山崎正昭の発言 (本会議)
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○山崎正昭君 私は、自由民主党を代表して、麻生内閣総理大臣及び関係大臣に対し質問をいたします。
総理、党大会で総裁に選出された際、我が自由民主党、開かれた国民政党として堂々と総裁選挙を実施したという成熟した国民政党に所属している自分を大変誇りに思っていると発言されました。私も、総理大臣の候補者たる我が党総裁を選出するため民主的な選挙を行えたと自負するものであります。
内外共に難問が山積する中で我が国のかじ取りをされることになりました。総理就任後、初の記者会見で、日本を明るく強い国にするのが私の使命だ、私の持つ経験のすべてとこの身を尽くして難題に立ち向かうと力強く決意を表明されました。総理の勇気と実行力に大いに期待するものであります。
そこで、まず日本国総理大臣の気構えと一国の指揮官としての国家観を語っていただき、つくろうとされる明るく強い国とはどのような姿なのか、御披瀝願います。
総理は、所信において、国会運営についての考えを率直に表明されました。
この一年間、参議院において、予算及び歳入法案における議長あっせんの無視、委員会における審議の引き延ばし、さらには法案の内容を無視した委員会付託等々、国会ルールを無視した政局第一の民主党の議会運営が国政の混乱を招き、国民生活に支障を来しました。
総理、民主党の何でも反対、政局第一の国会運営では、国会に対する国民の信頼にこたえられないとの危機感を私も総理と共有するものであります。党首討論を含めた民主党との論戦で国民に与野党の政策の相違を明らかにしていくべきと考えますが、総理の決意を伺いたい。
さて、焦眉の急である景気対策のための補正予算案が提出されました。国費一・八兆円、事業規模十一兆円超の対策によって国民の痛みや不安にしっかりと対応するものであります。一刻も早い成立に向けた総理の意気込みを伺いたい。
ねじれ国会での最初の再議決は補給支援特措法案でした。これは来年一月十五日に期限切れを迎えます。
私は、我が国が国際社会において責任ある役割を果たすことはいかなる政治状況であっても不変である、不変でなければならないと思います。世界各国がテロと闘っているとき、国際社会のニーズが高く、我が海上自衛隊の装備、能力が生かされる補給支援こそが日本の持ち味を生かしたベストの共同活動であります。洋上給油は高度な技術を必要とし、我が海上自衛隊の士気は高く、その仕事ぶりは各国に称賛され、感謝されております。
民主党の小沢代表は、米軍等への給油は戦争そのもので憲法違反である、しかし、アフガニスタン本土で活動している国際治安支援部隊であるISAFについては、国連の決議があり、憲法に抵触しないので参加を実現したい旨の主張をされております。我々は、こうした小沢代表の主張にくみするわけにはまいりません。補給活動は何としても継続すべきであり、国民の理解を得る努力も重要であります。
そこで、特措法成立に向けての御決意を総理に伺います。
さて、近年、国際情勢が流動化し多極化が進む中で、新冷戦の時代が到来しつつあるとの見方があります。オリンピックの最中、発生したロシアとグルジアの軍事衝突はその顕著な表れでもあり、世界情勢は混迷の度を深めていると感じるものであります。また、我が国の固有の外交課題として、隣国北朝鮮の問題、さらには日中、日韓関係や、先ほど申し上げたテロとの闘いなど様々な問題が挙げられます。
こうした中、我が国の持続的な発展のためには、しっかりとした外交戦略を持つことが必要であると確信いたします。その際、乱気流の時代だからこそ、軸足を日米同盟にしっかりと置くことが肝要であります。
また、総理は、外相時代に方針として、日米同盟、国際協調、近隣アジア諸国の重視に加え、自由と繁栄の弧を打ち出されております。いわゆる価値観外交については、さきの国連総会の演説でも言及されていますが、今後とも大いに進めていただくことを期待申し上げます。
我が国の国益、国力増進へ向け、総理には戦略性に富んだ外交を展開していただくことを望みますが、外交の基本方針を伺います。
