吉川沙織の発言 (本会議)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○吉川沙織君 民主党の吉川沙織です。
 ただいま議題となりました電波法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をさせていただきます。
 冒頭、ミャンマーにおける大型サイクロン、そして一昨日に発生をいたしました中国四川大震災による犠牲者の方々に対し哀悼の意を表するとともに、被災された方々が一刻も早く救出されるよう、日本政府としてもでき得る限りの援助、支援を行われるよう、心よりお願い申し上げます。
 さて、昨日の道路整備財源特例法、先月末の国税、地方税法、さらには一月のテロ新法と、再三にわたって再議決に訴える政府及び与党の政治手法について遺憾の意を表明いたします。
 地方税三法に関しては、私の所属する総務委員会において、衆議院でもなされなかった地方視察、地方公聴会を行うなど、与野党間で精力的な審議が行われておりました。その審議を通じて様々な問題点が明らかになる中、しかも会期がまだ十分に残されているにもかかわらず、六十日が経過したとして衆議院が五十六年ぶりと言われるみなし否決による再可決を強行いたしました。これは参議院に付託された審議権を一方的に奪うものであることにほかなりません。
 世論調査でも半数以上の方が再可決に反対しており、さらには、再可決の直前に行われた衆議院山口二区補欠選挙でも民意が示されたばかりでした。このことは主権者である国民の意思を完全に無視した極めて異常な事態と言わざるを得ません。国民を無視して国は成り立つのでしょうか。
 参議院は、憲法上認められた二院制の下において、良識の府として国民の負託にこたえるために存在していると私は強く認識いたしております。参議院の審議を軽視してまで数の力で一方的に衆議院が再可決したことは、参議院を無視し、参議院の存在価値にまで及ぶ議会制民主主義の危機であると言わざるを得ません。政府・与党がみなし否決を行ったこと、そして再可決を繰り返すことについて、政府の一員である総務大臣に御見解をお伺いいたします。
 本題に入ります。
 平成五年、電波利用料制度創設時以降、携帯電話の爆発的普及に伴い、携帯端末一台当たりに課せられる仕組みとなっている電波利用料の収入は右肩上がりを続けている状況です。今回は衆議院で一定の歯止めが掛けられたものの、改正の都度、その使途の拡大が行われています。
 そこで、電波利用料の使途拡大の観点からお伺いいたします。
 今回の改正案では、平成二十三年の地上放送の完全デジタル化へ向けて送受信環境整備事業が電波利用料の使途として新たに追加され、中継局、共聴施設整備等に対する補助を行うこととされています。ただ、共聴施設整備に関しては、辺地、離島等の条件不利地域のみならず、都市部ビル陰のマンション等においてもその改修費用の負担が大きな問題となっています。
 今回の改正による共聴施設整備の支援対象には都市部の共聴施設も対象となる可能性があるのか否か、伺います。対象とされていない場合、都市部の共聴施設のデジタル化問題について、総務省としてどのような対策を考えているのか、併せてお伺いいたします。
 地上放送のデジタル化と同様、電波の一層の有効利用を図ることを目的とし、総務省は平成十三年から市町村の防災行政無線、平成十六年から都道府県の防災行政無線のデジタル化を推進することとしています。都道府県防災無線については、昨年十一月三十日を期限としてデジタル化されることとなっていましたが、四十七都道府県すべてにおいて移行は完了しているのでしょうか。また、市町村防災無線についても、できるだけ早期にデジタル化することとされていますが、整備の進捗状況を伺います。
 防災行政無線のデジタル化を早期に行う必要がある一方、なかなか整備が進まない理由として、やはり自治体の厳しい財政状況が考えられます。電波の一層の有効利用を図ることを目的として行われる施策であることにかんがみれば、防災無線のデジタル化を行う自治体へ電波利用料を財源とした補助を行うことも今後検討していく必要があるのではないかと考えますが、大臣の認識を伺います。
 使途拡大の二点目として、無線システム普及支援事業の対象が拡大をされています。いわゆる携帯電話の不感地域解消支援対策です。
 今回の改正案では、新たな補助の対象として移動通信用鉄塔設備等が追加されていますが、本事業が電波利用料の使途として追加されたのは前回の改正時であり、有線伝送路に限っての追加でした。今回の改正案では、前回改正時に政府が否定していた鉄塔設備等が使途拡大の対象として追加されていますが、今回の拡充の理由について大臣の見解を伺います。
 なお、今回新たに補助の対象とされる鉄塔設備等においては、これまで一般財源による補助が行われてきました。今回の改正でこの一般財源による支援事業と平成十七年より電波利用料を財源として行われてきた無線システム普及支援事業が統合されることとなっていますが、統合後の財源が電波利用料のみとなっていることについて理由をお伺いいたします。
 また、平成十七年の参議院での附帯決議では、一般財源及び電波利用料財源を活用し、不感地域を早期に解消することが明記されています。デジタルデバイドの解消は最終的には国の責任で実施されるべき課題であることを考えれば、一般財源も活用して不感地域の解消に積極的に取り組むべきであると考えますが、大臣の見解を求めます。
