福田康夫の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(福田康夫君) 輿石議員の御質問に順次答弁をさせていただきます。
安倍前総理の辞任の責任について、まずお尋ねがございました。
安倍前総理の突然の辞任によって、この国会を二週間以上にわたって停滞させてしまったことにつきましては、議員各位及び国民の皆様に対し、自由民主党を代表して率直におわびを申し上げたいと思います。
こうした中、国民の政治不信の声を真摯に受け止め、国民の目線に立った政治と行政を進めていくことにより、失われた信頼の回復に全力を挙げていくことこそが私に課せられた責務であると考えております。
次に、自民党に政権を担当する能力があるのかとのお尋ねがございました。
国民の皆様の信頼なくしては、どのような立派な政策も必要な改革も実現することはできません。政治は国民のものとは、自民党の立党宣言の冒頭にある言葉でございますが、自民党が政権を担う限り、こうした国民本位の信念や政策の基本的な方向性が変わることはありません。
政治や行政への不信が高まっている今日において、政権担当能力があるかどうかは、政治や行政に対する国民の信頼を取り戻すことができるかどうかに懸かっておることでございます。私はここで国民の不信を率直に受け止め、真に消費者や生活者の視点に立って政治や行政を進めることによって国民の信頼を取り戻すように全力を傾けること、このことに職責を果たしてまいりたいと思っております。
私に明確な政策も強い情熱もないのではないかというお尋ねがございました。
私の政策については先日の所信表明演説で申し上げました。準備の時間も少なく、個別具体的な政策についての記述が少ないということはあったかもしれませんけれども、私の考える大きな政策の方向性についてはきちんと説明することができたと考えております。国民の目線、消費者や生活者の視点に立つことや持続可能社会への転換というような考え方、さらに、改革は今後とも継続していくけれども、実態から決して目をそらさず、生じた問題には一つ一つきちんと処方せんを講じていくことなど、いずれも私が長年考えてきた政治の方向性であります。
御指摘のとおり、これまでは何が何でも総理にならなければいけないと私は考えたことはございません。しかし、国民不信がこれまでになく高まっている現在にあって、私の考えている政治の方向性こそが国民と時代が求めるものであると確信し、自らが先頭に立ってこの危機を乗り越えていかなければならないという覚悟を決めた次第でございます。今後、日本の将来の発展と国民生活の安定を最優先に全力を傾けて職責を果たしてまいる所存でございます。
衆議院解散についてお尋ねがございました。
国民生活を守り、国家の利益を守ることは、これは与野党の立場を超えた政治の使命であります。今般、政権を担うことになり、私は、重要な政策課題について一つ一つ野党の皆様と誠意を持って話し合いながら国民の負託にこたえてまいりたいと思います。
今、政治に求められていることは解散について云々することではございません。国民の不信の声を真摯に受け止め、国民の不安に対してきめ細かく対応していくことであります。まずは、私が申し上げました所信に基づいて、国民の目線に立った政治と行政を進めてまいりたいと考えております。
参議院において野党連携で提出される議員立法への対応についてのお尋ねがございました。
野党の皆様から具体的な御提案があれば、個別にその中身を国民の目線でしっかりと吟味した上で、建設的な御議論をさせていただきたいと考えております。
いずれにしても、国民のためにより良い政策を目指すという姿勢は与野党の立場を超えて共通のものであると考えております。ですから、国民のためになる法案に対して反対のための反対をするような考えは毛頭ないということは明確に申し上げておきたいと思います。
先ほど輿石議員より、国民のためになる法案であれば政府のやることは何でも反対するわけではないというお言葉をいただきましたけれども、大変力強く思っております。
私自身の政治資金問題についてお尋ねがございました。
領収書のあて名を書き直した件につきましては、本来、領収書を取り直したりすべきところを、経理の担当者がその手間を省いてしまったものでございます。実際の領収書の受取先について実態を踏まえて補正したものであり、政治資金規正法上特に問題はないものと理解いたしております。
私が代表を務める自民党支部が国と契約している業者から受けていた寄附の件につきましては、その会社が国と契約を結んでいたとは知らずに受け入れた通常の寄附であり、公職選挙法に違反するとは考えておりません。
なお、政治資金にかかわる問題につきましては、いささかの疑念も生じさせないよう努めてまいる所存でございます。
政治資金の公開についてのお尋ねがございました。
政治資金についての新たなルールについては、国民から信頼に足るものかどうかという基本的な考え方に基づいて行われるべきであります。そうした観点から、まず、民間では会社の経理報告や監査をどうしているかということも参考にしながら、現行ルールは具体的な取扱いで判断に困ることもあるという実態も考慮して、統一的な解釈の下でしっかりとチェックを行っていくための仕組みをつくることも検討すべきであると考えております。
