山崎正昭の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○山崎正昭君 私は、自由民主党・無所属の会を代表して、福田内閣総理大臣に質問いたします。
 質問に先立ち、本年の地震や台風により亡くなられた方々に対し、衷心より御冥福をお祈り申し上げます。今なお御不自由な生活を強いられておられる方々もたくさんおられます。政府には万全の対策を講じるよう要請いたします。
 九月十日に召集されました今国会も、安倍総理の体調不良のための辞任により、政治空白が生じました。与党執行部の一員として、国民の皆さん、野党の皆さんに御迷惑をお掛けしたことを深くおわびを申し上げます。
 その後、福田新総理が誕生して、官邸閣議室前に掛けられました書が「凜」から「和」という文字に変わりました。「和を以って貴しと為す」、正に福田新総理の政治信条を表しております。国民が安心できる政治のかじ取りを総理に要請し、国民とともに明日への道を着実に歩んでいかれますことを期待いたしております。
 本年は、参議院開設六十周年に当たります。この本院還暦の年に行われました第二十一回通常選挙において、我が党は多くの同志が議席を失い、与野党の勢力が逆転いたしました。衆議院では三分の二を与党が占め、参議院では野党が多数を占めるという、いわゆるねじれ現象の両院関係になりました。我が党のこの敗北をどう受け止めるか、まず総理の総括を伺わなければなりません。
 安倍前内閣は、歴代内閣が継承してきた経済重視の政策を軌道修正され、新教育基本法制定、防衛庁の省昇格、憲法改正のための国民投票法制定、公務員制度改革等々、戦後レジームからの脱却に向け、少しずつ国の根幹にかかわる改革が前進してまいりました。しかしながら、このことについて国民の皆さんからは評価を与えていただけなかった。あるいは、国民の不満の対象が多過ぎて評価を下すまでには至らなかった。これをどうとらえればよいのでしょうか。
 また、国民の厳しい批判にさらされた直接の要因は、年金記録問題、政治と金の問題、閣僚失言等の不祥事の三点であり、これらの問題の続出が国民の大きな怒りと失望を買う結果となってしまいました。さらに、美しい国、戦後レジームからの脱却という訴えが政策の優先順位とは民意とのずれがあり、国民の生活に必ずしもかかわっていないことも敗因ではなかったでしょうか。
 また、最も重視しなければならないのは地方での大敗であります。構造改革の結果、その痛みに地方が耐えられなくなっていて、一向に景気の回復が実感できていないのであります。その怒りが与党に向けられたのであります。その選挙結果をどう総括されるのか、これも伺います。
 選挙後生じた衆参のねじれを受けて、今後内閣から提出される法律案について一言申し述べます。
 法案作成に当たっては、従来の与党における審査に加え、今後は国民の各界各層の声を広く受け止めて丁寧に仕上げていくことが重要であります。提出後、法案成立のためには、例えば修正など与野党間での十分な協議と双方の歩み寄りは当然のことであり、政府においてはこのような状況下に最大限の努力をしていただきたい。そして、衆議院を通過しても、なおかつ丁寧な審議と修正など与野党間での協議を行うことこそ、再考の府たる参議院のあるべき姿ではないかと考えるものであります。
 参議院で多数を占められた野党第一党の政権担当能力も試され、民主党の国会運営の手法を国民はかたずをのんで見守っております。衆参のねじれを生かしながら、二院制のあるべき姿、国会運営の改善を進める良い機会が到来したと私は考えます。
 総理は、所信表明において、野党の皆様と重要な政策課題について誠意を持って話し合いながら国政を進めてまいりたいと述べられました。そこで、内閣提出法律案の立案について、また今後の二院制のあるべき姿と国会運営についてどのようにお考えか、お示し願いたいと思います。
 さて、今国会最重要課題のテロ対策特別措置法について伺います。
 世界を震撼させた米国同時多発テロ事件では、各国の犠牲者の中に日本人二十四名が含まれております。この事件を契機に、国際的なテロの防止と根絶のために立ち上がった国際社会の取組に我が国も積極的に貢献するため、この法律を制定しました。
 派遣した我が国海上自衛隊は、灼熱の太陽が照り付けるインド洋上で、米国を始め十一か国の海上艦艇に給油を実施してきました。米国が始めた戦争になぜ日本が加担するのかという声がありますが、決してそうではありません。