さて、日本の繁栄のためには、近隣国との関係が重要であることは論をまちません。総理も、これまで日中関係改善に尽力されてきたところでありますが、アジア外交、特に対中外交についての所見を伺います。
依然、北朝鮮は核、ミサイルや拉致問題をめぐって不誠実な対応に終始しております。拉致問題では、合意されていた調査委員会がいまだ立ち上げすらなされておりません。日朝首脳会談において北朝鮮が拉致を認めてから六年。日本海を隔てて今も助けを求めておられる被害者の方々、そして御家族の皆様の心情を思うと、その解決に全力を尽くさなければならないと考えるものであります。
そこで、日朝関係が膠着した状況にある中、いかに北朝鮮問題の解決に取り組まれるか、総理の御決意を伺います。
次に、ODAの在り方について伺います。
我が国のODAが削減傾向にあることを受け、本院のODA特別委員会では、昨年六月、ODAの量的確保や援助戦略の策定などを政府に求める提言を行いました。財政状況が大変厳しいことは承知をいたしておりますが、外交力を強化し、影響力を増していくためにも、ODAの充実、その戦略的な実施が求められていると考えます。
そこで、外務大臣にODAについての御所見を伺います。
次に、経済対策について伺います。
去る八月には、当時、幹事長として安心実現のための緊急総合対策を取りまとめられました。今日、地方経済の状態は極めて厳しい状況にあります。昨年から全国を回られた総理は実感しておられると思います。この経済対策の一日も早い実行によって、地方経済、中小企業の立ち直りにつながることを期待するものであります。
経済対策の中では、原油、原材料価格の高騰で大きな影響を受けている農林水産業、運送業、中小零細企業への支援や高速道路料金の引下げ、特別減税の実施等が柱として盛り込まれ、社会保障問題や低炭素社会の実現など環境問題にも配慮した総合的な内容となっております。
経済対策の内容や有効性について分かりやすく説明をし、国民を力付けていただきたい。総理のお考えをお示し願います。
税制について伺います。
本来は、家族のきずなや地域社会の再生につながる抜本的な税制改革が望まれるところでありますが、現下の状況に緊急になすべきことがあれば、果敢に取り組むことは必要です。
まとめられた経済対策の中で、景気の下振れリスクに対応するため、特別減税の実施が盛り込まれております。やることが決まったからには、是非とも減税の景気刺激効果が出るようにしっかりとした対応を望みます。
総理としては、どのような内容の定額減税をどのような形で実施するお考えなのか伺います。
九月二十九日、アメリカ下院は不良債権の買取りを柱とした金融安定化法案を否決、これによって、アメリカの金融危機の深刻化を懸念し、ニューヨーク株が史上最大の下落幅を記録しました。アメリカ政府が迅速に手を打たなければ、世界経済に大きな打撃を与えるおそれがあります。既に我が国市場も連鎖して株価は下落しており、新たなブラックマンデー、世界同時株安の様相です。
金融システムを崩壊から守るために、欧米と緊密に連携することが必要であります。我が国の対応を伺います。
我が国は、十数年前のバブル崩壊を乗り切った経験もあり、金融機関は経営体力は維持していると思いますが、実体経済に影響が及ばないような対応が必要です。ただ、日本の銀行は、国内需要の冷え込みから融資先を選別し始めているのに、アメリカ発の金融不安が重なり、更に貸し渋りや貸しはがしの姿勢が厳しくなり、それが一段と国内の景気を冷やすことになるのではないかとの見方も出ております。
金融行政としては、そうした事態の深刻化を避けるために、金融政策を運営する日本銀行とも一体となってあらゆる手段を用いていただきたい。日銀との政策協調を進めながら、総合かつ緊急的にどのような金融行政を進めるのでしょうか。総理に御所見を伺います。
社会保障に対する国民の信頼が大きく揺らいでおります。安全、安心の国づくりを進める柱は、将来にわたり確実に持続する社会保障の構築であることは言うまでもありません。しかし、その基盤が、近年の少子高齢化の進展といった社会構造の大きな変革の影響のみならず、社会保険庁の度重なる不祥事、後期高齢者医療に関する国民への説明不足などにより、大きく揺らいでいるのが現実であります。
