那谷屋正義の発言 (本会議)

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○那谷屋正義君 民主党の那谷屋正義です。
 私は、民主党・新緑風会・国民新・日本を代表いたしまして、ただいま議題となりました地方税法等関連三法案に対し、福田内閣総理大臣並びに増田総務大臣に質問をいたします。
 その前に、地方税法等のこの議題につきましては大変国民の関心が深く、総理のお考えをしっかりと聞きたいという、そういう状況の中で、是非、早退をなさらないで最後までお答えいただけるよう、よろしくお願いいたします。
 過ぎ去った弥生三月は別れの季節でもあります。だからでしょうか、三月は、新たな出会い、旅立ちへの思いに胸を膨らませた夢見月とも称されてきました。
 夢多かるべきこの時期、国政を覆う現状はどうでしょうか。政府・与党は、無為の日々をただ重ねるだけで年度末を終えることになりました。異なる民意を反映した両院の在り方を無視するかのように、国民不在の予算案等の強行採決、無理無体の日銀総裁にかかわる同意人事の提案、さらには消えた年金の公約違反問題等々、福田内閣はおてんとうさまに顔向けのできる政治の対極にあるものとして暴走へのアクセルを吹かし続けてきました。国民は、この一か月余り、ささやかな夢を見ることすら打ち砕かれてきたのです。
 以下、総理にお尋ねいたします。
 暮らしと経済に大きな影響を及ぼす道路特定財源についてお尋ねをいたします。
 四月一日から道路特定財源の暫定税率が切れ、ガソリンの値下げが実現しました。このガソリン値下げは、経済無策を続ける政府・与党に代わって民主党などが実現した二兆六千億円の減税、国民本意の景気対策です。逆転参議院の正常な作用がまた一つ結実したことになります。
 ただし、言うまでもなく、この値下がりとの表現は便宜上、通りが良いものとして使っているだけであります。利権培養のために国民にツケ回しされてきた、つまりは腐敗の温床となってきた上乗せ分としての暫定税率が、やっとあるべき負担水準に戻ったというにすぎません。ガソリンスタンド等の皆さんには御心配をお掛けする結果になったことは心苦しい限りであります。
 大変だ、大混乱だと、今回の暫定税率のみならず、昨年の秋にはインド洋での給油をしなければ大変だとか、マスコミを利用して国民の不安をあおる総理はまるでオオカミ少年のようであります。一国のリーダーたる総理がこうであっては、国民はだれを信用すればいいのでしょうか。
 また、政府・与党のしり馬に乗って大混乱になると吹聴するやからは、道路特定財源と一蓮託生の関係にある暫定税率が国民の享受するべき権利さえも侵害してきた事の重大性にこそ気付く必要があります。
 この道理からしても、去る三月三十一日の総理の国民へのおわび会見は甚だしい考え違い、思い違いをしていると断ぜざるを得ません。
 第一に、総理は今回の事態で地方自治体に迷惑を掛けると言い、それがあたかも民主党の責任であるかのように仕向けられましたが、言いがかりは困ります。民主党は、国の直轄事業の地方負担金を廃止し、国からの道路整備臨時交付金の額を維持するための法改正をするなどして、地方の減収分の財源確保にもめどを付けた法案も提出してきました。地方に迷惑が掛かるとしたら、それは政府・与党が民主党案に聞く耳を持たなかったからではありませんか。
 第二に、暫定税率の廃止は地球温暖化対策に逆行すると言っています。しかし、ガソリンはこの一年間で二十五円以上値上がりしています。二十五円下がったからといってガソリンの消費が急激に伸びることはありません。福田総理が洞爺湖サミットに出席されるかどうか分かりませんが、あなたは暫定税率を維持して道路を造り続けることが地球温暖化対策だとG8国に説明されるのですか。
 第三に、総理は、参議院で一度も審議が行われないまま税制関連法案が成立しなかったことを異常な事態と呼び、それを民主党の責めに帰しています。しかし、すべての発端は、政府・与党が衆議院で強行採決を繰り返し、議長あっせんを踏みにじったことにあります。参議院でも、政府・与党はみなし否決によって衆議院で再可決するそぶりを最後まで捨てませんでした。国会審議の前提は信頼関係にあります。政府・与党はまずこの点を謝罪すべきです。いかがですか。