 テロ特措法制定に当たっては、派遣の根拠として、九・一一テロを国際の平和と安全に対する脅威と認定した国連安全保障理事会決議一三六八があり、他に国際テロ行為を非難し国連加盟国に防止措置を要請している安保理決議一二六九など、各種決議もあります。また、先月十九日、国連安全保障理事会は、アフガニスタンの国際治安支援部隊の任務を一年間延長する決議一七七六を採択し、その前文にインド洋上で海上阻止活動に参加する各国への謝意が明記されました。
 十一月一日で我が国海上自衛隊が給油活動ができなくなれば、給油を受けている各国海軍艦艇はたちまち活動低下に陥ることが想定されます。これまでの国際的評価が台なしになってしまうおそれもあります。さらには、日米同盟の根幹が揺らぐのではないか。北朝鮮問題もあり、経済、財政、あらゆる分野に影響することは必定です。
 立法府の出口を預かる我が参議院も、委員会において誠意を持って野党諸君と論議を交わし、法案成立に全力を傾ける所存であります。
 総理はこの課題にどう取り組まれますか。その方策とお考え、加えて御決意を伺います。
 次に、外交の諸課題について伺います。
 我が国を取り巻く情勢を見ますと、テロの問題を始め、北朝鮮の拉致、核問題、アジア近隣諸国との関係等、幾つもの不安定要因が見受けられます。冷戦終結から十数年を経た今日、国家のかじ取りは難しくなっており、方向を一つ過てば国益を大きく損ねかねないのが現状であります。
 こうした中、福田総理は、日本外交の基本は日米同盟の堅持と国際協調とした上で、積極的アジア外交を進める表明をされました。日本海を隔て北朝鮮という最大の脅威を抱える我が国にあって、アジア諸国との信頼関係を更に強固なものとし、特に中国等との緊密な連携を取ることは国益にも非常に重要であると存じます。総理の下で、日米同盟にしっかりとした軸足を置きつつ、アジアにも目配りの利いた外交が展開されることを期待いたしております。
 総理に、改めて我が国外交の指針について御所見を伺います。
 前内閣において日本外交の新機軸として取り組まれた課題に自由と繁栄の弧の形成が挙げられます。これはユーラシア大陸の外縁に沿う形で台頭してきた新興民主主義国との連携を強化しようとするものであります。これについて中国との関係から慎重論を唱える向きもありますが、総理はこの構想についてどのようにお考えか、披瀝願います。
 北朝鮮による拉致問題の解決は国民が念願するところであり、また核問題は安全保障上大変重要な課題であります。核問題については、六者協議で核施設の無能力化等に関して合意がなされるなど、一定の進展が見られます。しかし、拉致問題については大きな動きがなく、このまま置き去りになるのではという危惧があります。
 そこで、総理に、拉致問題の解決に向けた御決意と併せ、拉致問題の進展がない限りエネルギー支援は行わないとの方針を引き継ぐのか、伺いたいと思います。また、このたびの六者協議の評価についても併せて御所見をお尋ねいたします。
 次に、社会保障について伺います。
 社会保障の改革は、少子高齢化が進展する現在にあって従来の制度を将来にわたり堪え得るものにする重要な改革であります。医療、介護、年金と幅の広い分野で総合的、抜本的な改革を進めなければなりません。
 平成十六年には、年金制度の全面的見直しにより、保険料負担に上限を設けるとともに、負担と給付の均衡を図る抜本的な改革が実現しました。総理には、この制度改正により長期的観点から年金制度の安定化が図られることについて国民に分かりやすく説明願い、年金システムへの信頼を盤石なものにしていただきたいと思います。
 次に、年金記録問題の対応についてお伺いします。
 社会保険庁の改革は、国民最大の希望でもあり、現内閣においてしっかりとやり遂げなければなりません。社会保険庁の改革について、組織面においては廃止、解体され、職員の身分においては非公務員化にして、さきの通常国会ではそのための社会保険庁改革関連法を成立させました。これからは、年金の徴収、支払といった対応を迅速かつ適切に進めなければなりません。未統合の五千万件の年金記録を前倒しして名寄せし、すべての方に年金加入記録を通知して、年金問題に関する安心を回復するのが柱であります。
 総理には、年金記録問題への対応に関して、その工程を含めて国民への説明をしっかり丁寧に行っていただき、信頼の回復に全力で取り組む決意を示していただきますよう、お願い申し上げます。
