原口一博の発言 (本会議)

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○原口一博君 民主党の原口一博でございます。
 私は、民主党・無所属クラブを代表し、ただいま議題となりました日本郵政株式会社、郵便貯金銀行及び郵便保険会社の株式の処分の停止等に関する法律案に対し、賛成の立場から討論を行います。(拍手)
 二〇〇七年十月一日、政府・与党の制度設計により、分社化ありきの民営化が実施されました。この分社化ありきの民営化が何をもたらしたのか。集配局は千減り、四百以上の簡易郵便局は閉鎖したまま再開のめども立っていません。郵政職員による懸命な努力にもこの分社化ではおのずと限界があり、各種料金の値上げも顕著です。
 アンケートによると、待ち時間が長くなった、国民生活の利便性が低下している、こういう現状が見てとれます。JR梅田駅でねんきん特別便約四万五千通がことし九月末から十一月末まで二カ月間もとめ置かれるなど、以前では考えられなかったことが起こっています。郵政を民営化すれば税金は安くなる、郵政のサービスはよくなると豪語されていた方々は、今この現状をどのように総括されておられるんでしょうか。
 ゆうちょ銀行の貯金残高は、過去三年間、毎年十兆円以上減少してきました。先日発表された平成二十年度の中間決算においても、四月から九月、半年でゆうちょの残高がさらに三・一兆円減少しています。このように、民営化後も事業を担う四社の経営の見通しは不透明です。さらに、地域社会で金融サービスが受けられなくなる可能性があるなど、深刻な問題が山積しています。
 民主党は、ことしの夏、さまざまな地域において次の内閣の閣議を開催し、多くの地方の皆さんの意見を伺いました。郵便局の全国ネットワークが維持できるんだろうか、ユニバーサルサービスはこれからもずっと維持できるんだろうか、十分なサービスを受け続けられないんじゃないか、切り捨てられていくのではないかという多くの不安のお声を耳にしました。このような不安は、格差に苦しむ地方で顕著に見られます。
 政府が行ってきた分社化ありきの民営化には多くの課題が残されています。だからこそ、今、郵政事業の抜本的な見直しを行うことが求められています。にもかかわらず、現在の民営化法には、ゆうちょ銀行やかんぽ生命保険の株式は二〇一七年までに全株売却されることが規定されています。さらに、政府保有の日本郵政株式会社の株もできるだけ早期に三分の二まで売却する予定になっています。さらに、政府が承認した日本郵政株式会社の事業計画には、遅くとも二〇一一年度には上場を行い、ゆうちょ、かんぽの株式の売却をスタートする方針であることが明記されています。
 一たん株式を売却されてしまえば、問題が顕在化しても、株式を買い戻すことは事実上困難です。加えて、日本郵政株式会社は先月中に中期経営計画を発表するはずでしたが、これも先送りにしました。きのうですか、自民党さんの部会で求めた資料さえ出ていないじゃないですか。きょう総務委員会で、私たちは、そのユニバーサルサービスが維持できるという根拠になる資料を日本郵政に求めました。本当にこれでいいんですか。
 民主党は国民新党とともに見直し検証委員会を設置し、郵政事業における国民の権利を保障する改革のための議論を進めてきました。この法案も、社民党さんや国民新党さん両党との共同提案でございます。衆議院総務委員会で見直しのための小委員会、これは与党、野党の枠を超えてつくらせていただいたのも、このような危機感からでございます。
 本法案のように、郵政会社、銀行、そして生命保険の株式の売却を凍結することは必要不可欠な手続なんです。株式売却を凍結している間に、郵政各社のサービスと経営の実態を精査し、郵政事業の四分社化を見直さなければなりません。そして、郵便局のサービスを全国あまねく公平で、かつ利用者本位の簡便な方法で、三事業の一体的サービスを保障するとともに、株式保有を含む郵政会社のあり方を私たちは検討したいと考えています。
 この法案は、一部の方が誤解されているように、国営に戻すことを目的とした法律ではないんです。非効率なことを押しつけながら効率性を求める、分社化ありきの民営化を見直すことを目的としております。
 きのうの質疑でも、与党議員から株式売却について、所定の見直しの間、売却を見合わせるように、与党の皆さんも質問しているじゃありませんか。麻生総理は、郵政の株式売却凍結をめぐって十一月十九日に、凍結した方がいいと述べられました。鳩山大臣も正直に言っていますよね。しかし、その翌日には、高いときに売るのが当たり前だと述べ、みずからの発言が凍結を意味するものではないとの考えを示されました。これでは、首相の言葉の何を信じていいのかわかりません。