政府は全力を挙げて社会保障全般に対する不安感、不信感を払拭することが望ましいと思われます。総理に、社会保障改革に向けた基本的なお考えを伺います。
社会保障予算における当面の課題として、来年度、二千二百億の削減問題があります。二〇〇六年の骨太方針での歳入歳出一体改革の中で二〇一一年までにプライマリーバランスの黒字化目標達成の一環として行われるものであります。加えて、年金問題に関係して、来年度からの基礎年金国庫負担の二分の一への引上げが予定されております。その財源手当ての具体的な方策についてどのようにお考えなのか、総理の御認識をお聞かせ願います。
今年四月から長寿医療制度が実施されました。しかし、高齢者本人を始め御家族からも、これまでの家族意識を後退させる制度となった、年金から天引きされるのは不満という多くの批判的な御意見が出されております。こうした声にこたえ、保険料負担の軽減や天引き徴収の選択などの措置が図られてきたところであります。
政府は制度の見直しに言及しておりますが、政府・与党として国民目線に立って、分かりやすくてみんなが納得する制度にしてほしいと願います。どのように見直すのか、いつごろその全体像が見えてくるのか、厚生労働大臣のお考えを伺います。
国内農林水産業の振興は、国民への安全、安心な食材の提供、生産者の所得確保、食品産業、流通業の地域経済の活性化など、まさに日本の底力の重要な一翼を担うものであります。内閣府の世論調査によると、国民の九八%が食品の安全性に関心があり、八割の国民が国内での農業生産を支持しております。
一方で、我が国の食料自給率は平成十八年度は四〇%であり、総理の掲げる将来目標五〇%の達成には相当な政策出動が必要であります。
我が自由民主党は、九月二十四日に、日本の農林水産政策は自民党にお任せくださいとして、農政では、肥料・燃油高騰対策、水田フル活用、耕作放棄地解消と自給率向上など八項目の政策を決定し、緊急を要する項目は早速補正予算案に盛り込んだところであります。
我が国の農林水産業の持つ国政における位置付けとその振興へ向けての総理のお考え、さらには決意をお聞かせいただき、国民と生産者の皆様に安心とやる気を与えていただきますよう、総理にお尋ねいたします。
食の安全、安心、消費者目線の政治を掲げていたにもかかわらず、汚染米が食用として売られるという、食の安全には程遠いとんでもない事件が起こりました。
米は日本人にとっても命そのものであります。政府が売り渡したミニマムアクセス米が汚染米として出回ったことに怒りを覚えます。ミニマムアクセス米は、我が国では国家貿易として国が一元的に輸入し管理する仕組みを持っていることから考えますと、国の責任は誠に重大なものがあります。
我が党は、九月十八日、事故米の食用への横流し事件に関する決議を行い、政府へ強く申し入れたところであります。農水省では、米の流通規制や生産履歴の管理強化、罰則強化などを柱とする新制度の検討に入りました。
今国会では消費者庁設置法案が提出されます。何よりも消費者の立場に立ち、その利益を守る行政を行っていかねばなりません。さきの国会では学校給食法の改正を行いました。これから食育が推進され、安全、安心の地産地消が進むと考えます。
今後、消費者の安全確保のためにどう取り組まれていくか、総理の決意を伺います。
次に、観光立国について伺います。
我が国は、観光立国実現のため、二〇一〇年までに訪日外国人旅行者一千万人を目指し、ビジット・ジャパン・キャンペーンに取り組んでおり、昨日、観光庁が設置されたところであります。官民一体での取組により、外国人旅行者は着実に伸び、昨年は過去最大の八百三十五万人を記録しております。
観光とは、易経で国の光を観ることとあります。まさしく日本はすばらしい光あふれる国です。今後とも、多くの方々に日本の持つ魅力を体感していただけるよう、政府として戦略的に取り組むことを要望いたします。
また、観光問題は地域再生につながる重要課題でもありますが、観光立国日本を目指しどう取り組むのか、総理に伺います。
総理は、地域再生は地域の活力を呼び覚ますこと、それぞれの地域が誇りと活力を持つことが必要であると述べられました。