 平成四年の制度創設時の附帯決議において、電波利用料制度の創設によって、電波行政経費の負担を免許者・利用者に安易に転嫁することなく、一般財源による十分な電波行政予算の確保に一層の努力を行うことが求められています。
 そこで、施策の区分についてお伺いします。電波行政において、国が一般財源を元に行うべきものと電波利用料を財源として行うべきものの区分の基準について、明確にお答えください。
 平成五年の電波利用料創設時以来、電波利用料の歳入歳出差額の累積は、平成十八年決算ベースで何と二百十七億円となっていますが、現時点での差額の累積についてお伺いします。
 また、この差額は、当該年度の一般会計の中で電波利用共益費用以外の国の経費に充てていると承知しております。これに関して、電波法は差額の累積を電波利用共益費用の財源に充てることができると定めていますが、これまでの差額の累積を一体今後どうされるのか、お答えください。
 二百億円を超える累積を発生させている状況にかんがみれば、電波利用料額を定める際には慎重に算定し、必要最低限の額にすべきだと考えますが、見解を求めます。
 平成十七年の改正時には当時の大臣が、電波利用料収入が増加の一途をたどるという懸念は当たらないものと認識していると答弁されております。しかし、今後も無線局の増加が見込まれる中、一局当たりの電波利用料額が現状のままであれば、当然、電波利用料収入は増加の一途をたどることになると考えられます。無線局の増加の見込みと剰余金の累積も踏まえた今後の電波利用料額の算定の在り方についてお伺いします。
 次に、電波利用料の歳入歳出の公開状況についてお伺いします。
 電波利用料の使途は、研究開発費に加え、国際機関との連絡調整事務等拡大し続けていますが、今までは残念ながらその使途について詳細な開示がなされていないのが実情です。大臣御自身も、現状の資料では分かりにくいこと、現状の決算書より詳しいものを総務省の責任で提示する必要について、先般の衆議院総務委員会で答弁をされています。歳入歳出の状況については決算書などで、明細についてはホームページ等でも公開し、広く国民、さらには無線局免許人がチェックできるようにし、十分理解が得られるようにすべきだと考えますが、見解を伺います。
 これまで、電波利用料の使途拡大と歳入歳出の明確化、可視化の観点を中心にお伺いしてまいりました。電波利用料制度は平成五年に創設されたものであり、携帯電話の一般的普及など十五年前と状況は一変しています。
 電波法第百三条の二第四項は、電波利用料とは電波の適正な利用の確保に関し総務大臣が無線局全体の受益を直接の目的として行う事務の処理に要する費用であるとしています。しかしながら、前回の改正、今回の改正案に新たな使途として追加、拡充されている一部事業は、電波利用料を財源としたデジタルデバイド対策であると言えます。今後、電波利用料を財源としてデジタルデバイドの解消をより積極的に推進していくのであれば、電波利用料制度の在り方、電波利用料の性格等を抜本的に見直す必要があるのではないかと考えますが、大臣の認識をお伺いします。
 最後になりますが、私は本院において議席を預かる最も若い議員です。学校の卒業を控え、社会に出ようとしたとき、政府の経済政策の失敗から、どんなに働きたいと願い、どんなに働く意欲を持っていても、同世代の多くが職に就けないまま社会に出ざるを得なかった、いわゆる就職氷河期世代の一人でもあります。最近まで政府は格差の存在を認めようとしていませんでしたが、若い世代を中心に格差が広がり、固定化しつつあります。若い世代が明日に希望を持てずして、日本の将来は築けるわけがありません。
 四月三十日に参議院の審議権を剥奪し、みなし否決の下で再可決を行って復活をした暫定税率ですが、これは昭和四十九年に暫定措置としてできたものです。私は昭和五十一年の生まれですから、暫定税率より短い人生ということになり、人生そのものが暫定と否定されている気分になります。一方、恒久的減税と言われた定率減税は、私の会社員人生のスタートである平成十一年に始まり、政治の世界に飛び込むために退職をした平成十八年、つまり、たった八年で終わってしまいました。更に言えば、百年安心の制度設計と言われた年金制度は、消えたり浮いたりして崩壊寸前です。何とも表現し難い空虚な気持ちにさせられるとともに、若年層は政治不信をますます募らせるばかりです。
 今年に入ってから、衆議院における再可決は、昨日を合わせて三度も行われたことになります。再議決を行い再可決という結果に至らしめるには、言うまでもなく三分の二の力なくして実現できないことです。しかしながら、衆議院における与党三分の二の議席は二年八か月前に得た議席であり、最近の民意を問うたものであるとは断じて言えません。
 今こそ、政治を生活者の視点に、そしてすべての世代の人が明日に明るい展望を描ける社会をつくるため、一刻も早く民意を問うべきであることを強く申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣増田寛也君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 116915254X01820080514_005

発言者: 吉川沙織

speaker_id: 13476

日付: 2008-05-14

院: 参議院

会議名: 本会議