国税庁の調査では、去年、働く人の給与は九年連続で減少し、とりわけ年収二百万円以下の人が一千二十三万人と、二十一年ぶりに一千万人を超えました。市場重視、競争重視の政策による格差の広がりには歯止めが掛かっておりません。
 もちろん、私たち民主党も、日本には改革が必要だと考えています。しかし、改革を進める際に、その影の面を忘れてはなりません。切り捨てられる弱い人を忘れてはいけないのであります。自民党の構造改革は、弱い立場の人たちを忘れた改革であります。弱肉強食、強い者だけが勝ち残るのであります。しかし、それは経済の論理であって政治ではありません。政治とは、その競争から取り残された人たち、弱い人たちに手を差し伸べることであります。
 政治とは愛であるは、正にこの弱い人たちに手を差し伸べることが政治の役割であることを述べたものであります。政治とは生活である、政治とは愛であるは、私の政治信条であり、民主党の理念でもあります。この理念の下、責任ある行動によって、国民の前に、民主党が政権を担うことができる党であることをお示ししてまいります。
 私たちの目標は、自民党に反対することではありません。正しい理念を持って政権に就くこと、そして、国民により良い政治を行うことであります。それをお誓いし、私の代表質問といたします。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116815254X00420071004_002

発言者: 輿石東

speaker_id: 22914

日付: 2007-10-04

院: 参議院

会議名: 本会議