 麻生総理、あなたの本心は最初の言葉にあったはずです。どうして貫かないのですか。自民党議員や官僚があちらと言えばあちらに、こちらと言えばこちらに行き、状況に振り回され、原理原則を貫かない、これでは国民は惑います。
 私たちは、郵政事業の見直しについて明確な原理原則を持っています。それは、郵政事業における国民の権利を保障するため、また国民生活を確保し、社会地域を活性化することであります。国民本位の視点からの見直しなんです。
 郵便局会社は、各社からの手数料収入で成り立っています。手数料収入が安定的に入らなければ、ユニバーサルサービスは維持できません。しかし、八月、九月に手数料を値上げして、ようやくその分が黒字になっておりますが、現状はとても厳しい状況であります。
 来年の三月には法律で定められた見直しの期限が来ます。法律を改正し、国民に御理解をいただき、現場を整えるためにはそれなりの時間が必要なんです。日本郵政は、二十三万六千人もの人員を抱える巨大組織です。現場を考えるならば、株式を凍結して、腰を据えて見直し作業を進めるというのは当然のことではないでしょうか。
 郵貯法や簡保法がうたっていた理念を思い出してください。すべての国民が、あまねく公平で、そして確実に簡便なサービスを受ける権利、これを保障していた条項を思い出してください。公が保障していた国民の権利。貧しい人も過疎地に住む人も受けることができる金融の社会権を踏みにじる権利がだれにあるというのでしょうか。
 六万ページにも及ぶマニュアル。そして相次ぐ変更。六台のカメラに囲まれて仕事をする人たち、郵政を支えている人たちの現状を皆さんはごらんになっているはずです。広がる格差。経済金融危機。国民の現状を直視してください。
 多くの国民がお金を預けたり引き出したりする、生活に必要な金融の手段さえ奪われかねない状況ではありませんか。庶民は、簡便で確実な金融の決済手段を持つ権利さえないのでしょうか。
 次に紹介する論文、これを読ませていただいて、討論を終わりにしたいと思います。
 世界じゅうで危険なまでに恐慌の程度が深まっていった。景気循環をつくり出す要因、そして長期的なトレンドの双方が恐慌に影響を与えている。だが、経済変動の専門家たちは、恐慌の諸要因を見きわめ、計測可能なものについてはその衝撃の比率を考慮したが、最終的に、従来の分析手法では現状を判断できないことに気がついた。どうやら、計測不可能な要因が作用していた。つまり、これは各国にとどまらない世界全体の信用経済の問題であり、経済復興のためには、国ごとの対応だけでなく、世界全体の施策が必要であることを示唆している。新しい事態が何を意味するか考慮せずに、各国は、現在の急場をしのごうと多くのツケを将来に回し、世界生産的資源を費やしてしまった。紙の上での利益を人々が現実にお金にかえ出すと、肥大化した信用が収縮し、多くの投資家が浮かれた夢から目を覚まし、我を取り戻した。そしてパニックが起きた。
 これは、今の論文ではありません。一九三二年に、ハーバード・ビジネススクールの初代学部長のエドウィン・F・ゲイ博士がお書きになった論文であります。まさに今にも通じる話であります。賢者は歴史に学ぶ。愚者は状況に振り回されて原則を顧みない。
 官から民にというスローガンとは裏腹に、巨大な国債保有機関となり、地域から資源を奪っているではありませんか。二周おくれの改革論が奪ったもの、新たな本当の公を創造しなければならないときに、巨大な私物化を許したのではないでしょうか。先人の知恵と伝統を軽視した改革は改革ではありません。与党の皆さんの中にも、私と同じ考えを持つ皆さんがふえていると思います。
 麻生総理は、郵政株式の売却だけでなく、さまざまな発言がぶれています。迷走を繰り返し、この百年に一度の危機をこの状態では乗り切ることができない。三百二十兆円を上回る資産を持つ巨大な組織の見直しを麻生首相に任せるわけにはいきません。
 民意を問うことは、麻生総理、空白でも何でもありません。

発言情報

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発言者: 原口一博

speaker_id: 33724

日付: 2008-12-11

院: 衆議院

会議名: 本会議