 また、格差問題とも関連いたしますが、全国各地で医師不足が深刻化しております。さきの奈良県での妊婦の搬送受入れ問題も、その背景には医師不足が存在していると言えます。この問題については、厚生労働省と都道府県の間で地域を越えた広域での体制強化、再構築するしっかりとした政策が打ち出されました。
 今後は、文部科学省や総務省などとも連携し、内閣全体として取り組むべき総合的な医師不足対策が求められます。すべての国民が生まれてから死ぬまで安心して地域で生活できるためには、まず医師の確保が重要と考えます。総理、どう取り組まれますか、お伺いいたします。
 財政再建への取組について伺います。
 平成二十年度の予算のシーリングは、骨太方針を踏まえて、成長力の強化、地域活性化、環境立国、教育再生、生活の安全、安心などを重点分野とする一方、従来型の公共事業を三%削減するなど、総合的には引き続き歳出抑制の厳しい内容であります。総理は、所信表明演説でも、二〇一一年度にプライマリーバランスを黒字化する財政再建目標を掲げられました。ただ、国家財政への信頼を確保しながらも、必要なところにはそれなりの手当てをとの声にこたえていくことも求められております。
 総理は、特に重点分野や地方経済へ配慮しつつ、財政の構造改革、健全化をいかに実現していくか、お考えを伺いたいと思います。
 次に、公務員制度改革について伺います。
 さきの通常国会で、我々は、使命感とでも言うべき前総理の強い熱意を受け、能力・実績主義の導入と押し付け的天下りの根絶に向けた国家公務員法改正案を成立させました。これに基づき、現在政府で官民人材交流センターの制度設計がなされています。具体化に当たり、実効の上がる仕組みとすることはもとより、国民の支持もいただける制度となるよう強く要望いたします。
 さて、来年の常会では、公務員制度の総合的な改革に向けて基本方針や工程を示すプログラム法が提出される予定になっております。ここでは、採用から退職に至る人事制度全般に関する課題が盛り込まれることとなります。本院では野党が多数を占めていることから、改革の実現のためには、与野党の枠を超え、発展的な議論を展開していかなければなりません。また、改革を後押しする国民の声が重要であります。
 そこで、国民の深い理解を得られるよう、総理に公務員制度改革の必要性とその方針について伺います。
 次に、格差問題について伺います。
 総理も所信表明において述べられているとおり、国民が拡大していると感じている格差の大きな原因は、少子高齢化を始めとする社会構造の大きな変化と、経済のグローバル化に対応するために政府が行ってきた各般の改革に伴う影の部分として生じてまいりました。改革により制度や仕組みを急激に変えれば、その変化に上手に適応できた人は成功できても、様々な理由により適応できなかった人は一生懸命努力しても報われないということがどうしても生じてまいります。
 こうした状況を転換するためには、若者が働く場所を新たに生み出すための産業振興が必要ですが、交通網や情報網のような社会資本の整備が進んでいない現実があり、産業振興がなかなか進まない大きな原因となっております。財政事情が厳しいことは承知いたしておりますけれども、地方の競争力強化のためにも、立ち遅れた地方の社会資本整備が喫緊の政策課題と思います。総理は社会資本整備に関しどのようにお考えをお持ちか、お伺いをいたします。
 また、社会資本整備が真に必要な地方ほど財政力が乏しく、国の直轄事業であっても、必要な地方負担費用が捻出できず整備が進まないという現実があります。総理は、自民党総裁選挙の公約において、公共事業における地方負担の在り方を見直すことを挙げておられます。これは、地方負担割合を軽減させる方向で見直すお考えと理解をしてよろしいか、併せて総理の御所見を伺います。
 総理は所信表明において、地方と都市ともに支え合う共生の考え方の下、財政面からも地方が自立できるよう地方財政の改革に取り組むと述べられております。地方が財政面で自立していくためには、確かに従来から進めている地方への税源の移譲や、地域によって大きな税収格差の見直しなども必要でしょう。
 しかしながら、いかに税源を移譲されても、地方に職場や働き盛りの人たちが少ない現状では、住民の、企業の所得が低く、大きな税収の増加は見込めません。社会資本整備が進み、若者の働き場が確保され、税収が増えるまでは、地方交付税による国からの財源保障機能が不可欠であります。