いずれにしましても、具体的なルールの在り方につきましては、今後、与野党の間で十分に御議論いただき、結論を得ていくことが必要であると考えております。
年金記録問題についてお尋ねがございました。
年金記録問題については、本年七月五日に政府・与党で決定した方針に基づき、手順と期限をできる限り明確にして取り組むことといたしております。このため、まずは平成二十年三月までを目途に五千万件の年金記録について名寄せを行い、記録が結び付くと思われた方に加入履歴をお送りいたします。これについては現在、システム開発等の作業に取り組んでいるところであります。その後、平成二十年十月までを目途に、それ以外のすべての方にもお知らせをお送りし、これらをきっかけとしたお問い合わせ等により国民一人一人の年金記録の確認を行います。また、平成二十年度からはコンピューターの記録と台帳等との突き合わせ等を計画的に実施してまいります。
こうした取組を一つ一つ着実に進めることによりまして、国民の皆様一人一人の年金記録が点検され、正しく年金が支払われるようになると考えております。
年金保険料の流用禁止についてのお尋ねがございました。
かつて、年金福祉施設等に年金保険料を充ててきたことに対する御指摘のような様々な御批判を真摯に受け止め、保険料の使途を徹底的に見直し、現在では、年金給付のほかには、年金給付に密接に関連する事業運営費に限って充てております。年金給付と密接不可分な事務費に保険料を充てることは、民間保険はもとより、他の公的保険や諸外国の例から見ても妥当なものと考えております。重要なことは、税財源であれ保険料財源であれ、無駄遣いは絶対にさせないということでございまして、今後、更にこのことを徹底してまいります。
民主党の年金改革についてお尋ねがございました。
民主党の御提案について詳細は承知しておりませんけれども、全額を税による最低保障年金に関しては、納付した保険料に応じて給付が行われる現在の制度の在り方を見直すことについて国民がどう受け止めるか、所要額はどの程度か、消費税収のすべてを年金に充てた場合、国、地方財政赤字が拡大することはないか、生活保護との関係をどう考えるか。自営業者を含めた所得比例年金に関しては、公平な保険料の負担を求めるとの観点から、所得把握や事業所負担の在り方についてどう考えるかといった課題があると考えております。
年金を国民がより安心して頼れる制度とするために、政治の責任として、与野党の立場を超えて議論が行われることが重要でございます。様々な知恵を出し合い、透明で建設的な協議が行われるようにお願いしたいと思います。
次に、消費税についてお尋ねがございました。
歳出歳入一体改革の実現に向けて、歳出改革に徹底して取り組むことが重要です。しかし、必要な歳出までもが削られ、国民生活に影響が生ずる事態は避けなければいけません。したがって、国民生活に関係が深く、歳出改革だけでは対応し切れない社会保障、少子化などに伴う負担増に対しては安定的な財源を確保しなければなりません。
このため、所要の安定した財源を確保した上で、平成二十一年度までに基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることが法律で定められていることを踏まえ、今後、早急に消費税を含む税体系の抜本的改革の実現に向けて、本格的な議論を進めてまいります。その際、国民の御理解が進むことが重要であると考えておりまして、野党の皆様としっかり議論を行い、改革に取り組んでまいります。
民主党の戸別所得補償制度についてのお尋ねがございました。
御指摘の戸別所得補償制度につきましては、制度の詳細を是非示していただきたいと考えております。
我が国農業が直面している最大の課題は、農業従事者の減少、高齢化によりまして生産構造の脆弱化が進んでいることでございます。将来にわたり国民に食料を安定的に供給していくために、意欲のある担い手を支援することにより力強い経営を育成するとともに、都市と農村の交流の推進や地域の環境保全に向けた先進的な営農活動に対する支援によりまして農村の活性化を図るなど、総合的に施策を展開してまいります。
地方制度の根本的改革についてお尋ねがございました。
地方と都市がともに支え合う共生の考え方の下に、地方が自ら考え実行できる体制の整備に向け、地方自治体に対する一層の権限移譲を行うなど、地方分権改革に取り組んでまいります。具体的には、新分権一括法案の三年以内の国会提出に向け、国と地方の役割分担、国の関与の在り方などの見直しを行います。こうした改革を進めるに当たっては、地方の意見を十分に聞いてまいります。
補助金制度についてお尋ねがございました。
地方向けの個別補助金を廃止し、それを地方固有の財源として一括交付するという御提案ですが、その具体的な内容や方法が示されておりませんので、実現できるかどうかは不分明でございます。政府としては、地方財政全体が地方分権にかなった姿になるよう、基本方針二〇〇七に基づき、補助金、交付税、税源配分の見直しの一体的な改革に向け検討を進めております。
教育再生についてお尋ねがございました。