総理の選挙区飯塚は、かつて炭鉱の町でありますが、そこに国立大学の情報工学部を創設し、折からのIT時代の到来で、産業構造の変化に伴い、大学発のベンチャー企業が数多く創業しております。大学を誘致し、人が集まり、地元に根付いた産業が生まれております。
今、話題になっているアメリカの副大統領候補ペイリン女史の眼鏡フレームは、私の地元福井の中小企業の商品であります。こういった事例も各地で見られるようになってまいりましたが、地場産業の振興にも政府は支援を惜しまないでいただきたい。
この度、地域再生担当の補佐官が新設されたのは時宜を得たものと思いますが、どう地域住民の要請にこたえられますか、総理のお考えを御披瀝願います。
政府は、ここ二年、内閣の重要課題として教育再生に取り組んできました。教育基本法改正の下で、知徳体育の充実策や地域社会の教育力の向上のための予算を取り、地域の人々による教育支援の輪が広がってきております。また、四十三年ぶりの全国学力・学習状況調査は、教育現場に清新な風を吹かせ、各地で実態に基づいた改善の取組が始まってきました。
教育再生は、地域再生と家庭教育支援と一体であり、政策が複数の省庁にまたがっていることから、引き続き内閣の重要課題として取組を続けていかねばなりません。教育は国家百年の計、官邸に教育再生会議、教育再生懇談会を置いて改革のエンジンとなったことは大きいと思います。麻生内閣ではいかに取り組まれますか。
次に、地球温暖化問題について伺います。
七月の洞爺湖サミットでは、二酸化炭素などの排出量を二〇五〇年までに世界全体で半減することを真剣に検討することで主要八か国が初めて合意をし、スタートいたしました。
今後、我が国は、今までにも増して温暖化問題に率先して取り組み、これまでの化石エネルギー依存型の社会構造から低炭素社会へと大きくかじを切らなければなりません。環境・エネルギー技術を活用することにより、新たな需要と雇用を生み出すことができます。これは、我が国の経済成長の絶好の機会と期待しております。
福田前総理が提唱された排出量取引の国内統合市場の試行的実施、実験がこの秋から始まります。省エネなどの削減努力で目標を達成した企業は、目標を達成できなかった企業に余った排出枠を排出権として売却できる制度であります。国全体を低炭素化へ動かしていく画期的な仕組みとして評価するものであります。
また、我が国で現在運転中の原子力発電所は五十五基、そのうち我が福井県は十三基を占めております。原子力発電は、発電時に二酸化炭素を排出することがないため、地球温暖化防止に役立つ電源であり、原子力発電による電力供給の着実な推進を望むものであります。
地球温暖化問題と低炭素化社会の実現に向けどう取り組むのか、総理に伺います。
次に、決算について伺います。
麻生総理は、かねて行政運営には経営感覚が必要である旨述べられております。総理には、我が国の持続的発展のため、持ち前の経営感覚を存分に発揮していただくことを望むものです。
さて、企業経営とは異なり、国会においては決算が予算に比べ軽視されてきたことから、本院では参議院改革の一環として決算審査の充実に取り組んでまいりました。その結果、六年連続で通常国会内に審査を終えるとともに、検査院の機能強化にも取り組むなど、着実に成果を上げてきたことを自負しております。
そこで、総理に、国家経営に臨むに当たって、決算の在り方や本院での取組についていかにお考えか、総理の御所見を伺います。
今年は、幕末に活躍し、世界的視野を持っていた私のふるさと福井藩士、橋本左内百五十回忌の節目の年に当たります。左内は、急流中底の柱、すなわちこれますらおの心と言いました。激流にあって流されない、動揺しない信念と姿勢を示す言葉であります。
内外とも難問が山積する中、我が国を明るく強い国とするために、麻生総理におかれては、強い信念、不撓不屈の精神を発揮し、日本を導いていただくことを強く望みます。
私どもも全力を挙げて総理をお支えすることをお約束申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣麻生太郎君登壇、拍手〕