 ところで、総理は二〇〇九年度から道路特定財源一般財源化を表明していますが、政府・与党内はばらばらです。いつそれを閣議決定なさるのですか。また、二〇〇九年度からの一般財源化とはどういう意味ですか。いつまでに完了するのか、部分的な一般財源化なのか、全面的な一般財源化なのか、お答えください。言っておきますが、それは協議しましょうでは駄目です。政府又は自民党としての考え方も示さずに協議を呼びかけても、国民の目にはいつもの時間稼ぎとしか映りません。
 総理は、混乱を一日も早く払拭するため全力を尽くす云々などとおっしゃっていますが、これは本法案が参議院で成立しない場合には衆議院で再可決するという意味ですか、明確にお答えください。その下心を秘めたものであるならば、国民には二兆円以上の大増税を押し付け、かつ参議院での議論は無用と言い放つようなものです。参議院の権威を傷つけるにもほどがあります。この思い、憤り、本院所属の各会派に共通するものであることをしっかり受け止めていただきたいと存じます。
 以上、六点にわたり、誠実な答弁を求めます。
 次に、喫緊の課題たるべき地方交付税の法定率引上げについてお伺いします。
 現在、国と同様に、地方財政も危機的状況にあります。その大きな要因には、バブル経済崩壊後において、本来、国の任務であるべき景気対策に地方も強引に引きずり込まれたことがあります。
 地方にも景気対策を担わせる理由としてよく持ち出されるのが、国と地方は車の両輪であるという考え方です。この名言は、福田総理のお父上である福田赳夫大蔵大臣が発したものであり、東京オリンピック後の景気の息切れを克服するために、旧来、厳守されてきた均衡財政主義を転換し、国債発行に踏み切るとの決意の表れでもありました。それまで旧大蔵省は、国は国、地方は地方と区分けしていたのですが、福田大臣の決断により、国が窮地に陥ったときには地方も協力することになりました。
 忘れてならないのは、その際に、地方交付税の法定率を二九・五%から三二%に引き上げ、国の果たすべき責任も明確にしたことです。地方を景気対策に巻き込んだのも、地方公共団体の要求する法定率引上げを断行したのも、福田大蔵大臣であったわけです。
 このような経緯から、不況のたびに地方の出番も強いられる景気対策が展開されてきたのです。特に、九〇年代には総額百兆円を超える景気対策を国が策定し、三十兆円もの公共投資と定率減税にかかわる地方枠が、文字どおり有無を言わせぬ形で用意されてしまったと言えます。この結果、地方財政に占める公債費、すなわち債務の返済と利子負担は、約二倍にまで急膨脹することになりました。
 国が押し付けた経済対策によって、肝心の住民生活を守るための政策的経費が抑制される本末転倒の構図ができ上がったことは一目瞭然です。少なくとも、国の本務である景気対策のたびに積み上がったこの三十兆円の借金に関して、地方にも責任があるかのような言説は、実態論からしても不見識のそしりを免れないものであります。お父上の大英断に学び、地方交付税の法定率引上げこそが総理に最もふさわしい選択になると確信するところであります。答弁をお願いいたします。
 昨年夏の参議院選挙前に唐突に提案されたふるさと納税構想について、その当初から私は総務委員会で厳しく批判してきました。
 主な理由は二つあります。一つは、財政苦境に陥る地方団体間で、より貧しいのはどちらかというような不幸極まる財源の分捕り合いに道を開く大きな矛盾を内包すること、いま一つは、地方交付税そのものが、地方から出てきて東京等の大都市圏で働く人々が生み出す税収を地方に仕送りする機能を持っていることからであります。今ある交付税制度自体がゆがみを生まない形でのふるさと納税の理念を、より正当な形で反映した仕組みと言えるのであります。