教育再生は重要な課題と認識しております。先般の所信表明演説でも申し上げましたところでございますけれども、学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって、引き続き信頼できる公教育の確立を始め、教育の再生に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、沖縄の集団自決に関する教科書検定についてのお尋ねがございました。
沖縄戦が住民を巻き込んだ悲惨な戦いであり、多くの人々が犠牲になったということを私はこれからも学校教育においてしっかりと教えていかなければならないと思います。ただ、教科書検定は審議会における専門的な審議を経て実施されるものでございます。御指摘の九月二十九日の県民大会には県知事を始め多くの方々が参加されておりまして、また仲井眞知事の御要請もいただきまして、その思いを重く受け止めて、文部科学省においてしっかりと検討してまいります。
次に、教育予算についてのお尋ねがございました。
教育再生には学校、家庭、地域、行政が一体となって取り組むこととしておりまして、信頼できる公教育を確立するためには教育予算の中身が重要であると考えております。来年度の教育予算については、歳出歳入一体改革の実現と整合性を取りつつ効率化を徹底しながら、めり張りを付けて、教育再生に真に必要な予算について財源を確保してまいります。
次に、教職員の定数及び処遇についてのお尋ねがありました。
教育は、家庭にとって極めて関心の高い問題です。学校のみならず、家庭、地域、行政が一体となって教育の再生に取り組んでまいります。信頼できる公教育を確立することがまず必要です。教員が子供たちと十分に向き合える時間を増やすとともに、めり張りのある教員給与体系の実現に取り組みます。
次に、テロ対策特措法に基づく自衛隊の活動内容についてのお尋ねがございました。
テロ対策特措法に基づきインド洋で行っている海上自衛隊の活動については、法の趣旨にのっとって行われていることにつきまして、国民の御理解が得られるよう情報の開示に努めるべきものと考えております。他方、海上自衛隊の活動内容について、これをつまびらかにすることにより自衛隊や各国の部隊運用等への支障が生じるものもあることも考慮する必要がございます。
いずれにせよ、各国の理解も得ながら、可能な限り情報を開示できるよう、防衛省において努めております。
海上自衛隊の補給活動とシビリアンコントロールについてのお尋ねがございました。
政府としては、補給活動を継続するために必要な法的処置の在り方について現在検討しているところでございますが、国会の関与が十分に図られるようにしてまいります。また、自衛隊については、文民の内閣総理大臣と防衛大臣の指揮監督によりましてシビリアンコントロールを確保しております。
いずれにせよ、速やかに骨子を取りまとめて、野党を含め国民の皆様にお示しし、協議を始めたいと考えております。
対北朝鮮外交についてのお尋ねがございました。
我が国は、すべての拉致被害者の一刻も早い帰国を実現し、不幸な過去を清算して国交正常化を図るべく、最大限の努力を行います。こうした外交の基本的な考え方に変化はございません。
昨日、六者会合の成果文書が発表されましたが、今後とも六者会合などの場を通じ、米国を始めとする関係国とも緊密に連携協力しながら、日朝協議に真剣に取り組み、同文書に明記されておりますとおり、北朝鮮側に対し、拉致問題の解決に向けた具体的な行動を求めていきます。
次に、六者会合の評価についてのお尋ねがございました。
今次六者会合の結果、北朝鮮は本年末までにすべての核計画を申告することとなりました。また、すべての既存の核施設を無能力化することを再確認した上で、まずは、本年末までに寧辺の三施設が無能力化されることとなりました。北朝鮮の非核化に向けた年内の行動が明確になったことは評価し得ると考えております。今後、合意に基づいて具体的な行動が実施されることを期待いたしております。
六者会合に向けた方針についてのお尋ねがございました。
我が国は、米国、中国を始めとする関係国との間で、六者会合の共同声明の完全な実施に向けて、緊密に連携協力してまいります。また、拉致問題に関する我が国の立場についても、関係国から十分な理解を得ております。今後とも、非核化及び日朝関係の双方がともに前進するよう最大限の努力をしていく考えでございます。
次に、外交の基本方針についてお尋ねがございました。
私は、激動する国際情勢の中で、今後の世界の行く末を見据え、我が国が国際社会の中でその国力にふさわしい責任を自覚し、国際的に信頼される国家を目指し、世界平和に貢献する外交を展開します。
アジア諸国との関係をより良くしていくには、日米関係が強固でなくてはなりません。同時に、アジアにおいて日本の地位を確固たるものとし、地域の平和と安定を実現することは、日米両国にとっても利益になります。このような好環境をもたらすように、日米同盟の強化、積極的アジア外交を進めてまいります。
以上でございます。(拍手)
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