 総理は、総裁選挙の公約において、地方への企業立地促進税制等、頑張る地方が自立できる税制、交付税を検討することを掲げておられますが、地方交付税についていかなるお考えをお持ちか、御所見を伺います。
 次に、農林水産業について伺います。
 私どもは、参議院選挙を通じ、地方の叫びを耳にいたしました。中でも、農林水産業者の方々からの訴えは切実であります。四月から品目横断的経営対策が本格的にスタートしたやさきでありましたが、小規模農家が切り捨てられるのではないか、特に私の地元福井では、いわゆる兼業農家が多くを占めるため、不安な声が多く聞かれました。
 農業を取り巻く国際環境が厳しさを増す中、意欲と能力のある農業者を育成し、日本農業を強くしていくことは、基本的な改革の方向としては正しいと思います。こうした中、総理は所信で、高齢者や小規模農家も安心して農業に取り組める環境をつくり上げると述べられました。今後、改革を進める過程で、農山村の現場の声をしっかりと聞き、老いも若きも将来に希望の持てる明るさを取り戻すよう、政府において果敢に取り組まれることを要望いたしておきます。
 WTOやFTAなど農産物の自由化の圧力が強まる中、強い農業を目指す方向は賛成であります。その際、是非、地方の実情も考慮し、多面的機能を果たす我が国の農業農村を守るという前提に立って政策の遂行をしていただきたい。総理の御所見を伺いたいと思います。
 水産業は、世界的な資源の枯渇、燃油の高騰による経営難、後継者不足、魚価の低迷と課題を挙げれば切りがありません。一方で、水産業者の努力も続いております。ズワイガニは平成五年に各府県で管理計画が策定され、TAC制度による管理が開始された結果、資源量が回復してきております。
 近年、マグロの輸入価格が高騰し、マグロが食卓から消えるとのショッキングな報道までありました。日本人の大事な食文化である水産資源を守るためには国際的な協力が必要です。水産業の現状と将来をどうお考えなのか、これも伺います。
 森林の重要性は地球温暖化の吸収源として注目を浴びており、加えてその多面的機能が語られております。このたびの台風でも、森林が整備されていないために山が崩れ、被害が大きくなった地域もございました。
 国有林を整備することは当然ですが、民有林が回復しなければ森林はその機能を十分発揮できません。国産材の消費を少しでも増やし林業を盛んにしていくことが重要ですが、その道筋も見えておりません。林業の現状と見通しをお伺いいたします。
 次に、環境問題について伺います。地球温暖化対策でございます。
 温暖化対策の命運を懸けた京都議定書の第一約束期間がいよいよ来年度から始まるわけですが、政府も現状のままでは六%削減目標達成は厳しいと認めております。しかし、このようなときこそ内閣が大胆な政策実行力を示し、環境立国の推進を力強く推し進めていただきたいと存じます。幸い、我が国には最先端の環境技術や深刻な公害克服の経験と知恵があります。来年七月に温暖化対策を主要議題とする洞爺湖サミットを控えている我が国としては、これらの経験と知恵を駆使し、何としてでも京都議定書が示す目標を達成しなければなりません。
 そこで、総理には、目標達成計画についての現状認識と今後の対応について伺いたいと思います。
 話せば分かるという言葉があります。これは是非、総理の心に留めておいていただきたいと思います。犬養毅はこの言葉を残し、問答無用という青年将校の凶弾でこの世を去ったと言われます。しかし、犬養の最期の言葉に込められた思いは正しいものであったと私は考えております。
 今後、我々は大変厳しい議会運営を迫られることとなります。そうした中にあっても、総理が国益をしっかりと見据え、情理を尽くして丁寧に信念や政策を語り掛けるならば、必ずや国民の支持と信頼とを取り戻すことができます。そして、野党諸君の御理解もいただけると私は確信するものであります。
 我々も全力を挙げて総理をお支えする所存であります。福田総理におかれては、自信を持って日本の再生と自民党の復活へ向けた指導力を発揮していただくことを心から願い、私の質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116815254X00420071004_005

発言者: 山崎正昭

speaker_id: 3229

日付: 2007-10-04

院: 参議院

会議名: 本会議