 古代ギリシャの大哲学者であるあのプラトンですら、より良き故郷に対する魂の郷愁と表白せざるを得ないほど、人々のふるさとへの思いはまさに時代を超えた普遍性を持ちます。かかるふるさとへの情理にこたえるとの一大難物に福田内閣として本当に向き合う覚悟がおありならば、小泉改革が何の根拠もなく三兆円、地方交付税を召し上げた地財ショック分の適正な水準への復元という基礎を固めた上で、ふるさとという尺度を重視した地方交付税制度の再構築へと踏み出すべきです。納得できる答弁を求めます。
 次に、増田大臣にお尋ねいたします。
 現下の地方格差を是正するという名目のために、政府案にある地方法人特別税のごとき、地方税源が利用されねばならない理由は全く見出せないのであります。なぜなら、地方格差の根源は税収格差にあるのではなく、小泉改革が乏しい税収を補う地方交付税を切り刻んだことにこそ由来するからであります。この結果、条件不利地域の自治体は財政的に立ち行かなくなってしまったのです。
 地方格差の正しい解決のためには、これらの起因からすれば当然ですが、交付税に充てる国税の法定率分を引き上げ、その総額を積み増すことが最善の道になります。にもかかわらず、福田内閣においても国は他人の懐に手を突っ込んで、つまりは他人の金である地方税をむしり取って、自らの過ちのしりぬぐいに用立てるという悪代官さながらのやり口に性懲りもなく手を染める有様です。
 それは、税源を地方から国へと逆に移譲するのと同じであり、いかなる目的があろうと断じて認めるわけにはいきません。地方税による税収調整は財政調整における国の責任放棄であり、地方自治の完全なる否定に等しい暴論と言わざるを得ないのであります。
 立場が人を変えるのは世の常としても、岩手県知事として地方分権及び地方税財源の強化推進の旗手として活躍されてきた増田大臣だからこそ、王道に立ち返る見識はお持ちだと確信します。速やかに地方法人特別税等暫定措置法案は撤回するべきです。確たる答弁を求めます。
 残された時間も少なくなってまいりました。
 私が若かりしときに感銘を受けた言葉を踏まえて、総理に対する最後の質問といたします。
 生の哲学を掲げるとともに、自分らしさ、自分と他人とのつながりを通して、個人がどのように社会を形成するのかという相互作用論的社会観を提唱したゲオルク・ジンメルは、私の生涯を通じて、私とは、空虚な場所、何も描かれていぬ輪郭であるにすぎない。しかし、それゆえに、この空虚な場所を充てんすべき義務及び課題が私に与えられている。それが私の生であると、個人と社会との関係性を明快に説いています。
 私が求める、そして、私に求められている、本当の私とはに収れんされるこのジンメルの箴言を、福田総理には肝に銘じていただきたいのです。洞爺湖サミットがあるからという身内の論理にかまけて延命を策することは、一国の宰相として私に求められている、本当の私では断じてありません。このままでは、国民の暮らしも地方財政も、福田内閣とともに漂流しかねません。
 総理が首班を担うに当たり明らかにした国民のため、地方格差是正のためにという看板に偽りがないならば、その命題に反する地方税法等関連三法案は自ら進んでお蔵入りさせるべきです。道理を踏まえたこの選択を万が一にでも取り得ないとすれば、総理に残された道は一つしかないのはお分かりのはずです。
 国民の輿望は那辺にあるのか。国民が心底より望む福田総理の本当の在り方に名実たがわぬ意義を与えるためにも、衆議院解散という、憲法上総理に与えられた専権を今こそ振るうべきではありませんか。その断行を強く強く求めた上で、真っ当な地方税財政に背馳する地方税法等関連三法案は到底容認し得るものではないとの立場を明らかにして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣福田康夫君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116915254X00920080404_019

発言者: 那谷屋正義

speaker_id: 27698

日付: 2008-04-04

院: 参議院

会議名: 本会議