木下敏之の発言 (国民生活・経済に関する調査会)
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○参考人(木下敏之君) 建設業に代わる産業の育成のところで私が多少なりともやれたのは、小糸製作所という会社の誘致と、それからひな祭りですとか佐賀の鍋島の歴史を生かした観光振興だったんです。実際にそれをだれがやったかというと、民間からスカウトした人がやりました。企業誘致は、三愛石油の取締役をやっていた方をスカウトして収入役にしておりまして、企業がどういう意思決定をどのスピードでやるかというつぼを全部心得ておられまして、営業の仕方も一から手取り足取り職員に教えていただいたんですね。それがなかったら多分できなかったと思います。それから、観光開発の分野は、JRの佐賀の駅長をしていた方をスカウトしてまいりまして、彼が旅行エージェントに何月にどういう仕込みをするとバスが回ってくるということを全部知っておりまして、それからテレビ局へのトップセールスの仕方ですね。彼がやはりいなかったら三年で十万人の有料入場者数を上げるというところまでは行かなかったろうと思います。
焼却炉のコストダウンも二百七十億のやつを百七十億まで下げてやったんですが、これも廃棄物処理業者をやっていた方をスカウトしてまいりまして、そういった技術力がやはり民間の方は非常にあります、営業力も。そういった人間を登用していかないと、ずっと生え抜きの市の職員でやっていた人間ではまず無理だと思っています。ですから、それは役人だった私も同じでして、できればベンチャーの経営者かなんかが、それから伊藤忠の会長さんなんかが首長になられたらもっとダイナミックな発想が出るだろうと思っています。
代わる産業が果たして育てられるかどうかということについては、やっぱり人材を育てる、教育は後でちょっと申し上げますけれども、社会人が勉強する場というのが残念ながら佐賀にはほとんどないんですよ。佐賀大学の大学院というのはございましたが、佐賀大学の経済学部はマルクス経済学的な色彩の方が多くて、残念ながら実社会ではほとんど使えないんです、そこで勉強された方が。じゃ、かといって東京のように社会人の勉強する場がほかにあるかというとほとんどないんですね。今はe—ラーニングが発達していますので何とかそれでやる必要はあるんですが、残念ながら勉強しないといけないんだという気風がまだ余り行き渡っていないんですね。そこがやっぱりネックだろうと思います。
当面はやっぱり、先ほど申し上げたように、団塊の世代で企業経験者が大量に都会では余りますので、それを戻す仕組みですね。今中小企業庁やなんかはぼちぼち始められているようですが、それをやはり田舎の方からも出身者に対して人材登録をするとか、地元の企業で人材が欲しいところに登録をするということをもっとやる必要があると思っております。
今ベンチャーの経営にかかわっているんですが、ベンチャーの育成は役人では無理ですね。私の給料も、この間、売上げが決まらなかったらキャッシュフローが足りなくて給料が出ないんじゃないかというような話もあったんですけれども、そういった世界を役人が育てていくのは正直言ってもう無理だと思っています。
それから、良い子供をつくるための方針というのは一応それぞれ市にあるんですが、それはあくまで良い子供というレベルにとどまっておりまして、今先生がおっしゃられたような良い子供ってなあにという質問をした時点で答えが止まってしまいます。例えば、じゃ社会に出る前に消費者金融に引っかからないようにとか、ちゃんとあいさつができるようにとか、そういったことも入っているのかというと、質問すると、ううん、そうだねというようなぐらいの返事でして、やっぱりもっと具体的な目標を明確化していく必要があると思います。
ただ、それは親の側も同じでして、親の側も、あなたの子供をどうしたいですかと言われたときに、はっきりとしたことがないんですね。ただ単に受験勉強していい大学に行ければいいんじゃないのというぐらいしかないので、そこはあながち行政の責任だけとは言えないかなと思っております。
私の場合には、JRの駅で大変中学生のマナーが悪いなんという話もございましたので、乗車して一緒に指導するとかということをやっておりまして、やはり最低限の社会的な礼儀を心得る、あいさつもちゃんとできる、そういったことのトレーニングをやらないと、受験勉強だけできても余り意味がないということを思っております。ただ、この辺については突っ込んだ議論は全然ないのが実態です。